ケータイ・コミュニケーションは「閉じて」いるのか 携帯メールと若者の

ケータイ・コミュニケーションは
「閉じて」いるのか
携帯メールと若者のコミュニケーション空間
1
0.問題提起
ケータイと社会性・公共性の喪失?
・武田徹、2002年、『若者はなぜ「繋がり」たがるの
か』PHP研究所.
「番号選択をしてきた結果、予想外の「他者」に出
会う経験を積んできていない彼らは、世間に「他
者」がいることを、そもそもリアルに感じられなく
なっているのではないか。だからこそ自分が電話
をかける相手(=共同体の仲間)のことには気を
遣うが、周囲の乗客の存在は意識のなかに入っ
てこず、平気でケータイに向かって大声で話しは
じめてしまう」

2
0.問題提起

ケータイと社会性・公共性の喪失?
正高信男『ケータイを持ったサル』2003年
・非ケータイ族;携帯電話非所有
・ケータイ続;使用歴3年以上、メル友300人以上
↓
社会的ジレンマ状況:ケータイ族は自己利益を重
視して意思決定するが、結局最終利得は小さい。
3
0.問題提起

「現代の日本人は若者を中心として、過去のよう
な対人関係を営むことが難しくなってきている。こ
のような風潮は、「関係できない症候群」の蔓延
と呼んでも差し支えないだろうと私は考えている。
その背景にあるのは、社会の高度情報化、端的
にIT化にほかならない。それを象徴化するのが
ケータイの流布である。/ケータイを使いだすと、
常に身につけていないとどうも不安な気分に陥っ
てくる。「常につながっていないと気が安まらな
い」という感覚-それは、私たちがコミュニケー
ションの媒体そのものの共有という事実にもとづ
いて、集団としての連帯を確認するようになって
きたことを示唆している。」
4
本報告の論点
① ケータイ疎外論の妥当性検討
←「ケータイは仲間内での繋がりを強化し、
人間社会に必要な社会性・公共性を喪失
させる」
② ケータイ疎外論が生み出される社会学
的意味
←なぜそうしたケータイ疎外論が受け入れ
られるのか?その社会的意味は何か?
5
1. ケータイは「関係できない症
候群」を生み出すのか?
正高の議論への批判
 辻大介「ケータイ・コミュニケーションと公/私の
変容」『放送メディア研究』3号
→正高の調査はかなり偏った被験者を対象とし
たものであり、より一般的なサンプルで検証して
みると、ケータイ使用頻度が高い人ほど、社会的
ジレンマ状況で非公共的(利己的)な振る舞いを
する、とはいえない。

6
1. ケータイは「関係できない症
候群」を生み出すのか?

一般的信頼(general trust)
・一般的信頼の度合いの高い人ほど、社会
的ジレンマ状況において、利他的な行動戦
略をとり、結果的に高い利得を得る。
・より一般的なサンプルにおいて、「携帯
メール高頻度使用者ほど一般的信頼が低
い」といえるか?
⇒NO!
7
1. ケータイは「関係できない症
候群」を生み出すのか?
*2001年全国調査から、15-29歳を取り
出してみると・・・
一般的信頼尺度スコア
×「一週間当たり携帯メール発信数」
×「プライベートでよくやりとりする相手の数」
×「メールアドレス登録数」
⇒ケータイ利用が活発な人ほど一般的信
頼は「むしろ高い」くらい
8
1. ケータイは「関係できない症
候群」を生み出すのか?
「ケータイが「関係できない症候群」を生み出す」
という考え方の背後にある民間メディア論(folk
media theory)
・現代の若者たちはケータイなどによって媒介され
たバーチャルな関係性に耽溺している。
・そのため、友人数は多いかもしれないが、関係の
内実は以前に比べ希薄化し(孤独になっ)ている
・またケータイによる内輪繋がりを求めるあまり、異
質な他者との交流、公共的な事柄へのコミットメ
ントが低下している。

9
1-1.メール送信頻度と友人関係①
民間メディア論の検証
調査A「性差をめぐる意識・価値観、およびコミュニ
ケーション行動にかんするアンケート」
マクロミルのモニター会員20-35歳の1030人の
男女を対象に行ったウェブ調査。2007年3月実
施)。
調査B「社会意識に関する調査」
マクロミルのモニター会員20-44歳の1030人の
男女を対象に行ったウェブ調査。2007年10月実
施。研究協力者辻大介、鈴木謙介。

10
1-1.メール送信頻度と友人関係②
携帯メール使用送信頻度と友人数(調査A)
40
30
人(平均) 20
10
0
高(6通以上)
中(3-5通)
低(2通以下)
友人数
親友数
異性の友
人数
31.3
18.2
13.5
3.3
3.3
2.6
12.8
6.1
4.3
高(6通以上)
中(3-5通)
低(2通以下)
11
1-1.メール送信頻度と友人関係③
7.9
3.1
2.1
3.3
4.2
高頻度(10通以上/一週
間)
低頻度(0-9通/一週間)
会いに行くのに
一時間以上かか
る友人
6.6
会いに行くのに1
時間以内で会え
る友人
9
8
7
6
5
4
3
2
1
0
親しく付き合って
いる近所の人
人(平均)
親しい近所の人・友人数(調査B)
12
1-1.メール送信頻度と友人関係④
友人の数が多い人は、表面的な付き合いしかし
ていない(表面的な人間関係すらも友人と呼ぶ
「友だちのインフレ」が起こっている)のではない
か?」
「A 友だちであっても、プライベート(私的)ことには
深入りしたくない」(プライベート回避派)
「B 友だちとはプライベート(私的)なことも含めて、
密接につきあいたい」(プライベート志向派)
⇒インフレが起こっているなら、回避派の
ほうが友人数が多いはず。

13
1-1.メール送信頻度と友人関係④
平均友人
数
一週間あた
一日あ
り友人
たり友人
への携
への携
帯メール
帯メール
送信数
数
(調査
B)
アドレス
帳登録
友人数
(調査
B)
プライベート回
避派(A)
16.3人
3.6通
12.8通
42.2人
プライベート志
向派(B)
18.4人
4.4通
18.4通
61.1人
14
1-1.メール送信頻度と友人関係⑤


A「友達と意見が食い
違ったときは、納得行
くまで議論する」
(議論志向)
B「友人と意見が食い
違ったら、相手に話を
あわせる」
(同調志向)
(*調査B)
友人への
携帯メー
ル送信数
(一週間)
アドレス
帳登録
友人数
(A)
16.8通
52.3人
(B)
13.0通
46.5人
15
1-1.メール送信頻度と友人関係⑥

<携帯メールをよく使う人=広く浅い人間
関係にコミットする人>という図式は、相対
化しておく必要がある
・「友だちが多い人は、浅い関係を求め
る傾向にある」とはいえない
・メール送信頻度が高い人ほど「浅い」友人
関係を求めるという図式も成り立たない
16
1-2.メール送信頻度と信頼①

想定反論 携帯メールをよく使う人の友人
関係はたしかに「広く浅い」わけではない
かもしれないが、あくまで内輪的な人間関
係に充足しているにすぎず、他者に対して
は開かれていないのではないか?
・ 他者への開かれ具合を「利他性」「利他的行
動戦略」とみる
・ 一般的信頼の度合いは、他者への開かれ具
合を示していると考える
・ 辻(2005)による、正高批判
17
1-2.メール送信頻度と信頼②
一般的信頼尺度(調査A)
「ほとんどの人は基本的に善良で親切である」「私は人を信
頼するほうである」「ほとんどの人は他人を信頼している」と
いう三問について、それぞれ「そう思う」3点、「ややそう思う」
2点、「あまりそう思わない」1点、「そう思わない」0点として、
それらを単純加算したものを一般的信頼の尺度とした(「わ
からない」は欠損値扱い)
一般的信頼尺度スコア×携帯使用頻度層(調査A)
4.7
4.6
4.5
4.4
4.3
4.2
4.1
4
3.9
3.8
3.7
一般的信頼尺度スコア・携帯所有
4.2
4.1
4
3.9
3.8
3.7
3.6
高(6通以上)
中(3-5通)
低(2通以下)
携帯電話所有
携帯電話非所有
18
1-2.メール送信頻度と信頼③



調査Aでは、一日あたり友人への携帯メール送信数と一般的
信頼スコアの間には、正の相関がみられた(性別と年齢を統
制した偏相関も有意な水準に達している)。
ただし、橋元らの2001年全国調査に基づく辻の分析では、一
週間あたりの携帯メール送信数と一般信頼尺度スコアとの間
に有意な相関はみられていないし(15-29歳)、調査Bについて
も有意な相関はみられない 。
少なくとも、「携帯メールをよく送信する人ほど、一般的信頼の
度合いが低い」とはいえない、ということはできる 。
↓
携帯メールの使用が、社会的ジレンマの状況での
利己的(非公共的)行動選択を引き起こすわけでは
ない、ということを示唆
19
1-3.公共心とメール送信頻度①
想定反論 「とはいえ、ケータイをよく使う人たちは
ケータイによる内輪的な繋がりを求めるあまり、
公共的な事柄へのコミットメントが低いのではな
いか」
ボランティア活動志向
「現在参加している」3点、「過去に参加したことが
ある」3点、「参加したことはないが、機会があれ
ば参加してみたい」2点、「参加したことはなく、参
加してみたいとも思わない」1点 →携帯メール
送信頻度と有意な相関
20
1-3.公共心とメール送信頻度②
ボランティア志向
現在参加している
過去に参加したことがあ
る
10通以上(平均2.13点)
0-9通(平均1.9点)
0%
50%
100%
参加したことはないが、機
会があれば参加してみた
い
参加したことはなく、参加
してみたいとも思わない
21
1-3.公共心とメール送信頻度③
「公共心」とメール送信頻度
4
3.5
3
2.5
2
1.5
1
0.5
0
募
金
志
向
地
域
行
事
参
加
譲
る
を
席
投
票
志
向
ゴ
ミ分
別
0-9通
10通以上
22
1-3.公共心とメール送信頻度④


ケータイ高頻度使用者は、私生活志向は
高いかもしれないが、ボランティアに消極
的なわけではない
少なくとも、現時点では、「ケータイをよく使
う人たちはケータイによる内輪的な繋がり
を求めるあまり、公共的な事柄へのコミット
メントが低い」という判断は保留しておいた
ほうがよい
23
2.ケータイ的繋がりはなぜ批判され
るのか?


件の民間メディア
論の妥当性は留保
したほうがよい
しかしなぜ、そうし
た認識図式が受け
入れられる―社会
的な意味を持つ図
式として信憑される
―のか?
① 「内輪概念」の二
重性
② 年齢効果/コー
ホート効果/時代効
果
③ 年長世代の「疎
外」の世代論的な投
射
24
2-1.「内輪」概念の二重性①
ケータイを介したコミュニケーションはしばしば
「内輪」的である、排他的であるといわれる。
 しかしこれはケータイ・コミュニケーション(KC)の
(1)接続様式・形式における「繋がり志向」と、
(2)KCにコミットする人びとの人格類型の「排他性
(内輪性)」
とを混同した議論なのではないか。

25
2-1.「内輪」概念の二重性②
行為の接続様式における内輪性は確認できる。KC
にコミットする人ほど、
「着信がないか一日に何度も携帯電話を確認してし
まう」(着信不安)
「電波の届かないところにいるとなんとなく落ち着か
ない」(接続不安)
「友だちのメールには、すぐに返信するようにしてい
る」 (応答へのせきたて)
 KCにおいては、既知の他者とつながっている(潜在
的に行為接続が可能であること)、既知の他者へと
つながること(行為接続の意志を他者にみせること)
が重要な課題として浮上している。

26
2-1.「内輪」概念の二重性③

そのように行為接続の様式が「内輪的」で
あるからといって、ケータイにコミットする度
合いが高い人ほど、人格特性の水準で
「排他的」「内輪的」な態度・性向・規範意
識をみせる―ケータイを介したコミュニケー
ション空間以外の社会空間で、他者に対し
て閉じた排除的な態度を示す―というわけ
ではない ex.ボランティア志向、席譲り
27
2-1.「内輪」概念の二重性④
外部からの観察可能性
a. 接続様式の内輪性・排他性 ○
b. 人格類型としての内輪性・排他性 ×
↓
aの観察から、bを推論してしまいがち
↓
「ケータイが公共心、社会性をそぐ」
28
2-1.「内輪」概念の二重性⑤

「孤独恐怖」と「孤独」の混同
①孤独恐怖 KCに高いコミットメントをみせる人は、
携帯使用の文脈においてだけではなく、それ以
外の行為状況においても孤独(繋がりの欠如)を
恐れる度合いが大きい。 (調査A,Bでも確認)
②孤独 「携帯メールをよく使う若者は、友達が多く、
友達や恋人とよく会い、孤独感も低い」(中村
2003、調査A,Bでも確認)
29
2-1.「内輪」概念の二重性⑥
繋がりの欠如への恐怖を持っているからといって、
実際に繋がりが欠如している(希薄な関係に置
かれ、孤独を感じている)わけではない
 「食物を必死に欲している人は、実際に食べる物
がないのだろう」と同じような推論をケータイにも
適用。「繋がりを求めている人(孤独を恐れる人)
は、孤独なのだろう」式の推論?
↓
「ケータイで繋がりを求めている若者は孤独なのだ
(希薄な人間関係に置かれているのだ)」

30
2-2. 信頼と年齢/時代/世代効果①
想定反論=ケータイ疎外論
「そうはいっても、若者たちは、友人以外の
他者となかなかコミュニケーションをとろう
としない。そうした友人との関係性への自
己充足を支えているのがケータイではない
のか」
→こうした直感は無根拠か?
31
2-2. 信頼と年齢/時代/世代効果②
一般的信頼尺度スコア平均(調査B)
4.4
4.2
4
3.8
3.6
3.4
3.2
20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳
32
「日本人の情報行動」2005年
一般的信頼尺度スコア
6
6
5
5
4
4
2001年・男
2005年・男
3
2
2
1
1
0
0
10代 20代 30代 40代 50代 60代
2001年・女
2005年・女
3
10代 20代 30代 40代 50代 60代
33
第4回情報化社会と青少年に関する意識調査(2001年)
「ほとんどの人は信頼できる 」
70
60
50
40
30
20
10
0
そう思う(計)
0歳
2
3~
3
2歳
1
8~
2
7歳
1
5~
1
1
2~
1
4歳
そう思わない
(計)
34
2-2. 信頼と年齢/時代/世代効果③
a.「最近の若者はあまり他者を信頼していな
い」、
b.「若者のほうが頻繁に携帯メールを使って
いる」、
c.ゆえに、「ケータイは若者の利己的な内輪
主義と関連している」
⇒ケータイ世代は他者を信頼しない?
35
2-2. 信頼と年齢/時代/世代効果④

年齢効果か、世代効果か
年齢効果による説明
「どんな世代でも若いうちは一般的信頼の
度合いが低く、またケータイの使用頻度が
高いのであって、加齢するにつれ、一般的
信頼は高く、ケータイ使用頻度は低くなっ
ていく 」
36
2-2. 信頼と年齢/時代/世代効果⑤


「ケータイ世代論」:「ケータイ世代は(ケー
タイにはまっているがゆえに)他者を信用
しない」⇒検討きわめて困難。
「信頼低下世代論」:「最近の若者は(昔の
若者に比べて)他者を信頼しなくなった」
→経年的なデータが少なく、検討は困難。
だが、一部、それを支持するデータも。
37
「日本人の情報行動」2005年
一般的信頼尺度スコア
6
6
5
5
4
4
2001年・男
2005年・男
3
2
2
1
1
0
0
10代 20代 30代 40代 50代 60代
2001年・女
2005年・女
3
10代 20代 30代 40代 50代 60代
38
「日本人の国民性調査」
統計数理研究所
80
70
60
50
40
30
20
10
0
信頼できると思
う
年
03
20
年
98
19
年
93
19
年
83
19
年
用心するにこし
たことはないと
思う
78
19
%
たいていの人は・・・
39
2-2. 信頼と年齢/時代/世代効果⑥
「信頼低下世代論」
・全世代的において信頼低下が観察される
場合→世代効果というよりは、時代効果
・世代論を貫徹するには、時代効果を統制し
たうえで、「若い出生コーホートにおける信
頼低下が顕著」といえなくてはならない。
・それを判断する材料がない。ペンディング
にせざるをえない。

40
2-2. 信頼と年齢/時代/世代効果⑦


いずれの場合でも、「年齢効果」による解釈は棄
却されるわけではない。たとえば・・・
若いうちは、必ずしも信頼を必要としないようなコ
ミュニケーションが一般的である―「他者を信頼
する/しない」ということに焦点を置いたコミュニ
ケーション状況において、信頼するという行為選
択によって対応する機会が少なくて済む―ため
に、一般的信頼尺度のスコアが低く出てもおかし
くはない。
41
2-2. 信頼と年齢/時代/世代効果⑧


そして、自由に使える時間が比較的多いた
め、特に用件のない(既知の友人との)自
己目的的なケータイ使用が多くなり、ケー
タイ使用頻度が多くなる。
これは単純に、ライフコース上の社会的地
位が相対的に低く、私的なコミュニケーショ
ンに比較的多くの時間をさくことのできる若
年層にみられる傾向であって、特定世代の
特質ではない、といえる可能性がある。
42
2-2. 信頼と年齢/時代/世代効果⑨


若者の信頼の低さを、メディア世代論(ケータイ
やインターネットに原因を求める世代論)にもっ
ぱら還元して解釈する(メディア世代還元主義)
のは、いささか性急にすぎる、とはいえるだろう。
そうしたケータイ世代論は、若者の低信頼、ケー
タイ使用様態を経験的に観察している年長世代
には、納得可能性の高い説明図式として受容さ
れやすい。ケータイ世代論とは、全世代的な(時
代的な)低信頼化状況において、社会的状況の
解釈の複雑さを縮減してくれる、認識フレームと
して機能しているのかもしれない
43
2-3. 「人間関係の形式化」の因果
投射?
2006年月『読売新聞』世論調査
・「人間関係が希薄になりつつあると思うか 」
「そう思う」80%(00年調査より7%↑)
・20代では、14%増え73%に。それ以外の
年代はいずれも2~7%の増加。
⇒人間関係が希薄化している・という観察
の増加

44
2-3.人間関係の「形式化」?①
その(希薄化の)理由では、「人と接するのをわず
らわしいと思う人が増えた」49%がもっとも多
く・・・――などの順だった。一方、友人や知人との
コミュニケーションで携帯電話のメールを使う人
は計46%。年代別では20歳代で、93%、30歳
代で81%に達した。携帯電話のメールが人間関
係に及ぼす影響では、「誤解が多くなる」34%、
「人間関係が表面的になる」29%、「感情や思い
を面と向かって伝えられなくなる」25%など、マイ
ナス面が上位だった。『読売新聞』2006.6.12
45
2-3.人間関係の「形式化」?②
NHK放送文化研究所「日本人の意識」調査
近隣・職場・親戚について・・・
①全面的関係「何かにつけ相談したり、助け
合えるようなつきあい」
②形式的関係「挨拶する」「一応の礼儀を尽
くす」「仕事に直接関係する範囲のつきあ
い」
③部分的関係 「気軽に行き来できる」「仕事
後も話し合ったり遊んだりする」
46
2-3.人間関係の「形式化」?③
形式的つきあい(職場)
40.0
35.0
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
1973
1978
1983
1988
1993
1998
2003
1(16~19歳)
2(20~24歳)
3(25~29歳)
4(30~34歳)
5(35~39歳)
6(40~44歳)
7(45~49歳)
8(50~54歳)
9(55~59歳)
A(60~64歳)
B(65~69歳)
C(70~74歳)
D(75~ 歳)
47
C(70~74歳)
D(75~ 歳)
A(60~64歳)
B(65~69歳)
8(50~54歳)
9(55~59歳)
7(45~49歳)
5(35~39歳)
6(40~44歳)
3(25~29歳)
4(30~34歳)
1(16~19歳)
2(20~24歳)
2-3.人間関係の「形式化」?④
形式的つきあい(職場)
40.0
35.0
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
1973
2003
48
2-3.人間関係の「形式化」?⑤
団塊世代付近(1949-63年生まれ)
職場・形式的
親戚・形式的
近隣・形式的
20
-2
4歳
25
-2
9歳
30
-3
4歳
35
-3
9歳
40
-4
4歳
45
-4
9歳
50
-5
4歳
40.0
35.0
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
49
人間関係の「形式化」?⑥
「若い頃よりも(自分は)ドライになった」と
いう自分自身の体験
→「昔よりも、若い人がドライになっている」
への読み替え?
<自分の若い頃と現在との差の観察>が
<世の中(職場)一般の昔と今>の差異とし
て捉えられ、<昔と今>の差異をもたらし
た要因として、新しい世代・若者が見出さ
れる (→若者の人間関係希薄化論)

50
2-3.人間関係の「形式化」?⑦
充実感を感じるとき(05年男性)
70
60
50
40
30
20
10
0
オ)家族団らんの時
エ)ゆったりと休養している時
2
2
~
0
歳
9
3
3
~
0
歳
9
4
4
~
0
歳
9
5
~
0
5
歳
9
6
6
~
0
歳
9
7
歳
0
上
以
7
7
~
0
歳
9
8
歳
0
上
以
カ)友人や知人と会合,雑談し
ている時
ウ)趣味やスポーツに熱中し
ている時
ア)仕事にうちこんでいる時
51
2-3.人間関係の「形式化」?⑧
充実感を感じるとき(25-29歳)
70
60
50
40
30
20
10
0
仕事にうちこんでい
る時
家族団らんの時
年
08
年
04
年
99
年
94
年
89
年
84
年
79
75
年
友人や知人と会
合,雑談している時
内閣府「国民生活に関する世論調査」より作成
52
2-3.人間関係の「形式化」?⑨
団塊世代付近(1949-63年生まれ)
職場・形式的
親戚・形式的
近隣・形式的
20
-2
4歳
25
-2
9歳
30
-3
4歳
35
-3
9歳
40
-4
4歳
45
-4
9歳
50
-5
4歳
40.0
35.0
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
53
2-3.人間関係の「形式化」?⑩
年長者の職場におけるある種の「疎外」状
況、「人間関係の希薄化」
 「昔(若い頃)と違う・・・」→「「昔」との差異
を生み出す要因=若者」→「若者が昔と違
う」→「人間関係が希薄化したのは若者の
せい」?
⇒人間関係「形式化」の世代論的な因果投
射?+民間メディア論

54
2-3.人間関係の「形式化」?⑪
25-29歳
50-55歳
0.0
40.0
35.0
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
0.0
19
73
年
19
78
年
19
83
年
19
88
年
19
93
年
19
98
年
20
03
年
19
73
年
19
78
年
19
83
年
19
88
年
19
93
年
19
98
年
20
03
年
30.0
25.0
20.0
15.0
10.0
5.0
近隣・形式的
(25-29)
職場・形式的
(25-29)
親戚・形式的
(25-29)
近隣・形式的
(50-55歳)
職場・形式的
(50-55歳)
親戚・形式的
(50-55歳)
55
2-3.人間関係の「形式化」?⑫
若者もまた「希薄化論」の再生産にコミット
している。 ・読売調査
 「地域コミュニティから」への疎外?
 90年代初め頃からの昭和30年代ブーム
・「共同幻想」維持のためのスケープゴート
としての若者
・「共同幻想」再生産にコミットする当事者と
しての若者

56
57
58
59
充実感を感じるとき(05年男女)
9
0~ 歳
3
9
4
0~ 歳
4
9
5
0~ 歳
5
9
6
0~ 歳
6
7 9歳
0歳
7 以上
0~
7
8 9歳
0歳
以
上
オ)家族団らんの時
エ)ゆったりと休養してい
る時
カ)友人や知人と会合,
雑談している時
ウ)趣味やスポーツに熱
中している時
ア)仕事にうちこんでい
る時
3
2
0~
2
%
70
60
50
40
30
20
10
0
60