コーポレートファイナンス -復習- 四年 春山英亮 初めに n 私たちはこれまで、「コーポレートファイナンス」と いう分野を学習してきました。 n しかし振り返ってみると、自分がこれまで学習し たことが、一体何にどう役立つのかを、忘れてい ました。 n ので、今回は、私達がこれまで学習してきた事を、 企業価値計算について、改めて復習してみまし た。 目次 n コーポレートファイナンスとは n 第一部 ・未上場企業の時価総額算定 n 第二部 ・企業価値の算定 ・DCF法 ・WACC ◆コーポレートファイナンスとは n 定義は・・・・ 企業の視点に立ったファイナンス理論で、企業価 値を高めるための投資行動(投資判断や財務活 動)の意思決定とその投資行動のためにどう やって資金を調達するかの考えかた。 n 長ったらしいので・・・ココでは 【M&Aや資金調達などの効率的な方法論】 と考えて下さい。 ◆いつ必要とされるのか? n どんな企業も、初めは小さな会社からスタートし ます。 n 通常、企業は自己資本で事業を始めますが、や がて、その成長に合わせ、資金を外部から入手 する必要が出てきます。 外部から資金を調達した時から、企業の財務戦略 が始まります。 Ex)→VC(ベンチャーキャピタルなど) ◆いつ必要とされるのか? この段階から、企業財務戦 略が必要になる。 上場 VC 設立 大規模資本を株式市場から入手可能 に。 一方で、敵対的買収への対策や株主 への配当など、より一層の財務戦略 が必要となる。 ◆上場へ n VCを経て、ある程度事業が安定すると、企業は 次のステップである、株式公開(IPO)を目指しま す。 n さて・・・初めて上場する際、大きな問題となるの は・・・ その企業を【いくら】で上場させるのか という点です。 ※上場している企業は、既に市場で値段がついて いる。 未上場企業の株価推移 n 企業の成長に合わせて、株価は高くなるハズ 例) 創業時 出資金 5.000万円 株数 5.000株 株価 1万円 上場時 想定時価総額 X 株数 5.000株 株価 X÷5.000株 設立当初 創業から五年後 ◆想定時価算出 n 主な方法 PERを利用するする方法 • 時価総額=純利益×PER倍率 DCF法を利用する方法 • 後で説明します PER法の場合① n PER・・・price earnings ratio とは 【株価収益率】の事であり PER = 株価 ÷ 一株当たり当期純利益 という計算式で求められる。 n 分かりにくければ PER=時価総額÷当期純利益 と考えて下さい。 n ある純利益10億円を稼ぐA社とB社があります A社 B社 時価総額100億円 時価総額200億円 PER=100÷10=10倍 PER=200÷10=20倍 PER法の場合② n ここでもう一度、PERの公式を見てみましょう。 PER=時価総額÷当期純利益 n これを整理すると・・・以下の式が成立します。 ※時価総額=当期純利益×PER n 未上場企業の想定時価総額算出には、この方 式を利用します。 PER法の場合③ n では・・・未上場企業のPERはどう算出するの? 結論からいえば、「出来ません」 n そこで実務の世界では、同業種のPERを使用す るのが通例のようです。 n 同業種のPERから、ディスカウントレートを30% ほど適用して、想定時価総額を求めます。 第二部 n さて、ココまで、未上場企業の想定時価総額の 算定方法を見てきました。 n 時価総額は、今現在の企業の市場価格に相当し ます。つまり、その企業を手に入れたい場合は、 時価総額分のお金を払えば購入出来ます。 n 一方で、ファイナンスの世界には「企業価値」と呼 ばれる概念が存在します。 n 「企業価値」・・・一体なにが異なるのでしょうか? 企業価値① n 企業価値とは・・・ 企業が持つ事業が、将来、どれだけの現金を生 み出すかを予想し、数値にしたもの。 n 企業価値と株主価値の関係 「企業価値」-債権者価値=「株主価値」 n そして・・・ 「株主価値」÷株数=理論株価 という関係がなりたっている。 それぞれ投資家が 独自に算出。 企業価値② n 分かりのづらいのですが・・・ n 現在、市場でついている株価とは、あらゆる投資 家が、自身の仮説に基づいて算出した企業価値 から求められた「理論価格」の集約だと考えられ るのです。 PERを用いて算出した株価も、「理論株価」にあたる。 ※「理論株価」の計算方法は複数あるが、どの計算が、あ るいは「どの価格」が絶対に正しいとは言えない。 これらは、あくまで可能な限り合理的に算出された目安に すぎない事に注意。 DCF法による企業価値評価 n コーポーレートファイナンスの世界おいて、企業 価値を計算する最も一般的な手法が 「ディスカウントキャッシュフロー法」である。 n 実務では、「M&A」などを行う時の買収価格算 定などに利用されている。 DCF法による企業価値評価① n DCF法を行うのに必要な要素は三つ n 1.将来のキュッシュフロー(営業利益)を予測、現 在価値に割り引く。 n 2.割引率を設定する(不確実性を見積もる) n 3.永続価値を求める 現在価値の割引、永続価値に関しては、前期、授 業で学んだものと同じです。 DCF法による企業価値算出イメージ 1.将来キャッシュフローの予想 ・・・ 1年目 現在 2年目 3年目 2.割引率の算定 FC÷(1+WACC) 10年目 3. 永 続 価 値 DCF法による企業価値評価② n 割引率とは? ・割引率は、投資家サイドが期待する投資利回り (期待リターン)の事。 一方・・・企業サイドから見ると 投資家へ支払わなければならない、「支払金利」に あたるもの。 つまり・・・同じものを逆からみる関 係になっている。 n 一般に、「資本コスト」と呼びます。 n 「資本コスト」は、企業が資金を調達するために かかるコスト(金利や配当)を指します。 n ちょっと整理・・ 有利子 負債 ローンの提供 債権者 金利 事業 出資 株主資本 配当 株主 資本コスト n 企業は通常、 n 「銀行からの借入や債券」と「株式」を使って資金 を外部から調達します。 n 銀行から借り入れには「金利」を支払います。 金利の事を、「有利子負債資本コスト」と呼びます。 n n 株主への配当は 「株主資本コスト」と呼ぶ。 有利子負債資本コスト n 有利子負債資本コストの求め方 有利子負債資本コスト =支払金利×(1-t) となる。 Tは、法人税率にあたる。 ※金利は税務上、損金に計算されるため、金利を 支払った分だけ「節税効果」が生まれます。 よって、借入金利を法人税分、割引きます。 n 節税効果? 分かりづらいので少し補足。 ◆支配金利は、税引き前費用なので、直接企業の 利益を減らします。 n 仮に、支払金利が100で、法人税が40%の場合 100×0.4=40 40の節税効果か生まれます。 n 一方で・・・ ※配当の場合は、税引き後、最終的に残った利益 から「配当」を支払うため、節税効果はない。 株主資本コスト n 株主資本コストの計算 n 株主資本コスト =無リスク金利+β×株主市場リスクプレミアム n 無リスク金利 ※資産運用をする際、安全な資産に投資するか、リスクの高い資産に 投資するかを検討します。 資産運用の方法で、一番安全な資産と考えられるのが「国債」です。 企業と違い、一般に「国」は破たんする危険がないと考えます。 投資家は、リスクを取って運用する以上、最低限、「国債」の利回りを 期待して、投資活動を行っています。 株主資本コスト n β(ベータ) ・対象銘柄の株価の値動きが、市場全体と比べて どれだけ高いか低いを現した値。 ◆βが1よりも大きい時、株価の値動きは大きい。 【リスクが高い】 ◆Βが1より小さい時、株価の値動きは小さい。 【リスクが小さい】 株主資本コスト n 株式市場リスクプレミアム ◆株式市場と国際を比べ、どれだけ高い利回りを、 投資家が期待しているのかを示す。 WACCの計算式 n n これまで計算してきた 「株主資本コスト」と 「有利子負債資本コスト」を 加重平均すると、WACCが算出される。 再・DCF法による企業価値算出イメージ ・・・ 1年目 現在 2年目 3年目 10年目 割引率の算定 FC÷(1+WACC) DCFの活用場面 n このDCF法による企業価値の算出方法は、実務 では「M&A」などを行う時、その買収価格などを 決めるのに使われている。 まとめ n 改めて・・これまで学習してきた分野を見て気づ いたこと。 ・「コーポレートファイナンス」には、多くの計算式や 考え方があるが、 これらは、あくまで可能な限り 合理的に求められた目安でしかない事。 ・それゆえ、計算する人が異なれば、その結果もま た変わってくること。 参考文献 n 企業ファイナンス入門 (ダイヤモンド社) n FX用語集(PHP文庫) n ゼミの教科書
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