脱水・ 循環血液量低下 Hypovolemiaの定義 Volume depletion 細胞外液量の低下(出血・嘔吐・下痢など) BUN/Cr比が高くなる。 Dehydration 細胞内液量の低下 細胞内脱水を及ぼし、血清Na、血清浸透圧 が増加する。 Hypovolemia Volume depletion、dehydrationどちらも示す 脱水の理学所見 Tiltテスト Skin turgor Capillary refill time 口腔粘膜の乾燥 (dry mucous membrane) 腋窩の乾燥 (dry axillae) 眼の落ちくぼみ (Sunken eye) 舌の乾燥 舌溝の明瞭化 (longitudinal tougue furrows) Tilt テストの方法 ① 仰臥位で少なくとも2分間安静 ② 血圧・心拍数測定 ③ 立位で1分間安静 立位1~2分で下肢に7~8ml/kgの 血液がシフトする。 立位のほうが坐位より感度が高い。 ④ 血圧・心拍数測定 ※tilt table testではtilt tableを使用して 自律神経障害が疑われる症例で行うことが多い。 Tilt テストの判定 ①立位で30/分以上の心拍数増加 約630ml以上の血液喪失(感度97%特異度96%) ②立位でdizzinessなどの症状陽性 ①②は非常に有用な所見である。 ③立位低血圧(収縮期血圧20mmHg以上の低下) 450~630mlの血液喪失である感度は9%(≦65歳)、27%(≧65歳)。 正常成人で10% (≦65歳)、 11~30% (≧65歳)に見られる所見。 ④仰臥位での頻脈(HR>100/分) 感度0%、特異度96% 大量出血時に徐脈になるので注意 ⑤仰臥位での低血圧(sBP<95mmHg) 450~630mlの血液喪失 感度13% 630ml以上の血液喪失 感度33% 特異度97% ③④⑤はあまり診断的価値がない。 Tilt テストの結果 陽性所見の意味するものは • 循環血液量低下 (大量出血、下痢、嘔吐など) • • 心原性(拍出量低下) 自律神経障害 (糖尿病、起立性低血圧、長期のベッド臥床など) • 降圧薬使用 脱水の理学所見 Skin turgorの低下 皮膚をつまんで元に戻るまでの時間で、弾力性低下を見る。 40秒の遅延は約3.4%の体液量の低下を示す 小児でのみ有効な所見。 (高齢者では、皮膚の弾力性が失われており評価難) Capillary refill time 爪床5秒間圧迫し、色が元に戻るまでの時間を見る Normal time 450mlの血液喪失 2秒間 3秒間 小児、成人男性 成人女性 4秒間 高齢者 感度6% 特異度93% LR+ 1.0 Poor skin turgor、capillary refill ともに成人では 診断的価値に乏しい理学所見である。 脱水の理学所見 感度 85% 口腔粘膜の乾燥所見 (dry mucous membrane) 腋窩の乾燥所見 50% (dry axillae) Sunken eye 62% 舌の乾燥所見 59% 舌溝の明瞭化 85% (longitudinal tougue furrows) 特異度 58% LR+ 2.0 LR0.3 82% 2.8 0.6 82% 73% 58% 3.4 2.1 2.0 0.5 0.6 0.3 以上の所見を組み合わせて考えていく。 Is This Patient Hypovolemic? JAMA 1999;281:1022-1029 Physical Diagnosis Secrets 3-5 どのくらいの貧血で輸血が必要か? OCH的には 普通の人でHct20%以下で 心機能低下症例ではHct30%以下で 輸血施行を考慮する。 と一般的には口承されてきた。 どのくらいの貧血で輸血が必要か? 心機能低下例を除いて、Hb7g/dl以下の輸血と10g/dl以下の 場合とでは、30日間の死亡率に有意差はなかった。 但し、APACHE≦20、55歳未満ではHb7g/dlの場合で 死亡率が有意に低かった。 RCTではあるが、除外例が多いのが注意 a multicenter,RCT of transfusion requirements in critical care NEJM 1999;340:409-417 心機能低下例(心臓手術症例)では、 術前Hb10g/dl以下と10g/dl以上の30日間の死亡率 それぞれ、15%、1.6%。 Effect of anemia and cardiovascular disease on surgical mortality and morbidity Lancet 1996;348:1055-60
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