協調的輻輳制御を用いた 映像配信機構の設計と実装

インターネットにおける
TCP協調型のDV転送技術
通信総合研究所
杉浦一徳
慶應義塾大学政策メディア研究科
小川晃通
通信総合研究所
中川晋一
慶應義塾大学
中村 修
慶應義塾大学
村井 純
発表概要
• インターネット協調型の、DV(デジタルビデオ)
技術を用いた映像・音声配送技術の実現
– バーストトラフィックの解決
– ネットワークにおけるジッタの軽減
• ネットワーク空間の共有
– 協調制御
– TCPとの協調
• 本発表のDV Over IP デモンストレーション
次:研究の背景と目的
本研究の背景と目的
• インターネットにおける映像・音声の配送
– 実時間性が必要
ネットワーク上では厄介者
• TCPは再送、輻輳制御を自立的にしてしまう
• TCPは利用困難
– 既存アプリケーションは、UDPを用いた輻輳制御機
構のないパケット送出
• ネットワークで混雑に対して無関心
• 混雑の要因要素
• 映像・音声データはトラフィック量が多い
• 他通信と協調した映像・音声配送機構の実現
次:DVTSについて
DVTS
(Digital Video Transport
System)
•
•
•
•
デジタルビデオIP 転送システム
DV(Digital Video)
UDPを使用
RTPを使用
次:DVTSの動作
DV Transport System 全体像
Consumer DV Camera
Consumer DV Deck
IEEE1394
Cable
IEEE1394
Cable
Internet
DV→Internet PC
Internet →DV PC
DV Transport System 全体像
Consumer DV Camera
Consumer DV Deck
IEEE1394
Cable
IEEE1394
Cable
Internet
DV→Internet PC
Internet →DV PC
次:DVTSのトラフィック
DV Transport System 全体像
Consumer DV Camera
Consumer DV Deck
IEEE1394
Cable
IEEE1394
Cable
Internet
DV→Internet PC
Internet →DV PC
DVTSでの送信トラフィック
• DVTSにおける 占有ネットワーク帯域
30Mbps
• 常時30Mbpsの帯域を確保するのは困難
– 画像の間引きによる利用帯域の削減
– 音声の間引き処理
• コミュニケーションの重要な要素
音声の途切れ = コミュニケーションが成り立たない
• 占有帯域削減に対する効率と,変換コスト
– 画像の間引き手法
• コマ落とし、フレーム削減(フレーム飛ばし)
次:フレーム間引き
DVTS における
画像フレームの間引き
• 画像間引きなし
• 画像間引き率
1/2
• 画像間引き率
1/3
音声を含む DV パケット
音声を含まない DV パケット
DVフレーム
映像データ
音声データ 次:利用帯域
画像間引き率と帯域
(計算値)
10Mbps以下
Full Rate Audio : 2.64 MBps
Full Rate Video : 27.58Mbps
10
9
Video
画像
音声
Audio
1/
画像間引き率
1/
8
1/
7
1/
6
1/
5
1/
4
1/
3
1/
2
5Mbps以下
1/
fu
ll
(Mbps)
35.00
30.00
25.00
20.00
15.00
10.00
5.00
0.00
3.56Mbps(1fps)
次:デモンストレーション
パケット間引きにおける
デモンストレーション
• 画像間引きにおけるデモンストレーション
CRL
阪大
Panasonic
NV-DJ100
IEEE1394
Ethernet
Switch
ルータ
Intel:Celeron 466MHz PC
128MB, PhotoDV IEEE1394
100BaseTX Ethernet
RTT=21[ms]
ルータ
次:バーストトラフィック
画像フレーム間引きにおける
バーストトラフィック
• 定期的にバーストトラフィックが発生する
– 画像フレームの送信、非送信の連続
パケット数
• 1/4の画像間引き率におけるトラフィック
(計算値)
300
250
200
150
100
50
0
1
3
5
7
9
11
13
15
17
19
DVフレーム
21
23
25
27
29
次:パケットの破棄
バーストトラフィックによる
パケットの破棄
ルータ
破棄
音声パケット
映像パケット
パケットキュー
次:バーストトラフィックの解決
バーストトラフィック
の解決方針
• バースティパケットフローの平滑化
– シェーピング,フローコントロール
• 音声・画像パケットの分離
– 画像と音声を個別に扱う
• 音声パケットに対する優先制御
– 音声ジッタの解決
次:シェーピング
送信ホストによるシェーピング
(バーストトラフィックの抑制)
送信ホスト
アプリケーション
次:音声パケットのジッタ
画像データのバーストトラフィック
による音声データのジッタ
送信ホスト
音声パケット
画像パケット
アプリケーション
音声パケットが
待たされる
次:音声・映像の分離
トラフィックの分離による解決
送信ホスト
音声パケット
画像パケット
アプリケーション
音声queue
画像queue
音声パケットは
優先される
次:ジッタの実証実験
音声ジッタの実証実験
• 様々な条件で音声データに対するジッタを
測定
音声と映像を分離して
DV stream
音声に対して優先制御
100Mbps
sender
1 / 7 の画像間引き率で
送信
大きなqueue
ここの帯域を
100
10 Mbps
Mbps
変更して測定
ルータ
receiver
Audio packet
Video packet
次:100Mbpsにおける実験
従来方式(100Mbps)
• 100Mbps環境での音声データのジッタ
– 十分大きなネットワーク帯域
– 良好な音声
usec
音声データの間隔が
6msを超えると音声が途切れる
sequence
次:10Mbps実験
従来方式(10Mbps)
• 10Mbps環境での音声データのジッタ
usec
– 音声の定期的な途切れ
画像データの送信による
遅れ
定期的に
大きな遅延が発生
sequence
次:10Mbps+CBQ
提案方式(10Mbps with CBQ)
• 10Mbps環境で送信者が音声に対して優
先制御したときの音声データのジッタ
usec
音声の遅れが
優先制御をしない場合に
比べ小さい
sequence
次:結論1
音声ジッタ実証実験による結論
• 音声に対するジッタを解決した
– 映像によるバーストトラフィックの解決
• 音声ジッタの発生
– 映像・音声分離による音声ジッタの解決
次:協調制御
協調的輻輳制御機構
協調的輻輳制御機構の必要性
• インターネットでのネットワーク帯域
– 動的にネットワークの消費帯域は変化する
– ネットワーク帯域に応じた動的な対応
• TCPには輻輳制御機構がある
– インターネットのトラフィックの大部分はTCP
– TCPは動的にネットワークに適応する
• 映像のリアルタイム通信は主にUDPを使用
– UDPには輻輳制御機構がない
次:TCP+UDPは犬猿の仲
TCP+UDP トラフィック
TCP sender
送信量
TCP packet
UDP packet
輻輳
UDP sender
送信量
TCP+UDP トラフィック
TCP sender
送信量
TCP packet
UDP packet
輻輳
UDP sender
送信量
TCP+UDP トラフィック
TCP sender
送信量
輻輳回避のため、
送信量を減少
UDP sender
送信量
TCP packet
UDP packet
TCP+UDP トラフィック
TCP sender
送信量
輻輳回避のため、
送信量を減少
UDP sender
TCP packet
UDP packet
輻輳制御機構がないので、
送信量はそのまま
送信量
TCP+UDP トラフィック
TCP sender
送信量
輻輳回避のため、
送信量を減少
UDP sender
TCP packet
UDP packet
輻輳制御機構がないので、
送信量はそのまま
送信量
次:輻輳制御機構
DVTSの動的輻輳制御機構
• RTCPを使用して受信者から送信者へ
パケットロスに関する情報を渡す
– 送信者はTCP以上に帯域を使っていたら画像
間引き率を下げる
• TCPの使いうる最大帯域の式(by S.Floyd)
– TCP friendly traffic
T : トラフィック量
B : パケットサイズ
p : パケットロス率
R : RTT
次:動的レート調整の実験
動的レート調整実証実験
• DVTS+DVTSトラフィックの協調
– ホストA→ホストC
– ホストB→ホストD
DVTS送信
A
DVTS トラフィック
DVTS トラフィック
Router 1
DVTS(2)送信終了
DVTS(2)送信開始
B
(a)
10Mbps
C
Router 2
D
次:画像間引き率グラフ
DVTS+DVTS(自動調整)
• 送信者からの送信画像間引き率の推移
– 最適な送信レートを維持
DVTSトラフィック 1
DVTSトラフィック 2
トラフィックが増えると
画像間引き率が減少
トラフィックが減ると
画像間引き率を復活
(実測値)
DVTS+DVTS(トラフィック量)
• DVTS2個目が開始されると一つ目の
DVTSはトラフィック量を減らす
DVTSトラフィック 1
DVTSトラフィック 2
それぞれ
同様の帯域を使用
DVTS2開始
帯域使用量を復活
TCPとDVTSトラフィックとの協調
• TCP+DVTSの協調
– DVTS : ホストA→ホストD
– FTP1 : ホストB→ホストE
– FTP2 : ホストC→ホストF
DVTS 送信
A
DVTS トラフィック
FTP1 送信
Router 1
B
(a)
D
Router 2
FTP2 送信
10Mbps
C
FTPトラフィック×2
E
F
TCP+DVTS(画像間引き率)
• 新しいトラフィックが開始されると送信のた
めの画像間引き率が減らされる
DVTSトラフィック 1
FTPトラフィックが増加すると
画像間引き率を減少させて
適応した
TCP+DVTS(トラフィック量)
• DV+FTP+FTP
FTP1開始
DVTSトラフィック
FTPトラフィック 1
FTPトラフィック 2
FTP2開始
最終的に同様の帯域を共有
結論
• 自動的に送信量を調節する、映像・音声の
転送方式を実現した
– バーストトラフィックを解決した
• トラフィックの平滑化
• 音声と画像の分離
– 動的輻輳制御機構を開発した
• パケットロスの軽減
• 他トラフィックとの協調
• TCP親和性が高い
– 実証実験としてDV/RTPを実現した
Additional Information
• STREAM WG
http://www.sfc.wide.ad.jp/~uhyo/html/japan/STREAM
• 配布
http://www.sfc.wide.ad.jp/DVTS/
今後の流れ(1)
Dvview for X Windows
今後の流れ(2)
• ストリームメディア変換システム
• メディアストレージジューク
• ローカルエリアネットワークによる運用