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参議院厚生労働委員会レクチャー
「保育改革と育児保険構想
について」
東京学芸大学
鈴木 亘
本プレゼンテーションで用いている多くの図表は、筆者が委員として分析を
担当した内閣府「保育サービス価格に関する研究会」報告書及び筆者が委
員長を努めた墨田区保育料改定委員会の報告書から用いている。
待機児童ゼロ作戦
• 待機児童ゼロ作戦(平成13年7月6日閣議
決定)
•
•
保育所、保育ママ、自治体単独施策、幼稚
園預かり保育等を活用し、平成14年度中に
5万人、さらに平成16年度までに10万人、
計15万人の受入児童数の増を図り、待機児
童の減少を目指す取組み。
表1 規制緩和の状況
①定員の弾力化(1998年実施、2001年上限撤廃)
②保育所の設置主体制限の撤廃(2000年3月)
建物の賃貸方式の許容(2000年3月)
③保育所の土地・
④小規模保育所の設置促進
保育所分園の設置容認(1998年4月)
・
認可定員の引き下げ(2000年3月)
・
⑤公設民営方式の促進
公設民営促進を規定、等(2001年)
・
⑥待機児童の多い地域での保育所設置基準の弾力化(2001年3月)
⑦短時間勤務保育士の導入の拡大
短時間勤務保育士を定数の2割まで導入(1998年)
・
同比率の規制の撤廃(2002年)
・
により作成。
保育白書 2003年』
(注)全国保育団体連絡会『
[表1]保育所の定員・利用児童数等の状況(( )内は対前年比増減)
保育所数
定員
(か所)
平成16年 22,490
平成17年 22,570
利用児童数
(人)
2,028,045
定員充足率
(人)
1,966,929
97.0
(+80) 2,052,729 (+24,684) 1,993,684 (+26,755)
うち公
立
12,090
うち私
立
10,480 (+346)
(-266) 1,087,919
(-12,264)
987,865
(%)
(-14,176)
97.1 (+0.1)
90.8
(-0.3)
964,810 (+36,948) 1,005,819 (+40,931) 104.3 (+0.3)
図1 待機児童数の推移(
全国)
(
人)
60,000
52,035
50,000
45,120
40,523
40,000
32,855
30,000
51,122
48,516
39,887 39,881
39,545
33,641
32,555
34,153
41,242
42,800
46,338
35,144
28,481
25,447
26,383
24,245
21,031
20,000
16,326
10,000
1,175
0
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
待機児童数(従来ベース)
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
待機児童数
保育所利用児童数の増加数(対前年)
(
注)
各年4月現在。従来ベースの「
待機児数」
は、①他に入所可能な保育所があるにも関わらず第1希望の保育所に
待機している児童や②地方単独保育事業を利用しながら待機している児童--を含んでいる。
「
待機児数」
は、従来ベースから①②を除いた計数。
(
出典)
厚生労働省(
2004)
『
保育所の状況(
平成16年4月1日)
等について』
2.保育所待機児童数の状況
17年4月1日(A) 16年4月1日(B) 差引 (A-B)
待機児童数
23,338人
24,245人
△ 907人
[表3]年齢区分別の待機児童数
17年利用児童数(%)
低年齢児(0~2歳)
うち0歳児
632,011人
17年待機児童数(%)
(31.7%) 15,831人
(67.8%)
78,658
(3.9%)
2,417
(10.4%)
553,353
(27.8%)
13,414
(57.5%)
3歳以上児
1,361,673
(68.3%)
7,507
(32.2%)
全年齢児計
1,993,684 (100.0%)
うち1・2歳児
23,338 (100.0%)
○ 年齢区分別待機児童数
年齢区分では、特に1・2歳児の待機児童数(13,414人、57.5%)が多い。
低年齢児の待機児童数は全体の67.8%を占める。
なぜ待機児童が減少しないのか
• 供給が需要を呼ぶ「呼び水」効果。
• 失業率と同じように、潜在的待機児童数が重
要。
• 潜在的待機児童数の推計(周・大石2005、
Zhou and Oishi,2005、内閣府「保育サービ
ス価格に関する研究会」報告書2004)などに
よれば、首都圏の待機児童数は25万~65万
人
保育料
供給
均衡保育料
現実の保育料
需要
超過需要量
出所:周・大石(2005)
保育サービス需要量
表5 調査対象地域の潜在的待機率の試算値
( a) 公表待機児童数
( 人)
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
首都圏合計
合計
( b) 入所児
( c) 本稿試算によ
童数
る 待機児童数Ⅰ
( 人)
( d) 潜在的待機児
童数Ⅰ( c-a)
0歳児
173
2, 045
21, 180
21, 007
1・ 2歳児
980
15, 926
25, 609
24, 629
3歳児
437
13, 034
11, 065
10, 628
0歳児
66
2, 233
17, 691
17, 625
1・ 2歳児
340
14, 843
21, 079
20, 739
3歳児
205
12, 327
8, 783
8, 578
0歳児
1, 336
8, 990
32, 016
30, 680
1・ 2歳児
4, 758
45, 110
33, 814
29, 056
3歳児
1, 087
29, 471
13, 756
12, 669
0歳児
326
3, 308
26, 468
26, 142
1・ 2歳児
1, 821
18, 432
32, 011
30, 190
3歳児
766
13, 376
13, 596
12, 830
0歳児
1, 901
16, 576
97, 355
95, 454
1・ 2歳児
7, 899
94, 311
112, 513
104, 614
3歳児
2, 495
68, 208
47, 201
44, 706
12, 295
179, 095
257, 068
244, 773
原因1:認可保育所の高コスト構造
(供給)
図表3
保育所の種類
(1)施設型保育
内
認可保育所
容
広さや設備、職員の数や資格、保育内容について、国が設けた
最低基準をクリアして認可された施設。
公立認可保育所
市区町村直営なので施設が立派なところが多い。職員は公務員。
保育内容に差がない。
私立認可保育所
設備・人手などハード面の基準は公立と同じだが、保育内容は
個性があり差が大きい。
認可外保育所
自治体の助成施設
駅型保育所
事業所内保育所
べビーホテル等
認可保育所以外の保育施設を総称して認可外(無認可)保育所と
言う。
都の保育室など、自治体が補助金を出している施設。
厚労省の補助金を受けるモデル事業。駅前のビルなどに作られ
る。
職場に設けられる保育所。企業内保育所もあるが、院内保育所
が多い。
補助金を受けていない託児施設で 24 時間保育や一時預かりを
するものが多い。
(3)個別型保育
保育ママ
東京都では、「家庭福祉員」と言われる制度。認定された保育者
(主に保育士、幼稚園教諭、教員、看護士など有資格者)が自宅
で保育する。3 歳以下が対象で、保育者 1 人で子供 3 人まで預か
れる。市が助成している。
ベビーシッター
ベビーシッター会社によって依頼者の自宅などに保育者が派遣
される。首都圏では、ベビーシッター会社の数も多く、いつでも
頼める状態。シッターの質や料金は会社によってさまざま。
民間保育ママ
原則として保育者の自宅で保育する。互助組織が子どもを預か
りたい会員と預けたい会員を登録し、斡旋する。
ファミリーサポート
センター
原則として保育者の自宅で保育する。市ごとに設けられたセン
ターが、地域住民に募って子どもを預かりたい会員と預けたい会
員を登録し斡旋する。地域の相互援助活動なので、主に二重保育、
病児保育、一時保育などの補完的な役割を果たしている。
表2 保育コストの比較
認可・
認
可外
名称
運営主体
出典
0歳児換
算の月額
調査範囲 児童1人
当たりコ
スト(円)
認可
公営保育所
自治体
福田[2000]
全国
346,100
認可
民営保育所
主に社会福祉法人
福田[2000]
全国
223,200
認可
民営保育所
企業
内閣府[2003]
首都圏
284,633
認可外
認証保育所
企業
内閣府[2003]
首都圏
183,245
認可外
ベビーホテル等
企業
内閣府[2003]
首都圏
152,932
(参考)国基準の保育単価
(出典)白石[2004]
157,791
•
•
•
•
•
特に高い人件費
施設長は東京都では1200万と局長並み給与。
調理師も800万円以上。
福祉職の給与体系と行政職給与体系。
私立は保育単価設定が頭割り(勤続5年程度
の30歳前後の保育士を基準)のため、いびつ
な就業構造
• 認証、認可外はされにフラットな賃金
図表7-1:公立認可保育所と私立認可保育所における保育士の賃金及び個人・施設属性の違い
個人及び施設属性
保育士総数
(16,735人)
公立保育士
(7,102人)
私立保育士
(9,633人)
公立認可と
私立認可との差
月給(給与総月額・諸手当てを含む)(円)
251,199.4
301,723.3
213,950.4
日給(円)
12,348.1
15,032.5
10,368.9
時間給(円)
1,518.9
1,837.2
1,284.3
87,772.9
(29.3%)
4,663.7
(33.2%)
552.9
(30.9%)
21.3
7.7
20.9
7.8
21.6
7.7
-0.7
0.1
1.5%
33.8
45.6%
21.1%
24.5%
7.9%
0.8%
9.6
4.0%
67.0%
22.9%
6.1%
91.8%
82.5%
13.1%
4.4%
7.8%
1.0%
37.0
30.5%
23.4%
35.3%
10.3%
0.3%
12.9
4.0%
64.4%
24.9%
6.6%
93.9%
79.3%
16.5%
4.1%
10.5%
1.9%
31.4
56.8%
19.3%
16.5%
6.1%
1.1%
7.2
4.0%
69.0%
21.4%
5.7%
90.3%
84.9%
10.5%
4.6%
5.7%
-0.9%
5.6
-26.3%
4.1%
18.8%
4.3%
-0.8%
5.6
0.0%
-4.5%
3.5%
1.0%
3.6%
-5.5%
6.0%
-0.5%
4.8%
18.7
74.2%
69.2%
3.9%
0.5%
56.5%
32.2%
1.6%
10.9%
16.5
61.4%
52.9%
1.8%
0.2%
63.5%
28.2%
0.6%
1.6%
20.4
83.5%
81.2%
5.4%
0.8%
51.3%
35.2%
2.3%
17.6%
-3.9
-22.2%
-28.3%
-3.6%
-0.7%
12.3%
-6.9%
-1.7%
-16.0%
1. 賃金:
2. 就労日数・労働時間:
平成14年4月中の就労日数(日)
平成14年4月中における1日の平均労働時間(時間)
3.保育士の個人属性:
男性
平均年齢 (歳)
20歳以上30歳未満比率
30歳以上40歳未満比率
40歳以上50歳未満比率
50歳以上60歳未満比率
60歳以上比率
経験年数(年)
大学卒
短大卒
専修学校卒
その他
保育士資格保有者比率
常勤保育士比率
長時間勤務非常勤保育士比率
短時間勤務非常勤保育士比率
主任保育士
4.施設属性
雇用者数
保育入所定員弾力化実施比率
延長保育
休日保育
夜間保育
障害児保育
一時保育
病後児保育
幼児教育
図表7-2 日給ベースでの公立認可・
私立認可別年齢・賃金プロファイル
図表7-2-1:公立認可保育所における年齢・賃金プロファイル
常勤保育士
長時間勤務非常勤保育士
短時間勤務非常勤保育士
多項式 (常勤保育士)
多項式 (長時間勤務非常勤保育士)
多項式 (短時間勤務非常勤保育士)
30,000
2
25,000
y =-5957.6+ 817.38x-5.438x
2
R = 0.5941
日給
20,000
15,000
2
y = 9589-9.6434x+0.0778x
2
R = 8E-05
10,000
2
y =-1743+ 595.85x-6.987x
2
R = 0.0185
5,000
0
15
20
25
30
35
40
年齢
45
50
55
60
65
70
図表7-2-2:私立認可保育所における年齢・賃金プロファイル
常勤保育士
長時間勤務非常勤保育士
短時間勤務非常勤保育士
多項式 (常勤保育士)
多項式 (長時間勤務非常勤保育士)
多項式 (短時間勤務非常勤保育士)
30,000
25,000
20,000
2
日給
y=1960.6+361.97x-2.362x
2
R = 0.367
15,000
2
y=8569.1+20.171x -0.0209x
2
R = 0.0013
10,000
2
y=7254.8+105.56x-1.2832x
2
R = 0.0022
5,000
0
15
20
25
30
35
40
45
年齢
50
55
60
65
70
図表8-2 構造的指標(S tructualC haracteristics)の比較
公立認 私立認 無認可 (a)私立認可 (b)無認可V S (c)無認可V S
可
可
V S公立(私立が 公立(無認可が 私立(無認可が
勝っていれば○)
(a)保育士の能力・
資格に関するもの
1 児童保育士比率(
基準比)
2 常勤比率
3 経験年数
4 保育士の新規採用時の研修の実施
5 保育士の外部への研修・
セミナー・
保育学会への派遣
保育士のリーダーシップ育成研修(
主任保育士研修等)
に参
6 加させている
(b)保育所の施設に関するもの
7 児童一人当たり乳児室面積(
基準比)
8 児童一人当たり保育室面積(
基準比)
9 野外遊技場面積(
除く代替公園)
(
基準比)
10 屋内遊技場面積
注)**は、5%基準で有意であることを示す。
勝っていれば○) 勝っていれば○)
1.32
0.79
14.60
0.85
0.92
1.24
0.86
7.95
0.81
0.94
1.41
0.75
9.40
0.39
0.76
×
○
×
×
**
**
**
**
○
×
×
×
×
**
**
**
**
**
○
×
○
×
×
**
**
**
**
**
0.92
0.86
0.22
×
**
×
**
×
**
2.92
1.68
6.52
1.51
1.88
1.70
4.62
0.92
2.40
4.23
1.84
3.60
×
**
○
×
○
**
**
**
○
○
×
○
**
**
**
**
×
×
**
**
• 公立保育所は、それ以外でも高コスト体質。
• 質が高い分は高コストでも仕方がないという
議論
• そこで、質の高さを考慮したうえでのコスト比
較を行う。
• 質はある程度高いことが確認。
• しかし、それを考慮しても20-30%ほど私立認
可に比べて高コスト。
• 公立保育所を増やそうとする限り費用面での
限界がある
図表8-3 発達心理学的指標(D evelopm entalP sychologicalC haracteristics)の比較
公立認 私立認 無認可 (a)私立認可 (b)無認可V S (c)無認可V S
可
可
V S公立(私立が 公立(無認可が 私立(無認可が
勝っていれば○)
(a)発育環境に関する指標
11 運動会の実施
12 園外保育(遠足、芋掘りなど)の実施
13 プール遊び(水遊び)の実施
14 リズム体操の実施
15 園庭・公園などでの外遊びの実施頻度
16 幼児教育の有無
(b)子供の健康・安全管理に関する指標
17 園児の日々の管理記録の実施
18 園児に対する定期健康診断・身体測定の実施
園児の在園時間中の怪我・事故の状況に関する保護者への
19 説明の実施
20 保育士と保護者の間の連絡帳の実施
21 保育士同士のミーティングの実施
22 職員の定期健康診断の実施
23 嘱託医以外に提携病院を持っている
24 児童事故時の保険加入
25 保育室や園庭にカメラを設置して子供を見守り
注)**は、5%基準で有意であることを示す。
0.99
0.99
0.99
0.88
4.70
0.18
0.97
0.99
0.99
0.83
4.58
0.23
0.54
0.87
0.93
0.75
5.03
0.04
0.92
1.00
0.92
0.99
0.98
0.89
0.96
0.96
0.98
0.99
0.09
0.99
0.02
0.96
0.96
0.97
0.99
0.33
0.98
0.11
0.96
0.97
0.91
0.87
0.27
0.97
0.07
×
×
○
**
**
**
勝っていれば○) 勝っていれば○)
×
×
×
×
**
**
**
**
×
×
×
×
**
**
**
**
×
**
×
**
**
○
×
**
**
×
×
○
**
×
×
○
○
**
○
**
**
**
**
×
×
**
**
図表8-4 父母の利便性(P arent's C onvinience C haracteristics)の比較
公立認 私立認 無認可 (
a)
私立認可 (b)無認可V S (c)無認可V S
可
可
V S公立(私立が 公立(無認可が 私立(無認可が
勝っていれば○)
26
27
28
29
30
31
32
33
34
35
駅からの近さ
営業時間の長さ
延長保育時間の遅さ
休日保育の有無
病後児保育の有無
父母との懇談会・
面談会の実施(
平日)
頻度
面談会・
懇談会の休日(
土曜日)
実施
育児支援センター・
育児支援・
育児相談を実施している
保護者からの苦情処理窓口の設置
保護者との連絡は、Eメールで可能
注)**は、5%基準で有意であることを示す。
23.18
10.98
18.48
0.02
0.00
0.91
0.21
0.65
0.61
0.09
22.62
11.67
18.87
0.05
0.02
0.92
0.45
0.63
0.81
0.24
12.09
12.70
19.71
0.14
0.17
0.62
0.53
0.38
0.37
0.20
○
○
○
○
**
**
**
**
○
**
○
○
**
**
勝っていれば○) 勝っていれば○)
×
○
○
○
○
×
○
×
×
○
**
**
**
**
**
**
**
**
**
**
×
○
○
○
○
×
**
**
**
**
**
**
×
×
**
**
図表8-5 その他サービス(O ther C haracteristics)の比較
公立認 私立認 無認可 (
a)
私立認可 (b)無認可V S (c)無認可V S
可
可
V S公立(私立が 公立(無認可が 私立(無認可が
勝っていれば○)
36
37
38
39
40
障害児保育の有無
緊急・
一時保育の有無
休日に園庭を地域住民などへ開放している
外国人の保育児童を入所している
インターネットのホ ー ム ヘ ゚ー ジの開設
注)
**は、5%基準で有意であることを示す。
0.58
0.27
0.18
0.59
0.29
0.49
0.31
0.23
0.58
0.39
0.15
0.40
0.04
0.57
0.42
勝っていれば○) 勝っていれば○)
×
○
○
**
**
**
×
○
×
**
**
**
○
**
○
**
×
○
×
**
**
**
被説明変数:ln(実運営費用)
ln(常勤保育士時給)
ln(レンタルコスト)
ln(0歳児童数)
ln(1・2歳児童数)
ln(3歳児童数)
ln(4歳以上児童数)
ln(開園時間数)
延長保育
休日保育
夜間保育
障害児保育
一時保育
病後児保育
幼児教育
サービス指標(総得点合計)
群馬
神奈川
山梨
埼玉
栃木
千葉
長野
静岡
茨城
公立ダミー
定数項
Seem ingly unrelated regression
sam ple:1005
R 2:0.7345
係数
0.211956
0.043304
0.037436
0.305617
0.157364
0.086472
0.478272
0.090428
0.203311
0.011816
0.03985
-0.06144
0.100368
-0.05109
0.005745
-0.57222
-0.2381
-0.72494
-0.62686
-0.78411
-0.54368
-0.56237
-0.47868
-0.51533
0.372451
11.72705
標準誤差
0.05923
0.025152
0.004864
0.021345
0.021534
0.014324
0.194818
0.030038
0.061508
0.134791
0.022943
0.024391
0.096607
0.034694
0.004081
0.046086
0.048157
0.063142
0.042168
0.063791
0.039493
0.050231
0.040204
0.043893
0.036347
0.632902
p値 一人変化分の限界効果
0.00
0.09
0.00
0.010479956
0.00
0.01362831
0.00
0.008352948
0.00
0.002180655
0.01
0.00
0.00
0.93
0.08
0.01
0.30
0.14
0.16
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
被説明変数:
ln(実運営費用)
ln(常勤保育士時給)
ln(レンタルコスト)
ln(0歳児童数)
ln(1・
2歳児童数)
ln(3歳児童数)
ln(4歳以上児童数)
ln(開園時間数)
延長保育
休日保育
夜間保育
障害児保育
一時保育
病後児保育
幼児教育
サービス指標(
構造的指標、総得点)
サービス指標(
発達心理学的指標、総得点)
サービス指標(
父母の利便性、総得点)
サービス指標(
その他サービス、総得点)
群馬
神奈川
山梨
埼玉
栃木
千葉
長野
静岡
茨城
公立ダミー
定数項
Seem ingly unrelated regression
sam ple:1005
R 2:0.7355
係数
0.210675
0.041337
0.037597
0.307641
0.16238
0.090308
0.476126
0.092183
0.201312
0.01326
0.017419
-0.08139
0.099974
-0.04617
0.016054
-0.01605
0.003669
0.025941
-0.56933
-0.24459
-0.72794
-0.63096
-0.79355
-0.54534
-0.56848
-0.48416
-0.51278
0.360163
11.89868
標準誤差
0.05926
0.025181
0.004874
0.021927
0.02173
0.014427
0.201518
0.031515
0.06187
0.134641
0.02693
0.02742
0.096908
0.034717
0.008489
0.010281
0.008933
0.014254
0.046093
0.04922
0.063163
0.042327
0.063972
0.039646
0.05032
0.040617
0.04396
0.037388
0.670049
p値
一人変化分の限界効果
0.00
0.10
0.00
0.010525027
0.00
0.013718539
0.00
0.00861919
0.00
0.002277394
0.02
0.00
0.00
0.92
0.52
0.00
0.30
0.18
0.06
0.119
0.681
0.069
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
0.00
原因2:安すぎる保育料(需要面)
• 費用の2割程度しか負担していない保育料。
東京都は1割以下。
• それ以外がすべて補助金によるもの。
• 幼稚園や専業主婦としての子育てに比べ、あ
るいは認可外の子育てに比べ圧倒的に不公
平が生じている。
• また、入所者は低所得者を中心にいびつな
構造。生産性の高い人々にいきわたっている
か?
イ
年齢別保育料
各歳別の保育料比較
図5
園児1人にかかる費用 月額約 39 万円
国が定める保育料(最高額)80,000 円
0歳児
墨田区保育料(最高額)57.500 円
*保護者負担額
約 20 万円
1歳児
80,000 円(最高額)
墨田区保育料(最高額)57.500 円
約 18 万円
2歳児
80,000 円(最高額)
円
墨田区保育料(最高額)57.500 円
約 11 万円
3歳児
77,000 円(最高額)
墨田区保育料(最高額)22,600 円
4・5歳児
約 10 万円
77,000 円(最高額)
平成15 年度決算時
墨田区保育料(最高額)18,000 円
50
100
150
200
250
300
350 ( 千円)
400
450
図表10-2 父母からの保育料が実際の運営費に占める割合
全体
全体
平均
最小
最大
全体
25.70%
2.50%
88.30%
公立認可
25.90%
2.50%
88.30%
私立認可
25.30%
3.80%
85.70%
首都圏
平均
最小
最大
全体
22.00%
2.50%
85.70%
公立認可
21.80%
2.50%
72.40%
私立認可
22.20%
3.80%
85.70%
東京
平均
最小
最大
全体
12.40%
2.50%
61.60%
公立認可
12.00%
2.50%
61.60%
私立認可
12.70%
3.90%
31.20%
初日在籍児童の属する世帯の階層区分
階層
区分
A
定義
徴収月額(児童単位)
3歳
未満児
4歳
以上児
3歳児
生活保護世帯
0
0
0
B
A階層を除き、前年分所得 前年度区民税非課税世
税
帯
0
0
0
C1
非課税世帯
前年度区民税均等割の
みの世帯
1,900
1,300
1,300
C2
前年度区民税所得割
5,000円未満の世帯
2,400
2,000
2,000
C3
〃
5,000円以上の世帯
3,100
2,700
2,600
D1
A階層を除き、前年分所得
3,000円未満の世帯
税
6,700
5,600
5,600
D2
課税世帯
3,000円以上~16,801円
未満の世帯
8,300
7,300
7,200
16,801円以上~30,000
円未満の世帯
9,400
9,300
9,200
30,000円以上~60,000
円未満の世帯
15,400
10,900
10,800
D5
60,000円以上~90,000
円未満の世帯
19,100
12,700
12,600
D6
90,000円以上~120,000
円未満の世帯
21,500
14,300
14,200
D7
120,000円以上~
150,000円未満の世帯
23,600
15,800
15,700
D8
150,000円以上~
180,000円未満の世帯
25,500
17,000
16,900
D3
D4
前年分の所得税課税額=
D9
180,000円以上~
210,000円未満の世帯
27,500
18,200
D10
210,000円以上~
240,000円未満の世帯
29,200
19,500
D11
240,000円以上~
270,000円未満の世帯
31,000
20,700
D12
270,000円以上~
300,000円未満の世帯
32,500
21,600
D13
300,000円以上~
330,000円未満の世帯
34,200
D14
330,000円以上~
360,000円未満の世帯
35,700
D15
360,000円以上~
390,000円未満の世帯
37,200
D16
390,000円以上~
420,000円未満の世帯
38,500
D17
420,000円以上~
450,000円未満の世帯
40,000
D18
450,000円以上~
600,000円未満の世帯
43,400
D19
600,000円以上~
750,000円未満の世帯
48,900
D20
750,000円以上~
900,000円未満の世帯
53,700
D21
900,000円以上の世帯
57,500
18,000
22,600
階層別人数(H17・6)
[合計 3591人(第1子2, 950/第2子以降641)]
階層
97(78/19)
B
459(378/81)
58(42/16)
C2
55(40/15)
D1
51(41/10)
105(82/23)
127(100/27)
D3
119(89/30)
277(227/50)
D5
267(209/58)
259(217/42)
D7
237(198/39)
213(173/40)
D9
180(150/30)
161(125/36)
D11
138(123/15)
103(84/19)
D13
97(81/16)
68(58/10)
D15
62(57/5)
37(29/8)
D17
45(39/6)
136(121/15)
D19
85(76/9)
52(46/6)
D21
103(87/16)
0
100
200
300
400
人
500
ア 保育サービス別利用者負担の比較(1人当たりの保育料の平均月額)
表5
認可保育所
認証保育所
家庭福祉員
0~2 歳児
17,238
45,000
20,000
3 歳児
11,371
39,000
―――
4~5 歳児
10,681
39,000
―――
区立幼稚園
私立幼稚園
----------
――――
---------5,700
23,200
23,200
※
認可保育所は平成16年6月の平均額である。
※
認証保育所は月極保育料の平均額である。(ただし、1所を除く)
※
家庭福祉員の基本時間は8時30分から17時まで。時間外料金は1時間 300 円。
※
私立幼稚園は各園の平均額である。
図表 10-1 認可保育所にかかる保育費用
(b)都道府県
(a)国
45 億百円
23 百億円
公
(c)市町村
費
23 百億円
1.6 兆円
(d)地方公共団体による減免
22 百億(推計)
(e)保険料徴収分
47 百億円
保
護
者
負
担
(f)地方公共団体による職員配置等の
上乗せ
注)男女共同参画会議「仕事と子育ての両立支援策に関
する専門調査会」
(第5回)厚生労働省資料より作成
図表6 負担面から見た各歳別一人当たり保育コストの模式図
(a)賃金体系と保育単価の乖離分の上乗せ
(b)配置の加
配置の加算
(c)保育単価
(d)保育料減免分
(e)実際に徴収した保育料
↑
4・
5歳児
↑
3歳児
↑
1・
2歳児
↑
0歳児
どうすればよいか
(保育料の応益化、引上げ)
• 保育料を引き上げることがもっとも手早い手
段。
• 均衡保険料は1.5万円ほどの引上げ。
• また、低所得者対策は保育料ではなく税額控
除などで行えば、ミスマッチも解消し、効率性
が増す。
• 基本的には介護と同様、応益負担原則でよ
い。認証と同様。
(公立保育所の民営化、規制緩和による供給増加)
・認証の参入促進、公設民営。幼保一元化施設。
• 保育所の最低定員制限:保育所の定員は、夜間
保育所と小規模保育所は20人、普通の保育所は
60人以上が条件である。
• 資金制限:保育所の年間事業費の12分の1以上
に相当する資金を、普通預金、当座預金等に有し
ていること。
• 施設制約:原則として、保育所の経営を行うため
に直接必要なすべての物件について所有権を有
しているか、又は国若しくは地方公共団体から使
用許可を受けていること。
• 設置主体の制限:平成12年3月までは、設置
主体は市町村と社会福祉法人に実質限定さ
れていた。
• 利益分配制限(営利企業の場合):国から受
け取る保育所運営費は、保育以外の事業に
使うことはできない。
• 財産処分制約:保育所の財産を処分(例えば
閉所)することにより収入があった場合には、
その収入の全部または一部を国庫に納付さ
せることがある。
今後予定されている規制緩和
(内閣府 規制改革・民間開放推進会議 )
• 認可保育所への民間企業の参入促進→認
可基準の見直し、特別保育実施の規制緩和
• 認定子供園
• 認可保育所と利用者の直接契約推進
• 利用者に対する直接補助方式への転換→不
公平解消、ただし財源をどうするか
育児保険構想
• もともと、山崎泰彦教授(神奈川県立保健福
祉大学)が子育て支援として、2003年に提唱。
① サービス中心の地域保険モデル:保育等のサービスを中心
に、かつ地域特性に十分に配慮した支援を進める観点から
考えられる介護保険のような市町村を保険者とする地域保
険型の制度。
② 現金給付中心の国民保険モデル:出産関連費用や児童養
育費の軽減のための現金給付に重点を置き、かつ全国一律
の支援を進める観点から考えられる年金保険のような国を保
険者とする国民保険型の制度。
③ 綜合保険モデル:育児支援を一元的に進めるという観点から
考えられる、両者の要素を一体化し各種のサービスと現金給
付を包括的に提供する綜合保険型の制度。
この場合、財源としては、現役世代が「保険料(育児支援負
担金)」を納め、それに租税負担や事業主負担を加える必要
があります。
→規制改革・民間開放推進会議第2次答申
(2005年12月)では、既存の育児支援関連
予算等を統合化したものと保険料とを財源と
する「育児保険(仮称)」を創設
→ただし、財政面などでなんらつめが行われて
いない。
→その試算として、八代、鈴木、白石論文を紹
介。
• 基本的スキーム
• 利用者への直接補助
• 介護保険と一体の保険料徴収。20歳以上か
ら徴収。
• 要保育認定
• 保険になじまないとの批判。→モラルハザー
ドはまったく問題にならない。
• 公平性の確保、質の競争の確保が出来る。
• 保育料を、医療保険同様、実質コストの3割と
する(応益負担化)。それにより、追加財源は
潜在的待機児童を考慮しても0.5兆円程度に
とどまる。
• 20歳以上の全国民からの徴収は、月額400
円程度。
保育コスト
認証
単位
認可
想定保育料
合計
月額、円
(1割負担)
0歳児
1-2歳児
3歳児
4歳児以上
総数
183,245
106,455
49,086
41,413
(3割負担)
0歳児
1-2歳児
3歳児
4歳児以上
総数
183,245
106,455
49,086
41,413
284,500
168,500
81,500
69,000
284,500
168,500
81,500
69,000
想定運営費
就業者 非就業者
合計
年額、億円
新規需要 非利用者
分
分
年額、億円
財政負担
額
(
参考)
保
育所開設
費用
年額、億円
億円
1,944
2,439
598
1,245
6,227
462
692
185
452
1,792
1,482
1,746
413
793
4,435
13,378
16,022
4,008
7,735
41,143
13,378
16,022
4,008
7,735
41,144
0
0
0
0
1
34,917
18,899
1,183
1,920
572
1,204
4,879
750
1,110
245
579
2,683
433
810
327
625
2,196
9
2,490
2,552
4,786
9,838
10
2,491
2,552
4,786
0
1
1
0
0
2
4,958
5,306