情報通信システム(1) 2005年4月19日 火曜日 午後4時10分~5時40分

情報通信システム(4)
http://www10.plala.or.jp/katofmly/chiba-u/
2016年5月17日 火曜日
午後4時10分~5時40分
NTT-IT Corp.
加藤 洋一
千葉大学 4- 2
ここまでの学習
フーリエ級数
f (t )が周期 Tで繰り返す周期関数で あるとき、
T /2
2
t
an 
f
(
t
)
cos(
n

2

)dt ,
T T/ 2
T
n  0の整数
T /2
2
t
bn 
f (t ) sin( n  2 )dt ,

T T / 2
T
n  0の整数

とすれば、

a0
t
t 

  an cos( n  2 )  bn sin( n  2 )
2 n 1 
T
T 
と展開することができ る。
f (t ) 
フーリエ変換
フーリエ変換
F( f ) 

f (t )e  j 2ft dt


フーリエ逆変換
f (t ) 
 F ( f )e
j 2ft

標本化定理
f (t ) をフーリエ変換した
F ( f )はf  W以上が0であるとき、
n sin(  (2Wt  n))
)
離散フーリエ変換(DFT)
2
W

(
2
Wt

n
)
n  
n
この式で、サンプル値 列f (
), n  整数, から、元の信号 f (t )を再生できる。
2W
f (t ) 


f(
df
千葉大学 4- 3
DFTの行列表現(先週分)
1
Fk 
N
N 1
f e
 jk 2
n
( DFTの計算式 )
n 0
W 0  1, W 1  e
1
Fk 
N
n
N
 j 2
N 1

n 0
fn W
kn
1
N
,W2 e
1
(
N
 j 2
2
N
,     W N 1  e
 j 2
N 1
N
と定義すると、
N 1

W kn fn )
n 0
n
W 0 W 0
W0

W 0  f 0 
 F0 
 0
 F1 

1
2
N 1  
f
1
W
W
W

W


 1 
 k
 F 2   W 0 W 2
W4
 W 2 ( N 1)   f 2 


 N













2
W 0 W N 1 W 2 ( N 1)  W ( N 1)   fN  1
 FN  1


ところで、明らかに、 W mN  n  W n なので( W mN  n  W mNW n , W N  1 )、
上記の Wの行列の要素は、 N 個の異なる値しかない 。
F 0 は、全信号列の平均値 となる。
千葉大学 4- 4
IDFTの行列表現
N 1
fn   Fk e
jk 2
n
N
( IDFT の計算式 )
k 0
W 0  1, W 1  e
N 1
fn   Fk W
k 0
 kn
j 2
(
1
N
, W 2  e
N 1

j 2
2
N
,     W ( N 1)  e
j 2
N 1
N
W  kn Fk )
k 0
W0
W0
 f 0  W 0
 f1   0
1
2
W
W
W

 
 f 2   W 0
W 2
W 4

 


    
 fN  1 W 0 W ( N 1) W  2 ( N 1)

W 0  F 0 


 W ( N 1)   F 1 
 W  2 ( N 1)   F 2 



   
 ( N 1) 2  
 W
  FN  1
DFTとIDFTはN2回の乗算と加算が必要
と定義すると、
千葉大学 4- 5
高速フーリエ変換の理論
1
Fk 
N
N 1
f e
n
 jk 2
n
N
( DFTの計算式 )
n 0
nに関する和を nが偶数の場合と奇数の 場合に分ける
neven  2n0 
N
( Nは偶数、としている
 0  n0 
nodd  2n0  1
2
)
2n
2 n 1
N / 2 1
 jk 2 0
 jk 2 0

1  N / 21
N
N
Fk    f 2 n0 e
  f 2 n0 1e

N  n0 0
n0  0

2n
2n
1
 jk 2 0
 jk 2 N / 2 1
 jk 2 0 
1  N / 21
N
N
N
   f 2 n0 e
e
f 2 n0 1 e


N  n0 0
n0  0

N
M
, g n  f 2 n0 , hn  f 2 n0 1 とすると
2
1
n
n
 jk 2 M 1
 jk 2
 jk 2

1  M 1
N
M
M
  gn e
e
hn e
 (n0を n と書き換えた )

N  n 0
n 0

千葉大学 4- 6
高速フーリエ変換の理論
1
n
n
 jk 2 M 1
 jk 2
 jk 2

1  M 1
N
M
M
前頁より Fk    g n e
e
h
e


n
N  n 0
n 0

ここで上式を 0  k  Mの部分(前半)と M  k  Nの部分(後半)に分け
る ( M  N / 2)
1
n
n
 jk0 2 M 1
 jk0 2
 jk0 2

1  M 1
N
M
M
(前半) Fk0    g n e
e
hn e
 ,0  k0  M

N  n 0
n 0

1
n
n
 j ( k 0  M )2 M 1
 j ( k 0  M ) 2 
 j ( k 0  M ) 2 

1  M 1
N
M
M
(後半) Fk0  M    g n e
e
hn e
 ,0  k0  M

N  n 0
n 0

1
n
n
1
n
n
 jk0 2 M 1
 jM 2
 jk0 2
 jM 2
 jM 2
 jk0 2

1  M 1
N
M
M
2M
M
M
  gn e
e
e
e
h
e
e


n
N  n 0
n 0

1
n
n
 jk0 2 M 1
 jk0 2
 jk0 2

1  M 1
N
M
M
  gn e
e
h
e


n
N  n 0
n 0

1
g n と hn の DFT は Gk0 
M
M 1
g
n 0
1
 jk0 2

1
N
Fk0  Gk0  e
H k0 
2

n
e
 jk0 2
, Fk0  M
n
M
1
, H k0 
M
(e
M 1
h
n 0
n
e
 jM 2
 jk0 2
1
 jk0 2

1
N
 Gk0  e
H k0 
2

n
M
n
M
 1, e
 jM 2
なので、
となる
1
2M
 1 です )
高速フーリエ変換の理論
ここまでをまとめると
1
、 Fk 
N
N 1
f
n 0
n
e
 jk 2
n
N
千葉大学 4- 7
( f nの DFT )
f nの偶数番を取り出した 信号を g n , 奇数番目を取り出した 信号を hn ,
それぞれの DFTを Gk0 , H k0 とし、 M  N / 2すると、
1
 jk0 2

1
N
Fk0  Gk0  e
H k0 
2

Fk0  M
1
 jk0 2

1
N
 Gk0  e
H k0 
2

, ( Fkの前半 )
( Fkの後半 ) となる
即ち、 Fkは、 f nを遇奇に分けたふたつ の信号の DFTから計算できる。
これをどんどん進めれ ば「高速フーリエ変換
(そのためには、
Nが2の累乗であることが必
」となる。
要)
千葉大学 4- 8
N=2の場合
1
Fk 
N
N 1
f
n 0
n
e
 jk 2
n
N
( f nの DFT )
1
1
N  2のとき、 F0  ( f 0  f1 ), F1  ( f 0  f1 )
2
2
N=2 の場合
f0
F0
f1
F1
-1
 e  j  1
左のような表記をバタフライ演算と呼ぶ。
矢印の途中にある数は乗数(無印は1)。矢
先で和を計算する。左の図は、
F0= f0+f1
F1= f0-f1
を意味している。
これ以降、1/N は陽には書かない
千葉大学 4- 9
N=4の場合
f nの偶数番を取り出した 信号を g n , 奇数番目を取り出した 信号を hn ,
W e
3
4
それぞれの DFTを Gk0 , H k0 とし、 M  N / 2とすると、
1
 jk0 2

1
N
Fk0  Gk0  e
H k0 
2

Fk0  M
 jk0 2
1
N
, ( Fkの前半 )
W W  e
1
2
 j
e
j
-1
( Fkの後半 )
1
4
1
 j
2
j ,W e
2
4
 j
 1, , W  e
3
4
3
 j
2
 j
並び替え
G0
F0
前半
F0
F0
k0=0のとき
f2=g1
f3=h1
-1
-1
-1
G1
F2
後半
F2
F1
F1
前半
F1
F2
F3
F3
-j
H1
-0.5
0.5
1
e0
-1
N=4 の場合
H0
2
-0.5
とする。 W  1, W  e
f1=h0

0.5
2
4
1
2
f0=g0
e
j
1
1
 jk0 2

1
N
 Gk0  e
H k0 
2

W e
k0
N
3
2
j
j
k0=1のとき
F3
後半
W41  e
j

2
e
j
3
2
千葉大学 4- 10
N=8の場合
G0
f0
F0
前半
k0=0のとき
f1
H0
f2
G1
f3
f4
f5
f6
左記の8つの信号から偶数
番目の4つの信号のDFT
G と 奇数版目の4つの信
号のDFT H が計算できれ
ば、前々ページで導出した
ように 全体のDFT F を計
算できる。
-1 F4
後半
F1
前半
1
8
W
k0=1のとき
H1
 W81 F5
後半
G2
F2
前半
2
8
W
H2
W
2
8
G3
k0=2のとき
F6
後半
F3
前半
3
8
W
f7
H3
 W83
k0=3のとき
F7
後半
千葉大学 4- 11
N=8の場合
G0
A0
f0
G0
G0
F0
前半
k0=0のとき
B0
f2
f4
f6
-1
-1
f1
-1
A1
G2
G1
H0
G1
G2
G1
j
C0
後半
F1
前半
1
8
-j
B1
-1 F4
W
G3
G3
H0
H0
並
び
替
え
k0=1のとき
H1
 W81 F5
後半
G2
F2
前半
2
8
W
D0
f3
f5
f7
-1
-1
-1
C1
H2
H1
H2
H1
H2
G3
-j
D1
j
W
2
8
k0=2のとき
F6
後半
F3
前半
3
8
W
H3
N=4の場合のFFTが遇奇分2つ
H3
H3
 W83
k0=3のとき
F7
後半
Nが16以降も同様
千葉大学 4- 12
N=8の場合(前半の並び替えを省略)
A0
f0
G0
G0
F0
前半
k0=0のとき
f1
C0
f2
B0
f3
D0
f4
A1
-1
f5
f6
-1
-1
-1
f7
-1
H0
G2
G1
D1
j
j
後半
F1
前半
W
k0=1のとき
H2
H1
 W81 F5
後半
G1
G2
F2
前半
2
8
W
H1
H2
G3
G3
-j
B1
-1 F4
1
8
-j
C1
-1
H0
W
2
8
k0=2のとき
F6
後半
F3
前半
3
8
W
H3
H3
 W83
k0=3のとき
F7
後半
千葉大学 4- 13
N=8の場合(並び替えを最後にまとめて行う)
f0
A0
G0
F0
000
000 0
f1
C0
H0
-1 F4
001
100 4
f2
B0
G2
F2
010
010 2
F6
011
110 6
F1
100
001 1
101
101 5
F3
110
011 3
F7
111
111 7
-1
W82
D0
f3
f4
-1
f5
f6
H2
-1
A1
G1
C1
-1
f7
-1
W81
-j
-1
H1
-j
B1
D1
W
2
8
j
j
W
1
8
G3
F5
W83
H3
( W20  1, W40  1, W41   j , W80  1 )
W
3
8
計算結果をビット逆順で並べ替える
千葉大学 4- 14
N=16の場合
f0
f1
f2
f3
f4
f5
f6
f7
f8
f9
f10
W
0
2
W40
W
0
2
W
0
4
W
0
2
W
0
4
W
0
2
W
0
4
W
0
2
W
0
16
W
W
W
W
0
8
0
8
2
8
4
16
4
16
2
16
W
W
W
0
2
W
0
4
W82
 W162
W
0
2
W
0
4
W
0
2
W
0
4
W
0
2
 W20
W
W
W
W
2
8
2
8
1
8
6
16
6
16
1
16
W
1
4
W
W
W
1
4
W81
 W161
W
1
4
 W81
W165
1
4
W
W
f12
0
2
W
W
W
f13
0
2
 W20
f15
W80
W
W
f14
W
W
0
16
0
4
0
2
f11
0
8
1
8
 W165
3
8
W163
 W41
W83
 W163
 W20
 W41
 W83
 W20
 W41
W
1
4
W
3
8
F0 0000
0000
0
F8 0001
1000
8
F4 0010
F12 0011
0100
4
1100 12
F2 0100
F10 0101
0010
F6 0110
F14 0111
0110
1010 10
6
1110 14
F1 1000
F9 1001
0001
1
1001
9
F5 1010
F13 1011
0101
5
1101 13
F3 1100
F11 1101
0011
1110
W167 F7
1111
 W 7 F15
0111
16
2
3
1011 11
7
1111 15
千葉大学 4- 15
計算量はどうなる?
• DFTの場合は、N2回の乗算と加算が必要。
– N×Nの行列と、N次のベクトルの掛け算
• FFTの場合
– N=2kとすると、段数は k となる。N=8なら3段。
– 1段分の計算は、N回の乗算と加算
– 合計すると、N log2N 回となる。
• たとえば、N=65536の場合
– DFTなら216 × 216 =232回の乗算と加算
– FFTなら216 × 16 = 220回の乗算と加算
– なんと212=4096分の1
• 次回の講義で、プログラミング言語Pythonを用いて、
実際にFFTを作ってみます
千葉大学 4- 16
WaveSpectraによる実験
689.0625Hzでは、良い値が出ている。
700Hzでは、本来含まれていないはずの周波数成分も表示されている。
600Hzから800Hzのスイープでは、本来含まれていないはずの周波数成分が見ら
れるが、周期的にそれがなくなる(ように見える)。
これは、信号が、周期NT(Nサンプル分の時間)の周期関数と
1
1
0.5
0.5
1
2
3
4
1
-0.5
-0.5
-1
-1
Nサンプル分 Nサンプル分
信号の周期が、
サンプル周波数/サンプル数N
の整数倍のとき
2
Nサンプル分
3
4
Nサンプル分
信号の周期が、
サンプル周波数/サンプル数N
の整数倍ではないときは、信号
の不連続を招く。
千葉大学 4- 17
FFT (Fast Fourier Transform)
• FFTは、DFTの基底Wの対象性をうまく利用
して、DFTを高速計算するアルゴリズム。
• FFTが開発されたおかげで、「周波数領域」で
の解析が容易になった。
• 次にFFTを実際に組み込んだフリーソフト
WaveSpectraを使って、実験してみよう。
• サンプリング周波数は44.1KHz
• サンプル数は、2048を選ぶ。
• サイン波 689.0625Hzを再生。
• 矩形波や三角波、のこぎり波を再生。
• サインスイープ600Hzから700Hzを再生。
• なお、44100/2048*32=689.0625です(f0の整数倍)
千葉大学 4- 18
窓関数
• 前頁のように、基本周期がNTと合わない場合、本来
ないはずの成分が観測されてしまう。
• これを「漏れ」という。
• 漏れを低減する為に、「窓関数」というものを用い、サ
ンプル値を調整する。
ハニング窓
1
2n
w(n)  (1  cos
)
2
N 1
グラフソフトで確認 hanning.dem
千葉大学 4- 19
WaveSpectraによる実験
ハニング窓では、「漏れ」が高い周波数領域まで発生するのは防げたが、一方、
周波数分解能が甘くなる傾向が見られた。
ハニング窓を適用し、再度700Hz、スイープをWaveSpectraにかけてみる。
本来ないはずの成分が低減していることが確認できる。
千葉大学 4- 20
実信号の高速ディジタルフーリエ変換(FFT)
• FFTでは、ある区間の信号(即ち、連続する
複数のサンプル値)を取り出し、周波数解析
を行っている。
• 上記操作を次々と行うことで、周波数解析結
果の時間的な変動を見ることが出来る。
t
FFT
FFT
FFT
周波数成分
周波数成分
周波数成分
・・・・
音楽をWaveSpectraで見てみよう
千葉大学 4- 21
本日の講義のこの先
• この先は、今までの学習と今後の学習の周
辺を少し「くだけた」形でお話します。
• 少々厳密さに欠く話もします。
・ちょっと取りとめもないかもしれません。
• 気楽に聞いてください。
千葉大学 4- 22
電気を使って情報を送る、ということ
– 電気信号や光は、世の中で最も高速に伝播するので、通
信には最適な媒体である。空気中を伝播する「音」だと、
大阪まで20分もかかる。
– 真空中(空気中)の電波や光の速度=
299,792,458 m/s=約30万Km/秒
– ガラスの屈折率をnとすると、光ファイバーを進む光の速
度は、1/n以下になる。nは1.5~2なので、光ファイバーの
信号の速度は光速の半分ほど。
– 同軸ケーブルの伝送速度は、空気中の電波伝搬速度の
67%から90%程度。
– 日本・サンフランシスコ間は約8千Km
• 光や同軸ケーブルでは、約50msecかかる。
• 空気中を伝わる音なら、6.5時間!
千葉大学 4- 23
光ファイバと光ファイバケーブルの構造
約125nm
被覆材
約10 nm
光は、コアとクラッドの境界で
反射しながら進むので、実際
の伝送距離はファイバーの長
さより長くなる
クラッド
コア
光ファイバテープ(8心)
0.3mm
光ファイバ
55mm
3000心光ケーブル 1000心光ケーブル
千葉大学 4- 24
講師自宅(BFlet’s)からwww.yahoo.comへのルート
C:\Users\Yoichi>tracert -d www.yahoo.com
tracert コマンドを使用
any-fp.wa1.b.yahoo.com [98.137.149.56] へのルートをトレースしています
経由するホップ数は最大 30 です:
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
<1 ms
8 ms
3 ms
4 ms
3 ms
4 ms
4 ms
5 ms
4 ms
118 ms
113 ms
118 ms
116 ms
145 ms
115 ms
134 ms
116 ms
116 ms
<1 ms <1 ms 192.168.1.1
6 ms 3 ms 218.47.161.203
3 ms 5 ms 218.47.161.193
6 ms 4 ms 118.21.174.161
4 ms 5 ms 118.21.197.89
6 ms 4 ms 218.43.251.133
4 ms 7 ms 210.190.162.13
7 ms 4 ms 118.23.168.27
4 ms 7 ms 129.250.12.201
119 ms 119 ms 129.250.3.145
114 ms 110 ms 129.250.5.70
151 ms 119 ms 129.250.8.182
104 ms 116 ms 4.69.152.133
118 ms 117 ms 4.71.112.14
125 ms 119 ms 4.69.132.9
135 ms 115 ms 98.136.16.19
131 ms 133 ms 4.69.152.69
125 ms 116 ms 98.137.149.56
トレースを完了しました。
C:\Users\Yoichi>
国内ルーターからの応答
ここで、太平洋海底光ケー
ブルをわたった!往復なの
で、片道はほぼ50msec
米国ルーターからの応答
米国Yahoo!
千葉大学 4- 25
電気の周波数を決める
– 音楽CDと電話では、音楽CDのほうが周波数帯
域が広い。これはどういう意味?
• 時間的に変化する信号が、ゆっくりしか変化しないとき、
その信号は低い周波数成分しか持たない。
• 時間的に変化する信号が、急激に変化することがある
とき、その信号は高い周波数成分を持つ。
• 「ゆっくりしか変化しない」、つまり、単位時間での変化
が少ないということは、単位時間での「情報」も少ない。
• 「急激に変化することもある」、ということは逆に、「情
報」も多い。
• 周波数帯域の広さは、「情報」の量と対応している。
*「情報」については後の講義でもう少し詳しく扱います。
千葉大学 4- 26
周波数と情報量(厳密さを欠いた説明です)
2
1
2
4
6
8
10
-1
-2
ゆっくりした変化。単位時間に「伝えら
れる」情報は少ない
2
1
2
4
6
8
10
-1
-2
速い変化。単位時間に「伝えられ
る」情報は多い
「帯域」というとき、通
常は「周波数帯域」を
指すが、それが単位
時間に伝えられるディ
ジタル情報量、即ち、
ビットレートの大小をさ
すことも多い。
千葉大学 4- 27
電波の種類と周波数
• 図1では、電波の周波数が高いほど伝送できる情報
量が多くなっている。これはなぜ?
– 電波を使った通信では、基本の周波数の電波に大きさの
大小や、周波数や位相の変化を加え、これを情報として送
ります(これを「変調」という)。従って、基本の電波の周波
数が高いほど多くの情報を乗せることができます。
– 基本の周波数のことを「搬送波」あるいは「キャリア」といい
ます。
千葉大学 4- 28
搬送波と乗せる信号の関係
2
信号は、1Hz
基本の電波は20Hz
受信側で、元の信号1Hzを再生できそう
1
2
4
6
8
10
2
4
6
8
10
2
4
6
8
10
-1
-2
2
1
信号は、1Hz
基本の電波は5Hz
元の信号がうまく取り出せるか怪しい
-1
-2
2
信号は、2Hz
基本の電波は40Hz
基本の電波を倍の周波数にすれば、
乗せる信号の帯域も増やせる
1
-1
-2
千葉大学 4- 29
信号と周波数
• 電波、ケーブルを流れる電流(電圧)、光の強弱など、信号そ
のものは、時間的に変化する何かしらの量です。
• しかし、テキストを読むと、既に最初から、時間領域で扱う
「信号」や「波形」より、周波数領域で扱う「帯域」という言葉
のほうが多いですね。
• 時間的に変化する信号を周波数領域で解析するためのツー
ルが、フーリエ変換です。
• 本日前半の講義で見たように、実際には、信号をある期間だ
け「切り取って」そのフーリエ変換(DFT)を計算します。そうす
ると、周波数成分の時間的変化が見られます。
千葉大学 4- 30
アナログ情報をディジタルにする
– 標本化周波数>(アナログ信号の最高周波数)×2
• いくつかの参考書では「以上」ですが、「より大きい」が正しいです。
– これはもう分かりますね。標本化定理のことです。
– さらに、皆さんは、「上記のようにサンプリングすれば、元の
アナログ信号を完全に再生することができる」、ということも
理解したはずです。
f (t ) 


n  
n sin(  (2Wt  n))
f(
)
2W
 (2Wt  n)
sin(  (2Wt  n))
の部分を標本化関数と 呼ぶこともあります。
 (2Wt  n)
n
この式で、サンプル値 列f (
)から、元の信号 f (t )を再生できる。
2W
千葉大学 4- 31
離散化と量子化
• 離散化とは、連続信号を標本化すること。標
本化定理が適用されます。
• 量子化とは、標本化した値(連続値です)を
ディジタル化すること。量子化の方法は次の
ページのとおり。
– 音楽CDでは、16ビット(2の16乗、即ち、65536
段階)に量子化する。
– コンピューターの画面は通常RGBそれぞれ8ビッ
ト(2の8乗、即ち、256段階)で量子化されている。
千葉大学 4- 32
量子化
2のべき乗
• 麻雀を好きな人は、
よく知っているかも。
64レベル(6ビット)への量子化
64
60
• 講師は、2の16乗
までは、そらで言え
ます。
• 2, 4, 8, 16, 32, 64,
128, 256, 512,
1024,2048, 4096,
8192, 16384,
32768, 65536
50
40
30
20
10
0
12
20
26
31
34
34
28
23
24 ・・・・・
標本化、量子化されたディジタル信号列
千葉大学 4- 33
(話題を変えます)通信システムの捉え方について
• (例)インターネットは、何を送るもの?
– アプリケーションから見ると、
• インターネットでは、メールも送れるし、Webも見れる。最近では、
VoIPとかで、電話もできる。テレビ会議さえ可能。
• 電話網は、通常は音声だけ。でも、ファクシミリの装
置を使えば、画像だって送れるし、モデムを繋げば
(遅いけど)インターネットだってできる。
• ADSLって、電話の線を使うんでしょ。
• 通信システムの定義はとてもあいまい。。。。
– 通信システムは、様々なサブシステムの集合だからです。
千葉大学 4- 34
通信網、端末、インタフェース
端末
通信網
インタフェース
インタフェース
電話網
インターネット
携帯電話
IP網
テレビ放送
ラジオ放送
フレームリレー
ATM
端末
千葉大学 4- 35
インタフェースに着目
• (ユーザー・網間)インタフェースとは、通信網と端末との間の
通信の決め事
• 例えば、電話網とは。。。
– 300Hzから3.4KHzまでの周波数帯域を持つアナログ信号をある接続
ポイント(ユーザー・網インタフェースといいます)から別の接続ポイント
まで伝送するシステム。
– 相手の選択は「電話番号」で行う。
300Hzから3.4KHz
のアナログ信号
300Hz
Modem
電話線のモジュラーコンセント
3.4KHz
千葉大学 4- 36
インタフェースに着目
• インターネットとは
– IPパケットを伝送するネットワーク。
• 「パケット」とは、ある長さのディジタルデータのまとまり。
• IPパケットにはそれ自体にあて先が含まれている。
– パケットの中身はディジタルデータ。そのディジタルデータ
の内容(例えば、テキスト、とか、音声データなど)は端末
側で自由に選べる。
音
画像
ビデオ
テキスト
データ
インターネット
(パケット網)
「TCP/IP」というパケッ
ト伝送インタフェース
千葉大学 4- 37
ディジタル通信網とアナログ通信網
• 電話網、あるいは、他のアナログ網でも、インタ
フェースは、「周波数帯域」で規定される。
• もちろん、コネクタの形状とか、電圧、インピーダンスなどの規定
も必要
– 現代ではアナログ網は汎用性がなく、使いにくいインタ
フェースといえる。
• ディジタル通信網なら、端末しだいで何でも伝送でき
る。
– ネットワーク側は、中身に関係せず、「ビット」や「パケット」
を伝送することのみ、考えればよい。
– 実は、現在の電話網は、加入者線より先は全てディジタ
ル。
– アナログ網は、放送やCATVだけ。TV局間のビデオ伝送
もディジタル。
千葉大学 4- 38
通信網の栄枯盛衰(交換、あるいは、ルーティング)
20年前は、通信網といえ
ば99%は電話網だった
電話網
インターネット
リレー式交換機
改良
ルーター
電子交換機
改良
ディジタル交換機
「交換機」は通信網の
「花形」だった
パラダイムシフト
今は、何でもインターネット
に乗せることができる。「花
形」は「ルーター」になった。
千葉大学 4- 39
回線交換(模式図)
AさんとBさんをつなぐ
AさんとCさんをつなぐ
交換機
C さん
交換機
加入者線
A さん
中継回線
交換機
B さん
千葉大学 4- 40
とう道(地下にある通信ケーブルのトンネル)
http://http://www.ntt-east.co.jp/kids/keyword/118.html
http://www.ntt-west.co.jp/info/saigai/83ztoudou.html
加入者電話線が集まっているところ
電話線
千葉大学 4- 41
光ファイバ
http://bb.watch.impress.co.jp/column/infra/2001/08/29/ftm.gif
http://bb.watch.impress.co.jp/column/infra/2001/08/01/mdf.jpg
千葉大学 4- 42
ディジタル交換機
電話中継用
アナログ交換
リレー式 電子式
電話加入者系用
ディジタル交換
電話用
ISDN
ルーター(IPネットワーク)
統合ネットワーク
千葉大学 4- 43
ルーターの仕組み
パケットが(いずれかの隣接しているルーターから)送られてくる
パケットのアドレスをルーティングテーブルでチェック
パケットのアドレスに従って、次に送る先を決め、対応するI/Fから送出
ルーターB
ルーターA
12.0.0.1から113.255.255.254まで
11.0.0.1から11.255.255.254まで
I/F
I/F
ルーター
I/F
・・・・・・
ルーターE
I/F
・・・・・・
ルーターD
I/F
その他全てのあて先を持つパケット
ルーターC
I/F:インタフェース
千葉大学 4- 44
ルーター
大容量(ISP向け)
超大容量向け(通信会社向け)
画像は、www.cisco.comより
普通のオフィス向け
千葉大学 4- 45
通信網の栄枯盛衰(伝送)
• 「伝送」とは、ケーブルや電波に信号を乗せて、
遠方まで送り届けること。
1チャンネル分の音声信号
同軸ケーブルによる周波数分割
多重(25年前)
・・・・・・・・・・・・・・
f
4KHz毎に音声チャンネルを多重化する
光ケーブルでのディジタル伝送
(時分割多重)15年前
光ケーブルでのDWDMを用いた
超大容量伝送(100波以上の異
なる波長の光を用い、一本の
ファイバーに複数の信号を乗せ
る)
t
複数のディジタルビット列を時間的に多重化
波長1
波長2
波長3
:
ブロードバンド・ネットワークの進展
ブロードバンド契約数の推移
平成22年版 情報通信白書
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h22/index.html
千葉大学 4- 46
千葉大学 4- 47
情報機器の世界の市場シェア
千葉大学 4- 48
電子・情報系技術者の仕事
• ハードウェア設計(「深い」知識が要求される)
• 家電、通信機器、各種電子機器の設計
• 回路設計、ASIC(カスタムチップ)設計、ファームウェ
ア
• SE、プログラマー(「広い」知識が要求される)
• 企業の勘定系、各種管理システム、ソリューション
• ソフトウェア製品の設計、プログラミング
– 最後の手工業
• 研究・開発
• 材料、デバイス、システム、方式
• 学術関連
千葉大学 4- 49
情報通信システム
• 「情報通信システム」の分野で、トップレベル
のエキスパートになるには?
– 専門知識
•
•
•
•
ディジタル信号処理
ネットワーク(特に、IP系ネットワーク)
コンピューター
プログラミング(詳細化、具現化)
– 常識、センス(洞察力)
• 「情報通信システム」は「人」が使うものです。設計に
は「センス」も重要。
• 「経験」で培ってください。
– プロジェクト推進・コミュニケーション能力、熱意
• どの分野でも必要でしょう。
千葉大学 4- 50
ディジタル信号処理について
• ディジタル信号処理のいろいろな手法は、道
具箱のツールのようなもの。簡単なもの、基
本的なものでよいから、いつでも使えるように
したい。
– 本講義では、講師が特に重要と考えているもの
を取り上げたいと考えています。
– 平均を取る、ヒストグラムを取る、情報エントロ
ピーを計算する
– フーリエ変換、直交変換、自己相関、相互相関
– 各種ディジタルフィルタ、適応フィルタ、適応等価
器、など。
千葉大学 4- 51
プログラミングについて(特にSE志望の人へ)
• 講師の経験から申しますと、「プログラミング」能力は大事で
す。プログラムの書けない人はシステムの設計もできない。
• 何事も、「神は細部に宿る」なのですが、「プログラム」を作る、
という行為は「細部まで完全にする」ということなので、大雑
把に考えていては気がつかないこと、見過ごしてしまうことも、
良く分かるようになります。
• 何でも良いですから、自分で目的を設定し、プログラムを書
いてみてください。
• フリーの処理系では、Pythonがお勧めです。きれいなプログ
ラムを作れます。
– 次回の講義をPythonの紹介に当てるつもりです。本講義のgnuplot
に渡すデータなどもPythonのプログラムを書いて生成しています。
• 回路設計の分野、カスタムIC設計の分野では、CADを使い
こなすことが上記に相当すると思います。
• 要は、詳細化、具現化の能力をしっかり持つ、ということが重
要です。
千葉大学 4- 52
プログラマーやSEというキャリア
• もし、ソフトウェア開発の道を選ぶなら
– 計算機の動き方の概要とCを覚えることは必須で
す。
– 複数のプログラミング言語を使えるようになること
は必須です。
– プラットフォームについて理解することは大事で
す
千葉大学 4- 53
英語について
• 英語の読み書きは、技術者にとって「必須」とお考えください。
• 例えば、WindowsやLinuxの少し詳しい部分を調べようと思
うと、すぐに英語にぶつかります。このようなときに、しり込み
しないこと。
• 読みだけでなく、「書く」ほうも大事です。講師は、常日頃の練
習のため、自分で書くプログラムのコメントは、全て英語で書
いています(部下にもそう指導しています)。
• 読み書きがきちんとできれば、会話の能力は後からでも何と
かなります(講師の経験では。ちょっと費用がかかりますけ
ど)。
千葉大学 4- 54
次回は、プログラミング言語Pythonの紹介
• 本ホームページを見て、皆さんのPCに
Pythonをインストールしてみてください。
• ノートPCを持っている人は、Pythonをインス
トールの上、ご持参ください。