第4回 日本文会計 日商簿記検定3級を中心に 上海市精華外語専修学院 特別講座(全十回) 講師:謝 少敏 2007年1月12日から 毎週金曜日於吴泾总部 第四章 転記と試算 • 転記 • 仕訳帳から総勘定元帳への転記 • 試算表 • 練習問題 転記とは • 転記とは、仕訳によって借方、貸方に分け られた取引を各勘定科目ごとに集計する ことをいう。 転記の手順 • 仕訳で借方にある勘定科目、 貸方にある勘定 科目をそれぞれの勘定口座の同じ側へ、日付、 相手勘定、 金額を書き写す。 相手勘定 • 相手勘定とは、借方、貸方それぞれの反 対側にある勘定科目のことをいう。 転記の例示 • 5/2 現金200,000円を出資し開業した。 1.取引から該当する勘定科目を分類する。 2.仕訳を行い取引を借方、貸方に分ける。 3.転記を行い各勘定科目ごとに集計する。 分類 1.取引から該当する勘定科目を分類する。 現金という資産が増加し、資本金という資本が 増加した。 仕訳 2.仕訳を行い取引を借方、貸方に分ける。 5/2 (借)現 金 200,000 (貸) 資本金 200,000 転記 転記の際の注意点 • 仕訳で借方、貸方にあった勘定科目の金 額はそれぞれの勘定口座の借方、貸方に 記入する。 • 相手勘定が2つ以上あった場合は、相手 勘定を記入するのではなく諸口(しょくち) とする。 諸口の例示 5/3 (借) 現 金 5,000 (貸) 受 取 利 息 3,000 受取手数料 2,000 現金の相手勘定が受取利息、受取手数 料の2つになるが、諸口と書く。 正しくない転記 正しい転記 標準式の総勘定元帳への転記 記入方法の説明 ① 元帳のページ数を記入する。 ② 日付欄には、仕訳帳に記入されている日付を記入する。 ③ 摘要欄には反対側の勘定科目を記入する。この場合は、現金の反 対側の勘定科目を記入する。 相手の勘定科目が2つ以上ある時は、「諸口」と記入する。 ④ 仕丁欄には、仕訳帳のページ数を記入する。 ⑤ 借方欄には仕訳帳の借方の金額を記入し、貸方欄には仕訳帳の 貸方の金額を記入する。 残高式の総勘定元帳への転記 記入方法の説明 ①から⑤までは、標準形式と同じ記入方法になる。 ⑥ 「借/貸」欄は残高式だけに存在する欄で、残高が借方の場合は 「借」、残高が貸方の場合は「貸」となる。 ⑦ 残高欄は借方と貸方の金額の差額を残高として記入する。 残高記入例 10/11 は貸方の金額が1,500円なので、「借/貸」欄は「貸」となる。 10/21 は借方の金額が2,000円なので、 借方の金額 - 貸方の金額 = 借方の残高 2,000 - 1,500 = 500 「借/貸」欄は「借」となる。 10/27 は貸方の金額が200,000円なので、 借方の金額 - 貸方の金額 = 貸方の残高 500 - 200,000 「借/貸」欄は「貸」となる。 = 199,500 試算表 • 試算表の種類 • 試算表の作成例 • 試算表の役割 • 試算表の限界 試算表とは • 試算表とはすべての勘定の金額をひとま とめにして表にし、借方と貸方の金額が一 致する事を確認するためのものである。 • 試算表は、会計期間の期末(決算)に必ず 作成する。 試算表の種類 • 試算表は、金額の集計方法によって合計 試算表、残高試算表、合計残高試算表の 3つの種類がある。 試算表の作成例 • 次の総勘定元帳に基づいて、①合計試算 表、②残高試算表、③合計残高試算表を 作成する。 合計試算表 • 総勘定元帳の借方側と貸方側の合計額を 計算し、合計試算表の借方側・貸方側に それぞれ記入する。 残高試算表 • まず、総勘定元帳の借方側と貸方側の合計額 を計算する。 • そして、借方側と貸方側の合計額を比較し、大き い方の金額から小さい方の金額を引いた残高を 計算する。 • 残高を残高試算表の借方・貸方に記入する。 合計残高試算表 • 合計試算表と残高試算表とを合わせた試 算表で、合計残高試算表の合計欄・残高 欄に勘定科目別の合計と残高を記入する。 試算表の役割(1) • 試算表は、勘定科目別に借方・貸方の合計金額 や残高を一覧表にしたもので、仕訳帳から総勘 定元帳への転記にミスがなかったかをチェックす ることができる。 試算表の役割(2) • 試算表には勘定科目や、借方・貸方の合計、残 高が記入されているので、試算表を見れば勘定 科目ごとの取引の発生状況やその時点での会 社の財産や損益の状況がある程度、把握できる。 試算表の限界(1) • 仕訳では必ず借方と貸方の金額が一致す る。 • 元帳も仕訳帳の金額を書き写したものな ので、すべての勘定の借方と貸方の合計 は一致するはずである。 試算表の限界(2) • 貸借平均の原理を犯さない誤りは、試算 表でも発見できないのである。 • 試算表の借方と貸方の合計額が一致して も、元帳転記が必ずしも正しいとはいえな い。 試算表で発見できない誤り • 借入金勘定の貸方に転記すべきものを、 資本金勘定の貸方に転記した場合 • ある取引について仕訳を忘れた場合 練習問題(1) 次の取引を仕訳し、各勘定口座に転記しなさい。 (1)現金500,000円と備品200,000円を出資して開業した。 (2)商品80,000円を仕入れ、代金は掛けとした。 (3)原価60,000円の商品を70,000円で売り渡し、代金は掛けとした。 (4)商品170,000円を仕入れ、代金のうち100,000円は現金で支払 い、残額は掛けとした。 (5)銀行から300,000円を借り入れ、利息5,000円を差し引かれ、残 額を現金で受け取った。 (6)買掛金50,000円を現金で支払った。 (7)売掛金60,000円を現金で回収した。 練習問題(2-1) • 次のそれぞれの場合について、試算表で見出すことができる誤りに ○を、見出すことができない誤りに☓を、( )のなかに記入してくだ さい。 (1) ( )売掛金勘定の借方に転記すべきものを、買掛金勘定の 借方に転記した場合 (2) ( )現金勘定の借方に転記すべきものを、その勘定の貸方 に転記した場合 練習問題(2-2) (3)( )ある仕訳について、借方・貸方ともまったく転 記を忘れた場合 (4) ( )商品勘定の借方に50,000円と転記すべきも のを、 500,000円と転記した場合 (5) ( )借入金勘定の貸方と仕訳すべきものを、資 本金勘定の貸方と仕訳した場合
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