e-プリント機関アーカイブのセットアップ

e-プリント機関アーカイブのセットアップ
“Setting up an institutional e-print archive” Ariadne Issue 31 11-April-2002
Stephen Pinfield (ノッティンガム大学図書館)
Mike Gardner (ノッティンガム大学図書館)
John MacColl(エジンバラ大学図書館)
・概要
高等教育機関におけるOAI(Open Archives Initiative)準拠のe-プリントアーカイヴの
セットアップの際に生じる実務上の問題について概観する。
内容は
1.システム的なこと
2.コンテンツの収集に関すること
1.システム的なこと
「e-プリント」とは何か
e-プリント
学術論文の電子的コピー
・プレプリント(審査前の論文)
・ポストプリント(審査後の論文)
e-プリントアーカイブ
オンラインリポジトリ
ウエッブ上でフリーに利用
オープンアクセス
①センター方式の主題アーカイブ
②機関アーカイブ(リポジトリ)
オープン・アーカイブ・イニシアティブ(OAI)とは何か
コンテンツを効果的に発信 → 相互運用性の標準策定 → 普及をはかる世界的な組織・機能
OAI-PMH(オープン・アーカイブ・イニシアティブ メタデータ・ハーベスティング・プロトコル
■プロトコル = 通信するための取り決め
■メタデータ = 論文等データについてのデータ(書誌情報のようなもの)
著者名や表題、発表年月日等のほか、関連キーワードなどを
データ提供者
(データプロバイダ)
アーカイブ
リポジトリ
メタデータ
OAI-PMH
ハーベスタ
OAI-PMH要求を発行する
メタデータを収集
OAI-PMH要求を処理
サービス提供者
(サービスプロバイダ)
検索サービス
ハーベスタ
メタデータ
OAI-PMH
ネットワークを介してデータを一括して取得することを,農作物の収穫になぞらえ,「刈り取る」
(ハーベスティング)と呼ぶ。
刈り取る側のクライアントソフトウェアをハーベスタ,刈り取られる側のサーバをリポジトリと言います
サーバーのセットアップ
■システムの構築(Eprints.orgソフトウエア)
・OAI準拠
・自動的にOAIハーベスタがハーベストできる形でメタデータを生成
・プラットフォーム=インテルPC、Linux、Apacheウエッブサーバ、MySQLデータベース
●インストール
● メタデータ形式の設定(主題階層やファイル形式)
●ユーザインターフェイスのカスタマイズ
■サーバをOAIに登録
・OAIはサービスプロバイダが訪問できるようにOAI準拠のアーカイブリストを維持
・OAIはOAI準拠であるか調査 → 承認 → 公式リスト
■ドキュメント種別と形式
・コレクションポリシー
ポストプリントだけでなくプレプリントも受付? 論文、会議発表論文?
・ファイル形式
Postscript, PDF, テキストファイル、HTML など
■デジタル保存
・プロジェクトOAIS(Open Archival Information System)
長期にわたるサクセス可能性と信頼性、完全性を保証
各論文に永続的URLを割り当てることのできるシステム
■メタデータ標準と品質
大事である(詳細はカット)
利用者参加の奨励
■どういう参加か
1.コンテンツへの貢献
2.コンテンツの利用
コンテンツがないと使わない。使わなければそれに貢献しない。
●最も重要なことは、アーカイブに置くコンテンツを集めること。
初期段階・・・デモバージョンに必要なコンテンツの収集
2段階目・・・有益なサービスを提供するために必要はコンテンツの収集
■短期的には
・本物のコンテンツを使うこと・・・オープンアクセスの出版物
■e-プリント擁護論
・コンテンツを集める鍵
方法1: 教員と学術コミュニケーションの問題について話すこと
学術出版産業における多くの構造的問題に対する1つの回答であること
ただし、教員は「雑誌危機」それ自体にはまったく興味がない。
文献の作成者あるいは読者として、研究者の視点から議論を導くことが重要
■研究者にとって何が利点なのか
・インパクトバリアを低くする。論文の可視性を高める(自由に利用できる)。
・・・多く引用されていることを示す証拠が現れている。
・容易なアクセス
・・・ほとんどの研究者にとってほとんどの研究論文への利用が容易でない。
・迅速な発信
・・・研究成果の発信プロセスの速度を現実に上げることができる。
・OAIの機能性
・・・世界規模の横断検索が可能である。潜在的な利点(?)を利用者に示す。
検索するためには多くの異なる機関サーバにログイン?ではないことを。
・付加価値サービス
・・・論文を書く際に詳細なヒントを提供。研究者のウエッブページリストを作成。
将来的には研究成果の引用分析を提供ができるかも。
■機関にとっては何が利点か
・機関のイメージを高める ・・・ 機関の評判を高める。
優秀な研究者、研究資金を引きつけることに貢献
・研究評価対応 ・・・仕様提出処理に役立つ
・長期的な経費削減 ・・・雑誌購入費の削減
取り組むべき問題
教員や管理者の胸に浮かんできそうな問題
●知的所有権(特に、著作権)
●品質コントロール(特に、ピアレビュー(査読、審査))
●(彼らの!)作業負荷
●「実績ある」出版の現状を損なう(それにより学問上の評価や昇進が停滞する)
セルフアーカイブは「伝統的」な雑誌の補完物であると説明すると良い
■教員への基本的なメッセージは(啓発の方法)
「ピアーレビュー雑誌に論文を投稿することを止める必要はありません。
ただ、同時に、e-プリントアーカイブにもそれをデポジットしてください」
・プロジェクトのウエッブページの作成。開発状況とニュース
・パンフレットの作成。委員会へ提出するのに便利。A4裏表に納める。
・資料の配付。SPARC create changeリーフレット
・大学の広報誌の利用
・部局の会議や大学の各種委員会への出席
・大学職員向けの特別な啓発イベントの開催
各学部において同僚に参加を促すことのできる「推進派」を見つけることが効果的
将来
OAI準拠のe-プリントアーカイブ
↓
・研究文献へのアクセスを改善
・学術コミュニケーションプロセスを向上
↓
・図書館はこの重要な動きにおいてリーダーシップを取るべき