国際文化研究Ⅰ 異文化としての日本 4 はじめに • アメリカの対日観の変化 • 〈人種主義〉について • 〈人種〉から〈文化〉へ • ベネディクト『菊と刀』 • 「語られない」ことの意味 アメリカの対日観の変化 • 『サンフランシスコ・クロニクル』紙に見る日露戦争 • 現代との戦争イメージの違い • 日本を応援するアメリカのメンタリティー • 日露戦勝から「排日」へ・・・・・・ 〈人種主義〉について • 人種主義と「敵の差別化の尺度」 • 〈文明国〉に属する者か否か • 人種的固定観念は行動の理論的根拠となり、動機となった。 • 第一次世界大戦と毒ガスの使用 • 第二次世界大戦と人種主義の跋扈(ばっこ) 「種類のまったく異なる人種」 • 太平洋戦争における人種の問題。 • クリストファー・ソーン『太平洋戦争とは何だったのか』、ジョ ン・ダワー『容赦なき戦争』など。 • 欧米連合国は日本を「種類のまったく異なる人種」「狂信的で、 理不尽で、無能で、放埓なまでに野蛮かつ残虐で」「興味深 い人種、すなわち人間とサルの中間」とみなした。 〈人種〉から〈文化〉へ 「日本占領」という転換点 • かりに日本人の「侵略性」や日本軍の「残虐性」が、つとめて 人種的―すなわち生物学的―特徴であるとすれば、戦後世 界に平和を回復するためには、日本を占領するのではなく民 族として「奴隷化」するか「滅亡」させなくてはならなくなる。だ が、「侵略性」にせよ「残虐性」にせよ、それが<人種>では なく<文化>から来ているものであるとすれば、教化し善導 することが可能となる・・・?? • ダグラス・ラミス: 日本人を欧米文化とは異質な個性を共有 する集団的存在として依然一括りにしながらも、日本人の異 質性が主として人種から文化へとシフトすることによって、改 善や変化の余地あるものとみなされるように。この ことは必 ずしも日本人に対する偏見や固定観念が是正されたことを 意味するわけではなかった。 ベネディクト『菊と刀』をめぐって • The Chrysanthemum and the Sword: Patterns of Japanese Culture, (Houghton Mifflin, 1946) 『菊と刀』の‘topsy-turvydom’ • アメリカはヨコ社会、日本はタテ社会 • アメリカは合理的、日本は感情的 • アメリカは個人主義、日本は団体主義 • アメリカは罪の文化、日本は恥の文化… 『菊と刀』の‘topsy-turvydom’ • 日本と欧米との文化差の強調 • 歴史的・政治的背景の黙殺 • 社会的・経済的背景の黙殺 • 文化的必然としての開戦と敗戦 • 人種主義の超克 「語られない」ことの意味 • さまざまな日本文化の特異性(欧米文化との差異)。 しかし、あったであろう共通点はいっさい語られない。 • なぜ語られなかったのか? • 「語られない」ことの意味とは? 「語られない」ことの意味 • • サイード「一見中立性を装った語り口にもかかわら ず、没価値的=価値判断排除的なものではない」…。 そこでは、「文化相互間の相違」は、「文化と文化と を引き離す戦線を創出するものとして、…他者の統 御、封じ込め、さもなければ統治へと誘うもの」であ る。 オリエンタリズムの正体 「語られない」ことの意味 • サイード「文化的言説と文化的交換とに関連して、 それらが文化の内部に流通させているものはたい ていの場合『真実』ではなく表象[=イメージ・代替]な のだ、という事実」。
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