エステバの「開発」 • 「低開発」の発明 P18 1. 概念としての「開発」と「低開発」 第2次世界大戦直後のトルーマン米大統領の提案 (1949年演説):“「我々」の「キャンペーン」は、他国の改 善や経済成長” 筆者:「この日、この(低開発の)レッテルを張られた 人びとは20億人にのぼる」 p19 その背景:ヨーロッパ向け援助計画「マーシャル・プラン」。 戦後日本もマーシャル・プランの影響を受けた。安保条 約の案であった米国の食料(麦、パン)を受けさせられ 1 た エステバの「開発」 発展開発の歴史 第一次国連開発の十年 1960年~: 社会的開発を経済的開発に統合する構想 • • • その問題点: 「社会開発」の定義は曖昧である 急速な成長に伴う不平等が発生する (p28上) 所得格差が広くなる (教育、就労などへの)機会格差が広くなる 2 エステバの「開発」 「開発」の歴史 第2部 p28~ 第二次国連開発の十年(1970年から): 「国際開発戦略」(IDS)における「(経済開発+社会開 発を統合集中する地球大の戦略」 p29 • • • • その問題点: 以前からの「社会開発」の定義の曖昧さ 経済開発はある「社会」の部門に悪影響及ぼす 「地球」という規模でやる計画であるが、 普遍的な処方箋を出せない 国も地域も異なるし、歴史背景や物質的な状態も異なる。 3 エステバの「開発」 「開発」の歴史 第2部 p28~ つづき 2.1975年からの「もう一つの開発」、 開発は「総合的なプロセス」 となるべきという概念。 他方、ILO(国際労働機関)における「基本的人間ニーズ」 (Basic Human Needs)アプローチを加える。 ベーシック・ヒューマン・ニーズは、「衣食住プラス」となる: – – – – – 衣料 (服装) 食料 住居(家屋) 医療へのアクセス 初等教育へのアクセス 4 エステバの「開発」 開発レベルの公平的な測定範疇は何だろうか? 2.「低開発」と「先進」の対比はどのように測定された来たか? • 経済的な測定 – 貨幣システムの有無、普及 – 貨幣経済(資本経済)の循環、範囲 – 国家間の為替相場(レート) • 教育施設や内容 – 近代教育施設での就学率・高学年の就学率 – 義務教育の中の読み書き、算数、英語の有無 • 工業化 – 輸出志向経済むけの生産過程、生産物・生産率 – 工業によるGNP (国民総生産)への貢献 5 エステバの「開発」 「低開発」の定義や測定によるどのような開発過程を進めて 良いのか? 3.低開発地域の定義づけをする側は先進国である。 先進国の者は、低開発というように定義付けられた地域に 派遣されたら、何ができるのか? 6 エステバの「開発」 「低開発」の定義や測定によるどのような開発過程を進めて良いのか? (「開発」の)概念のインフレーション p26~ 第1部 • • 「経済成長」とした開発=ただの「有形財の一人あたり 生産」という概念に還元されちゃう。有形資産、私有、私 益を重視する。 その問題点: 経済成長や国の経済データは、国の様々な部門、様々な 個人、地域別の現状を反映しない。 経済成長のみを中心とする開発は少数(企業に関わる人)だ けを利益とる可能性があり、社会問題をおこす (第7スライド、第11スライドに具体例がある) 7 エステバの「開発」:開発の概念のインフレーション 経済成長の計画を支えた理論~その「欠陥」は? 『経済成長の諸段階』(Walt Whitman Rostow著1960年) によると、開発の「段階」の測定(変数)は、国の 全社会を特徴づけることが可能である。 Rostowによる5段階: ①伝統社会(自己生産~自己消費) ②過渡期(過剰生産、通商) ③工業化の初期 ④製造、生産の多様性・技術に基づいているイノベーション ⑤大量消費 8 エステバの「開発」:開発の概念のインフレーション 経済成長の計画を支えた理論~その「欠陥」は? 例: Rostowの第4、第5段階に入った「豊かな国」と 第1,2段階にある「貧しい国」の中には、 豊かな国の場合貧困層もあるし、 貧しい国に富んだ人・層もいる 問題点: 「全社会」(=社会全体)が、同時に同じ段階に入ること もしないし、同じ変数に従うこともないから、様々な 社会層や部門をこうした標準化された変数による測定 ができない。 9 「先進国」と「低開発」の比較 1950年米国の経済状態 トルーマン大統領やローストーの時代 • 失業率 約 6.0% • 平均家族所得=$3,300ドル (現在 $20,000=現在¥2,400,000) • 低所得家族の所得= $1,800 (現在 $12,000 = 現在¥1,450,000) 1950年代後半, 米国民総合貧困率 = 22% 貧困線の定義:所得は住宅、教育費、衛生水準、必要な治 療、食糧への支出より低い 「五分の一、二の人びとが窮乏化する」(p30)を参照する 10 エステバの「開発」 「開発」の歴史とこれへの感想・批判 p31上~ 70年代のUNESCO(国連教育科学文化機関)による 「内発的な開発」: 地域の意思決定を促進するはずの概念であった。 問題点は、開発の概念に根付いた問題はその皮肉である: 疑問点・批判点: 「その衝動が真に内発的なものなら、つまり、そのイニシア チブがほんとうに多様な文化や価値体系に由来するものな らば、そこから必然的に開発・・・への衝動が生じてくると は・・・考えられない」 という皮肉である。 11 エステバの「開発」 概念のインフレーション p31の上~: 経緯2 1. 第3次国連開発の十年 1980年~ 経済学による発展途上国の構造改革(経済構造調整改革) =“Structural Adjustments”。目標は、国政府の歳出を減らす、 銀行のローンポリシーを厳しくさせる、金融的な浪費をとめる 問題点:インフォーマルセクター(非公式雇用部門・契約、保証のない 雇用関係)に従事する人への悪影響。 農民、女性、少年、老人、少数民族への負担が増える その理由: 構造改革は、国の財政配分を変える。 構造改革を指導する先進国や国際機関に従うために、途上国政 府が支えるはずの社会福祉、公立教育、公立病院、環境保全の 予算を減らす対策をとる 12 エステバの「開発」 1990年~「サステーナブル・デヴェロップメント」が目ざすこと: 1. 2. 3. 4. 内発的な開発や意思決定 「基本的」人間ニーズ(Basic Human Needs)を充足する 地域共同体・住民による環境保全や資源管理を行う 文化遺産を保護する これからその問題点は。。。? 13
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