日語文法研究 (大学院) 5月14日(木)~ 担当 神作晋一 第8章 ヴォイス2――使役 ねらい: 使役も出来事の捉え方(ヴォイス)の 一つです。 使役の意味と意味役割を表示する助 詞を中心に使役構文の特徴を整理し ます。 第8章 ヴォイス2――使役 キーワード: 使役文、使役、動作の主体(動作主)、働 きかける者(使役者)、強制、指示、許可、 容認、傍観、無生物主語、使役受身、使 役動詞 第8章 ヴォイス2――使役 §1 使役文 §2 使役の意味 §3 使役の周辺 無生物主語と使役受身文 §1 使役文 §1 使役文 使役文 ヴォイスvoice態 「子供が勉強した。」 「親が子供に勉強させた。」 動作の主体(動作主)は「子供」 働きかける者(使役者)「親」が存在 [使役者ガ[動作主ガ~スル]ヨウニスル] [親が[子供が勉強する]ようにする] §1 使役文 使役形の作り方 (1) 子音動詞 語幹 母音動詞 語幹 不規則動詞 suru kuru + + → → ase-(ru) 五段動詞 sase-(ru) 一段動詞 sase-(ru) kosare-(ru) §1 使役文 (2)使役文:出来事の登場人物プラス1 [使役者ー働きかけ→[出来事]] (3)間接受身文:類似性 [被害者←影響ー[出来事]] 「A出来事に登場する要素+B出来事の外の要素」 A子供が 勉強する Bが主語 B親が A子供に 勉強させる §1 使役文 使役文の格表示:自動詞と他動詞 (4)使役者ガ 動作主ヲ・ニ 自動詞の使役形 「親が子供を遊ばせる」 「親が子供に遊ばせる」 (5)使役者ガ 動作主ニ 「*親が子供を本を読ませる」 「親が子供に本を読ませる」 他動詞の使役形 §1 使役文 使役文の格表示:格助詞の制約 デ格 ニ格 「東京で大学にバスで通った」 「三時に駅に集合してください」 ヲ格:原則的に一つしか使えない 「*テストを3つを受ける」 §2 使役の意味 §2 使役の意味 意味の違い(自動詞) 例:「子供が塾へ行く」 「親が子供を塾へ行かせた」(強制・指示) 「親が(嫌がる)子供{を/*に}塾へ行かせた」 「親が子供に塾へ行かせた」(許可・容認) 「親が子供{ *を/に}(子供の希望通り)塾へ 行かせた」 §2 使役の意味 意味の違い(他動詞) (6)「子供にピアノを弾かせた」 「ピアノの練習をしなさい」(強制・指示) 「ピアノを弾いてもよい」(許可・容認) →文脈による §2 使役の意味 意味の違い(他動詞) (7)親が子供に教科書を読ませた。 (8)親が子供に漫画を読ませた。 (勉強)→強制・指示 (好きなこと)→許可・容認 →文中の語・背景など、文脈に依存 §2 使役の意味 動作主(有情物と無生物) 動作主≒主語 (09)先生は塀にはしごを立てた。(他動詞) (10)*先生は塀にはしごを立たせた。 「はしご」(無生物)→他動詞 (対象への直接的働きかけ) (11)*先生は生徒を立てた。 (12)先生は生徒を立たせた。(使役) 「生徒」(有情物)→使役 (意志や命令) 無生物は対象外 §2 使役の意味 無生物主語(動作主)の使役文 (13)冷蔵庫でジュースを凍らせた。 (14)買いすぎて、野菜を腐らせた。 「*ジュースに凍らせた」 「*野菜に腐らせた」 無意志動詞の非対格動詞(こおる・くさる) (動作主はヲ格だが)強制でも指示でもない (変化を防げなかった)傍観 §2 使役の意味 使役の特徴 文脈や動作主の意志性、動詞の意志性 →使役者が動作主に働きかける(強制・指示、 許可・容認) →出来事の出来(しゅったい)に働きかけない 傍観 §2 使役の意味 使 役 動作主 者 自動詞 他動詞 人 人 意味・その他 意志動詞:強制・指示、許可・容 認 無意志動詞:傍観(非対格) 有情物 使役:強制・指示(~したくない)、 (人) 許可・容認(~したい) 無生物 使役にならない §3 使役の周辺 無生物主語と使役受身文 §3 使役の周辺 無生物主語と使役受身文 無生物主語とガ格主語 「地震が 老朽化した建物を 壊した」 「台風が 畑を 荒らした」 「老朽化した建物が 地震によって 壊された」 「畑が 台風によって 荒らされた」 →無生物をガ格主語にした他動詞文 →上記の受身文 →話し言葉では使われにくい。 §3 使役の周辺 無生物主語と使役受身文 無生物主語と格助詞デ(原因・理由) 「地震で 老朽化した建物が 壊れた」 「台風で 畑が 荒れた」 →自動詞文になる 話し言葉でも使われる。 「*風が窓を開けた」 Window was opened by the wind . 謝謝你的合作 Thank you for your cooperation. §3 使役の周辺 無生物主語と使役受身文 「感情を表す動詞」と無生物主語 (15)孫の合格が祖父母を喜ばせた。 (16)ペットの死が太郎を悲しませた。 (17)事業の失敗が家族を困らせた。 使役文の主語(事態の原因)によって事態(「祖父 母が喜ぶ」 「太郎が悲しむ「家族が困る」)が起こる。 「祖父母」「太郎」「家族」は 動作主× 動作の経験主○ §3 使役の周辺 無生物主語と使役受身文 「使役」と「受身」→「使役受身文」 (18) 子音動詞 語幹 + 母音動詞 語幹 + 不規則動詞 suru → kuru → ase-rare-(ru) 五段動詞 sase-rare-(ru) 一段動詞 sase-rare-(ru) kosare-rare-(ru) §3 使役の周辺 無生物主語と使役受身文 使役受身文の例 ピーマン トマト 「太郎は母親にニンジンを食べさせられた」 「太郎は両親に塾に行かせられた」 「太郎は先生に本を読ませられた」 「太郎は先生に漢字を書かせられた」 「太郎は教室を掃除させられた」 「太郎は午前六時に学校に来させられた」 →主語(太郎)の迷惑な気持ちを表す §3 使役の周辺 無生物主語と使役受身文 使役受身文の例 母音動詞(G2)と不規則動詞は問題なし 「太郎は母親にニンジンを食べさせられた」 子音動詞は使役動詞(他動詞)を使うことも 「太郎は両親に塾に行かせられた」→「行かされた」 「太郎は先生に本を読ませられた」→「読まされた」 「太郎は先生に漢字を書かせられた」→「書かされ た」 §3 使役の周辺 無生物主語と使役受身文 使役受身形 と 使役動詞の受身形 「書かせられる」 「書く」の使役受身形 動詞「書く」のナイ形「書か」+せ+られる 「書かされる」 「書かす」の受身形 「書かす」で使役の意味がすでに入った動詞 +れる §3 使役の周辺 無生物主語と使役受身文 使役受身形 と 使役動詞の受身形 「書かされる」(使役動詞+れる)以外は、使われな い(正式な形ではない。) 「*弟に漢字を書かした」→「書かせた」 「*弟に漢字を書かしたい」 →「書かせたい」 「*弟に漢字を書かそう」 →「書かせよう」
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