③ - 秋山研究室

n型ドープGaAs量子細線の
発光および発光励起スペクトル測定
東京大学物性研究所
井原章之,早水裕平,吉田正裕,秋山英文,
Loren N.Pfeiffer,Ken W.West
導入
1、背景と目的
2、サンプルの構造
3、PL・PLEの全体像
実験結果
4、低電子濃度のPL・PLE
5、高電子濃度のPL・PLE
6、2次元系との比較
7、結果・課題
背景と目的
 低温でシャープなフェルミ面を持つ系
における光吸収や発光などの光学過
程の研究はMahan[1]に始まり、吸収ス
ペクトルの吸収端がべき的に発散する
という効果:Fermi Edge Singularity
(FES)が、バルク金属のX線吸収測定
において観測された。
 最近では半導体における光吸収・発光
スペクトルの電子濃度依存性が測定さ
れるようになった。2次元系では
Quantum Well (QW)における発光・吸
収スペクトル測定において、FESや
Band Gap Renormalization (BGR)など
の、多体効果を反映した特徴が観測さ
れている。
 我々のグループは過去に、
Modulation doped single T-shaped
Quantum Wire (QWR) における発
光スペクトルの電子濃度依存性を
測定した [2]。1次元系における
neutral excitonやcharged exciton、さ
らにelectron plasmaの発光を測定し
たところ、高電子濃度における発光
スペクトルはFESを示唆していた。
 Modulation doped single T-shaped
QWRにおける発光および発光励
起スペクトルの電子濃度依存性を
測定し、1次元系の多体効果を調
べることが本実験の目的である。
[1]G. D. Mahan, Phys. Rev. 153 (1967) 882.
[2] H. Akiyama, L. N. Pfeiffer, A. Pinczuk, K. W. West Solid State Commun. 122 (2002) 169
サンプルの構造
 分子線エピタキシー・へき開再成長
法で作成した単一T型量子細線
 size:14nm×6nm
 Si delta dope : 4×1011 cm-2。
→ stem 電子濃度:1×1011 cm-2
 Vg : 0.0~0.8V

wire 電子濃度 : 0~4× 105 cm-1





arm 電子濃度 : 0~1.3× 1011 cm-2
励起光 : wireに垂直な偏光、[110]方向
検出 :wireに平行な偏光成分、[001]方向
点励起spot size ~ 1μm、power ~ 40μW
T:5K
PL・PLEの全体像
黒線
⊥励起光で、wireの発光の//成
分をモニタしたときのPLE
赤線
⊥励起光でstemを励起した時
のPL の//成分
PL and PLE Intensity (arb.units)
wire HH
PLE ⊥-//
arm HH
stem LH
arm LH
PL ⊥-//
stem HH
1.564 1.568 1.572
Photon Energy (eV)
※1
Vg = 0.15V
1.55
1.57
1.59
1.61
1.63
Photon Energy [eV]
H. Itoh, Y. Hayamizu, M. Yoshita, H. Akiyama, Appl. Phys. Lett. 83 (2003) 2043
1.65
低濃度側
④
PLE
0.4V
PL and PLE Intensity (arb.units)
③
PL and PLE Intensity (arb.units)
①neutral exciton
(exciton)
②charged exciton
(trion)
③FES
④electron plasma
PL
0.3V
②
0.2V
①
0.15V
③
0.1V
0.0V
1.566 1.568 1.570 1.572
1.566 1.568 1.570 1.572
Photon
[eV]Energy (eV)
Photon EnergyPhoton
(eV) Energy
※1 H. Akiyama et al. Solid State Commun. 122 (2002) 169
高濃度側
①
PL
PLE
③
PL and PLE Intensity (arb.units)
①Fermi Edge
②Band Edge
③???
PL and PLE Intensity (arb.units)
電圧をさらに上げると、電
子濃度はさらに高くなり、
下図で現されるelectron
plasma状態のスペクトル形
状を示すようになる。
②
0.7V
0.6V
0.5V
0.4V
0.35V
0.25V
0.15V
1.564 1.568 1.572 1.576 1.564 1.568 1.572 1.576
Photon
Energy (eV)
Photon Photon
Energy (eV)
Energy
[eV]
低濃度における計算との比較 計算
④ 実験
計算と実験の比較
② trionの吸収
E(trion) ~ Eg+EF-2Eb
となる。Eb=2.3meV。シフトは
観測されなかった。
③ FES(べき的な立下り)
④
PL and PLE intensity [arb. Uuits]
E(exciton) ~ Eg+2EF-Eb
となる。 実験的には、EFに比
例したブルーシフトが観測さ
れた。
④ 高電子濃度領域
計算では、電子プラズマ状態
の吸収スペクトルを正確に反
映していない。
※1 M. Takagiwa, T. Ogawa, To be published
③
②
②
①
③
PL and PLE Intensity (arb.units)
① excitonの吸収
0.3V
0.2V
①
0.15V
③
0.1V
0.0V
1.566 1.568 1.570 1.572
Photon Energy (eV)
EF
arm
比較点
① Eb wireでは、Eb=2.3meV
wire:ブルーシフト・急
②
exciton 速な減衰。
吸収
③
trion
吸収
④
plasma
吸収
arm:ブルーシフト・ブ
ロードニング。
wire:急速な減衰・な
だらかな吸収の立ち
上がりへ。
arm:ブルーシフト・ブ
ロードニング。
wire:不思議な吸収。
arm:trionの吸収ピーク
からなめらかに繋がる。
PLの立下りから考えて
も、Fermi Edgeに近い。
1.8
④
PL and PLE Intensity (arb.units)
armでは、Eb= 1.4meV
wire
(meV
)
PL and PLE Intensity (arb.units)
2次元系(arm)との比較
EF
(meV
)
④
1.5
1.5
1.1
1.1
③
0.8
0.8
③
②
0.5
0.5
②
0.2
0.2
①
1.8
①
1.580
1.584
1.588
Photon Energy (eV)
1.564 1.568 1.572 1.576
Photon Energy (eV)
結果と今後の方針
 一次元系で初めて、電子濃度を増加させたときの
exciton吸収ピークのブルーシフト(EFに比例)を観測。
 電子濃度を増加させたとき、excitonやtrionの吸収ピー
クが急速に減衰する(1次元性を反映)。
 一次元系の吸収スペクトルにおけるFESが観測された
が、減衰のべきの値などの詳しい研究のためには、サ
ンプルの品質を上げる事が必要。
 高濃度領域の吸収スペクトルが不思議な傾向を示し
た。さらに詳しく調べるために、電子のドープ量を変え
たサンプルを作成する。
 次元性をさらに詳しく調べるため、armの厚みを変えた
サンプルの作成する。
光学系
 cw Ti:Sa laser、対物レンズ、
0.75m高分解分光器を用いた点
励起顕微分光測定。
 サンプルはクライオスタット内で
液体ヘリウム温度(5K)に保たれ
ている。
 点励起光は[110]方向、パワー
は40μW、対物レンズは
N.A.=0.4で、スポットサイズは
1μm。焦点深度は3μm程度。
 検出は[001]方向。偏光フィル
ターはレーザー散乱光をカット
するために使用。対物レンズは
N.A.=0.5、結像レンズはf=20cm
(40倍)。
 バンドルファイバーに結像させ
て分光器に導入。分光器の分解
能は0.15meV。
 excitonのピークのうち、一番左側
にあるピークのシフトの大きさは、
3.5meV / Vだった。
 PLの幅から見積もったEFだの大
きさについてもΔEF ~3.5meV / Vで
あり、 excitonのピークシフト
PL and PLE Intensity (arb.units)
0.14V
3.5meV / V
0.12V
0.10V
0.08V
0.06V
0.04V
0.02V
0.0V
1.566
1.568
1.570
Photon Energy (eV)