論点整理(事務局試案)

論点整理(事務局試案)
資料2
1 大阪の現状と課題
○ 大阪は経済をはじめ東京に次いで成長エンジンとなるべき高いポテンシャルを持つ地域。またそのポテンシャルは市域に比重は高いとはいえ、
市域を超える広がりを持っていると考えられるのではないか。
○ しかし、近年その経済力は低下するとともに、あわせて都市としての集積力も低下してきているのではないか。
○ 長引く経済の低迷から、府民、市民の暮らしも厳しさを増しているのではないか。
○ こうした状況を打開するためには「成長」と住民生活の「安心」を支えるという両面で、大阪を再生する必要があるのではないか。
2 府・市の財政分析
○ 府、市の財政は「財政健全度(経常収支比率等)」「財政自立度(税収等)」の両面から、極めて厳しい状況が続いている。また、歳出も義務的
経費に圧迫され、将来のインフラ整備に向けた政策的支出の幅が狭まるなど、今後「成長」を担い「安心」を支えるという役割を果たすためには、低
下する財政対応力では十分とは言えないのでないか。
3 行政サービスの最適化
○ 仕分け結果から見ても、府市双方で実施している事業、施設、団体が数多く存在し、同種のサービスを提供するという「二重行政」が存在し、適
切なコスト負担で最適な行政サービスが提供されているとは言えないのでないか。
○ 市のサービスは、他の大都市と比べほぼ同水準。一方、行政コストは他の大都市と比べ高く、職員数も著しく多い状況。コストパフォーマンスを
高めていくためには、過剰な二重行政を抜本的に改めるとともに、より効率的な行政運営体制の整備が必要ではないか。
4
「統一した成長戦略」と「暮らしの充実」の必要性
これまでの分析により、
○ 大阪は、経済力の低迷、人・もの・カネの集積力のダウン、そしてそのことが自治体財政を逼迫させ、住民サービスの低下やインフラ整備や産
業政策への投資減少を招くという、悪循環(以後「マイナススパイラル」という。)に陥りつつあるのではないか。
○ 府市とも行政改革や財政健全化、二重行政の解消に向けた努力を続けているが、大阪を再生していくためには、こうした取組みだけでは限界
が生じているのでないか。
○ 大阪経済が活性化し、住民の暮らしを充実させるためには、行政として、このマイナススパイラルを転換させる取組みが必要ではないか。すな
わち、大阪が東京と並ぶ「成長」のツインエンジンとしての役割を果たせるよう府・市・民間一体となった成長戦略を描き出すとともに、住民サービス
の充実に向け、過剰な二重行政を是正するなど抜本的なサービス最適化の取り組みを進めるべきではないか。
【統一した成長戦略】
・現行制度の下、限られた財源のなか「選択と集中」という複雑な利害調整を行い、府市が戦略を共有することが可能か。
【暮らしの充実】
・二重行政の抜本的な是正などサービスの最適化は現行制度で可能か。
・現行制度が、住民から見て最適な行政運営体制といえるのか。
・住民自治の充実という観点から見ても現行制度が適切なのか。
経済力の低下
経済力の上昇
悪循環
財政悪化
好循環
集積力ダウン
財政好転
集積力アップ
5 府市のガバナンス
(1)府市におけるメカニズムと政令市制度
○ 府市には、それぞれの存置目的から次のようなメカニズムとも言うべき作用が働いているのではないか。
○ ①政令市制度という広域自治体と基礎自治体が同様の権限を持っていること、②府内における市域への集積度合いが他都市と比べ抜群であ
ることなどの大阪特有の実情がこうしたメカニズムを助長し、マイナススパイラルから大阪を抜けださせ、都市圏としての成長を確保し最適なサー
ビスを確保していく上で障害となっているのではないか。
【府市のメカニズム】
◆大阪市
大阪市の意思決定は、大阪市民の「福祉の増進を図ること」が基本。市民利益を第一に置いたガバナンス。(市議会も各行政区から選出された議員で構成)
配分のメカニズム
・・・
各行政区に均質の施設や行政サービスを行うことが基本となり、結果、施設等のフルセット主義を招き、各区の特性に
応じたサービス提供にならず、こうしたことが高コスト体質を招いているのではないか。
基礎自治体機能 ・・・ 政令市として基礎機能と広域機能が混在。しかし、基礎的自治体として市民に身近なサービス提供が優先。特に、厳し
い財政状況では、
優先のメカニズム
広域の観点から10年先20年先を見越した政策や投資よりは身近なサービスを重視した対応をせざるをえ
ないのではないか。
・・・ 広域連携においても市民利益優先が基本。したがって、WINWINの関係など利害が相手団体と一致した場合は連携が
広域連携の
メカニズム
◆大阪府
可能。
他団体への補完機能としての連携への意識は薄く、利害関係が複雑化する場合の連携は困難ではないか。
大阪府の意思決定は、府民の「福祉の増進を図ること」が基本。広域自治体として府域全体を視野に入れたガバナンス。(府議会は市内34人、市外78人)
・・・ これまで府域の均衡ある発展を基本に、政令市制度を前提に市域外重視の投資に注力してきたのではないか。
・・・ 規模が様々な市町村の補完機能やコーディネート機能に力点。大阪市を軸にした市町村間の連携やサービス確保より
配分のメカニズム
は、府の直接的補完機能を優先し、結果として、府域一体性を図れず市と市域外という二極分化構造を招いたのではな
いか。
補完機能重視の
メカニズム
・ ・ ・ 市 を 除 く 市 町 村 間 の 連 携 に は コ ー デ ィ ネ ー ト 機 能 発 揮 。市 と の 連 携 は 利害 調 整 が 可 能 な 分 野 は 一 定 成 果 が あ る が 、利 害 調 整
が困難な分野では連携が困難ではないか。
広域連携の
メカニズム
◆二重行政発生のメカニズム
○ 概ね市は市域、府は市域外という役割分担は成立しつつも、市域は昼間人口が多く集積力も高いことから、
・政令市として特定分野で本来広域自治体が担うべき機能(母都市機能)を発揮する必要があることや、
・市が府域の中心で交通網も市域に向けて放射状に形成されているという地理的特性、
・産業振興などの施策展開の対象が市域での比重が高いこと、
などから、府市の役割分担が曖昧になり、目的・対象・手段が同様の事業を展開。事業量調整などが十分なされないままに、過剰投資が発生さ
せているのではないか。
○ こうしたメカニズムを是正し、大阪再生に一体的に取り組むためには、府市の連携で解決することが可能なのか。連携には限界があり、戦略
的決定が必要な分野や複雑な利害関係が生じる分野などについて方針を一致させていくためには、府市を再編し新しい大都市制度を創設すべ
きではないか。
(2)基礎自治体機能の充実
○ 大阪市は、その規模、行政区の機能などから、「地域のことは地域で責任をもって決める」という地域主権を実現していく上で、民意の反映と
いう観点から、基礎自治体としてふさわしいと言えるのか。
○ 大阪市をはじめ大都市では、区役所機能の強化や住民参加の取組みが進められているが、こうした取組みで基礎自治体としての役割を果
たす上で十分と言えるのか。
○ 民意の反映、住民との協働、住民自治の充実という観点から、基礎自治体の最適な規模をどのように考えればいいのか。
○ また、基礎自治体における住民ガバナンスを充実するためには、公選による区長や区議会を設置すべきか。