日本文会計02

第2回
日本文会計
日商簿記検定3級を中心に
上海市精華外語専修学院
特別講座(全十回)
講師:謝 少敏
2007年1月12日から
毎週金曜日於吴泾总部
第二章 取引と勘定
• 簿記上の取引
• 勘定
• 勘定記入のルール
• 財務諸表と勘定
• 帳簿
• 練習問題
取引
• 一般に取引とは、「商品を購入した」、「契
約書にサインをした」、「インターネットで注
文した」といったような事柄を言う。
• 一般に言われる取引と簿記上の取引とは
必ずしもつねに同じではない。
簿記上の取引
• 簿記では、資産・負債・資本に増減を生じ
る事柄を取引という。
• 日常生活では取引になるが簿記上の取引
にはならないものがある。
• 日常生活では取引にならないが簿記上の
取引になるものがある。
簿記上の取引にならないもの
• 契約を結ぶことは、日常生活なら取引とな
るが簿記上の取引にはならない。
• なぜなら、資産・負債・資本のいずれも増
減していないからである。
簿記上の取引になるもの
• 倉庫が火事で燃えてしまったら日常生活で
は取引と言わないが、簿記上の取引にな
るのである。
• なぜなら、倉庫が火事で燃えてしまったと
いうことは、倉庫という資産が減少した事
になるからである。
例題
次の文のうち、簿記上の取引となるものを選びなさい。
(1)商品100,000円を仕入れ、代金は掛けとした。
(2)商品200,000円の注文を受けた。
(3)銀行から、現金150,000円を借り入れた。
(4)建物を、月額80,000円で借りる契約を結んだ。
(5)本月分の給料120,000円を、現金で支払った。
解答
• 簿記上の取引(1)、(3)、(5)
• 説明:
(2)の場合、注文を受けたこの段階では、資産・
負債・資本が増減しない。
(4)も、契約を結んだだけで、家賃を支払ったわ
けではなく、資産・負債・資本が増減しない。
勘定
• 勘定(かんじょう)とは、取引を記録するた
めの集計表のことである。
• 勘定は資産・ 負債・資本・ 収益・ 費用の5
つのグループに分類される。
勘定科目
• 勘定につけられた名称を勘定科目(かんじょうか
もく)という。
• 勘定科目は資産・負債・資本・収益・費用の勘定
グループをさらに細分化したものである。
資産の勘定科目
現金
車両運搬具
小口現金
貸付金
当座預金
手形貸付金
銀行預金
仮払金
売掛金
立替金
売買目的有価証券
未収金
受取手形
前払金
繰越商品
前払費用
備品
未収収益
消耗品
土地
建物
他店商品券
負債の勘定科目
買掛金
支払手形
借入金
未払金
当座借越
預り金
手形借入金
未払費用
前受金
前受収益
仮受金
商品券
資本の勘定科目
資本金
引出金
収益の勘定科目
売上
有価証券利息
商品売買益
有価証券売却益
受取手数料
貸倒引当金戻入
受取利息
固定資産売却益
受取家賃
雑収入
受取配当金
雑益
受取地代
償却債権取立益
費用の勘定科目
仕入
給料
支払手数料
支払利息
支払家賃
消耗品費
通信費
支払保険料
支払地代
水道光熱費
発送費
旅費交通費
減価償却費
広告宣伝費
雑損
修繕費
保管費
手形売却損
有価証券売却損
租税公課
貸倒引当金繰入
雑費
貸倒損失
有価証券評価損
勘定口座
• 勘定科目ごとに、増減を記録・計算するた
めに設けた帳簿上の場所
• 標準式と残高式
• T型勘定(Tフォーム)
標準式
残高式
T型勘定(Tフォーム)
このT型勘定は、標準式を簡略化したもの
で、簿記の学習では、よく使用している。
勘定口座の形式
勘定の左側を借方、勘定の右側を貸方という。
勘定記入のルール
• 資産の増加は左側、減少は右側
• 負債の増加は右側、減少は左側
• 資本の増加は右側、減少は左側
• 費用の発生は左側、減少は右側
• 収益の発生は右側、減少は左側
現金取引の例示
①商品を2,000円で購入した(現 金 の 減 少)
②商品を1,000円売り上げた(現 金 の 増 加)
③銀行から利息を300円受け取った(現 金 の 増
加)
④給料を3,100円支払った(現 金 の 減 少)
⑤手数料を400円受け取った(現 金 の 増 加)
解答(1)
• 取引を勘定の借方と貸方に分類する。
・取引によって現金が増加した場合は、そ
の金額を借方(左側)に記入する。
・取引によって現金が減少した場合は、そ
の金額を貸方(右側)に記入する。
解答(2)
帳簿
• 主要簿(しゅようぼ)
①仕訳帳(しわけちょう)
②総勘定元帳(そうかんじょうもとちょう)
• 補助簿(ほじょぼ)
主要簿
主要簿とは、 仕訳帳と総勘定元帳のこと
をいい、貸借対照表、 損益計算書を作成
するのに必要不可欠な帳簿である。
仕訳帳
• 仕訳帳とは全ての取引を日付順にまとめ
た帳簿のことである。
• 詳しいは第3回で説明する。
総勘定元帳
• 総勘定元帳とは、 全ての取引を勘定科目別に1
冊にまとめた帳簿のことである。
• 全ての取引を各勘定科目別に分解して(現金な
ら現金のみの取引、売掛金なら売掛金のみの
取引)、集計するための帳簿で、勘定科目別の
情報を提供する。
標準式の総勘定元帳
残高式の総勘定元帳
補助簿
• 補助簿とは、 主要簿では不十分な記録を補う
ための帳簿で、企業が必要に応じて使用する。
• 補助簿には、 現金や預金の出入りを記録する
現金出納帳や預金出納帳、仕入を管理する仕
入帳や売上を記入する売上帳などがある。
• どの補助簿を使用するかは、業種によって変わ
る。
記入方法の説明
① 日付欄
・ 日付の項目に取引が行われた日付を記入する。
② 摘要欄(てきようらん)
・ 取引の内容を説明するための小書きを記入する。
③ 収入・支出欄
・ 収入・支出欄には、金額を記入する。
④ 残高欄
・ 残高欄には、収入と支出の差額の金額を記入する。
⑤ 前月繰越が合った場合は、収入欄と残高欄に金額を記入する。
⑥ 次月繰越の場合は、月末の日付を記入し、支出欄に金額を記入す
る。
⑦ 翌月の1日付きで摘要欄に前月繰越と記入する。
記入方法の説明(1)
① 日付欄
・日付の項目に取引が行われた日付を記入する。
② 摘要欄(てきようらん)
・取引の内容を説明するための小書きを記入する。
③ 小切手番号欄
・自分が振り出した小切手番号を記入する。
④ 預入・引出欄には金額を記入する。
⑤ 借/貸 欄
・当座預金の残高がある場合は、借を記入し、当座預金よりも多く引出し
た場合は、貸を記入する。
記入方法の説明(2)
⑥ 残高欄には、預入金額と引出金額の差額を残高金額として記入する。
⑦ 当座預金残高を超える金額の小切手を振り出しているので、当座借越を表
す「貸」を記入する。
⑧ 次月繰越の場合は、月末の日付を記入し、支出欄に金額を記入する。
⑨ 翌月の1日付きで摘要欄に前月繰越と記入する。
練習問題(1)
次の文のうち、簿記上の取引となるものを選びなさい。
(1)商品2,000円を掛けで購入した。
(2)給料3,100円を支払った。
(3)建物を、月額3,000円で借りる契約を結んだ。
(4)商品2,000円の注文を受けた。
(5)商品300円が破損した。
(6)銀行から300,000円を借り入れた。
(7)商品300,000円の保管を倉庫会社に依頼した。
練習問題(2)
解答例に倣って、次の取引の内容を分解して、 ①資産・負債・資
本・収益・費用に、 ②どのような増減があったのかを答えなさい。
(1)現金2,000円を出資し、開業した。
(2)商品2,000円を購入した。
(3)原価2,000円の商品を3,100円で売り渡し、代金は現金で受け
取った。
(4)手数料を400円受け取った。
(5)給料を300円支払った。
解答例
(1)現金2,000円を出資し、開業した。
解:
(借)資産(現金)の増加2,000円
(貸)資本(資本金)の増加2,000円