財団法人 日本医療機能評価機構 『第3回EBM研究フォーラム』 2004.10.16 エビデンス基づいた 急性膵炎の診療ガイドライン ー 作成、出版、展望 ー 急性膵炎の診療ガイドライン作成出版委員 日本腹部救急医学会ガイドライン作成委員会委員 帝京大学医学部外科 吉田 雅博 本編:2003年7月発刊:7,000部 ダイジェスト版:2004年1月発刊 本ガイドラインの特徴 1.Medline、医学中央雑誌 internet 版より抽出した約 16,000 文献の内容を検討し、文献レベルを決定した。 2.エビデンスを重視し、臨床に用いやすくするために推奨度 をつけた。 3.外部の評価委員による検討がなされている。 (日本腹部救急医学会、日本膵臓学会、厚労省難治性膵疾患研究班) 4.使用者に使いやすい工夫(フローチャート、索引の提示) 本ガイドラインの特徴 1.Medline、医学中央雑誌 internet 版より抽出した約 16,000 文献の内容を検討し、文献レベルを決定した。 2.エビデンスを重視し、臨床に用いやすくするために推奨度 をつけた。 3.外部の評価委員による検討がなされている。 (日本腹部救急医学会、日本膵臓学会、厚労省難治性膵疾患研究班) 4.使用者に使いやすい工夫(フローチャート、索引) “Evidenceに基づく急性膵炎の診療ガイドライン”の作成方法 1. Systematicな文献検索およびReview等の引用文献 MEDLINE: 14,821文献 医学中央雑誌(インターネット版): 1,475文献 2. 専門家や厚生省研究班の文献収集 3. これらから検討すべき文献を抽出: 1,348文献 4. 文献の評価検討、レベルの高い文献結果を重視 5. ガイドライン案を作成 6. ワーキンググループ内で議論、改訂を重ねる 7. ガイドライン作成作業委員会、理事会で検討 8. 評議委員、会員に公表ーフィードバックー 9. 正式にガイドラインとして決定 “急性膵炎の診療ガイドライン”作成までの経過(1) 1999年(平成11年) 3月、第32回日本腹部救急医学会総会(横浜) EBM をもとにしたガイドライン作成新委員会発足 “Evidenceにもとづく急性膵炎の診療ガイドライン”作成開始 急性膵炎のガイドライン作成のためのワーキンググループ 真弓 俊彦(名古屋大学 集中治療部) 泉 順子(愛知医科大学 第三内科) 荒田 慎寿(横浜市立大学 救命救急センター 浦 英樹(札幌医科大学 救急集中治療部) 北村 伸哉(千葉大学 救急・集中治療医学) 木村 康利(札幌医科大学 第一外科) 桐山 勢生(大垣市民病院 消化器科) 渋谷 和彦(東北大学 消化器外科) 関本 美穂(京都大学 臨床疫学) 名郷 直樹(作手村 国民健康保険診療所) 広田 昌彦(熊本大学 第二外科) 吉田 雅博(帝京大学 外科) “急性膵炎の診療ガイドライン”作成までの経過(2) 1. 2001年9月、第37回日本腹部救急医学会(札幌) “急性膵炎診療ガイドライン(案)”公開、シンポジウム開催 2. インターネットホームページ:日本腹部救急医学会 ( http://plaza.umin.ac.jp/~jaem/ )に公開し、公式に意見を募った 3. 公開討論会( Consensus meeting ) 2002年3月、第38回日本腹部救急医学会(下関) 出版に向けた合同委員会:日本腹部救急医学会、日本膵臓学会 厚生労働省難治性膵疾患に関する調査研究班 2002年9月、第33回日本膵臓学会(仙台) 2003年4月、第39回日本腹部救急医学会(弘前) 4.出版 2003年7月、金原出版より発刊 2004年1月、ダイジェスト版発刊 本ガイドラインの特徴 1.Medline、医学中央雑誌 internet 版より抽出した約 16,000 文献の内容を検討し、文献レベルを決定した。 2.エビデンスを重視し、臨床に用いやすくするために推奨度 をつけた。 3.外部の評価委員による検討がなされている。 (日本腹部救急医学会、日本膵臓学会、厚労省難治性膵疾患研究班) 4.使用者に使いやすい工夫(フローチャート、索引) 急性膵炎の診療ガイドライン作成の要点 1. 作成に当たっては Evidence(根拠) を重視する 2. 使用者が使用しやすいように心がけた(推奨度を提示) 臨床家にとって本当に役に立つものを作る 3.実地臨床と文献レベルの乖離を埋めるように討論を重ねる 文献レベル ≠ 推奨度(実際の医療を重視) 4. 多数の方々からの御意見などフィードバックを重ねる 実際の臨床家からの意見を重視する 推 奨 度 A 強い根拠があり臨床上の有用性が明らか B 中等度の根拠がある、または 強い根拠があるが臨床の有用性がわずか C 根拠が不十分である、または 有用性が有害作用を上回らない可能性がある D 有効性を否定する(害を示す)中程度の根拠がある E 有効性を否定する(害を示す)強い根拠がある 推奨度の決定方法 1. 根拠の程度( Evidenceレベルの高い論文があるか?) 2. 臨床上の運用の容易さ(簡便さ、普及程度、保険適応、合併症) (Kish, M.A. Clinical Infectious Disease 2001; 32: 851-854) 本ガイドラインの特徴 1.Medline、医学中央雑誌 internet 版より抽出した約 16,000 文献の内容を検討し、文献レベルを決定した。 2.エビデンスを重視し、臨床に用いやすくするために推奨度 をつけた。 3.外部の評価委員による検討がなされている。 (日本腹部救急医学会、日本膵臓学会、厚労省難治性膵疾患研究班) 4.使用者に使いやすい工夫(フローチャート、索引) 出版のための合同検討委員会 日本膵臓学会 伊佐地 秀司 (三重大学医学部第一外科 助教授) 北川 元二 (名古屋大学医学部消化器内科 助手) 白鳥 敬子 (東京女子医科大学消化器内科 教授) 武田 和憲 (東北大学大学院消化器外科 助教授) 竹山 宜典 (神戸大学大学院消化器外科 講師) 厚生労働省特定疾患対策研究事業 難治性膵疾患に関する調査研究班 小泉 勝 (大原医療センタ- 院長) 評価委員会 日本腹部救急医学会 平田 公一 (札幌医科大学第一外科 教授) (委員長) 安田 秀喜 (帝京大学医学部外科 教授) 日本膵臓学会 大槻 眞 (産業医科大学第三内科 教授) 税所 宏光 (千葉大学医学研究院腫瘍内科学 教授) 外部評価組織 福井 次矢 (京都大学大学院医学研究科臨床疫学 教授) “急性膵炎診療のガイドライン” 臨床医にとって使いやすい工夫 1.フローチャート作成 2.索引 急性膵炎診療フローチャート 急性膵炎の診断 成因の検索 重症度判定 軽症 保存的治療 中等症 保存的治療 胆石性膵炎 胆石性膵炎の フローチャートを参照 重症 臓器障害 (注1)高次医療施設:集中治療、内視鏡的治療、radiological intervention、胆膵外科を専門とする医師が常勤する施設 (注2)造影CT:腎障害や膵炎増悪の可能性もあるので注意が必要で ある (注3)necrosectomy+continuous lavage / open drainage:症例 に応じて施行する 感染なし 集中治療 高次医療施設(注1) への搬送 ●造影CT(注2) ●集中治療 *大量輸液 *循環・呼吸管理 *感染予防 感染性膵壊死 necrosectomy (注3) 動注療法 (option) CHDF (option) 選択的腸管内除菌 (option) 膵膿瘍 経皮的ドレナージ 手術的ドレナージ デブリドマン 本編:2003年7月発刊:7,000部 ダイジェスト版:2004年1月発刊 急性膵炎の診療ガイドライン 問題点と今後の研究計画 1. 急性膵炎ガイドラインの評価 2.目の前に立ちふさがる深い溝 3.急性膵炎に対する現在の取り組み 4.研究計画 利害関係者の参加 (項目4~7)の評価(AGREE) 項目4. ガイドライン作成グループには、関係する全ての 専門家グループ代表者が加わっている 4 / 4点 項目5. 患者の価値観や好みが十分に考慮されている 0/ 4点 項目6. ガイドラインの利用者が明確に定義されている 4 / 4点 項目7. ガイドラインの想定する利用者で既に施行された ことがある 0 / 4点 計 (項目4~7) 8 / 16点 2.消化器病(胃腸、肝胆膵)領域に横たわる深い溝 1.“外科医” 対 “内科医” 2.“専門医” 対 “かかり付け医” 3.“主治医” 対 “患者” それぞれの 解決策は? 4.急性膵炎が知られていない (年間3万人の発症) 急性膵炎診療ガイドライン作成、普及に横たわる深い溝 3.急性膵炎に対する現在の取り組み 1.厚労省班会議「『根拠に基いた急性膵炎診療ガイドライン』のデータ ベース化および普及について」 (本会議) Minds事業と連携しインターネットでの使用を確立する。 2.厚労省班会議「『根拠に基づく診療ガイドライン』の適切な作成・利用・ 普及に向けた基盤整備に関する研究:患者・医療消費者の参加推進に 向けて」(中山班) 患者、医療消費者参加あるいはその意向の反映 患者、医療消費者向けの急性膵炎診療ガイドライン作成の検討 3. 『根拠に基いた急性膵炎診療ガイドライン』の改訂作業開始 ガイドラインの使用状況のアンケート作業中 日本腹部救急医学会、日本膵臓学会 4.急性膵炎班研究での研究課題 1、Minds事業と連携しインターネットでの使用を確立する。 2、急性膵炎診療ガイドライン改訂(本年より作業開始) における患者、医療消費者参加あるいはその意向の反映 3、患者、医療消費者向けの 急性膵炎診療ガイドライン作成の検討 3者協力による治療方針検討、実践 医療関係者:標準的で過不足のない治療を実践する 患者:自分の病気を知り、自分から治療に参加 家族:身内の病気を把握し、積極的な治療協力
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