統計学輪講:第7章 確率過程 柗 資料 P.176 確率過程の例 ~サイコロ 1秒に1回サイコロを振る 以前:確率変数 X を出る目の値としていた x1 1, x2 2, ..., x6 6 確率変数 X のとる各値の確率は常に一定 (常に1/6、時間に依らない) 確率変数 X を時間に依存する関数とする X=X(t) 1の目の出た回数を確率変数 X とする X X (t ) X 8 0.3 0.25 6 0.2 4 0.15 0.1 2 0.05 10 20 30 40 10 50 統計学輪講 7章 20 30 40 50 2 資料 P.176 確率過程の例 ~サイコロ (cont.) X (t=1) のとりうる値 x (1) とその確率 p x(1) 0, p 5 / 6 x(1) 1, p 1 / 6 X (t=2) のとりうる値 x (2) とその確率 p 1の目が出ない 1の目が出る 1の目が0回出る 1の目が1回出る 1の目が2回出る x(2) 0, p (5 / 6) (5 / 6) 25 / 36 x(2) 1, p 2 (1 / 6) (5 / 6) 10 / 36 x(2) 2, p (1 / 6) (1 / 6) 1 / 36 X (t=3) のとりうる値 x (3) とその確率 p 1の目が0回出る 1の目が1回出る 1の目が2回出る 1の目が3回出る x(3) 0, p (5 / 6)3 x(3) 1, p 3 (1 / 6) (5 / 6) 2 75 / 216 x(3) 2, p 3 (1 / 6) 2 (5 / 6) 15 / 216 x(3) 3, p (1 / 6) 3 統計学輪講 7章 125 / 216 1 / 216 3 資料 P.177 確率過程の例 ~サイコロ (cont.) 時刻 t=n における X(n) の確率分布 x 1 5 f x ( n) n C x 6 6 e.g.) t=3で1の目が2回出る確率 n x n=3, x(3)=2 p f ( x(3)) 3 C2 (1 / 6) 2 (5 / 6) 15 / 216 確率過程:確率変数 X(t)で表される確率的な現象のこと 時助変数: t 標本関数: X(t)のとりうる値 x(t) 標本関数 X(t)のとる確率が分かっていれば、確率過程は 完全に決定できる 統計学輪講 7章 4 資料 P.178~179 確率過程の例 ~ランダムウォーク コインを投げて表なら上へ、裏なら下へ移動という 動作を行う 確率変数 X は時刻 t における位置 4 2 5 10 15 20 25 30 -2 標本関数 x(t)の値 1 x ( 1 ) , 1 -4 2 x ( 2) 0 , 2 3 1 x (3) 1 3 x(n) が n=2k (k=0,1,2,…,n) の値を取る確率は k 1 1 f ( x(n)) n Ck 2 2 nk 1 n Ck 2 統計学輪講 7章 n 5 資料 P.182~183 マルコフ過程 ある時刻の状態が前の時刻の状態と関係し ているような確率過程をマルコフ過程と呼ぶ 単純マルコフ過程:直前の時刻のみに依存 i 重マルコフ過程 :いくつか前(i 個)の時刻に依存 ランダムウォークの場合は 直前の時刻のみに依存する。 つまり単純マルコフモデルである サイコロの例も同様 ※ 以降、単純マルコフ過程のみを考える 統計学輪講 7章 6 マルコフ過程 (cont.) 資料 P.183 (単純)マルコフ過程を条件付確率で表す P( X (n) an | X (n 1) an1 ) この確率を推移確率という 例) ランダムウォークの場合 時刻 t=n で x=2 の位置にいるとき、上に進む確率は 1 P ( X (n 1) 3 | X (n) 2) 2 全ての推移確率が時刻に無関係に決まっている マルコフ過程を 時間的に一様なマルコフ過程 という 統計学輪講 7章 7 資料 P.185~186 例題1 ある先生は週1度だけ講義を担当している。 ・休講した次の週は10%の確率で休講する。 ・開講した次の週は30%の確率で休講する。 全ての推移確率を求めよ [解] 休講する状態を x1,開講する状態を x2 とする。 xi から x j に推移するときの確立を pij とすると 推移確率はそれぞれ p11 P( X (n) x1 | X (n 1) x1 ) 0.1 p12 P( X (n) x2 | X (n 1) x1 ) 1 0.1 0.9 p21 P( X (n) x1 | X (n 1) x2 ) 0.3 p22 P( X (n) x2 | X (n 1) x2 ) 1 0.3 0.7 統計学輪講 7章 8 資料 P.186 例題1 (cont.) p11 P( X (n) x1 | X (n 1) x1 ) 0.1 p12 P( X (n) x2 | X (n 1) x1 ) 1 0.1 0.9 p21 P( X (n) x1 | X (n 1) x2 ) 0.3 p22 P( X (n) x2 | X (n 1) x2 ) 1 0.3 0.7 各推移確率を行列で表す p11 p12 0.1 0.9 P p p 0 . 3 0 . 7 22 21 この行列のことを推移行列と呼ぶ 統計学輪講 7章 9 資料 P.186 チャップマン・コルモゴロフの式 1回の推移で状態 xiから x j へ移る確率 : pij (l ) x l 回の推移で状態 xiから j へ移る確率 : pij --------- xi pir l=2 の場合 xr --------- pij p rj ( 2) pi1 p1 j pi 2 p2 j pik pkj k xj 時間 pir prj r 1 :状態 統計学輪講 7章 10 資料 P.186 チャップマン・コルモゴロフの式 (cont.) l’ 回推移した状態から l 回後の推移確率を計算する (l ') x x l’ 回の推移で iから rへ移る確率は pir ( l l ') p x l - l’ 回の推移で xrから j へ移る確率は rj チャップマン・コルモゴロフの式 pij (l ) p ( l ') i1 k p1 j ( l l ') pir prj ( l ') pi 2 p2 j ( l ') ( l l ') pik pkj ( l ') ( l l ') ( l l ') r 1 xi (l ') xj l' 統計学輪講 7章 (l ) l 11 資料 P.187 チャップマン・コルモゴロフの式 (cont.) l’=1 のとき、 ( 2) p 推移行列を用いて推移確率 ij を求める p11 p12 p1k p11 p12 p1 j p1k ( 2) ( 2) ( 2) p12 p1k p21 p22 p2 k p21 p22 p2 j p2 k p11 ( 2) ( 2) ( 2 ) p21 p2 k p21 P2 pi1 pi 2 pik : : : : ( 2) ( 2) ( 2) pk 2 pkk pk1 p p p p p p p kk k 1 k1 k 2 k2 kj kk pij ( 2) pi1 p1 j pi 2 p2 j pik pkj k pir prj r 1 統計学輪講 7章 12 資料 P.188 例題2 例題1の先生が、ある週に休講して、3週間後にも 休講する確率はいくらか 0.1 0.9 P 0.3 0.7 [解] ( 3) p11 を求めればよい。まず P 2 を計算し、 P 3 を計算する。 0.1 0.9 0.1 0.9 0.28 0.72 P 0.3 0.7 0.3 0.7 0.24 0.76 2 0.1 0.9 0.28 0.72 0.24 0.75 P 0.3 0.7 0.24 0.76 0.25 0.75 3 P 3 の1行1列目の要素が ( 3) である。 11 p 統計学輪講 7章 答え 24% 13 資料 P.188 推移の極限 (l ) l P の l をどんどん大きくしていくと、Pの各要素 pij は ある一定値に近づく 0.8 0.6 0.4 0.2 2 4 6 8 10 p11 と p21 は p1 0.25に近づく (l ) (l ) p12 と p22 は p2 0.75に近づく (l ) 統計学輪講 7章 (l ) 14 資料 P.188~189 推移の極限 (cont.) l→∞ というのは、長時間経過した後の各状態に 推移する確率を調べている p1 0.25 :長い目で見たときの、休講する確率が25% p2 0.75 :長い目で見たときの、開講する確率が75% 0.8 0.6 0.4 0.2 (別解方法) l→∞ の極限では、もう1度推移してもその状態にある確率は変 化しない 2 よって 4 6 8 10 0.1 0.9 ( p1 , p2 ) ( p1 , p2 ) 0.3 0.7 0.1 p1 0.3 p2 p1 0.9 p1 0.7 p2 p2 統計学輪講 7章 を解けばよい 15 資料 P.176~189 例題3 (まとめ) 2つの壷A,Bがあり、Aには赤球が2個、Bには白球 が2個入っている。それぞれの壷から1個ずつ球を取り 出し、交換して壷に戻す。この操作を繰り返す。 この過程における推移確率と推移の極限を求めよ 確率変数 X(t) はAの壷の中にある赤球の数とする A A A B B 統計学輪講 7章 B 16 資料 P.176~189 例題3 (まとめ) cont. 確率変数 X(t) の取り得る値は X(t)=0,1,2 この過程における各推移確率を求める 時刻 n-1 でAに赤球が入ってないときは、 時刻 n で必ず X(n)=1になる A B 時刻 n-1 でAに赤球が2個入っているときは、 時刻 n で必ず X(n)=1 になる A B P( X (n) 1 | X (n 1) 0) 1 P( X (n) 1 | X (n 1) 2) 1 時刻 n-1 でAに赤球が1個入っているときは3通りの推移がある Aから赤球、Bから白球を取り出すとき: X(n)=0 Aから白球、Bから赤球を取り出すとき: X(n)=2 Aから白球、Bから白球を取り出すときか Aから赤球、Bから赤球を取り出すとき: X(n)=1 統計学輪講 7章 A B 17 資料 P.176~189 例題3 (まとめ) cont. A B Aから白球、Bから赤球を取り出すとき X(n)=0 P ( X (n) 2 | X (n 1) 1) 1 1 1 2 2 4 B A B A B or A Aから赤球、Bから白球を取り出すとき X(n)=2 1 1 1 P ( X (n) 0 | X (n 1) 1) 2 2 4 A Aから赤球、Bから赤球を取り出す、または Aから白球、Bから白球を取り出すとき X(n)=1 P( X (n) 1 | X (n 1) 1) B 1 1 1 1 1 2 2 2 2 2 統計学輪講 7章 18 資料 P.176~189 例題3 (まとめ) cont. それぞれの推移確率を推移行列にまとめる X(n) 0 X(n-1) 1 2 0 1 2 0 1 0 0 1 4 0 1/4 1/2 1/4 0 1 0 1 12 1 0 1 4 0 この過程は直前の状態のみに依存する。 つまり単純マルコフ過程である さらに時刻 n においても推移確率が一様である。 つまり時間的に一様なマルコフ過程である 統計学輪講 7章 19 資料 P.176~189 例題3 (まとめ) cont. 球を取り出す操作を何回も繰り返した後の 推移確率を計算する。 つまりこの過程の推移の極限を計算する。 赤球が1個もない確率を p0 、 1個ある確率を p1 、 2個ある確率を p2 とする 1 0 0 ( p0 , p1 , p2 )1 4 1 2 1 4 ( p0 , p1 , p2 ) 0 1 0 を解く 1 2 1 [答] p0 6 , p1 3 , p2 6 統計学輪講 7章 20
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