介護予防給付の対象者について

改定要介護認定の問題点
介護予防給付の対象者について
〇要支援1
〇要介護1相当のうち、次のものを除いた者
1.「心身の状態が安定していない者」
2.「認知症等により予防給付の利用にかかる適
切な理解が困難な者」
介護保険担当課長会議資料(H17.4)
要介護1
審査・判定プロセス(当初)
〇・・・「要介護1」のうち、状態の改善可能性が
高い者を対象者として選定
介護保険担当課長会議資料(H17.4)
① 脳卒中モデル 急性に生活機能が低下す
るタイプ(脳卒中、骨折など)
② 廃用症候群モデル 徐々に生活機能が低
下するタイプ(骨関節疾患など)
③ 認知症モデル いずれにも属さないタイプ、
環境の変化に対応困難(認知症)
審査・判定プロセス(現在)
〇・・・「要介護1」のうち、状態の維持・改善可
能性が高い者を対象者として選定
介護保険制度改革の概要(H18.3)
(要介護1の場合、状態像を必ず選択)
1.疾病や外傷等により、心身の状態が安定して
いない状態
2.認知機能や思考・感情等の障害により、十分
な説明を行ってもなお介護予防給付の利用
にかかる適切な理解が困難である状態
平成18年介護報酬改定について
〇制度の持続可能性を高め、保険料負担の上
限をできる限り抑制する観点から、全体で
▲0.5%の介護報酬改定を行う。
在宅分 平均▲1%
在宅軽度 平均▲5%
在宅中重度 平均+4%
社会保障審議会介護給付費
分科会(H18.1)
介護予防サービスの基本的な考え方
〇利用者の状態像の特性を踏まえたサービス
提供
〇目標志向型のサービス提供
〇廃用症候群予防・改善の観点から、通所系
サービスを積極的に位置づけることが重要
新予防給付ケアマネジメント従事者研修
(H17.12)
介護予防の観点から積極的な役割が期待
通所系サービスの比較
(介護予防給付)
〇共通的サービス・・・日常生活上の支援
〇選択的サービス ★運動器機能向上加算
★栄養改善加算
★口腔機能向上加算
(介護給付)家族負担軽減の視点から現行維持
〇基本単価・・・日常生活上の支援(入浴加算有)
〇加算 ★個別機能訓練加算ほか
★栄養マネジメント加算
★口腔機能向上加算
区分支給限度額の変更
(改定前)
(改定後)
要介護1 165,800円 要介護1 165,800円
要支援2 104,000円
要支援 61,500円 要支援1 49,700円
•ケアマネジメントは市が行う。
•通所系・訪問介護は定額制(標準回数有)
•「運動器の機能向上」「栄養改善」「口腔機能
の向上」という介護予防メニューは、介護給付
でも可能である。
要支援2の認定に伴う苦情
〇定額制に伴うもの
• 通所系は1事業所のみ算定可能(今までAデイサービスとBデイケアを使っ
ていたのに)
•利用回数の減少(これまでデイサービスを週3回使っていたのに。これまで
ヘルパーに週6回きてもらっていたのに)
•利用者負担が増大する場合がある(これまで月2回デイサービスを利用して
いた。定額制で費用が4倍になるのは納得行かない)
〇利用制限がかかるもの
• 特殊寝台、車椅子の貸与が原則対象外(要支援1,2、要介護1)
• いわゆる介護タクシー
〇その他
• ケアマネジメントは市(地域包括支援センター)が担当(これまでどおり、Cケ
アマネに面倒みてもらいたい)
• 介護の手間上は「要介護1」と「要支援2」は同一(以前より身体が動かない
のに「要支援」とは何事か)
問題点について①
要介護1相当における介護予防給付の対象者
改善可能性の高い「廃用症候群モデル」に
該当する者
「維持・改善可能性の低い、心身の状態が
安定していないもの」を除いた者
「改善可能性が高い」⇒「維持・改善可能性が高
い」へ、対象者の範囲が事実上、広がる。
問題点について②
介護予防サービスの特徴について
利用者の目標に応じて、「運動器機能向上」
「栄養改善」「口腔機能向上」プログラムを通
所系サービスで提供
要介護者にも、同様の加算あり
介護サービスの内容について、介護予防給付
の独自性はほとんど見当たらない(←予防メ
ニューの重視化は、介護給付にも適用された)。
問題点について(まとめ)
本来、「認定」と「給付」は連動している。
当初、認定システムの改定は、介護予防サービ
スの効果が高い群を選別する目的であった。
実際は、区分毎に異なるのは「サービス内容」で
はなく「サービスの量・範囲」である。
「サービスの量・範囲」を決めるなら、その基準
は「介護の手間」とすべきなのに、実際は「状態
の維持・改善可能性」による。
⇒審査判定時の違和感(認定・給付の連動×)
高齢者の機能低下の流れ(イメージ図)
要支援
要介護1
要介護2
要介護4
要介護3
要介護5
■立ち上がり ■起き上がり ■片足での立位
■歩行
要
介
護
度
毎
の
特
徴
的
項
目
■洗身
■金銭の管理
■ズボン等の着脱
■つめ切り
■移動
■日常の意思決定
■洗顔
■整髪
■排尿/排便 ■移乗
■口腔清潔
■食事摂取
■意思の伝達
■嚥下
■記憶・理解
問題点への対応について①
認定方法は法令で規定してあり、全体の動向と
(数値的にも)著しく乖離するのは望ましくない。
(主治医意見書の症状不安定)
積極的な医学的管理を必要とすることが予想さ
れる場合(判定の定義とはやや異なる)
(認定審査会テキスト)かなり厳しい基準
心身の状態が短期間に変動し易いため特定の
要介護状態区分への判定が相当困難で、比較
的短期間(概ね6か月程度)での再評価が必要
問題点への対応について②
認定方法は法令で規定してあり、全体の動向と
(数値的にも)著しく乖離するのは望ましくない。
「要介護2に近い要介護1相当の者」で、サービ
ス利用状況や環境因子(概況)を勘案し、介護
給付を行う必要がある者については、「心身の
状態が不安定な者」の解釈を弾力的に運用する
のはどうか。