卒業論文中間発表 2002年12月26日 - E

水ジェットキャビテーションによる
有機物分解効率の向上に向けた基礎研究
2002年12月26日
工学部 システム創成学科
環境・エネルギーシステムコース4年
中塚 史紀
発表の概要
 本研究の背景
 本研究の目的
 衝撃力の測定
 気泡核数密度の測定
 溶存酸素量の測定
 ビフェニルの分解実験
 今後の課題
本研究の背景
 キャビテーションは流体機器への損傷や機
能低下をもたらすなど、通常は起こってほし
くないものである。
 一方金属加工や材料の改質に利用され、
近年滅菌や有害物質の分解にも応用でき
ないかと研究が進んでいる。
本研究の目的
 水ジェットキャビテーションを有害物質の分解に応
用するにあたり、分解効率にどのようなパラメータ
が影響を与えるのかはわかっていない。
衝撃圧、気泡核数等の計測により各パラメーター
相互の関係を見出し、キャビテーションによる有
機化合物分解の構造を解明する。また分解効率
を向上させる。
衝撃力の測定
 硬球落下法によるキャ
リブレーションを行った
跳ね上がった高さから硬
球がセンサに与えた力積
を求め、センサから出た波
形と比較する
衝撃力の測定
(衝撃力センサ 検量線)
2.5E-04
y = 10.902x
R2 = 0.9664
2.0E-04
N*s
1.5E-04
1.0E-04
5.0E-05
0.0E+00
0.0E+00
5.0E-06
1.0E-05
1.5E-05
V*s
2.0E-05
2.5E-05
衝撃力の測定
(測定結果 小径ノズル 閉鎖型30分回流時)
35
30
25
20
15
10
5
0
-5
-10
-15
0
1
2
3
4
5
time(msec.)
6
7
8
9
10
衝撃力の測定
(ヒストグラム 小径ノズル 閉鎖型)
0.16
0.14
15min.
30min.
60min.
180min.
240min.
0.1
0.08
0.06
0.04
0.02
データ区間(N)
14
次 15
の
級
12
13
10
11
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
0
相対頻度
0.12
衝撃力の測定
(小径ノズル 閉鎖型)
0.14
0.12
相対頻度
0.1
0.08
30min.
240min.
0.06
0.04
0.02
・回流時間が
長くなると
ピークが小衝
撃力側に移
動する
・レイリー分布
0
0
5
10
衝撃圧(N)
15
20
衝撃力の測定
0.18
0.16
0.14
0.12
0.1
0.08
0.06
0.04
0.02
0
15
14
13
12
11
次の級
衝撃圧(N)
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
15min.
30min.
60min.
120min.
240min.
0
相対度数
(ヒストグラム 小径ノズル 自由表面有り)
・回流時間に
よる分布の
変化は見ら
れなかった。
衝撃力の測定
(パワースペクトル 小径ノズル 閉鎖型)
240分回流後
4500Hz付近にピーク
6000Hz
4500Hz
30分回流後
6000Hz付近にピーク
衝撃力の測定
衝撃力(N)
(1ピークあたりの衝撃力平均 小径 閉鎖型)
10
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
0
50
100
150
200
回流時間(min.)
250
300
気泡核数密度の測定
(小径ノズル 閉鎖型・自由表面有り)
数密度(/m^4)
閉鎖型
自由表面有り
1.80E+11
1.60E+11
1.40E+11
1.20E+11
1.00E+11
8.00E+10
6.00E+10
4.00E+10
2.00E+10
0.00E+00
・衝撃力の1
ピークあたり
の平均の経
時変化と同
じ挙動を示
す。
0
60
120
180
回流時間(min.)
240
300
溶存酸素量の計測
溶存酸素量(%)
(小径ノズル 閉鎖型)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
0
60
120
180
回流時間(min)
240
300
ビフェニルの分解実験
ビフェニル
 ベンゼン環が2つ結合したもの。
 ダイオキシン類の一種であるコ
プラナー(平面構造を取れる)
PCBの母核である。
 飽和蒸気圧が8.93×10-3
mmHgである半揮発性物質。
ビフェニル
の構造式
ビフェニルの分解実験
ガスクロマトグラフ検量線
y = 0.0065x
2
R = 0.9981
45
concentration(μM)
40
35
2.5,5,10,20,40
μMの5種類の濃
度の標準溶液を
用いた。
30
25
20
15
10
5
0
0
1000
2000
3000
4000
area
5000
6000
7000
ビフェニルの分解実験
残存率(%)
(小径ノズル 閉鎖型 *掛川氏提供)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
吐き出し圧力
約45MPa
0
60
120
180
240
300
回流時間(m in.)
360
420
480
ビフェニルの分解実験
残存率(%)
(小径ノズル 自由表面有り)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
吐き出し圧
力約26MPa
0
60
120
180
回流時間(m in.)
240
300
ビフェニルの分解実験
残存率(%)
(大径ノズル 閉鎖型)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
吐き出し圧力
約30MPa
0
60
120
180
回流時間(m in.)
240
300
ビフェニルの分解実験
残存率(%)
(大径ノズル 自由表面有り)
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
吐き出し圧力
約22MPa
0
60
120
180
回流時間(m in.)
240
300
ビフェニルの分解実験
考察
 回流開始後60分までの分解率は吐出し圧
力に大きく依存。
 22~26MPa付近に閾値か?
 60分以降急激に分解効率が減少する。これ
は気泡核数の経時変化に関係する可能性
がある。
ビフェニルの分解実験
考察
 小径ノズルを用いた際の閉鎖型、自由表面
有り試験部の分解効率の比較から、水を回
流させると何らかの変化が生じ、分解が起
きにくくなると予想できる。
今後の課題
 分解実験を引き続き行う
・長時間試験
・0.6mm径ノズルでの試験
・キャビテーションを起こさない回流試験
 瞬間の分解率を求める方法を考える
 吐出し圧力に影響を与えない形で気泡核の制御
を行う