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天体硬X線偏光検出器PoGOの概要
Tsunefumi Mizuno (Stanford Linear Accelerator Center)
[email protected]
March, 2004
History of Change:
updated on April 12, 2004
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X線での偏光観測(1):意義
•偏光を作るプロセスと天体
•シンクロトロン放射:磁場に垂直な偏光
Isolatedパルサー、超新星残骸、AGNからのジェットなどにおける
磁場の方向
•コンプトン散乱:散乱面に垂直な偏光
ブラックホール連星における降着円盤の向き
•強磁場中の光子の伝播:磁場に垂直な偏光の吸収
連星パルサー(サイクロトロン共鳴)の磁場の方向
•磁場や散乱のからむ現象で、系のジオメトリを決める新しいプローブ。
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X線での偏光観測(2):手段
•偏光ベクトルに垂直方向に散乱されやすい。また90度散乱が最適。
2
d r0 k 2  k0 k
2
2 


  2 sin  cos  
2 
d 2 k0  k k0

Modulation Factor=
0degree
N   N ll
N   N ll
45degree
135degree
90degree
•コンプトン散乱における、この異方性を用いて、2007-8年頃の気球による
偏光観測をめざし、国際協力のもとPoGO (Polarized Gamma-ray
Observer)の開発を進めている。
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硬X線偏光検出器PoGO
•約200本のプラスチックシンチレーター(有効面積 230cm2 for 40-50keV)を並
べ、散乱の異方性から偏光を計る。
•Welcome気球実験やASTRO-E/ASTRO-E II HXDで培われた井戸型フォス
ウィッチのデザインを採用し、徹底した低バックグラウンドを実現。
•大面積、低バックグラウンド化により、一回のフライト(6時間)で十分な感度を
持つ。
plastic
passive/active
scintillator
collimator
side BGO
bottom BGO
PMT
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かにパルサーの観測(simulation)
caustic
P1
ouer gap
P2
かにパルサーからの放射の散乱角分布(P1)
phase=0.342+-0.045 (polar cap model)
phase=1.54+-0.10 (caustic model)
Phase=-0.22+-0.10 (outer gap model)
偏光度
偏光
ベクトル
Flux
polar cap
MF=3.10+-0.65%
Dyks and Rudak, ApJ, 2003
Polar cap Caustic
Outer gap
偏光ベクトルの位相をみることで、パルサー
からの放射機構の区別が可能
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PoGOの諸元
エネルギーバンド
25-100keV
幾何学面積
930cm2
有効面積(for 40-50keV)
230cm2
バックグラウンド(for 40-50keV)
<=10mCrab
100mCrab(100%偏光)に対するModulation Factor
24%
100mCrabに対する偏光感度 (3 sigma)
3%
100mCrabの強度の天体から
の信号
CygX-1のスペクトル
3σ検出限界
(10% polarization)
大気γによるバックグラウンド
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ハードステート
(BH周りの降着円盤
による散乱)
100 keV
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国際協力体制
•米国
•NASA GSFC (PI: John Mitchell)
•全体統括、データ処理、気球、ゴンドラ
•プリンストン大学
•アナログ回路、軌道上データ処理
•SLAC
•シンチレーター(plastic)、シミュレーション、ビーム試験
•日本
•東工大、山形大、JAXA、広島大
•光電子増倍管(PMT)
•スゥエーデン
•Royal Institute of Technology、ストックホルム大
•シンチレーター(BGO)、PMT
•フランス
•Ecolo Polytehnique
2007-8年の気球実験を目指す
•反射材
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Efforts in Hardware Development (1):
プリズム型PMT (a)
プリズム型PMTを用い
ることで、量子効率の
向上が期待される
Scintillation photons
standard
(EG)
prismatic
(EGP)
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Efforts in Hardware Development (1):
プリズム型PMT (b)
55Fe(5.9keV)
プラスチックシン
チレーター
通常型PMT
Npe~3.1 for 5.9keV
BGO
PMT(standard/prism)
約10%の量子効率の向上を確認
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プリズム型PMT
Npe~3.5 for 5.9keV
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Efforts in Hardware Development (2):
波形弁別
主検出部(plastic scintillator;τ~2ns)、
アクティブコリメーター(slow plastic scint. τ~200ns)、
ボトムBGO(τ~300ns)を一つのPMTで読み出す
fast(50ns)/slow(1us)2種類の時定数を
持つshaping ampを用い、両者の波高
の比からfast scintillatorのみのイベン
トを取り出す
Slow scinti Fast scinti
Am
PMT
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experiment was done by
Y. Yamashita
signal from
slow scint.
signal from
fast scint.
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Efforts in Hardware Development(3):
シンチレーターと反射材
done by Y. Sato
Fe55(5.9keV)
テフロンテープ
Cd109(22keV)
VM2000
VM2000を用いることで
15-20%の集光率の増加
が望める。また検出可能
エネルギーの最小値は
(PMTじか付けで)1keV程
度まで下げられる。
Detectable
>~1keV
High Quality
VM2000
Pedestal
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Efforts in Hardware Development (4):
プロトタイプのビーム試験
•様々な議論がシミュレーションに依存
•実験室での偏光観測やビーム試験を通し、装置の性能を確認しシミュ
レーターを評価する必要がある
PoGO: 約200ユニットのfast/slow プラスチックシンチレーターと
bottom BGO、およびside BGOからなる
プロトタイプ: fastプラスチックシンチレーター7本 (主検出部)
beam direction
•2003年11月、米国アルゴンヌ国立
研究所にて実験
•60 keV, 73 keV, 83 keVの3つのエ
ネルギーのシンクロトロンビームを
中心のシンチレーターに照射。
•ビームの偏光ベクトルは水平方
向:装置を15度刻みで回転。
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Data Acquisition System
•中心のシンチレーターと、周り
のシンチレーターのコインシデン
スでトリガを生成 (not good)
•Wave Form Analyzerで波形を
記録
•シンチレーター間のefficiencyに
差
補正のため、ch4トリガで
テンプレートデータをとる。
y
1
3
Ring
scintillators
2
4
6
central scintillator
5
7
x
Beam Direction
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73.2 keV Run
•中心でコンプトン散乱し、周りの
シンチレーターの一つで光電吸
収した事象を選択
全エネルギー (keV)
2 scintillators detected a hit
中心のシンチレーターでのエネルギー (keV)
•プロトタイプで偏光を測定できること
を確認。
•Geant4によるシミュレーションで、
データを、10%程度で再現すること
に成功。
得られた異方性と、Geant4によるシ
ミュレーションの比較
Geant4
ch1
ch2
ch3
ch7
ch6
ch5
Modulation Factor:
~43%(data) vs. 47%(simulation)
Geant4 ver 5.1のG4LowEnergyPolarizedComptonを
使用。EGS4との比較にもとづき、ユーザーによるfix
を行っている。
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Geant4 vs. EGS4
•プラスチックシンチレーターでできた箱に100%偏光したCrabのスペクトルを入射し、
EGS4とGeant4とでModulation Factorを比較。EGS4はNamito et al. (1993)によ
るコンプトン散乱(偏光)の拡張がなされたものを、Geant4はver5.1 with low energy
extensionを使用。
•Geant4が~30%低いMFを返した。深沢さん(@広島大)が独立にEGS4のドキュメント
を元に行った修正をGeant4に施す。
10%程度で両者は一致。
Geant4チームへ報告済み。
(it was ~15% without “fix”)
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60.2/83.5 keV Run
60.2keV
ch1
ch7
Geant4
ch3
ch2
ch6
ch5
Modulation Factor:
~41%(data) vs. 46%(simulation)
83.5 keV
ch7
ch6
Geant4
ch3
ch1
ch2
ch5
Modulation Factor:
~42%(data) vs. 47.5%(simulation)
•残る2つのエネルギーでも、10%程度以内でデータを再現。
•Modulation Factorがエネルギーにほぼよらないことを確認。
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Summary
•硬X線による偏光観測は、パルサーの放射機構や降着円盤のジオメトリなどを調べる新
しいプローブとなる。
•気球による偏光観測を目指し、日本(東工大、山形大、JAXA、広島大)を含む国際協力
でPoGO (Polarized Gamma-ray Observer)の開発を進めている。
•井戸型フォスウィッチカウンターのデザインを採用し、大面積・低バックグラウンド化によ
り、6時間のフライトでCrabパルサーの放射機構の解明ほか、様々な天体の観測が可能。
•シミュレーションと平行して、光電子増倍管、プラスチックシンチレーター、波形弁別など
の基礎実験を行なっている。
•装置の性能実証と、シミュレーションプログラムの評価のためのビーム試験を行ない、プ
ロトタイプで偏光が観測できることを示すとともに、Geant4によるシミュレーションでデー
タを10%で再現することに成功。
•またEGS4との比較に基づき、Geant4の偏光プロセスを修正。Geant4チームへのレポー
トを行った。
•2007-8年の気球実験を目指し、各機関で日夜(?)奮闘中。
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