Wilcoxonの順位和検定

Wilcoxonの順位和検定
理論生態学研究室
山田 歩
使用場面

2標本
 離散型分布
 連続型分布(母集団が正規分布でない時など効
果的)

ただパラメトリックな手法が使える条件がそろって
いる時に、ノンパラメトリックな手法を用いると検出
力(対立仮説が正しいときに帰無仮説を棄却でき
る確率)が低下するという問題が生ずる。
使用例
2つの月に遡上するナマズの体長(mm)
 4月遡上のメスの体長 μ1
 486、472、517、462
 6月遡上のメスの体長 μ2
 501、494、523、518、529

仮説を立てる。
帰無仮説 μ1=μ2
「メスの体長は4月、6月で等しい。」μ1=μ2
 対立仮説 μ1<μ2
「4月遡上のメスの体長は6月遡上の体長より
も小さい。」(今回は片側検定)

順位をつける

数値の順に並べて順位をつける。(大小は
かまわないが、ここでは小さい順とする)
順位
データ
グループ
1位
462
4月
2位
472
4月
3位
486
4月
4位
494
6月
5位
501
6月
6位
517
4月
7位
518
6月
8位
523
6月
9位
529
6月
順位和をもとめる

それぞれの月の順位を合計する。(順位
和)
順位
データ
グループ
1位
462
4月
2位
472
4月
3位
486
4月
4月の順位和
 1+2+3+6=12

4位
494
6月
5位
501
6月
6位
517
4月
7位
518
6月
8位
523
6月
9位
529
6月
検定統計量をもとめる
検定統計量wをもとめる。
 w=(順位和)-(取り得る最小の順位和)
 w=12-(1+2+3+4)=2



取り得る最小の順位和とは
4月が順位の上位を占めると仮定したときのこと。
順位 1位 2位 3位 4位 5位 6位 7位 8位 9位
データ 4月 4月 4月 4月 6月 6月 6月 6月 6月
可能な並べ方を考える
帰無仮説の元で検定統計量がどのような
分布をとるかを調べる。
 サンプルの可能な並べ方を考える。


4月4匹と6月5匹を小さい順に並べるときに可能な並べ方は9C4=126通り
体長
小さい
順位
1位
可能な全て 4月
の並び方 4月
126通り
4月
4月
2位
4月
4月
4月
4月
3位
4月
4月
6月
4月
4位
4月
6月
4月
6月
6月
4月
6月
4月
6月
6月
4月
6月
6月
6月
6月
6月
5位
6月
4月
4月
6月
…
6月
…
4月
…
6月
6位
6月
6月
6月
4月
7位
6月
6月
6月
6月
8位
6月
6月
6月
6月
大きい
9位
6月
6月
6月
6月
4月
6月
4月
6月
10
6月
4月
4月
6月
13
4月
4月
4月
4月
20
wの値
0
1
2
2
密度関数でグラフを書くと
0.02
0.04
0.06
0.08
0.10
密度関数
0.00

0
5
10
w
15
20

累積分布

ex.
有意水準は0.05とする
0.3
0.1
0.2
pwilcox
0.4
0.5
0.6
累積分布関数
0.0
0.05
0
2
4
6
w
棄却域 W<3
8
10
有意確率は
(1+1+2)/126=0.032 <0.05
つまりw=2は棄却域に含まれる。
 よって、帰無仮説を棄却し、対立仮説を採
択する。


通常は順位和をもとめた後はWilcoxonの
順位和検定の数表 を用いる。(両側検定)

小さいほうの順位和が11~29の範囲に入らなければ、帰無仮説を棄却し対
立仮説を採択する。