HiZ-GUNDAM - 光学赤外線天文連絡会

日本学術会議マスタープランへの提案
ガンマ線バーストを用いた初期宇宙探査計画
HiZ-GUNDAM
主査: 米徳 大輔(金沢大学)
HiZ-GUNDAM WG
光赤天連シンポジウム「光赤外将来計画:将来計画のとりまとめ」( 2016/02/09 – 10) @ 国立天文台
宇宙科学探査プログラム検討チームによる研究分野の
目標,戦略,工程表に関する打ち合わせ資料(2015年9月24日版)より抜粋・追記
(1) 宇宙再電離時期の同定と大規模構造形成の初期段階の探査
・ 赤方偏移7 < z < 12の銀河間物質において、水素の中性度が50%よりも
高いような宇宙再電離の開始時期を明確に同定する。
z > 7 のGRBからを4.5~11例の中性IGMの検出、z > 10 に対しても1.5〜4.5例の検出
・ 中性度が10%程度の銀河間物質を検出し、宇宙再電離の進行度合いの
不均一性を測定し、大規模構造形成の初期段階および進化過程を探査する。
5 < z < 7 の 4 例のGRBから中性IGMの検出
(2) 初期宇宙の星・ブラックホール形成史の解明を目的とした
高赤方偏移GRBの発生率の測定
・ 大質量星による宇宙再電離シナリオを検証するために、赤方偏移z>7に
おけるGRB発生率を誤差30%の精度で測定する。
・ 赤方偏移 z > 7 におけるブラックホール形成率を測定し、
銀河中心の巨大ブラックホールへの進化を探る。
z > 7 の高赤方偏移GRBを15~37例検出
(3) 低金属環境と宇宙最初の重元素の探査
・ 炭素、酸素、硫黄、シリコンなどの重元素量を太陽組成の0.1〜1%の精度で
測定し、z > 7 以上の初期宇宙における化学進化を測定する。
21等級(AB)のGRB で、水素柱密度 log(NHI) = 20 の環境の吸収線から[M/H] = -2.0〜-2.3
19.5等級ならば [M/H] = -3.0
検出期待値は (1) よりは多く、最大 (2) まで
ミッション要求
観測帯域
観測視野
方向決定精度
赤方偏移の測定
検出感度
口径 30 cm のスペース望遠鏡
X線撮像検出器
2~20 keV (要求値)
1~20 keV (目標値)
1ステラジアン以上
10分角 (目標2分角)
―
近赤外線望遠鏡
0.5 μm < λ < 2.5 μm
10–8 erg/cm2/s (要求値)
10–9 erg/cm2/s (目標値)
10分露光で20.7等級(AB) (S/N=10)
0.5–0.9 μm (21.5等級)、0.9–1.5 μm (21.3等級)
1.5–2.0 μm (20.9等級)、2.0–2.5 μm (20.7.等級)
レートトリガーで10-8 erg/cm2/s
イメージトリガーで10-9 erg/cm2/s
アラート情報
時刻、発生座標、明るさなど
ア ラ ー ト 時 間 に 30分以内
対する要求
20分角(10分角よりも十分大きい視野)
2秒角
可視光・近赤外線の4色測光以上
時刻、詳細な発生座標、明るさ、赤方偏移の情報
光赤天連「研究領域の目標・戦略・工程表」における位置付け
光赤天連工程表およびスペース将来計画工程表では、SPICA衛星が基幹計画
HiZ-GUNDAMは、SPICAが網羅する宇宙よりも遠方を観測することで、
宇宙再電離や初期宇宙の星・ブラックホール形成史などを、多波長連携で
推進するミッションとして相補的に位置付けられている。
また、ミッション達成には地上大望遠鏡による分光観測との連携が重要であるため、
HiZ-GUNDAM チームと地上観測研究者との協力体制の強化を促進していくことも工程
表に示されている
( 2015年2月2日、光学赤外線天文連絡会 提出)
ミッション機器開発の考え方
2つのミッション機器である「広視野X線撮像検出器」と「近赤外線望遠鏡」については、
日本国内の体制(主にHiZ-GUNDAM WG)で完遂可能な概念設計を行なっており、
積極的な国際協力は考えていない。
アラートの運用方法については積極的な国際協力体制を構築すべきと考えている。
搭載望遠鏡は CIBER-2 実験をフロントローディングと位置づける。
人材育成・基盤整備等
HiZ-GUNDAMワーキンググループは、飛翔体実験を経験してきた多数の研究者で
構成されており、責任を持って開発を進めてける。
近赤外線望遠鏡を担当するグループには、これまでに地上望遠鏡の開発を
行ってきた研究者も含まれている。衛星開発の有識者とともに研究することで、
将来のスペース計画を支える人材育成にも大きく貢献できると言える。
HiZ-GUNDAM計画のスムーズで遅滞のない推進を実現するためには、
SPICA計画を初めとする基幹プロジェクトとのリソースの調整や、
関連技術のノウハウの共有を促進すると共に、特にマンパワーの競合については
光赤外コミュニティ内で整理し、柔軟なリソースの配置を図ることが必要と認識している。
一方で、光赤天連では2006年に打ち上げられた「あかり衛星」以降、
SPICAの実現まで主要な衛星プロジェクトが無いことから、技術伝承・後継者育成が
困難な状況が続いていることも認識されている。将来の光赤外線天文学にとって
スペース天文学を発展させることは必須であり、そのためには地上観測で培われた
技術やノウハウをスペースで活用するという考え方も必要であろう。
HiZ-GUNDAMを推進するグループは地上観測者メンバーも含むことから、
X線・近赤外線の衛星プロジェクト経験者らのリードの下で共同開発することで、
人材育成にも貢献できるだろう。