アジアの拠点組織で人材を育てるには何が必要なのか (3)

アジアの拠点組織で人材を育てるには
何が必要なのか (3)
拠点長に求められるもの
人材マネジメントの観点から
Sept. 9, 2008
アジア人材マネジメント研究会 第三回
株式会社トランスエージェント 顧問
株式会社エイシア 代表取締役
依田 慎
前回 (Jul.11)共同研究の振り返り
「海外赴任者が高いパフォーマンスを上げる為にどんな支援が望ましいのか」
I. 双方向コミュニケーション (情報提供、迅速な意思決定、つながり感)
(1) 正確、タイムリーな情報の提供
(2) バックアップされている感覚
(3) 提案が採用(検討)される達成感
(4) 組織の指揮系統の明瞭化
(5) 本社が現場を理解した上で迅速な意思決定
(6) トラブルにぶつかった時の、迅速な対応
II. 異文化環境で生ずる不安の解消
(1) 生活環境の改善(不安、不満)の解消
(2) 心身健康不安の除去、異文化、異言語対応
III. 現場への理解、信頼
(1) 現地事情の理解
(2) エースの投入
(3) 現場を信頼し、フリーハンドを与える
海外拠点長 ≒ 経営者
・ 対外的にも対内的にも会社(組織)の顔になる
・ 意思決定の要 (意思決定の内容、意思決定のプロセス)
・ 組織運営への権限が大きい(人事、評価、報酬、教育、情報
開示、参加促進、仕事環境、業務外活動、組合の関係、他)
・ 他の駐在員に規範を与える
・ 組織の風土を左右
現地の従業員に与える影響は非常に大きい
国内では一部門の →
中間管理職
海外では一国一城の主
成功事例 (1) カルロス・ゴーン
1.積極的な発信・ビジョン・ゴール・価値観の共有
2.コミュニケーション重視 = 現場重視と
“開かれた心“
3.ダイバーシティー経営(異質から創造の信念)
4.厳しいデッドラインと必達目標の成果主義
5.アイデンティティー戦略
成功事例 (2)
門脇轟二
広州ホンダ元総経理 (’98 – ’04)
1. ホンダフィロソフィーの体現
(職場環境の配慮、三現主義、率先垂範)
2.
3.
4.
5.
社是と運営方針の共同作成と明示
平等主義 (大部屋方式、全員討論、食堂)
“ワイガヤ”と開かれた意思決定
現地文化の理解、『好きにならなければ駄目』
多様な施策が可能になりつつある
モチベーションの維持
<“お金だけ“から、価値観の多様化へ>
1.小型モーター製造M社(中国)のケース⇒ 部分移転へ
労働集約型、 最近は競争激化 離職率高い
平均より高い賃金 + 300%までのボーナス査定
自己決定部分 = 小
2.フィルム製造N社(中国)のケース
⇒ 伸長
積極的な設備投資と人材育成 離職率低い
賃金は普通(ボーナスは平均よりやや高い)、
スキルアップ支援(研修、他)、内部イベント等を重視
自己決定部分 = 大
モチベーション理論に戻って
マズロー 『欲求の5段階論』から
生理的欲求 安全に対する 社会的欲求 自我の欲求 自己実現の
欲求
欲求
空腹、性欲、睡
眠などへの欲
求
既得の生活を
集団、組織へ
保全、脅威を回 の帰属、仲間
避
からの受容
自尊心に対す
自己発展の継
る欲求、社会的 続、可能性の
地位や評判
実現、創造性
の発揮
様々な規範の混在と仕事意識
(価値観、習慣、アイデンティティーの拠り所、等)
1) 伝統的な文化
2) 近代的な価値規範
・ 時計時間
・ システム優先主義
・ 官僚主義的組織観、など
3) ポストモダン
・ 獲得型個人主義
・ 権利主張主義
・ 脱物質主義 (消費志向)
まとめ: 求められる拠点長の像
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
役割の認識
現地文化への高い関心
率先垂範
公平、公正、平等
コミュニケーション重視
本社企業文化、日本文化の理解促進
人事問題に対する見識