レジュメ

社会保障論講義No.2
「保育問題の経済学」
鈴木 亘
本プレゼンテーションで用いている多くの図表は、筆者が委員として分析を
担当した内閣府「保育サービス価格に関する研究会」報告書及び筆者が委
員長を努めた墨田区保育料改定委員会の報告書から用いている。
保育制度の概要
(1)施設型保育
内
認可保育所
容
広さや設備、職員の数や資格、保育内容について、国が設けた
最低基準をクリアして認可された施設。
公立認可保育所
市区町村直営なので施設が立派なところが多い。職員は公務員。
保育内容に差がない。
私立認可保育所
設備・人手などハード面の基準は公立と同じだが、保育内容は
個性があり差が大きい。
認可外保育所
自治体の助成施設
駅型保育所
事業所内保育所
ぺビーホテル等
認可保育所以外の保育施設を総称して認可外(無認可)保育所と
言う。
認証保育所、横浜保育室など、自治体が補助金を出している施
設。
厚労省の補助金を受けるモデル事業。駅前のビルなどに作られ
る。
職場に設けられる保育所。企業内保育所もあるが、院内保育所
が多い。
補助金を受けていない託児施設で 24 時間保育や一時預かりを
するものが多い。
• 認可保育所と、認可外保育所の2重構造。
• 認可保育所には、国の保育単価及び地方単
独の補助金がでており、保育料は低い。
• また、実質的な応能負担となっている。
• それに対して、認可外保育所は、応益負担で
補助金はほとんどないため、一般的に利用料
が高い仕組みである。
• 利用する場合には、市町村に対して申し込
みを行なう。
• 申し込みができる要件は、「保育に欠ける
子」という要件。
• 保育所の希望は3箇所が可能。
• それに対して、市町村の入所選考会議により
割当が行なわれる。
順
手続き
序
説明
事前相
談
1
保育所
見学
お住まいの区の保健福祉センター(地区健康福祉ステーション)に、申込方法などについての事前相談
を行うとともに、希望する保育所の様子を見学しておいてください。見学は、直接、各園にお申込みくださ
い。
入所申
2
込み
お住まいの区の保健福祉センター(地区健康福祉ステーション)に、入所希望月の前月の10日までにお
申込みください。(ただし、4月1日入所の申込みは、それよりも早い時期に別途期間を指定して受け付
けます。)
3
実態調
査
申込内容に不明な点がある場合は、訪問調査や電話確認などによる実態調査を行うことがありますの
で、あらかじめ、ご了承ください。
4
入所選
考
保育所ごとに選考会議を開催し、市の保育所入所選考基準に基づき、年齢ごとに入所選考を行います。
既に、受入れ可能な人数を超えている場合には、選考会議は開催せず、入所不承諾の決定を行います。
入所内
定
5
入所不
承諾
選考の結果、入所内定となったお子さんには、内定通知と入園前健診のご案内をします。
入所不承諾となったお子さんには、入所不承諾の決定通知をします。
入園前
健診
>入所内定となったすべてのお子さんに、健康診断を受診いただき、健康管理上又は集団生活上、保育
所への受入れが可能かの判断をさせていただきます。
健康管
7 理委員
会
入園前健診の結果、健康管理上又は集団生活上、特に注意が必要と認められた場合には、医師、保育
所関係者、行政職員などからなる健康管理委員会において、総合的な見地から入所の可否の判断をさ
せていただきます。
入所承
諾
8
入所不
承諾
入園前健診又は健康管理委員会で、入所可とされたお子さんには、入所承諾の決定通知をします。
入園前健診を経て、健康管理委員会で、入所不可とされたお子さんには、入所不承諾の決定通知をしま
す。
9 入所
入所承諾決定通知書に記載されている入所日以降、入所開始となります。
6
• 利用者は、保育料を市町村に支払う。サービ
スは、割り当てられた認可保育所から受ける。
認可保育所は、市町村から運営費を受け取
る。
• 運営費は、補助金と利用料を原資とする。
特別保育事業について
仕事等の社会的活動と子育て等の家庭生活との両立を容易にするとと
趣 旨
もに子育ての負担感を緩和し、安心して子育てできるような環境整備を
総合的に推進するため、延長保育、一時保育、地域の子育て支援等を実
施することにより、児童の福祉の向上を図ることを目的としている。
① 延長保育促進事業及び長時間延長保育促進基盤整備事業
② 一時保育促進事業
③ 乳児保育促進等事業
④ 地域子育て支援センター事業
⑤ 保育所地域活動事業
事業名
⑥ 障害児保育対策事業
⑦ 家庭支援推進保育事業
⑧ 休日保育事業
⑨ 迎保育ステーション試行事業
⑩ 駅前保育サービス提供施設等設置促進事業
⑪ 家庭的保育等事業
⑫ 認可化移行促進事業
その他の保育サービス
(3)個別型保育
保育ママ
東京都では、「家庭福祉員」と言われる制度。認定された保育者
(主に保育士、幼稚園教諭、教員、看護士など有資格者)が自宅
で保育する。3 歳以下が対象で、保育者 1 人で子供 3 人まで預か
れる。市が助成している。
ベビーシッター
ベビーシッター会社によって依頼者の自宅などに保育者が派遣
される。首都圏では、ベビーシッター会社の数も多く、いつでも
頼める状態。シッターの質や料金は会社によってさまざま。
民間保育ママ
原則として保育者の自宅で保育する。互助組織が子どもを預か
りたい会員と預けたい会員を登録し、斡旋する。
ファミリーサポート
センター
原則として保育者の自宅で保育する。市ごとに設けられたセン
ターが、地域住民に募って子どもを預かりたい会員と預けたい会
員を登録し斡旋する。地域の相互援助活動なので、主に二重保育、
病児保育、一時保育などの補完的な役割を果たしている。
[表1]保育所の定員・利用児童数等の状況(( )内は対前年比増減)平成19年
保育所数
定員
(か所)
平成18年 22,699
利用児童数
(人)
2,079,406
定員充足率
(人)
2,003,610
(%)
96.4
平成19年 22,848 (+ 149) 2,105,434 (+26,028) 2,015,382 (+11,772)
95.7 (-0.6)
うち公
立
11,603
うち私
立
11,245 (+ 394) 1,042,170 (+39,412) 1,070,800 (+34,641) 102.7 (-0.6)
(- 245) 1,063,264
(-13,384)
944,582
(-22,869)
88.8 (-1.0)
保育制度の問題点
図1 待機児童数の推移(
全国)
(
人)
60,000
52,035
50,000
45,120
40,523
40,000
32,855
30,000
51,122
48,516
39,887 39,881
39,545
33,641
32,555
34,153
41,242
42,800
46,338
35,144
28,481
25,447
26,383
24,245
21,031
20,000
16,326
10,000
1,175
0
1995年
1996年
1997年
1998年
1999年
待機児童数(従来ベース)
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
待機児童数
保育所利用児童数の増加数(対前年)
(
注)
各年4月現在。従来ベースの「
待機児数」
は、①他に入所可能な保育所があるにも関わらず第1希望の保育所に
待機している児童や②地方単独保育事業を利用しながら待機している児童--を含んでいる。
「
待機児数」
は、従来ベースから①②を除いた計数。
(
出典)
厚生労働省(
2004)
『
保育所の状況(
平成16年4月1日)
等について』
待機児童数の現状
参考資料
【年齢区分別待機児童数】
利用児童数(%)
低年 0 歳児
齢児 1~2 歳児
(2007年4月1日現在)
待機児童数(%)
84,297
(4.2%)
2,069 (11.5%)
570,457
(28.3%)
10,873 (60.7%)
3 歳以上児
1,360,628
(67.5%)
4,984 (27.8%)
全年齢児計
2,015,382 (100.0%)
17,926 (100.0%)
(人)
【
待
機
児
童
数
の
推
移
】
(注) 厚労省は2001年度に
待機児童の定義を変更。希望
する認可保育所に入れなくても、
一時的に認可外保育所などを
利用している子どもたちは待機
児童とみなさず、集計から除外
されている。
資料:厚生労働省資料
市町村別待機児童数:都市部ほど顕著
参考資料
(2007年4月1日現在)
(人)
資料:厚生労働省資料
(人)
• 待機児童問題⇒少子化、男女共同参画の最
も大きな障害。
• 保育利用者間の不公平(認可、認可外)。
• 保育所利用者とそれ以外の不公平
• 認可保育所の官業の民業圧迫により、競争
が育たない。
• 利用者の利便性の低さ、サービスの硬直性。
待機児童ゼロ作戦
• 待機児童ゼロ作戦(平成13年7月6日閣議
決定)
•
•
保育所、保育ママ、自治体単独施策、幼稚
園預かり保育等を活用し、平成14年度中に
5万人、さらに平成16年度までに10万人、
計15万人の受入児童数の増を図り、待機児
童の減少を目指す取組み。
なぜ待機児童が減少しないのか
• 供給が需要を呼ぶ「呼び水」効果。
• 失業率と同じように、潜在的待機児童数が重
要。
• 潜在的待機児童数の推計(周・大石2005、
Zhou and Oishi,2005、内閣府「保育サービ
ス価格に関する研究会」報告書2004)などに
よれば、首都圏の待機児童数は25万~65万
人
保育料
供給
均衡保育料
現実の保育料
需要
超過需要量
出所:周・大石(2005)
保育サービス需要量
表5 調査対象地域の潜在的待機率の試算値
( a) 公表待機児童数
( 人)
埼玉県
千葉県
東京都
神奈川県
首都圏合計
合計
( b) 入所児
( c) 本稿試算によ
童数
る 待機児童数Ⅰ
( 人)
( d) 潜在的待機児
童数Ⅰ( c-a)
0歳児
173
2, 045
21, 180
21, 007
1・ 2歳児
980
15, 926
25, 609
24, 629
3歳児
437
13, 034
11, 065
10, 628
0歳児
66
2, 233
17, 691
17, 625
1・ 2歳児
340
14, 843
21, 079
20, 739
3歳児
205
12, 327
8, 783
8, 578
0歳児
1, 336
8, 990
32, 016
30, 680
1・ 2歳児
4, 758
45, 110
33, 814
29, 056
3歳児
1, 087
29, 471
13, 756
12, 669
0歳児
326
3, 308
26, 468
26, 142
1・ 2歳児
1, 821
18, 432
32, 011
30, 190
3歳児
766
13, 376
13, 596
12, 830
0歳児
1, 901
16, 576
97, 355
95, 454
1・ 2歳児
7, 899
94, 311
112, 513
104, 614
3歳児
2, 495
68, 208
47, 201
44, 706
12, 295
179, 095
257, 068
244, 773
原因1:認可保育所の高コスト構造
(供給)
表2 保育コストの比較
認可・
認
可外
名称
運営主体
出典
0歳児換
算の月額
調査範囲 児童1人
当たりコ
スト(円)
認可
公営保育所
自治体
福田[2000]
全国
346,100
認可
民営保育所
主に社会福祉法人
福田[2000]
全国
223,200
認可
民営保育所
企業
内閣府[2003]
首都圏
284,633
認可外
認証保育所
企業
内閣府[2003]
首都圏
183,245
認可外
ベビーホテル等
企業
内閣府[2003]
首都圏
152,932
(参考)国基準の保育単価
(出典)白石[2004]
157,791
•
•
•
•
•
特に高い人件費
施設長は東京都では1200万と局長並み給与。
調理師も800万円以上。
福祉職の給与体系と行政職給与体系。
私立は保育単価設定が頭割り(勤続5年程度
の30歳前後の保育士を基準)のため、いびつ
な就業構造
• 認証、認可外はされにフラットな賃金
図表7-2 日給ベースでの公立認可・
私立認可別年齢・賃金プロファイル
図表7-2-1:公立認可保育所における年齢・賃金プロファイル
常勤保育士
長時間勤務非常勤保育士
短時間勤務非常勤保育士
多項式 (常勤保育士)
多項式 (長時間勤務非常勤保育士)
多項式 (短時間勤務非常勤保育士)
30,000
2
25,000
y =-5957.6+ 817.38x-5.438x
2
R = 0.5941
日給
20,000
15,000
2
y = 9589-9.6434x+0.0778x
2
R = 8E-05
10,000
2
y =-1743+ 595.85x-6.987x
2
R = 0.0185
5,000
0
15
20
25
30
35
40
年齢
45
50
55
60
65
70
図表7-2-2:私立認可保育所における年齢・賃金プロファイル
常勤保育士
長時間勤務非常勤保育士
短時間勤務非常勤保育士
多項式 (常勤保育士)
多項式 (長時間勤務非常勤保育士)
多項式 (短時間勤務非常勤保育士)
30,000
25,000
20,000
2
日給
y=1960.6+361.97x-2.362x
2
R = 0.367
15,000
2
y=8569.1+20.171x -0.0209x
2
R = 0.0013
10,000
2
y=7254.8+105.56x-1.2832x
2
R = 0.0022
5,000
0
15
20
25
30
35
40
45
年齢
50
55
60
65
70
• 公立保育所は、それ以外でも高コスト体質。
• 質が高い分は高コストでも仕方がないという
議論
• そこで、質の高さを考慮したうえでのコスト比
較を行う。
• 質はある程度高いことが確認。
• しかし、それを考慮しても20-30%ほど私立認
可に比べて高コスト。
• 公立保育所を増やそうとする限り費用面での
限界がある
原因2:安すぎる保育料(需要面)
• 費用の2割程度しか負担していない保育料。
東京都は1割以下。
• それ以外がすべて補助金によるもの。
• 幼稚園や専業主婦としての子育てに比べ、あ
るいは認可外の子育てに比べ圧倒的に不公
平が生じている。
• また、入所者は低所得者を中心にいびつな
構造。生産性の高い人々にいきわたっている
か?
イ
年齢別保育料
各歳別の保育料比較
図5
園児1人にかかる費用 月額約 39 万円
国が定める保育料(最高額)80,000 円
0歳児
墨田区保育料(最高額)57.500 円
*保護者負担額
約 20 万円
1歳児
80,000 円(最高額)
墨田区保育料(最高額)57.500 円
約 18 万円
2歳児
80,000 円(最高額)
円
墨田区保育料(最高額)57.500 円
約 11 万円
3歳児
77,000 円(最高額)
墨田区保育料(最高額)22,600 円
4・5歳児
約 10 万円
77,000 円(最高額)
平成15 年度決算時
墨田区保育料(最高額)18,000 円
50
100
150
200
250
300
350 ( 千円)
400
450
図表10-2 父母からの保育料が実際の運営費に占める割合
全体
全体
平均
最小
最大
全体
25.70%
2.50%
88.30%
公立認可
25.90%
2.50%
88.30%
私立認可
25.30%
3.80%
85.70%
首都圏
平均
最小
最大
全体
22.00%
2.50%
85.70%
公立認可
21.80%
2.50%
72.40%
私立認可
22.20%
3.80%
85.70%
東京
平均
最小
最大
全体
12.40%
2.50%
61.60%
公立認可
12.00%
2.50%
61.60%
私立認可
12.70%
3.90%
31.20%
初日在籍児童の属する世帯の階層区分
階層
区分
A
定義
徴収月額(児童単位)
3歳
未満児
4歳
以上児
3歳児
生活保護世帯
0
0
0
B
A階層を除き、前年分所得 前年度区民税非課税世
税
帯
0
0
0
C1
非課税世帯
前年度区民税均等割の
みの世帯
1,900
1,300
1,300
C2
前年度区民税所得割
5,000円未満の世帯
2,400
2,000
2,000
C3
〃
5,000円以上の世帯
3,100
2,700
2,600
D1
A階層を除き、前年分所得
3,000円未満の世帯
税
6,700
5,600
5,600
D2
課税世帯
3,000円以上~16,801円
未満の世帯
8,300
7,300
7,200
16,801円以上~30,000
円未満の世帯
9,400
9,300
9,200
30,000円以上~60,000
円未満の世帯
15,400
10,900
10,800
D5
60,000円以上~90,000
円未満の世帯
19,100
12,700
12,600
D6
90,000円以上~120,000
円未満の世帯
21,500
14,300
14,200
D7
120,000円以上~
150,000円未満の世帯
23,600
15,800
15,700
D8
150,000円以上~
180,000円未満の世帯
25,500
17,000
16,900
D3
D4
前年分の所得税課税額=
D9
180,000円以上~
210,000円未満の世帯
27,500
18,200
D10
210,000円以上~
240,000円未満の世帯
29,200
19,500
D11
240,000円以上~
270,000円未満の世帯
31,000
20,700
D12
270,000円以上~
300,000円未満の世帯
32,500
21,600
D13
300,000円以上~
330,000円未満の世帯
34,200
D14
330,000円以上~
360,000円未満の世帯
35,700
D15
360,000円以上~
390,000円未満の世帯
37,200
D16
390,000円以上~
420,000円未満の世帯
38,500
D17
420,000円以上~
450,000円未満の世帯
40,000
D18
450,000円以上~
600,000円未満の世帯
43,400
D19
600,000円以上~
750,000円未満の世帯
48,900
D20
750,000円以上~
900,000円未満の世帯
53,700
D21
900,000円以上の世帯
57,500
18,000
22,600
階層別人数(H17・6)
[合計 3591人(第1子2, 950/第2子以降641)]
階層
97(78/19)
B
459(378/81)
58(42/16)
C2
55(40/15)
D1
51(41/10)
105(82/23)
127(100/27)
D3
119(89/30)
277(227/50)
D5
267(209/58)
259(217/42)
D7
237(198/39)
213(173/40)
D9
180(150/30)
161(125/36)
D11
138(123/15)
103(84/19)
D13
97(81/16)
68(58/10)
D15
62(57/5)
37(29/8)
D17
45(39/6)
136(121/15)
D19
85(76/9)
52(46/6)
D21
103(87/16)
0
100
200
300
400
人
500
ア 保育サービス別利用者負担の比較(1人当たりの保育料の平均月額)
表5
認可保育所
認証保育所
家庭福祉員
0~2 歳児
17,238
45,000
20,000
3 歳児
11,371
39,000
―――
4~5 歳児
10,681
39,000
―――
区立幼稚園
私立幼稚園
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――――
---------5,700
23,200
23,200
※
認可保育所は平成16年6月の平均額である。
※
認証保育所は月極保育料の平均額である。(ただし、1所を除く)
※
家庭福祉員の基本時間は8時30分から17時まで。時間外料金は1時間 300 円。
※
私立幼稚園は各園の平均額である。
図表 10-1 認可保育所にかかる保育費用
(b)都道府県
(a)国
45 億百円
23 百億円
公
(c)市町村
費
23 百億円
1.6 兆円
(d)地方公共団体による減免
22 百億(推計)
(e)保険料徴収分
47 百億円
保
護
者
負
担
(f)地方公共団体による職員配置等の
上乗せ
注)男女共同参画会議「仕事と子育ての両立支援策に関
する専門調査会」
(第5回)厚生労働省資料より作成
図表6 負担面から見た各歳別一人当たり保育コストの模式図
(a)賃金体系と保育単価の乖離分の上乗せ
(b)配置の加
配置の加算
(c)保育単価
(d)保育料減免分
(e)実際に徴収した保育料
↑
4・
5歳児
↑
3歳児
↑
1・
2歳児
↑
0歳児
どうすればよいか
(保育料の応益化、引上げ)
• 保育料を引き上げることがもっとも手早い手
段。
• 均衡保険料は1.5万円ほどの引上げ。
• また、低所得者対策は保育料ではなく税額控
除などで行えば、ミスマッチも解消し、効率性
が増す。
• 基本的には介護と同様、応益負担原則でよ
い。認証と同様。
(公立保育所の民営化、規制緩和による供給増加)
・認証の参入促進、公設民営。幼保一元化施設。
• 保育所の最低定員制限:保育所の定員は、夜間
保育所と小規模保育所は20人、普通の保育所は
60人以上が条件である。
• 資金制限:保育所の年間事業費の12分の1以上
に相当する資金を、普通預金、当座預金等に有し
ていること。
• 施設制約:原則として、保育所の経営を行うため
に直接必要なすべての物件について所有権を有
しているか、又は国若しくは地方公共団体から使
用許可を受けていること。
• 設置主体の制限:平成12年3月までは、設置
主体は市町村と社会福祉法人に実質限定さ
れていた。
• 利益分配制限(営利企業の場合):国から受
け取る保育所運営費は、保育以外の事業に
使うことはできない。
• 財産処分制約:保育所の財産を処分(例えば
閉所)することにより収入があった場合には、
その収入の全部または一部を国庫に納付さ
せることがある。
表1 規制緩和の状況
①定員の弾力化(1998年実施、2001年上限撤廃)
②保育所の設置主体制限の撤廃(2000年3月)
建物の賃貸方式の許容(2000年3月)
③保育所の土地・
④小規模保育所の設置促進
保育所分園の設置容認(1998年4月)
・
認可定員の引き下げ(2000年3月)
・
⑤公設民営方式の促進
公設民営促進を規定、等(2001年)
・
⑥待機児童の多い地域での保育所設置基準の弾力化(2001年3月)
⑦短時間勤務保育士の導入の拡大
短時間勤務保育士を定数の2割まで導入(1998年)
・
同比率の規制の撤廃(2002年)
・
により作成。
保育白書 2003年』
(注)全国保育団体連絡会『
資料1
保育制度改革について
~規制改革で保育サービスの量的拡大と質の向上を図る~
平成19年12月5日
規制改革会議 重点事項推進委員会
福祉・保育・介護分野
当会議の主張①
「保育に欠ける」要件の見直し
当会議の主張②
・ 直接契約方式等の導入
・ 東京都の「認証保育所制度」の検証
会議の主張① 「保育に欠ける」要件の見直し
問題意識
児童福祉法(昭和22年制定)にうたわれている「保育に欠ける」という概念
標準的な家族の形
⇒
正
常
家族が保育
* 広辞苑・大辞林より
できない
「欠ける」:
家庭⇒「欠ける」*
完全なものの一部がこわれる。
また、そうして不完全になる。
損じる。
かわいそうな子
保護者の就労状況・形態の多様化、
社会・地域・家庭の状況が大きく変化
しているにもかかわらず、見直しが
されていない。
官が保育を
施す
共働き世帯数は、専業主婦世帯を上回り、
平成18年には53%に達している。
(男女共同参画社会白書平成19年度版より)
会議の提言
保育の対象を「保育に欠ける子」に限定している現行の要件を抜本的に見直し、
さまざまな様々な保育支援を必要としてる 子ども・保護者に、多様な保育サービスを
提供できる制度へと転換すべき。
認可保育所の入所基準
「保育所」の入所
保育所は、児童福祉法第24条で規定する「保育に欠ける児童」を保護者に代わって
保育する児童福祉施設。
【児童福祉法第24条 (要約)】
「市町村は、児童の保育に欠ける場合、保護者から申込みがあったときは、
児童を保育所において保育しなければならない。」
「保育に欠ける児童」の要件
【児童福祉法施行令第27条(要約)】
保護者が次のいずれかに該当し、保育ができ
ないと認められる場合
•
昼間の就労を常態としていること
•
妊娠中または出産後間もないこと
•
病気・けが、または心身の障害があること
•
同居の親族を介護していること
•
災害の復旧にあたっていること
•
その他、上記に類する状態にあること
(参考)入所手続き
・入所申込書に必要な書類を添付し、役所の
保育課等又は第1希望の保育所に提出
・申込書には第3希望まで書けるが、自治体ごと
に対応(第6希望まで、無制限等)
・入所できなかった場合は、自治体により差異は
あるが、概ね以下の対応
(1) 定員に余裕がないため入所できない利用者に
対しては、選考結果を文書で通知
(2) 入所申込書は申込みの日の年度中は有効で、
希望の保育所に受入枠が生じるごとに入所選考の
対象となる
保育・子育てをめぐる社会状況の変化
• 働く女性の増加(共働き世帯>片働き世帯)
• 雇用形態の変化(パート、アルバイト、派遣、深夜)と保育
ニーズの多様化(一時・深夜保育、病児・病後児)
• 子育て困難とすべての家庭への子育て支援の必要性(平成
18年度における児童虐待相談件数は全国で37,000件以上)
• 保育サービスへの多様な事業者の参入の萌芽(社会福祉
法人のみならず民間企業、NPOも)
• 子育て経験者等、地域の既存資源の潜在化
保育サービスの普遍化、量的拡大と多様化
質の向上につなげることが必要
会議の主張②
問題意識
利用者選択による直接契約方式等の導入
市区町村が、施設に対し入所児童を割り当て。
⇒ 施設間で切磋琢磨し、利用者本位でサービスを向上させようという
インセンティブが働きにくい構造になっている。
都市部を中心に、自治体独自の取組が行われている。直接契約を採用した先行事例
として、東京都「認証保育所制度」があり、待機児童の受け皿として一定の機能を
果たしている。
会議の提言
利用者が保育所を選択する直接契約方式等を導入する。
⇒ 施設が選ばれるための創意工夫をし、多様な保育ニーズに応じたきめ細かい
サービスの提供が行われるようになる。
※
低所得者層や虐待児等、配慮や緊急的対応を要するケースについては、直接契約・直接補助方式のもとでも十分に
対処可能であると考える。
都の「認証保育所制度」において、直接契約による利用者にとっての不都合や
問題が生じてないかを早急に検証すべき。
厚労省の意見
認定こども園の実施状況等を踏まえ、保育所において一体的に導入する
ことの可否について長期的に検討
認可保育所を直接契約方式にすると
現在の仕組み
申込み
改正後のイメージ
入所決定
市区町村
利用者
保育料徴収
要保育度に
応じた補助
市区町村
利用者
委託費
申込み
事業者
認定
入所決定
入所
情
報
公
開
保育料徴収
保育所
保育所
【特徴】
【特徴】
待機児童のいる地域では、利用者が
保育所を選べない
利用者が保育所を選べる
保育所側に「効率的で良いサービス」を
提供する意識が起こりにくい
多様な主体が参入し、競争で保育
サービスの幅も広がる