19,省エネ型空気浄化技術開発プロジェクト

省エネ型空気浄化技術開発プロジェクト
19
A Project for Developments of Energy-saving Air
Cleaning Technology
半田 美沙子 (Handa Misako),大平 泰生 (Ohira Yasuo)
関口 和彦 (Sekiguchi Kazuhiko)
株式会社テクノ菱和,工学院大学,国立保健医療科学院,三菱電機株式会社
By instituting “Revised Air Pollution Control Act”, printing offices, paint shops, and some of places where
emit volatile organic compounds (VOCs) are needed to regulate their VOCs emission by themselves.
Present condition of counter measure which reduces solvent use and simple treatment act by adsorption
has poor efficacy because of problems such as working hours and secondary treatment in small and
medium sized enterprises. In addition, innovative unit of recovery and disassembly of VOCs has
difficulties with the aspect of high capacity investment and running cost. In this project, we aimed at
development of energy-saving air cleaning technology combining micro-bubble and ultrasonic mist with
photocatalyzed reaction. In the experiment, we use water so that the low running cost and ecologically
friendly cleaning technology can be achieved.
In this project, graduate students and related company cooperated together in order to develop a
practicable unit, and thereby we step up the measurement, analysis and obtain skills to make the best
use of inventiveness from several aspects.
「改正大気汚染防止法」の制定により、印刷、塗装などの揮発性有機化合物(VOC)ガスを
取り扱う工場や事業所では、VOCガスの排出削減に向けた自主規制の必要性に迫られてい
る。中小事業所における対策の現状としては、溶媒の使用量の削減、吸着などによる簡易処
理を行っているが、作業時間や吸着材の二次処理の問題等があり、有効な対策とは言えな
い。また、VOC回収・分解装置は高い設備投資やランニングコストの面から導入は困難と言
える。そこで本プロジェクトでは、マイクロバブルや超音波霧と光触媒反応を組み合わせた省
エネ型空気浄化技術の開発を目的とする。実験には水を用いるため、ランニングコストが安く、
環境にも配慮した浄化技術であると言える。
本プロジェクトでは、大学院生を中心とした評価実験を実践するだけでなく、共同で実施す
る実用化に向けた装置開発を進めることで、測定、分析技術を習得し、多角的な視点から創
意工夫する能力を身につけることを目的とする。
UVとMB(マイクロバブル)を用いた処理装置
A:容量40 Lの水槽。高速旋回方
前回の報告では、以下の2点の影響から、除去
率の向上がみられた。
①ランプの波長を低波長に変えることにより、
OHラジカルの生成量が増加した。
②ランプの出力を増加させることで単位面積当
たりの光量が増加したため、光触媒反応が活
性化した。
今回は、株式会社テクノ菱和と共同で作成した
新実験系(Fig.1)を用い、マイクロバブル(MB)発
生装置の性能評価と反応槽(Fig.1のB)の性能評
価を行った結果をそれぞれ報告する。
また、加圧溶解式について導入するトルエンガ
スの流量を変えて実験を行ったところ、流量が増
えるにつれて除去率が低下することがわかる。
今後の課題
Fig. 1. Schematic diagram of the new experimental setup.
新実験系の概要図
.
100
removal ratio (%)
Fig. 2より、同流量のトルエンガスをMBとして導入
した場合、加圧溶解式に比べ高速旋回方式の方
が除去率の低下がやや抑えられた結果が得られ
た。
MB発生装置それぞれの原理により、微々
たるものではあるが除去率に差が生じた
式MB発生装置を用いてモデ
ルVOCガスを導入する。
B:反応槽を擁する部分。UVラ
ンプと光触媒担持不織布が設
置いる。
C:加圧溶解式MB発生装置。
Aの水槽から送られた水に
MBを含ませて送り返す役割
を持っている。
Table 1. Experiment conditions and removal
ratio of the benzaldehyde
80
実験条件とベンズアルデヒドの除去率
60
循環流速
(L/min)
40
O3導入
旋回式(0.2L/min)
・光触媒担持不織布の性能向上。担持量の増加、不
織布形状の検討。
無し
0
0
1
2
Time (h)
有り(50
ppm,0.2 L/min)
光触媒担持不 有り(450 cm2、平均担
時量:6.0 g/m2)
織布
加圧式(0.5 L/min)
加圧式(1 L/min)
・高出力のランプを使用する。
・導入O3濃度を上げ、水中のO3溶解量を増やす。
5.0
加圧式(0.2 L/min)
20
・UV光の透過距離を考慮して、全ての循環水がラン
プの近傍を通過するように反応槽の流路を狭める。
2.0
3
4
Fig. 2. Time dependence of toluene removal
ratio at the different generators and
gas flow rate.
MB発生装置と流量の違いによる
トルエンの除去率への影響
除去率(%)
15.6
13.4
16.5
無し
-30.7
全ての実験において、期待する効果的な除
去性能を引き出すことができず、反応槽につ
いては多くの改良が必要と考えられる。
UVとUS(超音波)を用いた処理装置
今回は、接触効率の確認実験として、過酸化水素濃度におけるミストの個数濃度の影響確認と流量
を変化させたときの過酸化水素の濃度変化について報告する。
ミストの個数濃度は、過酸化水素の濃度を、0、50、100、500 mg/Lと変化させたが、すべて差異が
ない結果を得た。期待する結果が得られなかったため、再度測定方法の検討・見直しを行う予定であ
る。
100
H2O2 concentration [ppm] .
前回の報告では、過酸化水素濃度を0 ~ 1000 mg/Lと変化させ、トルエンの分解実験を行ったが、濃
度をあげても除去率向上しない事から、トルエンガスと過酸化水素含有ミストの接触効率に除去率が
影響していると考えた。そのため、流量を変化させて実験を行った。その結果、流量を少なくすると、装
置内でのトルエンガスの滞留時間が増えるため、過酸化水素含有ミストとの反応が促進され、高い除
去率を得ることができた。
◆1.5 L/min
◆1.0 L/min
◆0.6 L/min
80
60
40
20
0
0
流量を変化させたときの、過酸化水素の濃度変化をFig.3に示す。傾きがほとんど同じであることが
見て取れる。そのため、流量は接触効率のみを向上させること、また、過酸化水素の消費速度は流量
に依存しないことが確認できた。
①過酸化水素含有ミストの個数濃度の測定の工夫②トルエンの無機化率の確認
今後の課題
③中間生成物の確認④除去を向上させるため、オゾンまたは触媒等を入れてみる
⑤オゾンの導入の仕方の検討
50
100
time [min]
150
200
Fig. 3. The change of H2O2concentrations
at the different gas flow rate.
異なるガス流量における過酸化水素の濃度
変化