わが国の社会福祉現場における 人材確保の動向と今後の展望

わが国の社会福祉現場における
人材確保の動向と今後の展望
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人材難の実態と解決に向けて
社会福祉法人 吹田みどり福祉会
理事長
菊 池 繁 信
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はじめに
 わが国の社会を覆う人不足
 格差社会が問題にされている
 地域格差、所得格差、職種による格差等
 生活意識の変化も無視できない
 介護労働の現場は景気回復とともに人手
不足が深刻化
 介護サービスを社会的に担保するには?
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1、福祉分野での深刻な人材難
 福祉分野での人材不足が深刻化
 特に介護分野での現象が顕著
 近い将来児童や障害分野にも影響か?
 その原因は、
①少子高齢化社会の進行
②景気回復
③従業者の意識の変化と労働条件
 事業が成り立たない状況も
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2、わが国の少子高齢化の実態
 少子化の要因
①未婚率の上昇
②夫婦の理想の子ども数と出生次数の開き
 少子化の要因の背景
 高齢化の現状と推移
 高齢化の要因
 高齢化の影響
 社会的労働力の低下
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3、介護労働者の質量両面の不足
 介護労働者の数量面での不足
①不足の要因(少子高齢化、景気回復、従業者意識の変化等)
②介護報酬抑制に伴う経営上の問題
 介護労働者の質的面での不足
①介護保険導入時に人的需要が急増
②介護報酬抑制に伴う経営上の問題
 今後さらに状況が悪化する可能性
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4、介護従業者の意識調査結果
 介護労働安定センターによる調査
現在の仕事の満足度「賃金(21.1%)」「福利厚生(22.4%)」
「労働時間、休日等の労働条件(27.1%)」「教育訓練、能力
開発のあり方(18.9%)」と低い数値となっている
 大阪府社会福祉協議会による調査
賃金に7割が不満、職場への所属感を感じないが6割、
現在の職場で働き続ける要件としては「職場の人間関係
をよくする」「専門的能力を高めることが出来る」が9割
 賃金等の労働条件の改善は共通の課題
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5、労働環境・労働条件に問題
 給与水準の問題
 勤務時間や休日等の労働条件の問題
 休暇の取得保障の問題
 職場への所属意識の問題
 本人の資質向上の機会を保障する
 職場の人間関係の問題
 介護職員の数の不足
等
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6、介護職員の給与実態
 「賃金満足度(21.1%)」「賃金に7割が不満」
 一般企業の新規学卒者の初任給
初任給水準(全産業1~2)、産業別初任給(大卒事務系)
規模別初任給(全産業)の各図表を参照
 大阪における介護事業関係職員の初任給
職種別初任給(図表)参照
 常勤職員の職種別平均年俸(S-BASTによる)
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7、介護労働者のストレス
 3K職場「きつい」「汚い」「危険」
 介護従業者がストレスを強く感じる事柄
①夜勤時に何かが起こるのではないかと不安がある
②仕事の内容のわりに賃金が低い
③休憩時間がとりにくい
④介護従事者が不足している
⑤入居者がいつ問題行動を起こすかと不安がある
 介護労働者の仕事に対する達成感や喜び
 雇用管理面での取り組みと就業継続意向
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8、制度による課題
制度そのものが抱える問題
制度の運用による問題
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9、制度と制度を支える国民負担
 わが国の国民負担率
 介護報酬と国民負担の関係
 高福祉高負担か?低福祉低負担か?
国民の選択が迫られている
 わが国の財政状況(国債残高等)
 公による制度ビジネスの限界
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10、今後の展望と解決策
 今後の展望
①介護労働者は今後40~60万人必要
②少子高齢化はさらに進む
③国家財政危機の改善の見込みは期待薄
④公による制度ビジネスの限界
 解決策
①労働力人口の補填(例、外国人労働者等)
②介護報酬単価の見直し
③国民の合意に基づく負担の見直し
④労働環境、労働条件の改善を図る
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おわりに
 介護、福祉労働力を確保するには歴史的な課
題が未解決
 高齢者介護の職場での様々な問題も考慮して
考える必要がある
 国民の意識の変化に対する対応の遅れ
 制度と制度運用のあり方も検討すべき
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