債券投資の収益率

資本市場論
(8) 債券投資分析
(i) 債券投資の収益率
三隅隆司
1
はじめに
債券 (bond)
発行者が,資金を調達するために発行する有価証券の一つ.
発行者(借りて)は,保有者(貸し手)に対して,あらかじめ定められた期間に,
あらかじめ定められた方法で利息を支払い,かつ満期時点に元本を返済す
る義務がある.(負債契約)
- 利息や元本の支払いできなかった場合,借り手はデフォルト(債務不履行) した
とみなされる.
債券の種類:
発行体
国債,地方債,特殊債,金融債,社債,外国債
発行形態
利付債,割引債,転換社債,新株引受権付社債
クーポンの有無
利付債(固定,変動),割引債
募集形態
公募,私募
2
債券の種類 :利付債 vs. 割引債
利付債と割引債
利付債
 一定期間ごとに,発行者が利息(クーポン)を支払う債券
 債券の元本を額面 (face value) といい,額面に対するクーポンの比率を
クーポンレート (coupon rate) という.
定期的に支払われる利息(キャッシュフロー)が固定されているものを固定利
付債 (fixed-rate bonds),変動するものを変動利付債(floating-rate bonds) と
いう.
割引債
 債券発行後の利払いがなく,満期時に元本(額面金額)が一括償還される
債券
 発行時の価格は額面を割り引いて決められる.
 ゼロクーポン債ともいわれる.
3
債券評価の基本:割引価値
債券投資からの収益:
- クーポン収入
- クーポンの再投資収入
- 償還差益 ・売却差益
債券の評価は,その保有から得られる(上記3種類の) 収益の割引現在価値と
して与えられる.
T
CF (t )
P
t
t 1 1  r (t ) 
(8-1)
P : 債券価格
T : 満期(売却)までの期間
CF(t) : 第 t 時点のキャッシュフロー
r(t) : 第 t 時点のキャッシュフローに適用される割引率
4
最終利回り (1)
最終利回り ( yield to maturity ; YTM)
- 現在の債券価格で購入し,満期まで保有した場合の平均収益率.
- 債券保有から得られるすべてのキャッシュフローの現在価値を債券価格
と等しくするような割引率,として与えられる.
T
C
F
P

t
T




1

r
1

r
t 1
P : 債券価格
T : 満期までの期間
C : クーポン
r : 最終利回り
(8-2)
- 最終利回りの計算は,高次方程式の解を求めることになるため,多くの場合
手計算では困難.
5
最終利回り (2)
利付債券の(複利)最終利回りの計算方法には,年1回複利利回り(AIBD方式:
Association of International Bond Dealers) と,年2回複利利回り(アメリカ方
式)とがある.
1年後に満期がくる額面100円,クーポンレート年8%,年2回利払い,現在価
格95円の債券の最終利回り:
4
104
95 

1  r 1  r 2
→
r  6.76 %
上で求めた利回りは半年あたりのものであるから,年利換算することが必要.
アメリカ方式 : 6.76×2 = 13.52 (%)
AIBD方式
: 1+R = (1 + 6.76)2 ∴ R = 13.98 (%)
一般にはアメリカ方式が使われている.
満期までの期間T,額面F,クーポンC,
利払いが2回,現在価格Pの債券の最終
利回りrは,右式によって与えられる.
2T
P
t 1
C
1 r
F

1 r
2
  2    
t
2T
6
最終利回り(3) : エクセルの利用 (1)
- EXCEL の関数 (YIELD)を使えば簡単に,最終利回りを求めることができる.
= YIELD (決済日,満期日,1年あたりクーポンレート,債券価格,
額面に対する償還額の比率,1年あたりのクーポン回数, 計算方法)
クーポン6%,残存5年,現在価格105円の債券(年2回利払い)の最終
利回りを求める:
A
B
1
決済日
2010/6/20
2
満期日
2015/6/20
3
クーポンレート
0.06
4
債券価格
105
5
償還比率
100
6
頻度
2
7
基準
0
0.048615
=YIELD(B1,B2,B3,B4,B5,B6,B7)
7
最終利回り (4) :エクセルの利用 (2)
- EXCEL の関数 (IRR)を使っても,最終利回りを求めることができる.
= IRR (キャッシュフロー[← 債券価格,クーポンおよび償還価格])
(注意) 関数IRRは,年1回の利払いを想定しているため,1年に複数回支
払われる場合には,得られた値を回数倍する必要がある.
クーポン6%,残存5年,現在価格105円の債券(年2回利払い)の最終利回り
を求める:
年数
0
0.5
1
1.5
2
2.5
3
3.5
4
4.5
5
キャッシュフロー
-105
3
3
3
3
3
3
3
3
3
103
4.8615%
=IRR(B12:B22)*2
8
最終利回りと債券価格の関係
満期までの期間T年,額面100円,
クーポンレートr,年1回利払いの固定
利付債の価格と最終利回りの関係:
(1) 他の事情を一定として,債券価格が低
下するにつれて最終利回りは高くなる.
債券価格
100
●
(2) 債券価格と最終利回りの関係は非線形.
- グラフは,凸関数となっている.
(3) 最終利回りがクーポンレートと等しい時,
債券価格は額面価格に等しい.
0
r
最終利回り
債券価格 vs. 額面価格
債券価格>額面価格
 オーバーパー債券 
最終利回り<クーポンレート
債券価格=額面価格


最終利回り=クーポンレート
債券価格<額面価格
 アンダーパー債券 
最終利回り>クーポンレート
パー債券
9
直接利回り
直接利回り (current yield)
(直利 と略される)
債券価格に対する年間のクーポン収入の比率.
1年間に得られるクーポン収入をC,債券価格をPとするとき,直接利回りは次
式によって与えられる.
C
直接利回り 
P
- キャピタルゲイン・ロスを考慮せず,インカムゲインのみに着目
した部分的な収益指標.
債券価格 vs. 額面価格
オーバーパー債券

最終利回り<直接利回り
パー債券

最終利回り=直接利回り

最終利回り>直接利回り
アンダーパー債券
10
単利最終利回り (日本式単利)
債券から得られる年間のクーポン収入と,1年あたりの償還差益(または差損)
の合計額が,債券価格に対してどれだけの比率であるかを表す指標.
F P
C
T
単利最終利回り 
P
P : 債券価格
T : 満期までの年数
C : 年間クーポン収入
(8-3)
F : 額面価格
- 日本においては,慣習上,利付債の流通利回りや応募者利回り(新発債
の利回り)には,単利最終利回りが使われている.
- 投資尺度としては,複利最終利回りの方が適切である.
債券価格 vs. 額面価格
オーバーパー債券

単利最終利回り < 複利最終利回り < 直接利回り
パー債券

単利最終利回り = 複利最終利回り = 直接利回り

単利最終利回り > 複利最終利回り > 直接利回り
アンダーパー債券
11
実効利回り
実効利回り (Total Realized Compounded Yield)
クーポンの再投資収益率を投資家の予想利回りに設定し,クーポンの再投
資による元利合計を償還日に元本とともに一括して回収するものとして算出
する複利利回り.
- 複利最終利回りでは,クーポンの再投資収益率は複利最終利回りと等しいと
されているが,現実には必ずしもそうとは限らない.
年1回の利払いがなされる債券を考え,そのクーポンをC,額面をF,満期までの期
間をT,債券価格をP,予想される再投資収益率をrt とするとき,実効利回り r は次
式を満足するものとして与えられる.
T
P 1  r    C 1  rt   C  F 
T
t
(8 - 4)
t 1
これより,実効利回り r は以下のように計算される.
実効利回り 
T
T

1  rt   1
C
F
rt
P
1
(8 - 5)
12
保有期間利回り
保有期間利回り (holding-period return; HPR )
債券を満期まで保有せず売却したとき,購入から売却までの期
間における収益率.
n
Pn
C
P

t
1  r n
t 1 1  r 
P : 債券購入価格
Pn: 債券売却価格
C : クーポン
r : 保有期間利回り
(8 - 6)
n : 債券の保有期間
- 債券の保有期間利回りは,売却価格が低くなるほど低くなる.
- 債券の保有期間利回りと債券価格とは逆の動きをする.
13
割引債の利回り
割引債の最終利回りは,利付債の計算式で,クーポンをゼロ
( C = 0 ) とおくことによって求められる.
r
T
F
1
P
r : 最終利回り
(8 - 7)
P : 債券価格
F : 額面価格
T : 満期までの期間
- 割引債の利回りを,一般に スポット・レート という.
(8 – 7) より,額面価格F,満期までの期間がT年である割引債の価格は,
割引率を r として,次式によって与えられる.
F
P
1  r T
(8 - 8)
14
付録A : 負債契約の存在意義 (1) Costly State Verification
資金供給契約:
資金供給者と資金需要者との間に事後的な情報の非対称性
が存在.
- 投資収益について,資金需要者は観察可能であるが,資金供給者
は無コストでは観察不能.
資金供給者は,一定のコストを負担することによって投資収益を
観察することができる.(costly state verification)
このような状況において,負債契約が事後的な情報の非対称
性から発生する問題を解消する有効な制度的工夫であることを
示す.
15
付録A :負債契約の存在意義 (2) 持分契約 vs. 負債契約 (1)
金融契約には2つのタイプが存在:
持分契約(Equity Contracts):
- 投資成果の一定割合を配当として(資金供給者に)還元するとの約束のも
とに行われる金融契約.
- 投資成果が高ければ高いほど配当額も多くなる.
負債契約(Debt Contracts):
- 投資成果の大きさに関係なく,一定の金額を利子として返済するとの約
束のもとに行われる金融契約.
- 投資成果が悪く,債務不履行となる場合を除いて,投資成果と返済額と
の間に関係なし.
16
付録A :負債契約の存在意義 (3) 持分契約 vs. 負債契約 (2)
- 企業利益の還元については,債権
者(負債保有者)の方が株主より優
先される.
企業利益<債権返済額
企業利益>債権返済額
ペイオフ
- 株主は,残余請求権者
(residual claimants)である.
債権者のペイオフ
- 有限責任制 Limited Liability
株主の受取
債権返済額
(F)
- 企業の損失発生に対する
株主の責任は,自らの出資
額に限られる.
債権者の受取
45°
0
株主のペイオフ:
企業利潤
S = max {X – F, 0}
債権者のペイオフ:B = min {F, X}
(X)
株主のペイオフ
17
付録A :負債契約の存在意義 (4) 持分契約にともなう誘因問題
持分契約:
- 資金需要者は,投資成果の大きさを偽って資金供給者に申
告する誘因を有する.
- 投資成果を「低く」申告する事によって支払い配当額を低く設定し,本来支
払うべき配当との差額を不当な利益として獲得.
- 資金供給者は,資金需要者が有するこのような誘因を承知している.
- 資金需要者の「申告収益」を信じることはなく,つねにコストをかけて
投資収益を調査.
- 無駄(非効率)なコスト負担が必要となる.
18
付録A :負債契約の存在意義 (5) 負債契約の機能 (1)
負債契約:
一定の利子支払いを約束.
- 資金供給者にとっての関心事は,「利子支払いがなされたか,なされな
かったか」のみ.
- 利子支払いがなされた場合には,何の不満(不安)も感じない.
- 利子支払いがなされなかった場合,資金需要者が投資収益を偽ってい
る可能性がある.
- 利子支払いがなされなかった場合のみ,コストをかけて真の
投資成果を調べればよい.
- 持分契約に比べて,調査コストが節約できる.
19
付録A :負債契約の存在意義 (6) 負債契約の機能 (2)
利子支払いが行われなかった場合:
- 契約不履行=破産
- 誠実な契約者としての信頼を失う.
- 金銭的・非金銭的なペナルティが発生.
- その後の資金調達が困難・不可能となる.
- 取引先との関係も悪化する.
- ペナルティがそれなりの大きさで存在する場合には,投資成果を偽って
支払利子を節約することにともなう便益より,破産による信用失墜にとも
なう費用の方が大きい可能性.
破産ペナルティをともなう負債契約は,資金需要者による投資成果の虚偽申
告という誘因を抑えることが可能となる.
20
付録A :最適金融契約:具体例 (1)
借り手・貸し手ともに危険中立的.
・ 借り手の必要資金額=1億円
・ 一人の貸し手の保有資金額=1万円
- 投資を実行するためには,1万人の貸し手から資金調達することが必要.
借り手の行動をモニタリングするためには,2万円の費用を要すると仮定.
- 貸し手が個別にモニタリングすることは無駄な行為.
モニタリングがなされない場合の最適契約について考察.
貸し手の要求収益率 = 5%とする
“投資案のNVP > 0”は共有知識である.
- 投資案の収益については,借り手のみが観察可能.
1.4( 億円)
投資案の収益  
 1 ( 億円)
w. p. 0.8
w. p. 0.2
21
付録A :最適金融契約:具体例 (2)
持分契約
投資案の収益を,あらかじめ決められた比率にしたがって,借
り手・貸し手間でシェア
- 投資案の収益は,借り手のみが観察可能.
- 借り手の申告収益にもとづいて,収益の分配が行われる.
投資案の収益がV,借り手の申告収益がZ,貸し手への分配比率がaのとき;
貸し手のペイオフ=aZ
借り手のペイオフ=V - aZ
持分契約のもとでは,借り手があげた投資成果を貸し手が観察できない場合,
借り手は,可能な限り最小の収益を申告しようとする
- 今の例では,実際の収益の大きさにかかわらず,借り手は自らの投資収益を
1億円と申告することになる.
- 貸し手が損失をこうむる.
22
付録A :最適金融契約:具体例 (3)
負債契約
「借り手の支払いが少ない場合にはペナルティを課す」ことにすれ
ば,借り手が自らの投資収益を過少申告することを回避できる.
ペナルティ : 懲役,拷問あるいは信用の失墜
借り手にペナルティを課すことができない場合:
・ 借り手の資産を清算する
- 清算を選択した場合,借り手・貸し手ともに何も受け取ることはないと仮定.
ある一定金額以下の支払いしかなされなかった場合には,借り手の資産を清算.
- 借り手の選択は,「一定金額を支払う」か,「一定金額を支払わず清算する」
かのいずれか.
・ 今の例では,上記の「一定金額」は,1.3125億円( 0.8f = 1.05を満たす f)
・ このような契約は,負債契約となる.
23
付録B : 現在価値 (1) (Present Value)
【質 問】
親切なことに、自分にお金(たとえば10万円)をくれるという人が現れました。
もらえる日は、今日か1年後かのいずれか だそうです。
あなたは、現在のところ、とくにお金が必要というわけでもありません。とは
いえお金が手に入るということは悪いことではありません。とりあえず、もらっ
ておくことにしました。
さてあなたは、いつもらうことを選びますか?
24
付録B : 現在価値 (2) (Present Value)
今日の10万円
> 1年後の10万円
理由は?
- 資産は運用することによって、収益を獲得できる。
運用利回りが10%(いつの時代のことか!)の投資手法があったとする。
・ 1年後に受け取る10万円は、1年後の時点で10万円の価値。
・ 今日受け取る10万円は1年の間10%での運用が可能だから、1年後
の時点では11万円(10×1.1)の価値を持つ。
→ どちらがよい?
【ポイント】
同じ金額であっても、評価される時点が異なると、その価値は異なる。
したがって、資金の価値は、同じ時点での価値によって評価・比較す
る必要がある。
25
付録B : 現在価値 (3) (Present Value)
現在価値 (present value)
資金を、現在時点の価値として評価したもの。
- 将来の価値を現在価値に評価し直すことを割引(discounting) という。
- 割引において用いられる「運用収益率」を割引率(discount rate)という。
1+r
0
1+r
1
1+r
2
k-1
1+r
k
n-2
PV
1+r
n-1
n
A
割引率をr とするとき、n 年後の資金Aの現在価値 PV は
A
PV 
1  r n
26
付録B : 現在価値 (4) (Present Value)
1年後に C1 のキャッシュフローを生む資産の現在価値は?
PV1 
C1
1  r1
r1
: 割引率
1/(1+r1) : 割引因子(Discount factor)
2年後に C2 のキャッシュフローを生む資産の現在価値は?
C2
PV2 
2
1  r2 
C1=C2=100, r1=r2=0.07 のとき:
100
 100 * 0.9346  93.46
1.07
100
PV2 
 100 * 0.8734  87.34
2
(1.07)
PV1 
27
付録B : 複数期間のキャッシュフローの価値 (1)
第t 年にCt のキャッシュフローを生む資産の現在価値を求める。
第t 年のキャッシュフローに適用される割引率をrt とすると,
0
1
2
3
C1
C2
C3
t
…
Ct
…
C1
1  r1
C2
(1  r2 ) 2
C3
(1  r3 ) 3
Ct
PV  t 1
t
1  rt 
N
…
Ct
(1  rt ) t
28
付録B : 複数期間のキャッシュフローの価値 (2)
新たなビルを建設しよう考えているとしよう。
まず最初に,土地代として10億円,建設費に5億円必要である。さらに来年
に10億円,2年後に10億円の追加的費用が建設のためには必要である。
ビルは2年後に完成し,その時点でのビルの価値は40億円である。
このプロジェクトの現在価値はいくらか?(利子率=割引率は7%とする)
各年のキャッシュフローは?
今年(第0年)  C0=-1,500(百万)
来年(第1年)  C1=-1,000(百万)
再来年(第2年)  C2=3,000(百万)
C1
C2

1  r (1  r ) 2
- 1,000 3,000
 -1,500 

1.07 1.07 2
 1,500  (1,000) * 0.9346  3,000 * 0.8734
NPV  C0 
 185.6(百万円)
29
永久年金(Perpetuities)
【問
(1)
題】
毎年1万円の現金を、未来永劫(今後、無限期間にわたって)受け取るという
権利があったとする。このような権利の現在時点における価値は?
この権利の現在価値は、各時点において受け取る資金の現在価値の和として
与えられる。
1
(万円)
n1 1  0.1n  10

30
永久年金(Perpetuities) (2)
一定のキャッシュフローが永久に発生するものを,永久年金 (perpetual
annuity or perpetuity) という。
イギリスにおいては、18世紀半ばから20世紀初頭まで、無限に利払いが
なされる国債が発行されていた -- コンソル債(consols)とよばれている。
毎年C だけのキャッシュフローを受け取る永久年金の現在価値は,割引率
がr の時以下のようになる。
PV 
C
C
C
C








t 1 (1  r )t
1  r 1  r 2 (1  r ) 3
r > 0 の時,この無限級数は収束する。
上式の両辺に 1/(1+r) を乗じて,2式の差をとることによって以下を得る。
C
PV 
r
← 金利と債券相場とは逆の関係にある。
31
年金 (annuity)
一定期間にわたって,毎年一定額のキャッシュフローが発生するものを年金
(annuity) と呼ぶ。
今年からt 年間,Cだけのキャッシュフローを受け取る年金の現在価値は?
0
C
r
1
2
t
t+1
t+2
C
C
C
C
C
1 C 

t 
(1  r )  r 
C
1

r (1  r ) t
C
r
C 
 
r
C
1
PV  
r (1  r ) t
C 
 
r
32
連続複利 (1)
現在価値を求める際の割引率は,キャッシュフローが支払われる
期間に対応したものでなければならない。
額面10万円の利付き国債を考える。この国債の表面利率は10%であり,利
子は半年ごとに支払われるとする。この国債の残存期間が2年,利子率は年
利8%であるとするとき,この債券の現在価値は?
5,000
5,000
5,000
105,000
PV 



0.08  0.08  2  0.08 3  0.08  4
1
1 

1 

1 

2
2
2
2






 5,000 * (0.9615  0.9246  0.8890  0.8548)
 103,630
33
連続複利 (2)
初期に1万円の元金があり,それを預金すればある銀行が年あたり100%
(1年あたり1万円の利子)という異常な利子率を付してくれるものとする。
利子が年に1回だけつく場合,1年後の資産価値は?
FV (1)  1(1  100%)  (1  1)  2
利子が年に無限回付くとすると,
利子が年に2回付くとすると,
 1
FV (2)  1(1  50%) 2  1  
 2
利子が年にm回付くとすると,
1 

FV ( m)  1 

m


m
2
m
1

FV ()  lim m 1    e
m

e(自然対数の底)は,もし1年あたり100%の利
子が,連続的に付されたときに,1万円の元金か
ら実現される1年後の価値(単位万円)。
34
連続複利 (3)
当初の元金Aを,年利率r,1年複利で t 年間運用した場合の期末価値は?
FV  lim m
r

A1  
 m
mt
 lim m
w

1 
A1   
 w  
rt
w  m r 
 Ae rt
t 年後の A の,年利率 r のもとでの連続複利における現在価値は?
PV  Ae
 rt
35