第3回 日本文会計 日商簿記検定3級を中心に 上海市精華外語専修学院 特別講座(全十回) 講師:謝 少敏 2007年1月12日から 毎週金曜日於吴泾总部 第三章 仕訳 • 仕訳 • 仕訳帳の記入法 • 伝票の記入法 • 仕訳のルール • 練習問題 仕訳 • 仕訳とは取引が発生する度にその取引を借方、 貸方に分けて記録する一連の手続きのことをい う。 • 仕訳により、①どの勘定の借方にいくらの金額 を記入するか、②どの勘定の貸方にいくらの金 額を記入するか、を決める。 例示 5/1 商品を現金1,500円で購入した。 5/25従業員に給料を100,000円を現金 で支払った。 分析( 5/1 ) • 「商品を現金1,500円で購入した。」という ことは商品という資産が増加して、現金と いう資産が減少したことになる。 解答( 5/1 ) • 5/1 (借)商品 1,500 (貸)現金 1,500 分析( 5/25 ) • 「従業員に給料を100,000円を現金で支払っ た。」ということは給料という費用が発生し、現金 という資産が減少したことになる。 解答( 5/25 ) • 5/25 (借)給料 100,000 (貸)現金 100,000 仕訳帳への記入 次の取引を仕訳帳に記入してみよう。 • 10/11 A商店より商品1,500円を購入し現金で支払った。 • 10/21 B商店へ商品3,000円を売り上げ2,000円を現金で受け取 り、1,000円を掛けとした。 • 10/27 従業員に給料200,000円を現金で支払った。 記入方法の説明(1) ① 日付欄: ・日付の項目に取引が行われた日付を記入する。 ② 摘要欄: ・摘要欄に勘定科目を記入するが、いくつかの手順がある。 1) 勘定科目はカッコをつけて記入する。 2) 借方を左揃えに、貸方を右揃えに記入する。 3) 勘定科目は借方を先に記入し、1行下に貸方を記入する。 記入方法の説明(2) ・勘定科目が2つ以上ある場合は、勘定科目の上に諸口と記入す る。 その他に以下の点に注意して下さい。 1) 諸口はカッコをつけない 2) 貸方側が諸口の場合は、借方側の勘定科目と同じ行に諸口 を記入する。 ・勘定科目の下に取引の内容を説明するための小書きを記入する。 記入方法の説明(3) ③ 元丁欄: ・転記を行った際の総勘定元帳のページ数を記入する。 ④ 借方欄: ・借方欄には借方の金額を記入する。 ⑤ 貸方欄 ・貸方欄には貸方の金額を記入する。 伝票 • 学習では、取引は仕訳帳に記入する。 • 実務では、仕訳帳を使用する代わりに、伝 票(でんぴょう) を用いることが多い。 • 取引を伝票に記入することを起票(きひょ う)という。 伝票の種類 • 3伝票制 • 5伝票制 3伝票制 • 3伝票制とは、すべての取引を入金取引、出金 取引、それ以外の取引の3つに分け、それぞれ、 入金取引には入金伝票を、出金取引には出金 伝票を、それ以外の取引には振替伝票の3つの 伝票を用いる方法である。 入金取引 • 入金取引というのは、現金の入金に関す る取引のことで、借方の勘定科目が現金 になる取引のことである。 入金取引例示 • 7月4日 越後商店より売掛金2,000円を現金で 受け取った。 • 仕訳は次のようになる。 (借)現 金 2,000 (貸)売掛金 2,000 入金伝票の起票 入金伝票の場合、借方は現金と決まっているので、 貸方科目だけを伝票に記入すればよいことになる。 出金取引 • 出金取引とは、現金の出金に関する取引 のことで、貸方の勘定科目が現金になる 取引のことである。 出金取引例示 • 7月4日 岐阜商店は、尾張商店から商品3,000 円を仕入れ、代金は現金で支払った。 • 仕訳は次のようになる。 (借)仕 入 3,000 (貸)現 金 3,000 入金伝票の起票 入金伝票の場合、科目欄には取引の借方科目であ る仕入を記入し、現金の勘定科目は記入しないので 注意してください。 振替伝票 • 振替伝票とは、入金・出金取引以外の取引を起 票する伝票である。 • 振替伝票の場合は、借方と貸方の勘定科目が 限定されていないため、借方と貸方、両方の勘 定科目を記入する必要がある。 振替取引の例示 • 7月5日 名古屋商店は、美濃商店から商品4,5 00円を仕入れ、その代金は掛けとした。 • 仕訳は次のようになる。 (借)仕 入 4,500 (貸)買掛金 4,500 振替伝票の起票 借方と貸方の勘定科目が限定されていないので、 借方も貸方も勘定科目を記入する。 一部現金取引 • 取引には、入金取引または出金取引と振 替取引が同時に含まれるものがある。 • 簿記では、こういった取引を一部現金取引 という。 一部現金取引の例示 • 愛知商店に商品4,000円を売上げ、代金のうち 3,000円を現金で受け取り、残りは掛けとした。 • 仕訳は次のようになる。 (借)現 金 売掛金 3,000 (貸)売 1,000 上 4,000 一部現金取引の起票 • 一部現金取引を伝票に起票するやり方には2つ の方法がある。 (1)分解処理 (2)一旦掛け処理 分解処理 • 分解処理とは、入金・出金に関する取引は入 金・出金伝票に起票し、それ以外の取引は、振 替伝票に起票することである。 分解処理の起票 (1) 入金伝票 (借)現 金 3,000 (貸)売 上 3,000 上 1,000 (2) 振替伝票 (借)売掛金 1,000 (貸)売 一旦掛け処理 • 一旦掛け処理とは、 全ての取引を一旦掛け取 引で処理し、現金取引の部分を現金回収または 現金支払いとして処理する。 一旦掛け処理の起票 (1) 振替伝票 (借)売掛金 4,000 (貸)売 上 4,000 (2) 入金伝票 (借)現 金 3,000 (貸)売掛金 3,000 5伝票制 • 5伝票制とは、3伝票制で使用していた 「入金伝票」「出金伝票」「振替伝票」の3 種類の伝票に「売上伝票」と「仕入伝票」を 加えた5種類の伝票を用いる方法である。 売上伝票 • 売上伝票とは、売上取引があった場合に 起票する伝票のことである。 • 売上伝票に起票する時は、売上取引なら ば、いったん掛け売上げとして処理する。 売上取引 • 売上取引とは、商品の売上げに関する取 引である。 売上伝票の例示 • 7月7日 丹波商店は、得意先である常陸 商店に商品5,000円を売上げ、代金のう ち、3,000円を現金で受け取り、残りは掛 けとした。 仕訳 • 通常の仕訳: (借)現 金 売掛金 3,000 (貸)売 上 5,000 2,000 • 売上伝票の仕訳 : (借)売掛金 5,000 (貸)売 上 5,000 (借)現 3,000 (貸)売掛金 3,000 金 売上伝票の起票 入金伝票の起票 仕入伝票 • 仕入伝票とは、仕入取引があった場合に 起票する伝票のことである。 • 仕入伝票に起票する時は、仕入取引なら ば、いったん掛け仕入として処理する。 仕入取引 • 仕入取引とは、商品の仕入に関する取引 である。 仕入伝票の例示 • 7月7日 岐阜商店は、尾張商店から商品 5,000円を仕入れ、代金は現金で支払っ た。 仕訳 • 通常の仕訳: (借)仕 入 5,000 (貸)現 金 5,000 • 仕入伝票の仕訳 : (借)仕 入 5,000 (貸)買掛金 5,000 (借)買掛金 5,000 (貸)現 金 5,000 仕入伝票の起票 出金伝票の起票 5伝票制の特徴 • いったん掛けで処理をする。 • 一部現金取引と同じである。 仕訳のルール 取引の両面性 • 取引には、借方要素の一面と貸方要素の一面 が含まれている。 • 借方の取引要素は各勘定の借方記入事項に基 づいている。 • 貸方の取引要素は各勘定の貸方記入事項に基 づいている。 貸借平均の原理 • 一つの取引はつねに借方要素と貸方要素にそ れぞれ同額で分解され、それに基づいて勘定口 座に記入される。 • このため、すべての勘定口座の借方に記入した 金額の合計と、貸方に記入した金額の合計は、 いつも等しくなる。 • これを貸借平均の原理という。 練習問題 次の取引について、仕訳をしなさい。 (1)現金500,000円と備品200,000円を出資して開業した。 (2)商品80,000円を仕入れ、代金は掛けとした。 (3)原価60,000円の商品を70,000円で売り渡し、代金は掛けとした。 (4)商品170,000円を仕入れ、代金のうち100,000円は現金で支払 い、残額は掛けとした。 (5)銀行から300,000円を借り入れ、利息5,000円を差し引かれ、残 額を現金で受け取った。 (6)買掛金50,000円を現金で支払った。 (7)売掛金60,000円を現金で回収した。
© Copyright 2024 ExpyDoc