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課
題
<27> 農家は弱者?
~ <E2> 農業保護の無間地獄~
E2 価格規制と補助金・在庫  <N23章 pp.224-33>
1 <23章>農業保護の無間地獄
2 無間地獄先進国日本?
3 主な農業政策の非効率性
Microeconomics 競争市場と公共政策
[email protected]
Q 読解力チェック PP.224-33
Slide 2
第23章 (pp.224-33) の主旨・用語を理解した?
1.
2.
3.
4.
米国農協が1920年代に生産制限に努力した理由,それ
が失敗した理由は? p.224-5 (農産物価格の下落,競争市場)
農家の正常利潤とは? p.226-7 (農家の労働の機会費用  経済学的な費用)
米国農業補助政策の発端である1933年の農作物価
格支持制度の2問題は? p.225-8 (高価格・高額支払,穀物在庫の膨張)
1980年代の目標価格制度の導入効果は? p.228 (消費者価
格の低下・在庫の減少,But 納税者負担の明瞭化)
5.
6.
農家所得は低い? 補助は少ない? p.230 (20%高,生活保護より5割大)
それでも日本よりマシな理由は? p.231 (農家所得は2倍)
1 <23章> 農業保護の無間地獄
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1.
2.
20年代:農協の生産制限失敗  競争市場
米国政府による農業補助  政治経済学
1.
2.
3.
30年代:価格支持制度,80年代:目標価格制度
08年(上記2制度の選択or収入保障制) $2000億 / 10年
∴形態を変え膨張する農業補助  政治経済学
1.
2.
But 農家は,他部門の平均所得より2割高い
しかも補助金の2/3は,$25万以上の富者が受益
Q1 生産(数量)カルテル
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「雄叫びの20年代」にもかかわらず,急落し
た食品価格に対し,多くの農業協同組合が
考えた原因・対策・結果は? pp.224-5
1. 需要減少による競争均衡E1の変化は? E2
2.
3.
そこで農協が生産制限を試みた理由は? E3
なぜ農協の<C2>数量カルテルは失敗したのか?
A1 消費者を守るのは競争市場
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輸出・需要↓  生産制限  カルテル失敗
1.
需要曲線の左方シフト
 E2 :
2.
P・Q・収入の低下
D
S
供給曲線の左方シフト
 E3 :
Q↓ but P・収入の上昇
  <B> 非弾力的な需要曲線
3.
P
農産物市場は競争的
 多数の主体が同質な生産物
P3
P1
P2
E3
E1
E2
Q3 Q2 Q1
Q
Q2 トウモロコシの価格支持政策
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政府が決める支持価格・公正価格は市場
価格より高いor低い? p.226 (高い  農家の利益)
2. さらに「返済義務のない融資」もしたの
で超過供給が加速,対策は? p.227 (備蓄&援助,
1.
減反)
3.
結果は? p.227-8 (生産性の上昇,大豆等への支持政策の拡大)
Q3 80年代の目標価格政策への転換
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政策転換理由は? p.228 (消費者負担と政府在庫の削減)
2. 生産者が受け取る目標価格はそれをすべ
て需要する消費者価格より高い? p.227 (高い)
3. 不足払い$250億は誰が負担? p.228 (納税者)
1.


∴消費者負担・在庫は減少
But 巨額の補助金 = 納税者負担の明瞭化
「政治経済学の核心」の一般性
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なぜ農業に多額の補助をし続けるのか?
1.
契機・名目・拡大
 輸出・需要・価格↓
2.
食の重要性 政府介入
政治家・官僚を動かす少数者(利益集団)
 農業協同組合,農業関連の大地主・大企業
3.
合理的に無知な多数の消費者・納税者  Q演習2
 名目的理由
+ 1人当たり平均負担額は少額
Q演習問題(P.233)1-2
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1.
生産費以下で輸出される米国トウモロコ
シの輸入国の農民は損をする?
1.
2.
2.
輸入国の供給増加  価格の下落
∴農民の所得↓ (But 消費者余剰↑)
なぜ納税者の負担で巨額補助が続く?

前頁  <A4> 納税者の合理的無知
競争促進による農業の活性化
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補助金の即時全面撤廃 1984年 ニュージーランド
1.
2.
3.
4.
5.
農業産出額の3割あった補助金を全面廃止
技術改良・費用削減・輸出開拓への誘因↑
土地生産性は,年率6%で上昇
農業産出額も,40%増加(GDP比も上昇)
しかも破綻した農場は,わずか1%
∴補助金廃止によって,農業を活性化できた例
2 無間地獄先進国日本?
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米国の政策より,日本はもっとヒドイ?  p.231
 ∵日本の農業所得は平均の2倍,$100メロン
 2013年度:
農家所得に占める補助金比がOECDで最大
日本の農業の無間地獄
1.
2.
3.
問題:低生産性・小規模(2㌶  米国170㌶)
対策: 補助金・高関税(米:778%,コンニャク:1706%)・減反
But 対策が問題を深刻化 改善気配さえ13年までなし
日本の米: 市場経済から統制経済へ
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1730年 世界初の先物市場(大阪・堂島)
 大正時代まで,米の価格は市場で決定
統制の「契機・名目・拡大」
1.
2.
3.
1918年 コメ騒動  21年 米穀法
42年 食糧管理法(-95年),70年 減反本格化
自由化は民主党の戸別所得補償で停止 but
2013
Q4 食管法の悲惨な結果
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食管法(42-95年)と減反政策による衰退
1.
2.
3.
減反政策を70年以降続ける理由は? (超過供給)
なぜ過剰生産が続いたのか? (高い生産者価格)
食管赤字の拡大を防げなかった理由は? (低い消費者
価格 差額補填,減反補助,在庫処理)
4.
近年の減反を条件とする戸別所得補償への転換
の効果は? (過剰生産の縮小 but 規模や生産性は?)  2013?
民主党政権下の更なるバラマキ政策
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1.
稲作面積を5年で10倍計画  日経新聞12/10/31
1.
2.
3.
2.
3.
目標(2011/10): 平均2㌶  20-30㌶
農地をまとめて貸す地主に30-70万円補助
But 首都圏でも1%未満  戸別所得補償(減反)が条件
非主食用(備蓄・飼料)米増産の補助金・支援
∴いずれも減反政策と矛盾するバラマキ

規模拡大・生産性上昇への誘因設計と矛盾
3 主な農業政策の非効率性
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農業政策の問題 <B4&5> 価格規制+補助金
1.
2.
3.
4.
米国の価格支持制度:
米国の目標価格制度:
日本の食料管理制度:
日本の戸別所得補償:
 減反政策
消費者負担・在庫の増加
巨額の補助金の明瞭化
巨額の補助金・在庫の増加
巨額の補助金の明瞭化
 農業を活性化させない誘因への補助金
1:下限価格規制 + 政府補助金(超過供給購入)
2&3:消費者価格 < 生産者価格 + 補助金
Q5 農業政策の非効率性
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需要・供給のグラフを使って説明すると?
1.
2.
3.
4.
なぜ価格支持制は,消費者負担と在庫を増加?
なぜ目標価格制は,それらを解消できる?
なぜ食管制は,在庫と補助金を増加?
★競争均衡に比べ社会余剰を減少させるのは?
 消費者余剰+生産者余剰-補助金
 ∴各制度での補助金額のチェックが重要
 全政策
A5 価格支持制度の非効率性1
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在庫の増加,消費者価格&負担額が大
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
政府が公正価格P1を支持
農家はQ1まで生産: E1
But 消費者はQDのみ需要
政府の購入QDQ1が必要
消費者負担額:P1×QD,
補助金額:P1×(Q1 - QD)
∴社会余剰は低下
P
超過供給
P1
E1
E
P*
QD
Q* Q1 Q
A5 目標価格制度の非効率性2
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在庫・消費者価格↓,But 納税者負担は可視化
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
政府が目標価格P1を決定
農家はQ1まで生産
需給一致の消費者価格P2
政府の不足払いが必要: E2
消費者負担額: P × Q
補助金額:(P1-P2)×Q1
∴社会余剰は低下
2
1
P
P1
E1
E
P*
E2
P2
QD
Q* Q1 Q
A5 食糧管理制度の非効率性3
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消費者価格↓,But 在庫・納税負担は価格に依存
1.
政府が生産者価格P1と消費者価格P2を決定
 If
2.
3.
4.
5.
前頁水準なら同じ結果
供給Q1・需要Q2で在庫発生
さらに不足払いも必要
消費者負担額: P × Q
補助金額:(P1-P2)×Q2 と
2
 在庫増分P1
6.
P
超過供給
P1
2
P2
E1
E
E2
× (Q -Q ) の和
1
∴社会余剰は低下
2
Q2 Q1 Q
価格規制と補助金・在庫の拡大
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市場価格を上回る生産者価格<B5>下限価格規制
発生する超過供給の解消法
1.
2.
政府購入: 補助金+在庫  価格支持政策
低い消費者価格:補助金  目標価格政策
If 長期的な供給が弾力的  <B4>

補助金・在庫の拡大  赤字・備蓄の限界
要点
本日のポイント
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主な農業保護政策と結果
1.
2.
3.
価格支持政策,目標価格政策,食糧管理政策
在庫・備蓄の拡大,納税者負担の増加
∴ 非効率(死荷重の増加・社会余剰の縮小)
なぜそれなのに規制し続ける?  政治経済学
次回準備: N21章 & <E3> インフラ整備