Food web structure and biocontrol in a four-trophic level system across a landscape complexity gradient 著者 Vesna Gagic, Teja Tscharntke, Carsten F. Dormann, Bernd Gruber, Anne Wilstermann, and Carsten Thies 雑誌 Proceedings of The Royal Society B 2011 複雑性の異なる景観における 4者系の食物網構造と生物防除 農地における半自然ハビタットの消失、分断、劣化 生物多様性、生態系機能の劣化 捕食者の種数の減少 食物網の変化 害虫被害の増加 http://www.max.hiho.ne.jp/lylle/seibut u2.htmlより 実際はあまりよくわかっていない! 先行研究 天敵が多様だと害虫が抑えられる例 ⇔少ない天敵でも抑えられる例 多様性は影響しない例 動態は少数の種によって決定される例 この研究で注目している系 穀物農地 高次寄生者(寄生者の寄生者) 抑制 寄生者 抑制 アブラムシ 妨害 検証する仮説 ① 景観の単純化は種多様性を減少させるのか? (特に高次の栄養段階で) ② 単純な景観では食物網も単純化するのか? ③ 単純な食物網では寄生率(捕食率)も低いのか? 農地における半自然ハビタットの消失、分断、劣化 生物多様性、生態系機能の劣化 ①捕食者の種数の減少 ②食物網の変化 ③害虫被害の増加 調査地でみられる昆虫の概要 • アブラムシ 優占する種:Sitobion avenae, Metopolophium dirhodum, Rhopalosiphum padi • 寄生者 アブラバチ亜科(Aphidiidae)と ツヤコバチ科(Aphelinidae)の寄生蜂 http://www.ent.iastate. edu/soybeaninsects/n ode/289より アブラムシの体内で成長 皮を残して食いつくし、そのまま蛹(マミー)になる 調査地でみられる昆虫の概要 • 高次寄生者 調査地 • ドイツ中部ニーダーザクセン州 ゲッティンゲン近郊の冬小麦農地18か所 • 農地に半自然ハビタット(林地、休耕地、草 地)がパッチ上に存在 • 景観の複雑さ 調査地の周囲1kmの農地の割合から評価 (42~93%) 調査方法 • 調査時期 2001年7月:アブラムシの産卵時期の後 • 観察項目 シュート100本当たりのアブラムシとマミーの個体 数 マミーを集め、寄生者、高次寄生者の属を分類 食物網のつながり 食物網の解析 • 結合密度(linkage density) 生物種に対する平均結合数 • 安定性(generality) 寄生者当たりの被寄生者の平均数 • 脆弱性(vulnerability) 被寄生者当たりの寄生者の平均数 • 相互作用の多様性(interaction diversity) シャノンの方法 相互作用の数、均一性を評価できる • 寄生率 異なる景観での食物網 複雑な景観を持つ4調査区の平均 単純な景観を持つ4調査区の平均 相互作用の多様性と農地面積 一次寄生者 高次寄生者 寄生率と農地面積 一次寄生者 高次寄生者 食物網と景観の複雑性 (アブラムシ―一次寄生者) 食物網と景観の複雑性 (一次寄生者―高次寄生者) 寄生率と相互作用の多様性 一次寄生者 高次寄生者 寄生率とその他のパラメータ • 一次寄生者 結合密度と負の関係あり • 高次寄生者 結合密度、安定性、脆弱性と正の関係あり 仮説① 景観の単純化は種多様性を減少させるのか? (特に高次の栄養段階で) →種多様性は景観によって変化しない →穀物農地では 生産力と生物多様性の両立が可能 仮説② 単純な景観では食物網も単純化するのか? →一次寄生者:単純な景観で食物網は複雑化 単純な景観で相互作用の多様性が増加 特有の相互作用の数が多いのが主な原因 脆弱性は景観の複雑性により変化しない アブラムシの種組成によって それぞれの種への寄生圧を変化? →高次寄生者:景観の複雑性と食物網の間に 関係なし 一次寄生者の種組成に変化がなかったことが原因? 仮説③ 単純な食物網では寄生率も低いのか? →一次寄生者の寄生率 単純な食物網の複雑な景観で高い Ephedrusが増加 →高次寄生者の寄生率 景観と食物網の複雑性両方と正の関係 Dendrocerusが増加 景観の複雑性からの直接の影響が大きい 結論 • 食物網の複雑性はアブラムシの生物抑制の 指標にならない • 今後は長期の調査も行っていく必要がある
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