参考 イノベーション・マネジメント体系 2006.4 東京大学生産技術研究所 吉田 敏 イノベーションとは何か? 語源;Innovare(何かを新しくする) → 機会を新しいアイデアへと転換し、さらにそれを広く実用に供せられるように育てていく過程。 → 何か新しいものを取り入れ、既存のものを変えていく。 △技術革新 ○創新、Innovation 「新しいものを生産する、あるいは既存のものを新しい方法で生産すること」 (Schumpeter,1934) ■構成 1 イノベーション ・イノベーションとは ・イノベーションの対象(人が創るモノ) 2 変化する諸要素 2-1 イノベーションと外部環境の変化 ・制度、政策 ・産業構造 ・市場 ・経済発展とイノベーション ・人口構造・認識・知識の変化 2-2 イノベーションと内部環境の性質 ・不確定要素 ・ギャップの存在 ・破壊的イノベーションの法則 ・研究開発活動の配置 ・プロセスのマネジメント 2-3 イノベーティブな組織 ・イノベーティブな組織の構築 ・訓練と能力開発 ・組織的イノベーション 3 イノベーションの戦略 ・イノベーション・マネージメント ・アライアンス ・アーキテクチャ ・破壊的イノベーションへの対応 ・日本産業への提言 4 主要な論による検証 ・論の概説 ・実例 ・論の問題点 ・解決方法 1 イノベーション ・イノベーションとは ・イノベーションの対象(人が創るモノ) ・ イノベーションの主要テーマ; a) 連続的な変化と非連続な変化 b) 技術融合 c) 漸進的なイノベーション d) ロバストなデザイン e) 無形のイノベーション イノベーションと予測の困難性 a) 定常的な変化と破壊的な変化 b) 新規参入の優位性 c) 優れたアイデアの失敗 d) 不確実性と対処 e) 使われ方の予測の困難性 イノベーションのプロセス a) 基本的・中核的なイノベーションプロセス b) 派生的なプロセス c) イノベーションの継時的な変化・進化 d) 成功したイノベーションマネジメントの要因 e) モノの使われ方と技術開発・商品開発 Box 音楽産業の変化する性質* 変化していくコンピタンス(IBM、富士フィルム、キャノン) 無形のイノベーション(ソフト、サービス、ソリューション) 2-1 イノベーションと外部環境の変化 ・制度、政策 ・産業構造 ・市場 ・経済発展とイノベーション ・人口構造・認識・知識の変化 ・ 市場との関係性 a) 商品化と技術の発展の関係 b) 新しい市場 c) 市場の成熟度と技術の新規性 d) 製品の差別化 e) 製品の使われ方 f) イノベーションの普及の予測 g) 使われ方の予測の困難性 (時間的関係性、商品化できる技術の熟成度) (既存市場との関係性) (技術の特性とニーズの関係、技術の熟成度と製品化目標) (社会受容の予測と現実) 制度・政策とイノベーション a) 地域別イノベーションシステム b) コーポレート・ガバナンス c) 他地域からの学習 (各地域の社会的インフラ、生産・研究における能力、各地域の技術蓄積パターン) (アングロサクソン型と日本型) (技術力・生産力・組織力向上のための源泉) 競争環境 a) 競争相手への対応 b) 経済的利益の専有 (技術的リーダーと追従者ベンチマーキングの利用、市場でのポジション、学習と模倣) (技術的な強み、模倣への対応) Box ロボットの普及 東アジアの後発企業の技術戦略 規格化・標準化と一人勝ち企業(MS,インテル) 2-2 イノベーションと内部環境の性質 ・不確定要素 ・ギャップの存在 ・破壊的イノベーションの法則 ・研究開発活動の配置 ・プロセスのマネジメント ・ 技術軌道(Technology Trajectories) a) 主要な技術軌道 b) 企業のタイプと技術軌道 c) 革新的技術 d) コンピタンスと技術軌道 e) コア・コンピタンス (企業規模、製品タイプ、目的、源泉、自社内発生場所) (タイプ別;技術の源泉、イノベーションにおけるポジション、経路、プロセス) (バイオ、新素材、IT) (模倣の困難さ、複数のコンピタンス、コンピタンスの構築) (多様な技術を有する企業、コアの硬直性) 統合と学習のプロセス a) 研究開発の配置 b) イノベーションへの資源配分 c) 技術と企業戦略 d) 大企業と小企業のプロセス (グローバルとローカル、中央研究所と各事業部門) (投資効果と不確実性、大企業;知識創造・事業投資・戦略的ポジショニング) (相関関係・適合性、研究開発戦略が影響を及ぼす分野) (戦略課題別の達成可能範囲) Box 携帯電話の技術革新(商品の主要ラインに対する技術の融合・結合、使われ方の予測の困難性、技術使用と社会受容) 製品開発のグローバル化 中央研究所と他部門のリンク 2-3 イノベーティブな組織 ・イノベーティブな組織の構築 ・訓練と能力開発 ・組織的イノベーション ・ イノベーティブな組織 a) イノベーティブな組織の要素 b) リーダーシップ c) 適切な組織構造 d) 訓練と能力開発 e) イノベーションへの参画範囲 f) 効果的なチームワーク g) 外部に向けられた視点 h) 豊富なコミュニケーション i) 学習する組織 j) 組織的イノベーション Box 強いリーダーシップ 大量生産と組織構造 (適切な組織構造、キーマンの存在、創造性を生む共通理念) (新しいビジョンとリーダー、トップマネジメントによるリスク) (組織構造のタイプ ミンツバーグ) (動機付け等の補完的目的、変革の戦略的教育) (個人の能力の和、漸進的イノベーションと長期の支援) (形成プロセス;形成・攪乱・安定・稼動、多様なチームメンバー) 3 イノベーションの戦略 ・イノベーション・マネージメント ・アライアンス ・アーキテクチャ ・破壊的イノベーションへの対応 ・日本産業への提言 イノベーション・マネジメントのためのフレームワーク a) 漸進主義者の戦略 (知識の不完全性の自覚、トライ&エラー、複雑性・不確実性の認識) b) マネジメントに対する含み (分析・経験によって変化への対処法を学習、再現は不可能) c) 技術と競争力の分析 (技術軌道、コンピタンス、組織サイズ、既存製品基盤、製品と顧客の性質 継続的な知識・情報の移転) アライアンス a) 協力に関する継時的モデル b) 協力の形式 c) イノベーションのネットワーク d) 技術と組織の影響 e) 技術の持つ意義 (動機、技術、組織、アライアンスの設計、学習・フィードバック) (サプライヤー関係、下請け契約、技術のライセンス) (付加的な機会と制約、ネットワークの中のポジション、日本企業の系列) (外部からの技術獲得*、技術獲得戦略と組織・技術の特性) (技術の複雑性、技術のコード化の可能性、組織能力・組織文化) イノベーション・マネジメントへの総合的アプローチ a) マネジメントの要点 (未来は不確実、技術・市場・組織の相互作用、組織・製品特有の対処法 組織特有の学習・構造・プロセス、効果的なルーティンの探求) b) マネージすることの学習 (学習プロセスの諸要素;経験の共有、新しいコンセプト、実験、検証) c) 成功の評価手法 (パビットのフレームワーク*) Box ソニーのアライアンス リナックスの開発(ネットワークのイノベーション)* アーキテクチャ分析 未来の市場への対応(破壊的イノベーションへの対応) 日本産業への提言 4 主要な論による検証 ・論の概説 ・実例 ・論の問題点 ・解決方法 イノベーションのジレンマ a) 未来の予測の困難さ b) 破壊的で不連続な変化 c) 市場の変化や新技術の可能性の出現 d) 劇的な性能向上をもたらす新技術 e) 定常状態(持続的技術への対応)のイノベーションへの対応の危険性 → 持続的技術・破壊的技術の両面での対応、対象のバウンダリーの明確化 アーキテクチャ分析 a) アーキテクチャ概念 b) 人工物の生成過程 c) 製品のアーキテクチャ d) プロセスのアーキテクチャ e) アーキテクチャのダイナミクス f) アーキテクチャ分析の実例 g) 日本の産業分析 → 日本の弱いインテグラル型、アーキテクチャの数値化 その他 デザイン・ルール イノベーションの7つの機会 オープンイノベーション Think, Play, Do 科学と社会の相互作用(吉川弘之先生他)
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