PPT - Hiyama Strangeness Nuclear Physics laboratory

原子核物理学
--ミクロ(原子核)の世界からマクロ(宇宙)の世界まで-原子核物理学を研究することは宇宙物理に大きく
貢献する。
肥山詠美子(理研)
自己紹介
1998年
九州大学理学部物理学科
博士学位取得
高エネルギー研究所
(4年間助手として在任)
2008年4月から
九州大学
奈良女子大学
准教授
(2004年から4年間)
理化学研究所 准主任研究員
肥山ストレンジネス核物理研究室
東京工業大学 理工学研究科
連携准教授
Japan
行き方
JR池袋駅 ->東武東上線 和光市駅下車 徒歩15分
準急、急行で10分程度
東工大からは1時間程度
Wako branch
2F
Main buliding
5 PD
Y. Funaki
Y. Zhang
P. Naidon
K. Murano
T. Koike
January, 2012
New PD
J. Hu
March, 2012
A. Li
なぜ、物理を選んだの?
なぜ、原子核物理学(なんだか難しそう)を選んだの?
なぜ、理論? 理論研究者って何を研究するの?
研究者の生活って?
自分の研究を紹介しながら、説明していきましょう。
皆さんは、
どこの大学・学部に行きたいか、既に決めていますか?
私の場合:
大学だけは決めていた
九州大学。
両親から、
「実家から通える国立大学しか行ってはいけない」、
と言われていたので。
学部は高校3年の冬まで決めていなかった。
友人はどんどん決めていくので、
かなり焦ってはいたが・・・。
高校3年の12月頃
(共通1次試験の1ヶ月前)
の物理の授業で、
原子=原子核+電子
原子核の講義があった。
(このころは、原子核も共通1次
試験の物理で出題科目だった。)
電子
原子核
中性子
陽子
実際は、原子核の大きさは、
電子の軌道の大きさの
約百万分の1
原子核の様々な現象を学んだ。
しかし、今まで目に見えて
想像できた世界と違って、
目に見えないのに、なぜ、
現象を数式で表せるのか、
不思議だった。
物理の先生にいろいろと質問する。
物理の先生の回答:
入試まで時間がないので、
原子核については、分からなくても
問題を解けるように、訓練しなさい。
原子核のことを詳しく知りたければ、
大学に行って勉強しなさい。
勉強できるところは、
理学部の物理学科です。
原子=原子核+電子
電子
原子核
中性子
陽子
実際は、原子核の大きさは、
電子の軌道の大きさの
約百万分の1
・・・というわけで、
高校3年生の12月に、
やっと 学部を決めた。
なぜ、物理を選んだの?
なぜ、原子核物理学(なんだか難しそう)を選んだの?
なぜ、理論? 理論研究者って何を研究するの?
物理学科にはいろいろな研究室があります。
大学にもよりますが、九大では、4年生になったら、
卒業研究のために、研究室を選ばないといけません。
研究室を選ぶことで、
実験家か理論家になるのか自ずと決まります。
ところで、理論家ってどんなイメージ?
実験家ってどんなイメージ?
私のイメージでは、徹夜して体を使って実験
どちらかというと、体育会系?
研究室に1人で閉じこもって、何やら一生懸命考え込んで、
時々、紙と鉛筆を使って、方程式を作ったり、計算したり
している人(ちょっと暗いイメージ?)
部分的には合っています。
1人で研究はしないことが多い。
一緒に研究を行う仲間(共同研究者)がいます。
閉じこもったりしない。共同研究者のところ(全国、全世界)に
出かけて行って、研究のための議論、論文を書いたりしてます。
研究室に1人で閉じこもって、何やら一生懸命考え込んで、
時々、紙と鉛筆を使って、方程式を作ったり、計算したり
している人(ちょっと暗いイメージ?)
大きな研究所が所有している
大型計算機(スーパーコンピュータ)
を使って計算します。
パソコンよりも
桁違いに
計算パワーが
大きい
つくばの高エネルギー研究所
にあるスーパーコンピュータ
(HITACHI SR11000R)
インターネットでこのコンピュータに
つないで、計算します。
大学3年生の時に、理論家になることを選んだ。
上村正康先生の「原子核物理学」の講義を聴いて。
この授業の内容は、
原子核物理学の基礎的な知識を学ぶこと。しかし、
この講義の中に、「研究」の話を織り交ぜて下さった。
その一例(これが、私の将来の決め手になった)を紹
介しましょう。
その当時の原子核の世界でのホットな課題の一つ
ミュー粒子
核融合エネルギー生産に関する課題:
ミクロの世界の、「クーロン力が働く3粒子系
の運動方程式」を、精度良く解くことが、
当時の世界の最前線の課題の1つ。
大型計算機を使って 7桁の精度で、
答えを出すことが望まれていた。
重水素
三重水素
惑星
国際会議での同時発表: (計算時間)
アメリカのある大学 ----10時間
ソ連(現在のロシア) ----10時間
答えは
三者一致
惑星
太陽
九大(上村先生)--- たった 3分 !!
「カップラーメンにお湯を入れて待っている間に 天体力学における3体問題:
万有引力のニュートン方程式
答えが出る」?!
を解くこと。なかなか大変。
しかも、先生いわく:
「九大グループの3体計算理論は、誰でも使いやすい理論なので、
この方法をマスターすれば、早くから世界最前線の研究ができる」
私には、「世界最前線」という言葉が、
その当時、とても きらきら と輝いて見えた。
しかも、「3分」で答えを出せちゃうし、
なんだか、私も、研究がやれそうな気がした。
・・・というわけで、迷うことなく、原子核理論を選んで、
大学院に進んで、修士1年から、
3体問題の研究を行ってきています。
・・・ところで、どうやって研究者になるの?
高校3年間
大学4年間
企業などへ就職
大学院 修士課程 2年間
企業などへ就職
大学院 博士課程 3年間 (博士学位 取得)
大学の教員や研究所の研究員
(助教
准教授
教授)
しかも、先生いわく:
「九大グループの3体計算理論は、誰でも使いやすい理論なので、
この方法をマスターすれば、早くから世界最前線の研究ができる」
私には、「世界最前線」という言葉が、
その当時、とても きらきら と輝いて見えた。
しかも、「3分」で答えを出せちゃうし、
なんだか、私も、研究がやれそうな気がした。
・・・というわけで、迷うことなく、原子核理論を選んで、
大学院に進んで、修士1年から、
3体問題の研究を行ってきています。
・・・現在までに、3体計算理論をさらに発展させて、4体理論、
今年は5体問題、を含む独自の計算理論を作り上げています。
私の研究
ストレンジネス核物理
フィードバック:
不安定核物理
適用・貢献
私の研究法の発展
宇宙・天体核物理
私が発展・創り上げてきた
計算理論
「無限小変位ガウス・ローブ法」
ミュオン触媒核融合
少数粒子系物理
ハドロン物理
宇宙の歴史 と 星の一生
ストレンジネス核物理学の研究の目的の一つは、
「星の一生」を ミクロな世界
(原子核物理学の世界)から探ること。
「星の一生はどうなっているのか」
という研究の中核は、
ミクロな世界である原子核の研究が支えている。
その一角を解明し、貢献することが目的の1つ。
「星の一生」とは・・・・・。
「宇宙の歴史」、「元素の生成の歴史」についてまず簡単に説明する。
・ 宇宙は、約150億年前に、小さな高温の火の玉
の急膨張(ビッグバン)で始まった。
・ アインシュタインの一般性相対理論、その他から
・ 宇宙の温度が、時間と共にどのように冷えて行くか、
分かっている。
・ 宇宙の温度(絶対温度) と 宇宙の大きさ は
逆比例の関係。
・
ビッグバンから137億年たって、
今、宇宙空間の温度は 絶対温度3度(摂氏 マイナス270度)
(星の周りだけは温度が高いが)
・ 宇宙が始まって 1/100 秒たったころ、
宇宙の温度は10兆度、
大きさ(温度に逆比例)は、今の10兆分の3 -----太陽系の100倍位
陽子、中性子、電子、光子、ニュートリノ だけの世界だった。
温度が高く、物質や光が激しくぶつかるので、原子核(元素)は、
できてもすぐ壊れるため、まだ存在できなかった。
• 宇宙が始まって、1 秒 たつと、
温度が 100億度くらいに下がり、
粒子のスピードが落ちて、陽子、中性子が くっついて、
水素(陽子)より大きい元素(原子核)が でき始める。
• さらに膨張が進むと、粒子の出会う可能性の方が減り
くっつき難くなる。
すなわち、宇宙の膨張と元素の形成の競争になる。
・ 3分後、くっつく方が負けて、元素の形成が終わる。
結果として、
水素=約75 % 、 ヘリウム4=約 25 %、
重水素=0. 015 %、 ヘリウム3=0.001 %、
その他、質量数が 7 までの元素が微かにできる。
・ 炭素、酸素、カルシウム、鉄・・・・・・などは、宇宙の
始まりの時には出来なかった。
・ それ以後は、その比率のまま、
密度が薄くなり、
宇宙にガスや ちりのように、
広がって行った。
・ 約10億年 たつと、密度の偏りがきっかけとなって、
密度の濃いところに元素が集まり、ガス雲ができ、
さらに固まって、星ができ始める。
・ 重力で引き寄せられて、星の中心部分の温度が上がり
核融合反応が起る(1000万度くらいから)。
そのエネルギーで星が光り始める。
・ この核融合反応で、次々に、元素が合体し、中心部が
さらに高温になって、より大きい(重い)元素ができる。
・ 星の一生は、
出来た時の星全体の質量によって異なる。
1) 太陽の 約8倍 より重い星:
a) 水素・・・炭素・・・酸素・・・マグネシウム・・・
カルシウム、 ・・・・・鉄(質量数56) までの
ほとんど全ての元素が できる。
この間、1千万年~数億年:重いほど短い寿命。
b) これ以上は、核融合が進まず(エネルギーが出ず)、
星全体が収縮してつぶれ、反動で爆発的に
飛び散る。----超新星爆発。この間、1秒~100秒。
宇宙のちりとなって広がって行く。
中心部分は、中性子星かブラックホールになる。
c) 外側部分では、飛び散る時の高いエネルギーで、
鉄より重い元素が合成され、
外側部分
中心部分
宇宙に散らばって行く。
かに星雲
1054年の超新星爆発で宇宙に広がっている
中心部に中性子星がある.
2) 太陽の 約8倍 より軽い星:(太陽も含む)
・軽いため、重力エネルギーでも
中心部の温度が十分には上がらず、
水素・・・ヘリウム・・・炭素・・・酸素
(質量数16)までしか 元素が合成されない。
・ ゆっくり 「燃える」(元素合成でエネルギーを出す)
ため、寿命は長く、約 1億年~100億年。
・ 爆発は起こさず、白色倭星になり、燃え尽きて行く。
太陽は、あと50億年で燃え尽きて消えて行く。
今のを まとめると左図となる。
超新星爆発で、宇宙に散らばった
ガスやちりは、再び集まって、
軽い星か重い星になり、
軽い星はやがて燃え尽きて
白色矮星となり、重い星は、
やがて超新星爆発を起こす。
超新星爆発により、中心部分は
中性子星かブラックホールになり、
外側部分は、ガスやちりになって
宇宙に吹き飛ばされる。
ガスやちりは、再び集まって、
軽い星か重い星になり、・・・・・・・・
中性子星
中性子星
10 km
・半径10kmくらいの非常に小さい星
・ しかし、質量は太陽の1.5倍くらいある。
(角砂糖1つ分の大きさで、10億トンもある)
もっと密度が高いものは、ブラックホールになる。
ぎっしり詰まっているので、
中性子
非常に重い。
陽子
大部分は中性子
少しの陽子
電子
ハイペロン
ハイペロン
中性子星
地球上には自然には存在しない。
加速器を使って人工的に生み出す。
u
d
s
例:ラムダ粒子、
シグマ粒子
宇宙・天体物理学におけるホットな課題:
中性子星内部はどうなっているのか?
中性子
核子
陽子
力の例:万有引力、+とーが引き合う力
この研究のために、
次の 力 の研究が必要
ハイペロン
(1) 核子ー核子間力 -----良く分かっている
(2) ハイペロンー核子間力
ハイペロン-ハイペロン間力
一方、
中性子
ハイペロン
中性子-ハイペロンの間の力は?
陽子 -ハイペロンの間の力は?
陽子
最近まで、ほとんど分かっていなかった。
中性子星の研究のためには、この力の理解が不可欠。
地球上で、中性子星を人工的に造れればよいが、
それは不可能だから、替わりに・・・・・
ハイパー核
ハイペロン(Y)
陽子(p)
中性子(n)
3体
問題
p
を生成してその構造研究する。
p
n
Y
中性子 + 陽子 + ハイペロン
で構成される原子核
ハイペロン
Y
n
n
4体問題
最も基本的なハイパー核は、3粒子系、4粒子系でできている。
したがって、これらのシステムを、ミクロの世界の
3体問題、4体問題として、研究することが重要。
ハイパー核
中性子 + 陽子 + ハイペロン
で構成される原子核
世界中の様々な実験施設で
ハイパー核を生成しようという計画がなされており、
ハイパー核研究は今やホットな研究課題の一つ。
この研究が、私の研究の目玉の一つ。
ミクロの世界の
3体問題、4体問題として、
研究している。
この時間は原子核物理学の時間なので、
せっかくだから少し難しいお話をしましょう。
つまり、ミクロの世界の3体問題、4体問題とは何でしょう?
原子・分子の世界
電子
ヘリウム原子など
水素分子など
原子核
2体間に働く力(相互作用 V(r))
2体問題
3体問題
4体問題
原子・分子の世界は、電子と原子核で構成されている。
電子の質量 << 原子核の質量であり、かつ、
相互作用(クーロン力)が弱いため、良い近似解法があり、
3体問題・4体問題は、原子核の世界の3体問題・4体問題に
比べて遥かに楽に解ける。 (今、これ以上は踏み込まない)
原子核の世界
相互作用 V(r)
2体問題
3体問題
4体問題
しかし、原子核の世界では、中性子と陽子に働く相互作用
は非常に強いので、
楽な近似解法はない。
したがって、
精密に解く、適用範囲の広い方法を開発しなければならない。
原子核の世界の3体問題は組み合わせが多彩で複雑
2体問題は簡単
固く結合
緩く結合
もう1つ粒子が加わると
3体問題:複雑
固く結合
緩く結合
2つの粒子結合、1つの粒子が
緩く結合
(3通りある)
4体問題は
さらに複雑多彩
2つの、2粒子グループ に分離(3通り)
固く結合
緩く結合
3つの粒子グループ+1粒子
(4通り)
これら全ての可能性(自由度)を取り入れて、4体問題を解かなければならない
3体系のシュレーディンガー方程式の一般形
6変数の2階偏微分方程式 固有値問題
左辺の [
] の中は、運動エネルギー演算子 と
R (X,Y,Z)
ポテンシャルエネルギー演算子の和
=ハミルトニアン( H )と呼ばれる。
上式を簡略化して
r (x,y,z)
シュレーディンガー方程式
を レイリー・リッツの変分法で解き、
固有値 E と 固有関数ψ を求める。
=
未知係数 Cn と 固有値 E の決め方:
必要な積分を行うと、行列の一般化固有値問題となる 。
まず、基底関数による行列要素計算の積分を実行する。
Hin= <Φi | H | Φn >
Nin = <Φi | 1 | Φn >
次に、行列一般固有値問題を解いて、E と Cn を求める
( Hi n) - E ( Ni n ) Cn
最重要なことは、良い基底関数 Φnを用いること。
=0
信頼できるエネルギーや波動関数を得るためには、
「良い」基底関数 Φn を用いる必要がある。
良い基底関数とは?
1)様々な物理的状況を表現できる。
Hin= <Φi | H | Φn >, Nin = <Φi | 1 | Φn >
2)行列要素の計算が容易で高速。
(他にもあるが)
これらを満たす計算理論は?
その1つ: 九州大学&理研グループの理論
・九大の 「ガウス関数展開法」(1988~)→3体問題のみ
・肥山が、九大大学院時代(1996)に、さらに普遍性の
ある「無限小変位ガウスローブ法」を発案し、
・その後、さらに発展させて4体問題や
複雑な3体問題に適用できるようにした。
・理論のまとめを、招待レビュー論文として書いた。
E. Hiyama, Y. Kino and M. Kamimura,
Progress in Particle and Nuclear Physics, 51 (2003) ,
223-307.
日本物理学会誌
「解説」依頼記事
2006年1月号
3体問題の精密解法の枠組み
R1
C=1
r1
r2
R3
R2
r3
C=2
C=3
3つのヤコビ座標系を全て動員して解く
・・・・・・ シュレーディンガー方程式
・・・・ ハミルトニアン
・・・・・ 運動エネルギー演算子
波動関数を、3つのヤコビ座標(チャネルと呼ぶ)の
関数の和で表す---- 精密に解くための秘訣。
R1
C=1
r1
r2
R3
R2
C=2
r3
C=3
こうすると、3粒子がどのような配位になっても表現し易い。
一方、1つのチャネルの関数だけで表すのは無理な場合が多い。
(膨大な数の基底関数の和が必要となる)
例えば、チャネルC=3の座標の基底関数で、チャネルC=2の
r2 方向が小さく固まった配位を表現するには、膨大な和が必要。
R1
r1
C=1
r2
R2
C=2
R3
r3
C=3
各チャネルの成分関数を、各座標の基底関数
の積で展開する:
角運動量の合成(球面調和関数の合成)
この3体系基底関数を使って、
エネルギー演算子(ハミルトニアン H)の行列要素を計算する。
チャネル c=a
チャネル c=b
3体問題の最大のポイントは、
「ヤコビ座標間の変換が容易にでき、この6重積分を簡単に
実行できる基底関数」を設定すること、である。
これに適した良い例は、「九大流のガウス型基底関数」である。
(後で、「無限小変位ガウスローブ基底関数」に発展させる) 。
九大流 ガウス型基底関数(1988~)
相互作用が「中心力」であれば、
3体系の行列要素計算は(手計算、数値計算とも)、
容易に出来る。
九大グループにより、 原子核分野に適用して
大きな成果を挙げた。
(4体問題)
6変数 2階偏微分方程式(なにやら難しい式)
九州大学&理研(日本)
この 7つの理論グループの間で、
理論計算の信頼性を試すためのシビアな
国際計算テストが行われた(2001)。
論文掲載:Phys. Rev.C64 (2001), 044001.
ヘリウム4 原子核
(陽子2コ、中性子2コ から成る)
p
n
の基底状態を解く、という4体問題。
p
n
核力は、現実的核力と呼ばれる
複雑なもの(中心力、テンサー力、
スピン軌道力…..)を用いる。
ヘリウム4原子核
4He
国際テストの方法
1)[ 問題 ] 4体問題を解いて、 4He原子核
p
n
p
n
のエネルギーや波動関数を求める。それ
ぞれのグループの独自の理論を用いて解く。
2)解いた答を、2001年2月1日に、ドイツのルール大学
のGloeckle教授のもとに、一斉にEメールで知らせる。
従って、互いに別のグループの答えは知らない。
(blind calculation という)
3)直ちに、Gloeckle教授が論文にまとめ、
Physical Review誌 に投稿する。
と同時に、7つのグループは
他グループの答えを初めて知ることになる。(恐ろしい)
4He
この国際テストは、非常に厳しいものであり、ストレスが溜まる。
Happiest
Happier
全てのグループの結果が良く一致する
全てのグループの結果がバラバラとなり、
どれが良い答えか分からない
Happy
2通りの結果に割れて、
どちらが良い答えか分からない
unhappy
私を除く6つのグループの答えが一致し、
私のだけが大きく外れて怪しい
4体問題 国際ベンチマークテスト : Phys. Rev. C64 (2001), 044001
by 7 groups
①
②
4He
n
n
p
p
③
④
ヘリウム4原子核
4He
⑤
⑥
⑦
現実的核力
( AV8’ )
7グループによる国際ベンチマークテスト (2001)
4体問題における
(左表)エネルギーの一致の様子
(右図)波動関数の一致の様子
GEM
肥山
p
n
Y
p
n
Y
n
ハイペロン
これらのハイパー核を精度よく解く
比較
精密なハイパー核の実験
(高エネルギー加速器研究機構)
将来のJ-PARC実験計画
ストレンジネスを含む
原子核をどうやって
作る?=>原子核反応
比連崎先生
の仕事
中性子星を研究する
グループ
信頼性の高い相互作用を提供
この研究が大変ホットな
課題
世界中にライバルが居る。
ライバルと どこで
どうやって競争するの?
・国際会議
・論文
で、ライバルと世界の最先端を争います。
特に、国際会議は緊張する。
新しい研究の成果を発表したり、
大事な情報を交換したりするために、
世界の研究者が集まる会議(これを国際会議という)
が盛んに開かれている。
国際会議での発表(英語)で大事なこと:
参加者に、
「何が問題」であり、「何を明らかにしたのか」を
しっかりと理解させなければいけない。
当然、
自分と同じ課題を行っている研究者グループもいる。
これらのライバルの研究に比べて、
自分たちのグループが、如何にオリジナリティがあり、
優れているかを うまくアッピールする必要がある。
本当に緊張するのは、
質疑&応答の時間
ライバルとの真の戦いはここ。
論戦で負けてはいけない。ライバルは、自分たち
のグループの研究が勝っていることを、参加者に
アッピールしたいために、いじわるな質問をする
ことがある。
どんな質問もおたおたせずに、きちんと答えなけ
ればいけません。
2005年5月、ドイツのボン市での国際会議(原子核物理学)
(200人近い参加者)。
この国際会議の報告(CERN COURIER, 2005.5) に載った私の講演写真
Emiko Hiyama, from Nara Women’s University, Japan, talking
about three-and four-boy structures of S=-2 hypernuclei.
「研究をやっていて本当に良かったな」、
と思う のは どういう時?
それは、例えば、
国際会議で良い講演ができた時のあとで ・・・・・
この一杯の
ビールを飲んだ時が
至極の幸せな ひと時です。
研究、やめられません。
国際会議での発表だけでなく、
論文発表でも、
世界の最前線をめぐって ライバルと競います。
雑誌: Physical Review誌, Physical Review Letter誌 など
言語: 英語
投稿すれば、すべて掲載されるってわけじゃない。
審査があって、合格すれば、掲載される。
ちなみに、誰が論文を審査する?
世界中の経験を積んだ研究者が、
無償で(匿名で)審査を行う。
審査員をレフェリーという。
私もレフェリーをすることもある。
論文を合格させるために、
度々レフェリーと やり合ったり、
時には、「レフェリーを替えて欲しい」、
と編集長にクレームを出したり、・・・・という苦労もある。
私の研究
ストレンジネス核物理
フィードバック:
不安定核物理
適用・貢献
私の研究法の発展
宇宙・天体核物理
私が発展・創り上げてきた
計算理論
「無限小変位ガウス・ローブ法」
ミュオン触媒核融合
少数粒子系物理
ハドロン物理
これから、「ストレンジネスを含んだ原子核物理学」は
大きく発展して行くでしょう。
実験サイド:
1) 強力な加速器
2) 優れた実験技術
3) 独創的なアイデア
10年後の実験は、
大きく発展を
遂げることは確実!
理論サイド:
1) 強力なスーパーコンピュータ
2) 優れた計算理論
3) 独創的なアイデア
如何に性能の高い強力なスーパーコンピュータを作るかが、
情報科学世界の重要な目的
NECが開発した
「地球シミュレータ」
が、性能ランキング
で世界1位を
2002年6月から
2年間にわたって
死守。
しかし、
その後、4位に
転落
地球シミュレータ
ふたたび、首位奪還を目指して・・・・・
文部科学省と 理研次世代高速コンピュータ開発部が主導で
次世代スーパーコンピュータとして、
「京速計算機(ペタコン)」を開発中。
総事業費用:1000億円超
場所:神戸市ポートアイランド
ポートアイランド
現在の建設現場:2009年7月段階
理論サイド:
1) 強力なスーパーコンピュータ
2) 優れた計算理論
3) 独創的なアイデア
2012年にペタコンが稼動予定
ペタコン稼動に伴い、
4体問題だけでなく、5,6,7体問題の
計算理論が発展を遂げるでしょう。
理論も10年後は飛躍的に発展していることでしょう。
10年後は、皆さんのうち何人かは、
立派な研究者として、活躍しているかもしれません。
10年後、皆さんの中の どなたかが、
独創的なアイデアを携えて、
私と一緒に共同研究ができていることを期待して、
この講演を終わります。
ご静聴ありがとうございました。