講義内容 - 徳山大学

2008年度
経済データ解析講義内容
月曜3限 1131教室
担当者: 河田 正樹
e-mail: [email protected]
このスライドの内容
この科目の目的・位置づけ
「経済データ解析」という科目は、Excelを使って経済
データの分析をできるようにすることが目的である。
統計学、経済統計などのトピックを扱い、計量経済学
につながる内容である。
講義内容
具体的には、経済データのダウンロードとグラフの作
成、度数分布表とヒストグラム(統計学と関連)、時系
列データの季節調整(経済統計と関連)、回帰分析入
門(統計学と関連、計量経済学への導入)という内容
を、理論はさておき、実習してみる。
この科目の目的・位置づけ
<経済データ解析とは>
経済に関連した統計データをコンピュータを
用いて解析する。
• 経済データは
1.物価や失業状況といった、現実の経済状況を把握する。
2.マクロ経済学やミクロ経済学などの経済理論が、現実経済と
一致するかを検証する。
などに用いられる。
• そのとき、そのままのデータよりも、統計的分析をおこ
なった結果の方が結論を導くのに有効である。
• この講義では、経済データの統計的分析をとりあえず
Excelを用いておこなってみる。
<この科目の位置づけ>
統計学・計量経済学関連科目関連図(徳山大学経済学部)(河田作成)
経済理論に
経済データに
統計学の理論・分析手法
ついて学ぶ
ついて学ぶ
について学ぶ
情報処理
1 年配当
統計学基礎
応用情報
処理 A
経済学科
2 年配当
専門科目
(ミクロ・マク
経済統計
経済データ解析
統計学
ロほか)
3 年配当
計量経済学
履修済みであることが望ましい科目: 情報処理、応用情報処理A
→ Excelの基本的な使い方(コピー、グラフ)を習得していること。
同時履修が望ましい科目: 統計学、経済統計
→ この科目で取り扱う内容を、より詳しく講義する。
今後履修してほしい科目: 計量経済学
→ 経済データの分析をより本格的におこなう。
履修パターン1(理論・技術同時習得コース)
1年次 情報処理、応用情報処理A、統計学基礎
2年次 経済データ解析、統計学、経済統計
3年次 計量経済学
→ 統計学にかなり関心のある学生
履修パターン2(技術習得コース)
1年次 情報処理、応用情報処理A
2年次 経済データ解析
→ 統計学にあまり関心はないが、コンピュータは得意な学生
履修パターン3(技術優先コース)
1年次 情報処理、応用情報処理A、(統計学基礎)
2年次 経済データ解析、経済統計 or 統計学
3年次 2年次までの未修科目のうちいくつか
→ とりあえずコンピュータから始めて、統計学も少しやってみようかと
いう学生
講義内容
1. 経済データのダウンロードとグラフの作成
経済データの入手先を説明し、実際のデータで折れ線グラフを描き、基
礎知識の確認をします。
2. 度数分布表とヒストグラム
テストの点数などのデータからクラス全体の傾向をつかむとき、表やグラ
フの形にまとめます。 → 統計学で扱うトピック
3. 時系列データの季節調整
時間の順序に並べた時系列データは、季節の影響を受けることがあり、
その影響を取り除く必要があります。 → 経済統計で扱うトピック
4. 回帰分析入門
因果関係のある2変数間の関係を定式化するとき、回帰分析という統計
的手法がよく用いられます。 → 計量経済学でより詳しく扱うトピック
1. 経済データのダウンロードとグラフの作成
経済データの分析をおこなう場合、まずデータを入
手する必要がある。
経済データは政府や民間の企業・業界団体など、さ
まざまな機関で作成されている。政府の作成する
データは、たとえば総務省統計局のサイト
(http://www.stat.go.jp)などからExcelのファイル形
式でダウンロードすることが可能である。
ダウンロードしたデータは、たとえば次のよ
うにグラフにすることができる。
実質GDP(暦年)の推移
550,000.00
500,000.00
450,000.00
400,000.00
350,000.00
300,000.00
80 982 984 986 988 990 992 994 996 998 000
9
1
1
1
1
1
1
1
1
1
1
2
2. 度数分布表とヒストグラム
あるクラスのテストの点数が次のようになっ
ていたとする。
出席番号
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
得点 出席番号
39
11
22
12
67
13
60
14
43
15
20
16
46
17
47
18
20
19
30
20
得点 出席番号
63
21
69
22
78
23
88
24
73
25
20
26
58
27
87
28
47
29
75
30
得点 出席番号
44
31
69
32
34
33
20
34
17
35
63
36
36
37
7
38
27
21
得点
44
66
33
54
34
69
60
23
このような一覧のままでは、クラス全体の傾向が
とらえづらいので、表やグラフにまとめてみる。そ
れが度数分布表とヒストグラムである。
度数分布表
級
-
階級値
9
19
29
39
49
59
69
79
89
100
5
15
25
35
45
55
65
75
85
95
テストの点数
度数
1
1
8
6
6
2
9
3
2
0
10
8
度数
階
0
10
20
30
40
50
60
70
80
90
ヒストグラム
6
4
2
0
5
15
25
35
45
55
点数
65
75
85
95
3. 時系列データの季節調整
月次データや四半期データなどは季節ごとに特定
の傾向を示すことがある。
(たとえば、エアコン販売台数、ビール消費量など)
実質G D P 実質G D P の推移(四半期データ)(2004年以降)
(10億円)
実質G D P の推移(四半期データ)
145,000
143,000
141,000
139,000
137,000
135,000
133,000
131,000
129,000
年・四半期
年・四半期
2006Ⅳ
2006Ⅲ
2006Ⅱ
2006Ⅰ
2005Ⅳ
2005Ⅲ
2005Ⅱ
2005Ⅰ
2004Ⅳ
2004Ⅲ
2004Ⅱ
125,000
2004Ⅰ
2005Ⅱ
2006Ⅰ
2006Ⅳ
2002Ⅱ
2003Ⅰ
2003Ⅳ
2004Ⅲ
1999Ⅱ
2000Ⅰ
2000Ⅳ
2001Ⅲ
127,000
1996Ⅱ
1997Ⅰ
1997Ⅳ
1998Ⅲ
1994Ⅰ
1994Ⅳ
1995Ⅲ
実質G D P
(10億円)
145,000
140,000
135,000
130,000
125,000
120,000
115,000
110,000
季節ごとに特定の傾向を持つデータを、そのまま
前期と比較すると誤った結論を導く。
そのため、季節の影響を除く必要がある。このと
きに用いる方法が季節調整法である。
実質GDP
(10億円)
145,000
実質GDPの推移(四半期データ)
140,000
135,000
130,000
125,000
120,000
年・四半期
2006Ⅳ
2006Ⅰ
2005Ⅱ
2003Ⅳ
2003Ⅰ
2002Ⅱ
2001Ⅲ
2000Ⅳ
2000Ⅰ
1999Ⅱ
1998Ⅲ
1997Ⅳ
1997Ⅰ
1996Ⅱ
1995Ⅲ
1994Ⅳ
1994Ⅰ
110,000
2004Ⅲ
原系列
季節調整値
115,000
4. 回帰分析
経済理論では、さまざまな因果関係が想定されてい
る。その1つに消費関数といわれるものがある。
これは、「消費の大きさは、所得の大きさによって決
まる」というもので、
所得↑ → 消費↑(所得が増えれば消費も増える)
所得↓ → 消費↓(所得が減れば消費も減る)
という関係が導かれ、「消費は所得の関数である」
といわれる。
これを数式で表すと
Y(消費) = a + b X(所得)
となる。
Y
(
消
費
)
Y=a+bX
X(所得)
このような因果関係の検証には、所得と消費の散
布図を描き、近似となる直線を求める。これが回
帰分析といわれる統計分析法の第一歩である。
この分析により、所得が増えたときの消費の予測
などができる。
所得と消費
300
280
消費
260
240
y = -23.21 + 0.945x
220
200
180
160
200
220
240
260
280
所得
300
320
340