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南極昭和基地大型大気レーダープロジェクト(PANSY)研究集会
2004.12.21
冬期極域成層圏対流圏循環の変動に
おける赤道域QBOの影響の
統計的有意性
内藤 陽子 ・ 余田 成男 (京大・理)
1. Introduction
2. 数値実験編 ― たくさん時間積分して統計解析
- Naito, Taguchi & Yoden (2003) [JAS, 60, 1380— ]
3. 現実大気編 ― 実験で得られた結果を確認
- Naito & Yoden (2005)
4. Summary
[SOLA, submitted]
1. Introduction
成層圏対流圏大気循環の変動が受ける影響
(Yoden et al., 2002; JMSJ )
Equatorial
Extratropical
dynamical variability
Stratospheric
Sudden Warming
(SSW) events
中高緯度へのQBO影響に関する過去の研究
 現実大気データの解析
- Holton & Tan (1980, 1982) ; Labitzke (1982)
- Dunkerton & Baldwin (1991) ; Naito & Hirota (1997)
QBOの位相
西風相(W)
東風相(E)
月平均で見た
強い
冷たい
弱い
暖かい
少ない
(7回 / 26年)
多い
(13回 / 20年)
極渦の状態
大昇温
(大規模な突然昇温)
 数値実験
• 現実大気データの解析結果を支持
- Holton & Austin (1991) ; O’Sullivan & Young (1991)
- Gray et al. (2001, 2003)
- Niwano & Takahashi (1998) ; Hamilton (1998)
2. 数値実験編
Naito, Taguchi and Yoden (2003) [JAS, 60, 1380— ]
 使用したモデル
簡略化した3次元大気循環モデル
 QBO位相を模した強制
du / dt = …… - aQBO ( u - UQBO )
aQBO : 緩和時間係数 ; UQBO : 基本プロファイル
(いずれも赤道域下部成層圏に限るような分布)
 長時間積分
• 10800日 x 9とおり  標本の大きさ
• 境界条件:常に冬の状態、QBO強制も時間変化なし
対流圏 449hPa での
冬極の温度の
頻度分布
W1.0
~1K
Frequency (%)
データ数: 10800日ずつ
E1.0
正規分布に近い
ほとんど重なっている
Temperature (K)
 大標本法による、二つの平均値の差の検定
統計量 Z : NW と NE が十分大きければ標準正規分布
Z=
TW  - TE 
W
2
NW
=

E
2
NE
226.8 - 225.8
2
2
1.87
1.75

10800 10800
= 40.6
[TW] : TW の平均値
[TE] : TE の平均値
W2 : TW の分散
E2 : TE の分散
NW : TW の標本サイズ
NE : TE の標本サイズ
標本を取り出した母集団の平均が等しいという仮説のもとで
Z が 40.6 に達する確率は非常に小さい (< 10-27)
二つの平均値の差は非常に有意
3. 現実大気編
Naito and Yoden (2005)
[SOLA, submitted ]
 解析したデータ
NCEP/NCAR再解析データ 1958-2003年(46年分)
- 12月-1月-2月(北半球の冬)の日々のデータを解析
 QBO位相の定義
赤道東西風データ (courtesy of Dr. Naujokat)
- 40-50hPaの平均値を使って、冬ごとに位相を決定
 西風相(W) 2316日、東風相(E) 1834日
 連続データの独立性 (Laurmann & Gates 1977)
標本サイズ N を N’  N / t0 に置換え
t0 : Effective sampling time (日)
- およそ成層圏で月、対流圏で週のオーダー
Z=
TW  - TE 
W 2
NW

 E2
NE
帯状平均温度の Effective sampling time t0 (日)
灰色: t0 > 300日
30
pressure (hPa)
成層圏
月(数十日)
のオーダー
20
10
latitude
対流圏
週(十数日)
のオーダー
帯状平均温度のコンポジット差 (K)
青色: 西風相(W)のほうが低温
pressure (hPa)
50 hPa
差が最大
~4K
250 hPa
~2K
latitude
帯状平均温度のコンポジット差の統計的有意性 (%)
灰色: t0 > 300日
pressure (hPa)
50 hPa
98.30 %
250 hPa
最も有意
99.9985 %
latitude
冬極の温度の頻度分布: 対流圏 250hPa
西風相(W)
2316日
~2K
東風相(E)
1834日
有意性 99.9985 %
正規分布に近い
ほとんど重なっている
4. Summary
実験と解析の新しい枠組みを提案
• 簡略化した3次元大気循環モデルを用いて、
実験パラメータを変えての長時間積分が可能
• 中高緯度成層圏対流圏循環の変動に対する
赤道域QBOの影響の統計的有意性を
大標本法で検定
この手法の応用
• 他の外的強制の影響もこの手法で調べられる
(例: 太陽活動11年周期変動、火山エアロゾル、
エルニーニョ南方振動、等々)
PANSYへのお願い
• 観測の長期間継続
…… データが長すぎることはない
長ければ長いなりの統計ができる
That’s all.
Thank you for your attention.