金融政策 日本の経済と日本銀行 4年S組 城野百合子 はじめに 最近サブプライムローン問題を発端として世 界的金融不安に陥っている。 このように景気が悪化(もしくは好転)すると 必ず注目されるのが金融政策である。 金融政策がどれだけの影響力を持ち、どの ように行われているかを調べてみました・・・ もくじ Ⅰ Ⅱ Ⅲ Ⅳ Ⅵ Ⅶ 金融政策とは 日本銀行とは 金融政策の目標 金融政策の手段 金融政策と金融調節 具体例~ゼロ金利政策~ Ⅰ金融政策とは・・・ 金融政策とは、中央銀行が行う金融面から の経済政策のことである。具体的には物価 や通貨価値の安定、さらに景気対策の一環 として、金融引き締めや金融緩和を行う。 日本では中央銀行である日本銀行が行う。 Ⅱ日本銀行とは~機能と業務~ ①発券銀行として日本銀行券の発行および管 理を行う。 日本銀行法 改正前 日本銀行券の発行の発行限度 は大蔵大臣が定めることになって おり、必要な場合には、限度を超えて 銀行券を発行することができた。 その他には、日本銀行は銀行券を 発行の際、発行高と同額の保証物件を 保有することが決められていた。 改正後 日本銀行権の発行限度額に関する 規定は廃止された。 全て廃止されたことで、日本銀行券の発行高を 適正水準に管理し、銀行券の価値を 安定化させることについて、日本銀行の 金融政策こそが全面的な責任を負うこと になった。 Ⅱ日本銀行とは~機能と業務~ ②日本銀行の当座預金を使って銀行などの金 融機関同士の取引の決済を行う。つまり銀 行の銀行である。 預金取引 信用の供与・吸収 日本銀行は、主要な金融機関の ほとんどと預金取引を行っている。 これらの金融機関は日本銀行に当座預金 の口座を持ち、そうした日本銀行 の当座預金口座を用いて各金融機関の間で 必要となる資金決済を行っている。 日本銀行は、金融機関に対して 貸出や手形・債券のオペレーションにより、 信用の供与・吸収を行っている。 また、資金繰りに問題が生じた金融機関に 対して、資金供給を行う主体が他に ない場合に、中央銀行が最後の貸し手 として資金供給を行う。 Ⅱ日本銀行とは~機能と業務~ ③国庫金の出納を行う政府の銀行である。 ⅰ 国庫事務 ⅱ 国債事務 ⅲ 外国為替事務 国庫事務 国庫金とは国の資金を政府預金 として預かっているお金のこと。 国庫事務とは、国庫金の出納・経理 政府預金の管理および政府有価証券 の受払・保管などをすることをさす。 国債事務 国債事務とは、国債を 管理すること。 具体的には、国債を発行して、 登録・振替決済、国債元利金 の支払いなどを行っている。 外国為替事務 日銀は外貨を保有している。 外貨を保有することで、 急な円の上昇などで 景気に急な変動を与え経済を 混乱させないようにするためである。 金融政策の目標~物価の安定~ 物価の安定が大切なのは、それがあらゆる経済活動や国民 経済の基盤となるからだ。 市場経済においては、個人や企業はモノやサービスの価格を 手がかりにして、消費や投資を行うかどうかを決めている。 物価が大きく変動すると、個々の価格をシグナルとして個人や 企業が判断を行うことが難しくなり、効率的な資源配分が行わ れなくなる。また、物価の変動は所得配分にゆがみをもたらす。 例えば、インフレになると預金のように名目金額が固定されて いる金融資産を持っている人は、資産が実質的に目減りする ことになる。 Ⅳ金融政策の手段 金融政策の手段は3つあります。 ①公定歩合操作 ②預金準備率操作 ③公開市場操作 金融政策の手段 ①公定歩合操作 日本銀行 民間金融機関 ①公定歩合↑↓ ②市中金利↑↓ *1994年以降、金融の自由化が進められ 公定歩合と市中金利が連動しなくなったため 公定歩合操作は、銀行の預金金利に直接的影響を 与えなくなった。しかし、日銀が公定歩合操作を 行うことで、日銀の景気の現状や先行きに対する判断や それにあわせて企業がお金を借り入れるなど、 間接的な効果を生み出している。 金融政策の手段 ②預金準備率操作 金融機関は預金量に応じて強制的に一定 割合を準備金として日本銀行に預けいれる ことになっている。この日本銀行に預けいれ る資金のことを預金準備金といい、預金量 に対する預金準備金の比率を預金準備率と いう。 預金準備率操作~好況と不況~ 好況時 預金準備 率引き上げ 準備金 民間金融機関 日本銀行 不況時 預金準備率 を引き下げ 金融政策の手段 ③公開市場操作 公開市場操作とは日本銀行が金融市場で 民間金融機関に国債や手形を売買すること で、市場に資金を供給(または吸収)し、マ ネーサプライ(通貨供給量)の調節を行うこ とをいう。 公開市場操作・・・不況時 国債や手形を購入 買いオペレーション 民間金融機関 日本銀行 金融緩和対策 資金供給 公開市場操作・・・景気加熱期 国債・手形を売却 売りオペレーション 日本銀行 資金吸収 民間金融機関 金融引き締め対策 金融引締 金融緩和 不況時 公定歩合操作 公開市場操作 景気過熱時 公定歩合引き下げ 公定歩合引き上げ 貸出資金量の増加 貸出資金量の減少 買いオペレーション 市場資金の供給 預金準備率 め 預金準備率引き下げ 売りオペレーション 市場資金の吸収 預金準備率引き上げ 操作 貸出資金量の増加 貸出資金量の減少 Ⅵ 金融政策と金融調節 日本銀行の金融政策の基本的な方針は、 政策委員会の金融政策決定会合で決定される。 金融政策決定会合で方針が決まると、その方針を実現するために、 日本銀行は日々、公開市場操作(オペレーション)などを用いて 短期金融市場における資金の総量を調整する。これを金融調節という。 日本銀行は、このように公開市場操作(オペレーション)を主たる手段として、 短期金融市場の資金量を調節することによって、金融市場調節方針によって示された 短期金利(具体的には無担保コールレート(オーバーナイト物))の誘導目標を実現している。 このように形成された短期金融市場の金利が他の金融市場の金利や金融機関が 企業や個人に貸出す場合の金利などに波及し、 その結果、経済活動全体に金融政策の影響が及んでいく。 金融政策の透明性 金融政策は国民生活に大きな影響を与えうるものであるため、 日本銀行は金融政策に関する意思決定の内容及び過程を国民に 明らかにするよう努めなければならないとされている。具体的 には、金融政策決定会合の決定内容(金融市場調節方針やその 時々の金融経済情勢についての判断など)を速やかに公表する とともに、議長である総裁が記者会見を行い、決定内容の詳細 などを説明する。また、議事要旨、10年経過後には議事録を公 表し、決定に至る議論の経緯を明らかにする。また、半年ごと に「通貨及び金融調節に関する報告書」を国会に提出し説明を 行うほか、国会からの求めに応じて、総裁をはじめとする役職 員が両議院の委員会に出席し、日本銀行の政策や業務運営に関 する質疑に対して答弁を行ったりしている。 Ⅶ 具体例~ゼロ金利政策①~ ゼロ金利政策とは、超短期の銀行間の資金の貸 借りの金利を実質ゼロに近づけるという金融政 策のこと。 (銀行間の貸借りの市場はコール市場と呼ばれ、超短期とは、期間が翌日 までの期間の短いものでオーバーナイト物と呼ばれる。) その方法は、金融機関が短期資金を必要とする 時は、通常、銀行間同士でお金を貸し借りする コール市場を利用するが、日本銀行がコール市 場に資金を大量に供給して、無担保コール翌日 物(オーバーナイト物)の金利をほぼゼロに近 い状態にまで低くするというものだ。 Ⅶ 具体例~ゼロ金利政策②~ ≪ゼロ金利政策の導入≫ 1999(平成11)年2月、日本銀行は、低 迷している日本の景気を回復させるために、ゼ ロ金利政策を導入した。 ゼロ金利政策によって、銀行はただ同然で資金 を調達できるため、企業への融資がしやすくな り、景気を刺激する効果が得られた。しかし、 預貯金の金利も下がる。 Ⅶ 具体例~ゼロ金利政策③~ ≪ゼロ金利政策の解除≫ 2000(平成12)年8月、日本銀行 は、ゼロ金利政策を解除。 2000(平成12)年8月11日の政 策委員会・金融政策決定会合で、無担保 コール翌日物(オーバーナイト物)の金 利を0.25%前後で推移するよう促す ことが決まった。 米国同時多発テロ 発生 Ⅶ 具体例~ゼロ金利政策④~ ≪事実上のゼロ金利に復帰≫ 2001(平成13)年2月9日の政策委員会・金融政 策決定会合で、公定歩合が年0.5%から年0.35% に引き下げられることが決まった(13日から実施)。 無担保コール翌日物の誘導目標金利は年0.25%に据 え置かれましたが、景気悪化や株価低迷が続きデフレが 懸念されていることから、日本銀行がゼロ金利政策に復 帰することは避けられないとの見方が強まる。 2001(平成13)年3月1日には、公定歩合が年0. 35%から年0.25%に、無担保コール翌日物の誘導 目標金利が年0.25%から年0.15%に引き下げら れた。 Ⅶ 具体例~ゼロ金利政策⑤~ ≪ゼロ金利政策を解除≫ 2006(平成18)年7月14日、日 本銀行は、ゼロ金利政策の解除を決定し た。 無担保コール翌日物金利を「0.25% 前後で推移するよう促す」として、公定 歩合も年0.1%から0.4%に引き上 げることを決めた。 Ⅷ 最後に・・・ 今後しばらくの間、景気不安が起こることが 予想される。日銀の金融政策は日本の経済 を救う救済手段を打ち出すことができると思 う。 金融政策の今後の動きに注目していき たい。 参考文献 金融政策の話 黒田 野村證券用語解説 Wikipedia 日本銀行HP 晃生著 日経文庫
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