ゆとり教育の失敗の一要因

ゆとり教育の失敗の一要因
~「ゆとり教育」の受け止められ方~
発表者;粟栄友輔、平岩紗希
はじめに
①「ゆとり教育」失敗の実態
ミスターゆとり教育寺脇研らが中心になり、
三割程度の授業内容の削減・週休五日制の実施
(個性・自由を図り学力向上を目指す)
↓
結果は我々が想像していたものと全く逆!!
※主には基礎力の低下が目立つ!!
<資料> ※文部科学省ホームページより
TIMSS(Trends in International Mathematics and
Science Study→国際数学・理科教育調査)
数学・中学二年
<1995>
<1999>
<2003>
①シンガポール ①シンガポール ①シンガポール
②韓国
②韓国
②韓国
③日本
③台湾
③香港
④香港
⑤日本
⑤日本
<理科・中学二年>
中学二年
<1995>
<1999>
<2003>
①シンガポール ①台湾
①シンガポール
②チェコ
②シンガポール ②台湾
③日本
③ハンガリー
③韓国
④韓国
④日本
⑤日本
②失敗の要因は何か??
原因はいくつかあるがその中でも・・・
伊藤敏雄の、
「ゆとりという言葉の持つイメージ」という発言に注目。
「ゆとり教育への非難が少ないのは、ゆとりという言
葉のもつニュアンスから悪い印象を受けるひとは
ほんの少数人しかいないからである。これは、言
葉のイメージによる人間の感受性をうまく利用し
た方法である…。」
※伊藤敏雄2006『誰も教えてくれない教育のホントがよくわかる本』より
本当にこの仮説は正しいの
か??
<調査>
※実際にゆとり教育を受けた世代の「ゆと
り」という言葉へのイメージと、ゆとり教育
に感じる実感を明らかにし、その関係を考
える。
<検証>宮崎公立大一年生アンケー
トより(6月30日のコミニケーション基礎講義受講生調査131人)

Q1、あなたはゆとりという言葉を聞いて次のうちどんな事を
思い浮かべますか??(複数回答可。)
学生のゆとりイメージ
120
103
100
95
80
78.6
72.5
60
45
34.4
40
20
18
26
19
13.7
13 10
14.5
0
1
2
1、人数 2、%
19.8
9.9 7.6
ゆったり
癒される
時間的に余裕
遊べる
楽である
甘えの最たるもの
時間の無駄
だらけ
<結果>
プラスイメージのものが全体の8割。そのなか
でも、「ゆったり」「時間的に余裕がある」がそ
れぞれ72,5%、78,6%で、高い割合を占
めた。
対照的に、マイナスイメージのものは全体の2
割程度に過ぎなかった・・・。

Q2、1990年代から、徐々にゆとり教育が実施され
てきましたが、それによってあなたは良い影響を
受けたと思いますか??悪い影響を受けたと思い
ますか??(四段階でいずれかに回答)
いい影響・悪い影響
60
56
50
45
42.7
40
34.4
人/% 30
22
16.8
20
10
7
5.3
0
1
2
人数と割合
とてもいい影響
いい影響
悪い影響
とても悪い影響
<結果>
1位→「悪い影響を受けた」 42,7%
2位→「良い影響を受けた」 34,4%
3位→「とても悪い影響を受けた」16,8%
4位→「とても良い影響を受けた」5,3%
<調査のまとめ>
・両者のギャップ
ゆとりという言葉にはポジティブなイメージ、
ゆとり教育経験にはネガティブなイメージ
↓
そこには、「不思議な共存」
本人達は、このことに気づいていない・・・。
<結論>
伊藤敏雄さんのとおり、この政策は「ゆとり」というマイナス
イメージの少ない言葉を巧みに使っているものだという
ことが実証された。
これは、教育をする側と教育をする側と教育を受ける側の
イメージ及び考え方のギャップが生み出したものだとい
える。
●参考文献●
伊藤敏雄2006『誰も教えてくれない教育のホントがよくわ
かる本』文芸社