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第7章
非正規従業員と派遣労働者
E班
岩橋・片山・高倉・水上・森下
1. コンティンジェント・ワーカーの活用
⑴ コンティンジェント・ワーカーとは
○コンティンジェント・ワーカー(contingent worker)
パート・アルバイト
契約社員
嘱託
『労働サービス需要の発生に応じて活用する労働者』
派遣労働者
フリーランサー
○業務の外部化の拡大
本業以外の付帯業務
特定の業種や業務・職種
ex. 出版、放送、カメラマン
本業の間接部門
対個人サービス業務
ex. ネイリスト
⑵ 他企業の労働者の活用の状況
○他企業の労働者が自社の従業者に占める比率
全産業
5.1%
百貨店・総合スーパー
24.8%
→自社製品の販売促進のため雇用される派遣店員が多い
ex. アパレル会社、化粧品メーカー
⑶ 正規従業員、コンティンジェント・ワーカー、そして業務の外部化
○外部化可能な業務の条件
①その業務のノウハウが社内にとって不必要であること
②企業情報が社外へ流出する問題がないこと
③他の社内業務から分離可能であること
④その業務に必要なノウハウを持つ外注先があること
⑤仕事の成果を測定できる業務であること
⑥内部処理した場合と比べてコスト面で割高にならないこと
○派遣労働者活用可能な業務
企業内従業員とともに働くことができる
→企業内従業員が指揮命令することができる
⇒双方の密接な連携が必要な業務も可能になる
○非正規従業員活用可能な業務
パート・アルバイトの場合
→仕事よりも優先するものがある人が多い(家庭、学業)
・企業の期待どおりの労働ができない(急な欠勤、残業不可)
・限られた通勤可能圏(転勤は通常はなし)
⇒中長期的な技術形成の必要な基幹業務への配置が難しい
○非正規従業員の「基幹労働力化」
❌ 非正規従業員の戦力化が不可能である
⭕ 非正規従業員全員が正規従業員並みの働き方をすることが難しい
キャリアラダーや能力向上を評価する制度の導入により「基幹労働力化」
取り組む企業もでてきている。
2.非正規従業員の活用
1. 非正規従業員の雇用量と構成
 非正規雇用・・・雇用期間に定めのある(有期契約)労働者
→雇用形態はアルバイト、パート、派遣社員、契約社員、嘱託等
 総務省『就業構造基本調査』
1992年:正規従業員78.3%⇔非正規従業員21.7%
2012年:正規従業員61.8%⇔非正規従業員38.2%
⬇
サービス業の割合増加、就職氷河期、女性の社会進出などの背景
 非正規従業員の構成
•パート 〜 女性89.2% (とりわけ既婚女性68.7%)
•アルバイト 〜 学生30.5%
•派遣社員 〜 女性59.1%
•契約社員・嘱託 〜 高齢者43.5%
2.非正規従業員の増加要因
製造業に代わって、サービスを生産するサービス業の比重が高まる
➡サービス需要は曜日や時間帯などによって変動の幅(ピークとオフピークの差)が大きく、オフピーク
時に労働サービスにおける余剰人員が発生しやすいので、労働サービスの提供を弾力的に調整可能
な雇用形態としてアルバイト・パートが活用される
仕事内容が簡単であるため
労務コストの効率化のため
人材確保のため
長い営業時間への対応のため
労働者側のニーズ
・パートは主婦層を中心に、家庭生活と両立可能な雇用形態として選好される
・アルバイトは、学生数の増加に伴い様々な業種が選択されるようになる
↓
企業は両者を補完的に組み合わせることで必要な労働サービス需要を充足
3.パートタイマー活用上の課題
○パート活用上の特徴と課題
 主婦は家庭生活の都合にあわせて働きやすい環境を選択
➡勤務形態の弾力化や選択肢の拡大、管理業務のシステム化
 主婦は生活の時間を重視しがちで労働サービス供給の安定性に欠け、職業能力が不十分
➡仕事の標準化や作業マニュアルの整備、昇進などのキャリア制度を導入(パートの戦力化)
 パートは仕事や時間帯、技能レベルによって時間給が異なる
➡時間給の設定は合理的かつ納得性の高いものが求められる
(4)「就業調整」と人的資源開発
「就業調整」の結果…(主婦パートの例)
《企業側》要員計画が立てられない
→労働時間や出勤日の徹底管理
⇒パートの労働条件向上、
人的資源投資の充実化を阻害
(5)学生アルバイトやフリーター
主婦パートが確保しにくい曜日・時間帯:学生・フリーターが戦力に!
(6)パートやアルバイトと労働法
項目
正規従業員
パート・アルバイト
労働保護法
適用
適用
年次有給休暇
適用
適用(短日勤務でも、所定労働日
数に応じて比例付与)
雇用保険
適用
一定条件を満たせば適用
雇用契約
定年制
雇止めは容易。
雇用契約の反復更新。
(5)パートと正規従業員の処遇差
ある職場
正規従業員
パート・アルバイト
即戦力
△
◎
時間換算による賃金
高い
安い
採用方法
転勤、配置転換、残業有
職種限定、残業なし
《課題》
○パート間の処遇の公正化
◎正規従業員とパートの処遇の公正化
⇒パートの勤労意欲低下、離職率上昇を阻止
本人の希望により、正規従業員への転換の機会を提供
*パートにとって納得できる処遇であるべき*
3. 派遣労働者の活用
(1)派遣システムの特徴
派遣システム
派遣元の派遣会社が、派遣先の労働サービス需要を満たしうる労働者を
探し、雇用し、派遣先に派遣するもの
派遣元
労働者派遣契約
雇用関係
(労働契約関係)
派遣先
仕様関係
(指揮命令関係)
派遣労働者
派遣システムのメリット
・募集・採用・教育訓練のコスト不要
→即戦力となる労働者が活用できる
・期待通りの能力を持たなかった場合、別の労働者派遣可能
・雇用に伴って発生する社会保険などの諸手続きや事務管理が不要
(2)派遣労働者の活用方法
①一時的、または季節的な業務量に対応するために利用
②一時的な欠員を補充するために利用
③社内ではすぐに活用できない人材を派遣労働者の活用で埋める
(3)派遣労働者の活用
登録型派遣
即戦力となる職業能力をもつ
・働きたい仕事を選択できる
・仕事の範囲や責任が明確
・働きたい曜日や時間が選べる
・残業・休日出勤がない
紹介予定派遣
派遣労働者と派遣先が合意した場合、
派遣労働者は派遣先に就職
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