第1段落

中級日本語
第9課
吉林華橋外国語学院
日本語学部 製作
第9課 形式段落

第1段落 気候や風土に対する工夫は、大切である

第2段落 北極圏の人々の住まいの工夫

第3段落 南アフリカのある種族が住まいに対する工夫

第4段落 東南アジアの国が住まいに対する工夫

第5段落 気候の面から考えられた工夫

第6段落 材料の面から考えられた工夫

第7段落 鉱物質の材料が多く用いられている理由

第8段落 まとめ
第9課 意味段落
第1段落 気候や風土に対する工夫は大切で
ある
第2段落 寒い地方での住まいの工夫
第3, 4段落
暑い地方での住まいの工夫
第5~7段落
日本での住まいの工夫
第8段落 まとめ
第9課 本文 第1段落

人間の生活は自然と戦いから始まったと
言われている。戦いといっても、初めは、
自然の厳しさからどのように身を守るかと
いうことであった。そのために、人間は住ま
いを作った。気候や風土に対する工夫は、
建築の大切な要素となったのである。
第9課 本文 第2段落

かつて北極圏の人々は、 冬になると、 雪の固
まりを四角に切り、 おわんを伏せたような形に
積み上げて家をこしらえていた。 寒い土地で雪
の家とは不思議に思われるかもしれないが、 雪
は、 木や石よりずっと熱がつたわりにくいものな
のである。雪でできているから、 火をどんどん
燃やすというわけにはいかないが、 わずかな火
でも、 または体温だけでも、 熱が外へ逃げな
ければ、 そのうちに、 部屋の中が暖まるという
わけである。
第9課 本文 第3段落
次に、暑い地方ではどうだったのだろうか。
南アフリカのある種族は、泥を固め、草根を
覆って、家を作っていた。 泥の家は、 太
陽光線を避けるのに都合が良かったから
である。

第9課 本文 第4段落

暑い国でも、 東南アジアのように雨の多
い所では、 泥の家だとたちまち崩れてし
まう。それで、 竹や木を組み合わせて風
通しのいい家を建てた。また、 地面に直
接立てずに地上や水上に支柱を立て、 そ
の上に家を作ることあった。
第9課 本文 第5段落

ところで、 日本の住まいはどうだったのだろうか。
まず、 気候の面から考えてみよう。 日本の冬
は寒いといっても、 せいぜい零下五、 六度程
度だから、 着るものを工夫するするとか、 火を
たくとかによって寒さをある程度防ぐことができる。
ところが、 夏は、 気温が高いうえに、 湿度も
高いため、 大変蒸し暑く感じられる。 そこで、
昔の日本人は、 夏を涼しく、 清潔に過ごせる
ように工夫をした。 昔ながらの日本家屋の取り
外しのできるふすまやしょうじ、 少ない壁、 こ
れらはすべて風を通すため、 役に立つのである。
第9課 本文 第6段落

次に材料の面から考えてみよう。これは、
どの地域でも、 容易に手に入れられるも
のを利用していた。 北極圏の雪、 東南
アジアの竹や木などみなそうである。 日
本も例外ではない。外国の人は、 よく、
日本の家は紙と木ででできていると言うそ
うだが、 昔ながらの日本家屋は確かに大
部分の材料がそうである。 殊に、 柱など
骨組は、 ほとんどが木材である。
第9課 本文 第7段落

しかし、木造の家屋は、土台が腐りやすい、火災を起こし
やすいなどという欠点もある。
地震や台風で倒される恐れもある。そこで、最近では、金
属やセメントなど鉱物質の材料を多く用いている。これは、
日本の工業が発展し、交通も発達して、さまざまな材料
が遠く離れたところからでも楽に入手できるようになった
からである。また、外国の影響を受けて、西洋風の生活
様式を取り入れた結果でもある。もっとも、鉱物質の材料
を家屋には、通風が悪くなりがちで、湿気が多くなるよう
な短所もあり、どちらがいいとは単純には決められない。
第9課 本文 第8段落

長い歴史の間に、 住まいは、 単に自然
から身を守るばかりでなく、 生活を豊かに
するものとなってきた。 今後もいっそう丈
夫で、 合理的な、 楽しいすまいを目標に
工夫が続けられていくことであろう。