人事管理と フォード生産システム 2016年6月7日 人事労務管理論A(第7回目) LT1022教室 先週の復習から テイラー・システム(科学的管理法) 『工場管理』(1903)、 『科学的管理法の諸原理』(1911) → high wages and low labor costs 課業管理 task management 課業taskとは何か:公正な一日の作業量 ①大いなる課業(日々の高い課業)a large daily task ②標準的な作業条件 a standard condition ③成功した場合の高賃金 high pay for success ④失敗の場合は損失負担 loss in case of failure 2 第1原理:大いなる一日の課業 a large daily task 課業をどうやって決めるか 労働者(作業員)任せにせずに経営側が決定! 作業量、作業手順、作業人数など 方法 このための方法: 要素的時間研究elementary time study 3 第3、4原理:異率的出来高給制度 Taylor‘s differential piece rate plan 賃 金 ↑ 課業 作業量 4 第5原則:一流の労働者! 後にテイラーはもう一つの原理を加えた 課業の大きさ 課業は簡単に(怠業しながら)達成できるものではダメ 一流の労働者でなければできないほどのものでなけ ればならない 5 実施のための三つの制度的道具 「企画部」 「職能式職長制度」 「指図書制度」 6 テイラー・システムの本質 「管理」managementの確立 テイラー・システムの本質は 作業に関わる一切( ) を熟練工にまかせるのではなく経営側が決定 ⇒ ⇒ ⇒ 計画(構想、頭の労働)と実行(手の労働)の分離 熟練の解体とその管理・統制 ⇒ 7 テイラーシステムの問題点 反対闘争の高揚: 1913、14年AFLが反対決議 14年議会にホキシー委員会(公聴会) 15、17年に議会での禁止決議 AFLの4つの反対理由 ① ② ③ ④ 8 テイラー VS 労働組合 組合のテイラー批判は正しいか? 対立構造は テイラーシステム vs. 労働組合 9 テイラー・システムの意義と問題点 テイラー・システムの意義 (AFLの組織的怠業の排除に向けてではあるが) 管理(management)の確立 → だが管理の原理に無理があった → AFLや研究者からの批判 労働力の原理(適材適所主義)を取り込む → 10 人事管理の登場 (1920年代アメリカの人事管理) Personnel Management 成立の背景 ①労働運動の高揚 ②労働力不足、労働移動の激化 ③テーラーシステムに対する批判 人事管理 仕事と人間の合理的結合をめざす 11 人事管理Personnel Management 産業合理化運動 労働力の原理……電力利用には電力の原理を、 水利用には水力の原理を、 雇用部の設置と雇用管理 内容的には Munsterbergの主張…… 職務分析、適正検査、心理テストの利用・開発 12 フォードの考え方 「低価格、高賃金」 企業=奉仕の組織 → ベルトコンベアによる「移動組立法」 ①製品の ②部品の ③機械・工具の 13 フォードシステムと労働 労働の機械的化→ 労働の単純化 労働の専門(反復)化 労働の標準(規格)化 原理的には テイラー・システム + 機械化(ベルトコンベア) ・ ・ 14 福祉的労務管理?(1) 高賃金政策 一日5ドル政策 福利厚生 社会部の設置: 英語学校の創設: 年金制度、生命保険 15 福祉的労務管理?(2) 従業員代表制 年金制度、生命保険 これらの目的は何か? 1. 2. 3. 16 福祉的労務管理?(3) 温情主義的な政策 労働者の権利を認めない 良き経営者として従業員の生活を保護 ねらいは企業忠誠心とモラールの向上 フォード自身は労務管理など不要と考えていた → 結局、 17 反組合主義 オープン・ショップ攻撃: ショップとは何か: クローズドショップ制: オープンショップ制: ユニオンショップ制: 具体的には ブラック・リスト、労働スパイ、スト破り、 黄犬契約(yellow dog contract) 会社組合(company union)の育成 18 まとめてみれば テイラーとフォード主義は管理原理としては同一 作業(労働)管理 労働力の「機械的・合理的」利用に基づく能率向上 労使関係としては温情主義と反組合主義 19
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