「ようだ」は

ムードⅠ
ムードとは、事態や相手に対する話し手(表現者)の判断や伝達の仕
方を表す形式。
話し手が、文をコミュニケーションの道具として使う場合、ある特定の事態の
表現だけでなく、その事態や相手に対する話し手の様々な判断・態度が同時に
表現される。
このように表現する人の判断や伝達の仕方に関係する要素が文末
(すなわち、述語に続く部分)に現れる。
a.朝早く起きる。
確言
b.朝早く起きない。
否定
c.朝早くは起きるのだ。 説明
d.朝早く起きるつもりだ。 意志
e.朝早く起きたいものだ。願望
f.朝早く起きるか?
疑問
g.朝早く起きなさい。
命令
h.朝早く起きるだろう。 推量
i.朝早く起きべきだ。
当為
うまいそばを食べたい
願望
うまいそばを食べよう
意志
うまいそばを食べなさい 命令
うまいそばを食べませんか 勧誘
うまいそばを食べ だろう 推量
ムード
1.判断の系列
2.伝達の系列
便宜的分類
判断の系列
1.断定保留
2.否定
3.説明
1.断定保留
朝早く起きるだろう。
朝早く(は)起きない。
朝早く起きるのだ。
概言とも言う
真とは断定できない場合や断定したくない場合の知識を述べる表現。
概言は、その内容によって、断定保留(だろう、まい)、証拠のある推定(らしい、
ようだ、みたいだ、はずだ)、可能性(かもしれない)、直感的確信(にちがいない)、
様態(そうだ)、伝聞(そうだ、という、とのことだ)などに分かれる。
断定保留表現
1.隣の部屋に誰かいる。
2.隣の部屋に誰かいるようだ。
1.断定または確言。
2.断定保留または証拠のある推定。
断定保留の代表的表現
だろう(でしょう)、まい
3.うまくいくだろう。
うまくいく。
断定保留
断定
北海道は今頃さぞ寒いだろう。
ここにはきっと地位の高い人が眠っていたのでしょう。
おそらく、もうオイルショックのようなことは起こるまい。
4.これでいいだろう?↗ 自分の断定保留を相手に確認してもらおうという表現。
これでいい?↗
単純な質問
断定保留表現
ようだ(みだいだ)・らしい/はずだ
証拠のある推定を表す表現
・「ようだ・らしい」は、ある判断を下す手がかりが現実に存在する
ということを表す。
・隣の部屋に誰かいるようだ。
・隣の部屋に誰かいるらしい。
判断する手がかりがあり、判断のもとになった手がかりがどのような性格のもの
であるのかによって、使い分けられる。
(5)見たところ、皆さんお疲れようですね/らしいですね。
(6)うわさでは、大統領の訪問が延期になるようだ/らしい。
「ようだ」は、自分が直接経験したこと(視覚、調査、等)に基づく直接的な
手がかりの場合。
「らしい」は、原則として間接的な経験(伝聞、他人の調査結果、等)による間接的な
手がかりの場合。
彼女は結婚しているらしかった。
みんなとても幸せに暮らしているようでした。
ある事態が過去にあったということでなく、そのような判断保留(推定)を過去に
行ったということを表す。
断定保留表現
(7)雨が降りそうだ。
(8)雨が降るそうだ。
そうだ
その様子を直接観察
伝聞の情報
自分の観察
聞いた情報
あの人は寂しそうだ。
この道路は事故が多いそうだ。
昔こんなことがよくあったという。
山田は欠席するとのことだ。
金さんの話では、先日の台風で家の庭の木が倒れたそうだ。
田中さんがあなたによろしくということです。
伝聞は、他から聞いて得た知識を自分の判断を加えず、そのまま相手に
伝える場合のムード。
否定の表現
否定表現は、肯定の事態や判断が成り立たないことを意味する。
否定には、普通体の「ない」と丁寧体の否定形は、「ません」を使う。
(9)孝子は神戸に行くといつも服を買うのに、今回は買わなかった。
(10)この服は神戸で買ったのではない。
(9)は、服を買うという出来事(事態)が起こらなかったということの表現。
(10)は、服を買ったけれども、「神戸で買った」と判断するのは正しくないという
表現。
(11)孝子は神戸で服を買った?それとも、買わなかった?
二つのタイプ
否定の表現
事態の否定
判断の否定
(12)全員が来なかった。
(13)全員が来たのではない。
全員について「来る」という事態が起こらなかった。
全員が来たという判断は事実とあわない。
(12)事態の否定 (13)判断の否定
彼らは全員行かなかった。
彼らは全員行ったのではない。
全部否定
部分否定
(13)全員が来たのではない。
肯定表現
全員が来たのだ。
説明
ある状況に対する事情や説明するということ。
説明のムードを現す形式 : のた・わけだ
(14) 忙しそうだね。
- うん、会議の資料を用意しているん(の)だ。
(15) 忙しそうだね。
- うん、会議の資料を用意している。
ある出来事の背景となる
情報がほしい
(16)孝子は突然ブレーキを踏んだ。
前方に人影のようなものが見えたのだ。
(17) 孝子は突然ブレーキを踏んだ。
前方に人影のようなものが見えた。
(18) すみません。交通渋滞に巻き込まれてしまったんです。
*説明の対象となる状況がいつも先に言葉で表されるとは限らない点