両端単純支持梁の フィードフォワード外乱抑制制御系における 指向性

0803
両端単純支持梁の
フィードフォワード外乱抑制制御系における
指向性アクチュエータの効果
Effect of the directional actuator
on feedforward disturbance suppression control system
of a simply supported beam
○古澤 大輔(長岡技科大)
仲居 洋介(長岡技科大)
小林 泰秀(長岡技科大)
研究背景
柔軟低剛性の薄肉の構造物の振動問題
曲げ振動を抑制する制御系設計
波動吸収法
波(振動)を検出し複数の
アクチュエータで除去
波の伝播速度が
周波数に依存する
ダクト能動騒音制御
騒音(音波)を検出し
音源で抑制
波の伝播速度が
周波数に依存しない
共に1次元の波の制御である点が酷似
目的
ダクト能動騒音制御
指向性音源(音の波を制御)
・指向性音源により,無指向性よりもフィードバックパス伝達関数の
位相遅れの増加
・補償器のゲインを低くして制御入力の低減
指向性アクチュエータ
片持ち梁に適用 [西久保,2012]
(振動の波を制御)
制振の対象は片持ち梁だけではない
窓ガラスなどの周辺が支持された構造物の制振[福田,2009]
しかし,指向性アクチュエータの効果は検証されていない
片持ち梁と同様の効果を得られるか検証する
実験装置概要
Ref.
Sensor
Act.3
(制御用2)
Act.1
(外乱用)
Act.2
(制御用1)
L = 2000
z
W
u
y
u’
Err.
Sensor
指向性アクチュエータの概要
Ld
Act.1
u'
w
Act.3
y
Ref.
Sensor
Case A
無指向性
アクチュエータ
u’(t) = 0
e  sT
d
Controller
Case B
指向性
アクチュエータ
u’(t) = -u(t-τd)
u
Act.2
z
Err.
Sensor
Ld
τd 
c
τd :むだ時間
Ld :アクチュエータ間距離
c :波の伝播速度
実験装置の概観
Act.1
Act.3
Ref.
Sensor
富士セラミックス
C-6
幅35×長さ40×厚み0.5
Act.2
RS
ゲージ長8
Err.
Sensor
固定部
歪ゲージ
圧電素子
物理モデルの導出
Z0
ZSensor
ZAct.
ZL
xAct.
xSensor
xL
 4 x, t 
 2 x, t 
 2 x, t 
梁をEuler-Bernoulli梁と
EI
T
 A
0
4
2
2
仮定した運動方程式
x
x
t
T
z
(
x
)

[


(
x
)

(
x
)
m
(
x
)
/
EI
q
(
x
)
/
EI
]
状態ベクトル
 (x ):たわみ  (x ):傾き角 m(x):曲げモーメント q (x ):せん弾力
境界条件 支持端:  (0)  m(0)  0
EI
伝達マトリクス法より
M (x) :運動方程式,状態ベクトル
z ( L)  M ( L) z (0)  M ( L  x Act. )Δ( x Act. )
より導かれる伝達マトリクス
各伝達関数は  ( xSensor ) /  ( x Act. ) で表現される
物理モデルとの比較
T=0[N] T=2.1[N]
両端単純支持梁とみなせる.
フィードバックパス伝達関数 Gyu
開ループ系に与える効果
Bode Diagram
Ma gni t ud e (d B )
-20
-40
-60
Ref.
sensor
-80
u’ Act.3
-3600
0
10
P ha se (d eg)
2( L  lu )
c(ω)
遅れ時間
τd 
-720
-2880
τ(ω) 
L
0
-2160
Act.2
lu
-100
720
-1440
Case A
Case B
Case A Case A2
Ld
 0.0264 [s]
c(4 )
4:4次共振角周波数
CaseA
CaseB
CaseA2
Case A2= Case A×e
10
1
Frequency (Hz)
 jτ(ω)
1~40[Hz]において上流
2
10 方向の進行波を抑制し,
位相遅れが増加する
設計した補償器
Bode Diagram
Magnitude (dB)
60
約30[Hz]
40
20
0
Phase (deg)
閉ループ系
-20
z
w
-40
y 180G
u
90
0
K
-90
-180
case A
G :プラント
K :補償器
case B
-270
プラントGに対して内部安定
-360
0
10
閉ループ系の H ノルムを最小化

10
1
Frequency (Hz)
Designed controller of Gyu
10
2
制御性能予測
0
-10
約30[Hz]
-30
-40
0
Case A
-2
-4
-50
-6
Case B
約20%低減
約10%低減
Magnitude (dB)
Magnitude (dB)
-20
open-loop(ca
se a )
Openloop (Case A)
Closeloop (Case A) se a )
closed-loop(ca
Openloop (Case B)
open-loop(ca
se b)
Closeloop
(Case
B)
closed-loop(ca se b)
-60
-8
-10
-12
-14
-16
-18
-70
0
10
10
1
10
1.44
10
1.46
10
1.48
10
F requency (Hz)
F requency (Hz)
Gain characteristic from w to z
1.5
10
1.52
10
2
閉ループ系に与える効果
20
0
約30[Hz]
Case
A A
ca
se
Case
B B
ca se
Case A
Magnitude (dB)
約90%低減
-20
Case B
-40
-60
-80
-100
0
10
Case B はCase Aに対して
90%ほどのゲインで同等の制御性能
10
1
F requency (Hz)
Closeloop gain characteristic from w to u
10
2
結言
1.両端がピン支持の実験装置の作製
張力T=2.1[N]の時の物理モデルと実験値の共振周波数より,
両端単純支持になっていることを確認した.
2. 指向性アクチュエータが開ループ系に与える効果
低周波域において,フィードバックパス伝達関数の位相を
遅らせる効果がある.その増分は制御用アクチュエータから,
梁の支持端までの距離の2倍に相当する.
3. 指向性アクチュエータが閉ループ系に与える効果
より小さな振幅の制御入力で,同等の制御性能を得ることが
出来る.
2,3は片持ち梁や音波の場合に報告されている効果と共通である.
両端単純支持梁の場合でも指向性アクチュエータの効果を立証出来た.