平成17年度 長岡技術科学大学 機械創造工学課程 課題研究 一次元ダクトの能動騒音制御系における マイクロフォンの最適配置 著者氏名 松田 章 学籍番号 02111590 指導教員 小林泰秀助手 矢鍋重夫教授 背景 ・能動騒音制御とは 騒音 制御音 マイク 一次元ダクト スピーカ 図1 能動騒音制御のシステム 自動車、ビルの空調等に実用化されている。 背景(続き) ・様々な施工状況に対応する必要あり [従来] 適応制御 (プラントモデル不要) [提案] ロバスト制御 (プラントモデル必要) → 高価 → 安価 ・マイク、スピーカの位置に制御性能が依存する [従来] 実験を繰り返して最適な位置を見つける → 設計コストが高い [提案] マイク 、スピーカの位置に依存する プラントモデルを利用 → 設計コストが低い 目的 一次元ダクトの能動騒音制御系設計を低コストに行うために、 ・リファレンスマイクの位置に依存するプラントモデルを構成し、 その有効性を検証する。 物理モデル ・リファレンスマイクの位置を決める度に、周波数応答実験を 行って求めたプラントモデルを構成する従来の手法と比較。 実験モデル 実験装置 x L=2.36[m] lz=2.33[m] lu=1.74[m] ly z … … y G w u K LPFのカットオフ周波数:500[Hz] サンプリング周期:0.2[msec] PVC管を使用(φ100[mm],全長2.36[m]) 図2 実験装置 Gzw( s) Gzu( s) G( s) Gyw( s) Gyu( s) 図3 閉ループ系 補償器設計の概要 G z y w u G <γ ∞ Δ w K d 1 z y 1/γ d w G u ∞ w G:ノミナルプラント W:重み関数 Δ:正規化された摂動(H∞ノルムが1 以下の安定な伝達関数) K 図4 ロバスト性能問題 図5 定数スケールドH∞制御問題 補償器K(s)の設計仕様: 1.任意の⊿(s)に対して閉ループ 系は内部安定。 2.閉ループ伝達関数のH∞ノルム γを最小化する。 <1 [定数スケールドH∞制御問題] 以下の条件を満たし、γを最小化する補償 器K(s)を求める。 1.閉ループ系は内部安定。 2.適当なスケーリングd(>0)が存在して、 閉ループ系のH∞ノルムが1未満。 設計結果の一例(実験モデル) γ γ リファレンスマイクの位置 ly[m] 図6 wからzまでのゲイン特性 (ly=0.035) 図7 リファレンスマイクの位置と閉 ループ系のH∞ノルム 物理モデルに基づく方法 G エラーマイク等 z y M1 M2 リファレンスマイク等 spk1等 S1 w S2 u Gd(ly,s) 一次元ダクトの伝達関数 spk2等 図8 物理モデル 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 0 - n r - 2 rnr 2 0 0 V1 (0) S 0 S V2 (0) 0 S Vr (0) Vr (lz ) 0 0 Vr (ly ) 0 0 1 i 2 ki L 0 V1 (lu ) S 0 0 V2 (lu ) S 0 0 Vr (lu ) S 0 0 0 … 2 Vi x c cos k i x L 0 … … … Gdzw(ly , s) Gdzu(ly , s) Gd (ly , s) Gdyw(ly , s) Gdyu(ly , s) 1 0 0 0 … 2 - n1 - 2 1n1 0 0 0 0 0 1 … 2 0 - n 2 - 2 2n2 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 … V1 (lz ) 0 V2 (lz ) 0 … V2 (ly ) 0 V1 (ly ) 0 ni kic S:ダクトの断面積、ρ0:媒体の密度、ζi:減衰係数、r=20、音速:c=343[m/s] ※使用した周波数応答実験結果:ly=0.035、2.215[m] 物理モデルの同定(減衰係数) エラーマイク等 z M1 y M2 ly1 0.035 [m] G Gd(ly,s) リファレンスマイク等 一次元ダクトの伝達関数 spk1等 S1 w S2 u spk2等 図8 物理モデル ly2 2.215 [m] y1 M 2 Gdyu(ly1, s ) S 2 u y 2 M 2 Gdyu(ly 2, s ) S 2 u Gdyu(ly 2 , s ) y2 y1 Gdyu(ly1 , s ) 求めた減衰係数 ζi=1.0~0.005 図9 減衰係数の決定(spk2) 物理モデルの妥当性の検証 Gzw Gzu Gyw Gyu 図10 周波数応答とノミナルモデル、物理モデルのBode線図(ly=0.84[m]) 物理モデルの妥当性の検証(続き) リファレンスマイクの位置と気柱の 振動モードの節が重なる周波数 f mc 2( L ly ) m 1,2,3, m=1 m=2 ly= 2.215[m] 927 [Hz] 1854 [Hz] ly= 2.09[m] 553 [Hz] 1106 [Hz] ly= 1.915[m] 354 [Hz] 707 [Hz] ly=2.215[m] ly=2.09[m] ly=1.915[m] 図11 Gyu(s)とGdyu(ly,s)のBode線図 性能評価 図12 リファレンスマイクの位置と閉 ループ系のH∞ノルム 結言 1.リファレンスマイクの位置をパラメータとして持つプラントモデル を構成する手法を提案した。 2.全てのリファレンスマイクの位置において、物理モデルのゲイン 特性、位相特性が周波数応答実験結果に概略一致した。 3.性能評価の結果を比べると物理モデルと実験モデルで違いが 大きいため、実用性を高めるために物理モデルの精度を向上 する必要がある。
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