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失神
Syncopeとは
脱力を伴う一過性の意識障害で、数分のうちに完全に
意識回復するもの。
5分以上回復にかかるもの、完全にはっきりしていない
ものに関しては意識障害。
機序
何らかの原因により、脳血流の35%以上の減少、
あるいは血流途絶5~10秒間、で失神が生じる。
①両側大脳半球の障害
②脳幹の上行網様体の障害
失神の鑑別
① 心血管性失神
② 起立性失神
③ 血管迷走神経反射性失神
④ 薬剤性失神
⑤ その他
診断がつかない失神は全体の20~30%
① 心血管性失神のポイント
絶対に見逃せない!!
60歳以上ではまず疑うこと。
予後が最も悪く、1年後死亡率 21~30%
不整脈(徐脈も頻脈も) IHD 弁疾患(AS等) 心筋症
大動脈解離 肺梗塞 などが鑑別となる。
前駆症状がない失神
失神の前の胸痛・動悸・息切れの有無を確認
労作時発症では、ASやHOCMを考える
仰臥位発症も心血管性失神が疑わしい
ホルターでは15~22%しか異常を捉えられない
① 心血管性失神のポイント
心血管性失神の要注意条項
★前駆症状がない失神
★仰臥位発症・労作時発症
★失神の前に胸痛、動悸、息切れがある
★65歳以上
★心疾患のリスクがあること
★突然死の家族歴
★心電図異常
② 起立性失神のポイント
出血・脱水・貧血など循環血液量の減少を示唆する
現病歴・理学所見をチェックすること。
⇒特にTiltテストは有効
前駆症状(起立時の気分不良・冷汗)があることが多い。
女性では妊娠⇒外妊をチェック(外妊の4%は腹痛なし)
③ 血管迷走神経反射性失神のポイント

Vasovagal syncope

situational syncope
疼痛・驚愕・怒り・排尿・排便・咳・ストレスが先行
Postprandial
hypotensionに伴う失神(高齢者で多い)
飲酒・かぜの合併で助長される。
多くは輸液のみでよくなる。
④ その他の失神での鑑別の一部
★頚動脈洞過敏症
頚動脈洞の圧迫で血管神経性に失神を誘発する
時に、髭剃り中、車のバック時など
★自律神経障害に伴う失神
DM、パーキンソン病、Shy-Drager症候群など
★鎖骨下動脈盗血症
★beauty parlor stroke syndrome
失神のワークアップ
・心電図、ハートモニター
・CBC、便潜血、血糖、電解質
・チルトテスト
心血管性を疑うとき
ホルター(15~22%で異常を捉える)
心エコー、胸部レントゲン
脳波・脳CTは、
神経学的局所症状がある時、初発の痙攣、SAH
頻回の原因不明の失神の時に施行する。
(脳CTは4%のみしか有用でない!)
失神のリスク
① 45歳以上
OESIL risk score
② 心室性不整脈の既往
① 65歳以上
③ うっ血性心不全の既往
② 心疾患の既往
④ 心電図異常
③ 前駆症状なし
リスクなし⇒4.4~7.3%死亡(1年後)
3~4個 ⇒57.6~80.4%
④ 心電図異常
なし ⇒ 死亡率0%
1ポイント
2ポイント
3ポイント
4ポイント
⇒
⇒
⇒
⇒
0.8%
19.6%
34.7%
57.1%