ループ管熱音響システムにおける管内圧力の可視化

31 ループ管熱音響システムにおける管内圧力の可視化
長岡技術科学大学 機械創造工学課程
1. 研究の背景
熱音響冷却システムは、冷媒なしで冷却が行える
管内の流れは進行波である方が好ましい
梅本康平 担当教員 小林泰秀 准教授
SPK1とSPK2に同相・同振幅の正弦波電圧を印加した場合の発泡スチ
ロールの浮上量が目視で最大となった位置.
管内の流れが進行波になっているか
を調べる必要がある.
複数の圧力センサを用いて確かめ
る方法があるが圧力センサでは連続
的に測ることができない.
本研究では連続的に,管内
の圧力を調べることを目的
としている.
図7 浮上位置(1次) 図8 浮上位置(2次)
図9 浮上位置(3次)
物理モデルにより算出した粒子速度分布.
量スピーカー
SPK1のみ
http://ctt.doshisha.ac.jp/contents.html
熱音響技術研究センター
渡辺 好章 坂本 眞一
図1 ループ管熱音響冷却システム
2. 実験装置
SPK1
3.638
0.585
SPK2
0
1.306
2.340
MIC1
MIC2
図2 実験装置
発泡スチロール(φ3mm)を静止時に最深部6mm程度になるよ
うに入れる.
発泡スチロールは共振周波数で浮上する.(粒子速度の腹,
圧力の節).
図10 1次共振での粒 図11 2次共振での粒 図12 3次共振での粒
子速度(物理モデル)
子速度(物理モデル) 子速度(物理モデル)
・発泡スチロール浮上のピークと物理モデルの粒子速度の
腹の位置が一致
発泡スチロールの浮上によるループ管内圧力の可視化結果は
妥当である.
・SPK1側
SPK1
SPK2
進行波
SPK2側
とおく
図13 進行波の向きと位相差
可視化した結果,ループ管全体で発
泡スチロールが浮上した.
位相差
=302deg.122deg.
図3 粒子速度の節
図4 粒子速度の腹
周波数応答実験結果および共振での発泡スチロールの浮上位
置をそれぞれ物理モデルと比較することで可視化の妥当性の検
討を行った.
ループ管内にスタックが入っている場合と入っていない場合の周波数
応答実験結果.
3. 実験結果
発泡スチロールが入っている場合と入っていない場合の周波数
応答実験結果と物理モデル.
周波数応答の
物理モデル
図14 SPK1からMIC1までの周波
数応答実験結果(スタックあるなし)
図15 SPK1からMIC2までの周波
数応答実験結果(スタックあるなし)
SPK1のみ鳴らした場合の可視化結果.
図5 SPK1からMIC1までの周波
数応答実験結果
図6 SPK1からMIC2までの周波
数応答実験結果
1次が下がっているの
に対して2次に変化が
ない.
粒子速度が速いとこ
図16 浮上位置(1次, 図17 浮上位置(2次,
ろでスタックにより減
スタック)
スタック)
速されたため.
4. まとめ
・周波数応答実験は正しい結果が得られている.
・発泡スチロールが管内に入っている影響はほとんどない.
・発泡スチロールを使用した圧力分布可視化可能なループ管を製作した
・定在波:粒子速度の腹で浮上,進行波:管内全体的に浮上.
・スタックを粒子速度が遅いところに置くと周波数応答に影響を与えない