前回演習問題の答え • 問題1(章末問題1) 被告を窃盗罪で審理する裁判の場合,2種類の過誤に当たるも のは何か.社会的にみて,どちらの種類の過誤がより重要とみなさ れるか. 答え: 罪状が立証されるまでは無罪であるという前提に立って, 検定すべき仮説は,容疑者は無罪であるという仮説である. それゆえ、 第1種の過誤は無罪である人を有罪であると判定すること、 第2種の過誤は真犯人を見逃がしてしまうこと. 社会的通念からすれば、 第2種の過誤より 第1種の過誤のほうがより重大であると考え られる. 1 • 問題2(章末問題2) 第2種の過誤が第1種の過誤より重要であると考えられるよ うな仮説の例を1つあげよ. 答え: 採択する仮説 真実 H0 を採択 H1 を採択 H0 が真 正しい判定 第1種の誤り H1 が真 第2種の誤り 正しい判定 “ある種の癌治療法は効果がない”という仮説の検定を考える. • 第1種の誤りは「この治療法は効果がないのに有効と判断 してしまう」 • 第2種の誤りは「この治療法が本当は有効であるのに無効 と判断する」 第1種の誤りに相当する誤りがあったとしても,近い将来気づくことになるだろう。 第2種の誤りは重大な誤りといえよう。 2 • 問題3(章末問題6) 𝑥 = 82, 𝜎 = 16, 𝑛 = 100を与えて,仮説:𝜇 = 86を検定せよ. 答え: 統計的仮説検定の手順 1.帰無仮説と対立仮説を設定する. 2.帰無仮説が正しいという仮定の下で,検定に用いる検定統 計量の分布を導く. 3.帰無仮説を棄却する有意水準を設定する. 4.標本から検定統計量を計算し,その値よりも極端な値が出 現する確率が有意水準よりも小さければ(計算された統計量が 棄却域に落ちれば),帰無仮説を棄却し,対立仮説を採択する. 注意点1:片側検定を行うか両側検定を行うかは,前もって決めておかなければいけません. 注意点2:よく用いられる有意水準は,α = 0.05(5%) 両側検定において有意水準5%ということで、両側に0.025の確率になるように分ける。 片側検定において有意水準は5%とは、片側に確率0.05の面積です。 P=0.025 z=-1.96 P=0.025 z=+1.96 P=0.05 z=+1.64 3 • 問題3(章末問題6) 𝑥 = 82, 𝜎 = 16, 𝑛 = 100を与えて,仮説:𝜇 = 86を検定せよ. 答え: 注意点1:片側検定を行うか両側検定を行うかは,前もって決めて おかなければいけません. P=0.025 両側検定で! z=-1.96 P=0.025 z=+1.96 統計的仮説検定の手順 1.帰無仮説と対立仮説を設定する. H0: μ = 86 H1: μ ≠ 86 2.帰無仮説が正しいという仮定の下で,検定に用いる検定統計量の分布を導く. 中心極限定理: X~N (86, 2 標準化 𝑥−𝜇 82 − 86 𝑧= 𝑛= 100 = −2.5 n 𝜎 16 3.帰無仮説を棄却する有意水準を設定する. α = 0.05(5%) ) 4.標本から検定統計量を計算し,その値よりも極端な値が出現する確率が有意水準より も小さければ(計算された統計量が棄却域に落ちれば),帰無仮説を棄却し,対立仮説を 採択する. z=-2.5<-1.96, 棄却域に落ちる, 𝐻0 を棄却する。 4 • 問題4(章末問題7) 𝑥 = 82, 𝜎 = 16, 𝑛 = 25を与えて,仮説:𝜇 = 86を検定せよ. 答え: 注意点1:片側検定を行うか両側検定を行うかは,前もって決めて おかなければいけません. 片側検定で! 𝑥 = 82<𝜇 = 86 左側検定 P=0.05 z=-1.64 統計的仮説検定の手順 1.帰無仮説と対立仮説を設定する. H0: μ = 86 H1: μ < 86 2.帰無仮説が正しいという仮定の下で,検定に用いる検定統計量の分布を導く. 中心極限定理: X~N (82, 2 標準化 𝑥−𝜇 82 − 86 𝑧= 𝑛= 25 = −1.25 n 𝜎 16 3.帰無仮説を棄却する有意水準を設定する. α = 0.05(5%) ) 4.標本から検定統計量を計算し,その値よりも極端な値が出現する確率が有意水準より も小さければ(計算された統計量が棄却域に落ちれば),帰無仮説を棄却し,対立仮説を 採択する. z=-1.25>-1.64, 棄却域に落ちていない, 𝐻0 を採択する。 5
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