消費関数4

まとめ
ケインズの消費関数
消費=f(現在所得)
ライフ・サイクル仮説や恒常所得仮説
消費
=f(現在所得・富・期待将来所得・利子率)
+
+
+ (不確実)
?
消費の予想形成=消費者のマインドが重要
GDPにおける消費支出は安定は
個々人の消費パターンの平準化を意味する
モデルでどのように説明するのか?
① 長年の月日をかけて形成された消費習慣の
存在か?
② 個人の生涯にわたる効用最大化
人々がいくら消費して、いくら貯蓄するのかを
決める時、異時点間の選択を行わなければ
ならない。
異時点間の予算制約 (2期間)
第1期:
S  Y1  C1  A0
第2期:
C2  1  r S  Y2
C2  1  r Y1  C1  A0   Y2
C2
Y2
C1 
 Y1 
 A0
1 r
1 r
消費者の予算制約
C2
1  r Y1  A0 
 Y2
C2
Y2
C1 
 Y1 
 A0
1 r
1 r
Y2
 1  r 
Y1
予算線の傾き:  1  r 
Y2
Y1 
 A0
1 r
C1
消費者の生涯効用は
U  uC1   uC2 
これを、予算制約の下で最大にするように、
C1 および C2 を選択する。
この効用関数の C2 に予算制約式を代入すると
U  u C1  
u1  r Y1  C1  A0   Y2 
=
C2
dU
 uC1   uC2  1  r   0
dC1
u C2 
1


u C1  1  r
例えば、現在の預金金利1%(=0.01)の下では、
u C2 
1

 1 uC2   uC1 
u C1  1  r
2期間の消費の限界効用の均等が起きている。
C2  C1
消費の平準化が起きる
消費平準化の理由
資本(貸借)市場が存在しない時、各期の変
動する所得に消費が制約される。
C1  Y1
C2  Y2
生涯効用関数が原点に対して凸である時、
毎期変動の激しい消費よりも、一定の消費を
好む。借り入れ制約がなければ、一定の消
費額を維持するために資本(貸借)市場を利
用して貯蓄が行われる。
C2
Y2  C2
A
B
Y1  C1
C1
資本市場が存在しない時(借り入れ制約が
存在する) A点 で消費する。
資本市場が存在する時B点で消費する。
B点はA点よりも高い効用
すなわち、より平準化した消費の組み合わ
せのほうが効用は高い。
そのため、資本市場を利用するインセン
ティブがある。すなわち、貯蓄を行うインセ
ンティブがある。
消費者の最適消費選択
C2
C
uC1   uC2 
*
2
Y1
1  r S
45°
*
1
Y1
C
S
C1
貯蓄は消費を平準化するために用いられる。
C2
所得変化(Y1 あるいはY2)が消費
へ及ぼす影響
C2
C1
C1
第1期あるいは第2期の所得の増加によっ
て、 予算制約線は外側にシフトする。
しかし、消費の増加はそれより小さい。所
得の2期間の消費の増加に分散される。
この点は、消費が現在所得のみに依存す
るケインズ型消費関数とは異なる。
初期資産(A0)の増加が消費に及ぼす影響
A1  A0 の時
C2
Y2
Y1 
 A1
1 r
C2
C1
Y2
Y1 
 A0
1 r
C1
初期資産(A0)の増加が消費に及ぼす影響
A1  A0 の時
C2
Y2
Y1 
 A1
1 r
C2
C1
Y2
Y1 
 A0
1 r
C1
資産効果
初期資産A0の増加は物価の下落によっても起
きる。たとえば、100万円の社債を買って、1年
後物価が2倍なると、社債の名目価値は100万
円のままであるが、物価が2倍なったので、100
万円で1/2の消費財しか購入できない。物価が
下がれば、逆に変える消費財の量が増加する。
このような効果は資産効果と呼ばれている。
実質利子率の増加が消費へ及ぼす影響
その1
C2
C2
-(1+r)
C2
Y2
C1
Y1
C1
この場合には、 利子率の上昇によって、
第1期の消費が減少し、第2期の消費が
増加する。したがって、貯蓄が増加する。
C2
Y2
C1 
 Y1 
 A0
1 r
1 r
C2=-(1+r)C1+(1+r)Y1+Y2
利子率の上昇は、予算線の傾きおよび縦軸の
切片を大きくするが、(Y1,Y2)を常に通るので、
この点を中心に回転する。
実質利子率の増加が消費へ及ぼす影響
その2
C2
C2
-(1+r)
C2
Y2
C1
Y1
C1
実質利子率の増加が消費へ及ぼす影響
その2
C2
C2
Y2
C1 Y1
C1
この場合には、利子率の上昇によって、
第1期の消費は増加する一方、第2期の消費
も増加する。貯蓄も減少する。
利子率の上昇による効果
① 消費者は正の貯蓄があるので、利子率
の上昇は、利子所得の増加をもたらす。
・・・所得効果 C1  C 2 
② 利子率の上昇によって、第2期の消費
が第1期の消費に比べ、相対的に安くなる。
・・・代替効果 C1  C 2 
2つの効果は、第1期の消費に対して一般
的に逆方向に働く。第1期の貯蓄への効果
は不明。
借入れ制約
C1  Y1
現在消費が現在所得を超えられない。
借り入れをしたいができないような消費者に
とって、消費は現在所得にのみ依存する。
特に低所得者層に多く、アメリカでは20%の
人々が借り入れ制約に直面。
借入れ制約=流動性制約
現在の消費は、現在の可処分所得とは独立
に決定されているわけではない。
人々は必要なお金を、いつでも自由に借り入
れることができるとは限らない。
現実には、全く資産を持たない人が、十分な
借入れを行うことは難しい。
・・・貸し倒れの可能性がある。
借入れ制約 (流動性制約)
C2
C1  Y1
借入れ制約のためこの消費の
組み合わせを実現できない
Y2
~
*
C1  Y1 C1
Y1
C1
借入れ制約=一切借金ができない場合
2種類の消費者の存在するので、
集計的消費は両者の和である。
① 借入れ制約のない人
Y2
消費は Y1 
に依存する。
1 r
貯蓄手段を用いるので、現在所得にあまり
依存しない。
② 借入れ制約のある人
消費は現在所得にのみ依存する。
C1  Y1
短期の消費関数
今
年
の
消
費
ケインズ型
現実の消費
関数
ライフ・サイクル型
Y0
Y1
今年の可処分所得
どの消費関数仮説が正しいの
か?
• 1970年代の石油危機や1991年のバブル
の崩壊、1997年から1998年にかけての金
融危機(北海道拓殖銀行、日本長期信用銀
行、山一証券の倒産)には、人々の将来の不
安から急速に貯蓄を増やして、消費を控えた
ので、平均消費性向が下落。
• しかし、90年代は平均消費性向が増加。20
00年以降は再び低下傾向。しかし、この間日
本経済は成長を続けているので、人々の所得
は増加しているので、ケインズの消費関すで
は説明できない。
• 1990年代の比較的安定した平均消費性向
• は、恒常所得仮説で説明できる。
• 90年代は平均消費性向が増加は、ライフサ
イクル仮説で説明できる。これは、日本の急
速は高齢化により、貯蓄を取り崩し始めた、
• 2000年以降の同じ傾向はあるが、失われた
10年を経験して、成長率は低く、かつ少子化
進行によって、将来の年金不安が増大して、
平均消費性向を減少させる。これも、ライフサ
イクル仮説で説明できる。
耐久財
冷蔵庫・家具・自動車などの耐久財の購入は、
消費決定と言うよりも投資決定。
(1)耐久財サービスは何年間にもわたって続く。
(2)利子率の上昇は、耐久財の購入を減少させ
る。
(3)ローンの利用可能性の程度が、購入に影響
する。
(4)将来所得の不確実性が大きな影響を持つ。
耐久消費財のストック調整
消費者が保有する耐久消費財のストックを、
予想所得などとの対比で望ましい水準に調
整することによって、耐久消費財支出の変動
が生じる効果。
家電製品などの普及度が高まると購買意欲
が低下し、その後所得水準が上昇、あるいは
新製品が登場すると、再び消費が活発化す
る。
したがって、耐久財購入の変動幅が毎年毎年
大きなものであったり、所得の変動幅に比べ
て大きなものになると予想される。
問題139の答えは1
問題の答えは3
(1) C1+C2/(1+0.1)=Y1+Y2/(1+0.1)
• C1=C2=C
• C1=C2=220万円
•
(2) 所得と同じ額の消費が行われるので、
C1=120および C2=330