☆日本における「SOA」の状況について 最近は、以前のような「どこを見てもSOAだ」、というような状況が 少し落ち着いてきているように感じられます。 その状況をガートナーのハイプ曲線で見てみましょう。 期待度 ハイプ曲線とは右図のように技術 への‘期待度’が時間の経過と共に どう変わって行くか、その様子を示 したものです。 最初は期待が先行し、ワッと騒が れますが、その反動で一時下がり その後は回復期を経て着実に定着 して行く様子が示されます。 時間 黎明期 流行期 反動期 回復期 安定期 すべてのIT技術がこの流れに乗るわけではありませんが、基本的に SOAなどはこの流れに乗ってゆくように思われます。 (この流れにのらない技術に関しては http://www.itmedia.co.jp/enterprise/0206/17/02061788.html 『ハイプ曲線再考~ITの「墓場」を分析する 』 に興味深い分析が載っております。 ご参照下さい。 ) で、ガートナーによれば日本におけるSOAはこのハイプ曲線上で次の 位置にいるとされております。 期待度 SOA(2006.5) (出典:Gartner SOA サミット(2006) 飯島公彦氏) 黎明期 流行期 反動期 回復期 安定期 ここ1~2年間の大騒ぎの時期を過ぎ、過度の期待はその反動で下がって 行くでしょうが、今後の着実な活動により安定したアーキテクチャとして定着して 行くと思われます。 それでは、そのような方向性が現実に見えるでしょうか? 次のデータを 見てみましょう。 これは矢野経済研究所の2005年度末の年商50億円以上の日本の企業 における調査の結果です。 SOAの「導入開発を進めている」、「導入を検討している」、「導入に興味が あり情報収集をしている段階」、「導入を考えていない」、「不明」の5段階で 判定しております。 日本における SOA導入状況(2005) 導入開発(0.4%) 導入を検討(3.7%) 情報収集中 (24.6%) 考えていない (68.1%) 不明(3.2%) 出典:矢野総合研究所 プレスリリース(2006.3.15) 「SOAに関するユーザ意識調査」 「導入開発中」はグラフでは中央上部のほとんど線となってしまっている 部分です。 開発、検討をあわせても 4% 強、という数字は、昨年の騒がれている割 には実例があまり見えてこない、という状況に良く合っていると思われます。 次に2006年度のデータを見てみましょう。残念ながら、これは2005年度の 前頁のデータの調査とは別の会社の調査データのため、こまかく数字を比較 しての対比はできませんが、大きな違いは判ると思います。 貴社のSOAに対する取り組み状況は? 全社の基本アークテクチャとしてコミット 3% 選択的に対応している 16% 1年以内に対応したいと思っている 17% 出典:Forrester Research 社 セミナー(ASOCIO 2006.11.16)資料より 上にも書きましたように、数字自体の対比には意味がないかもしれませんが 実際にSOAに取り組んでいる日本企業がこの1年で大きく増加している、という 流れは間違いないといって良いでしょう。 結論として ☆ 日本におけるSOAは、期待ばかり先行していた状態を脱して 着実に企業における基本アーキテクチャとして採用されて行く 途上にある。 と言って良いと思います。 2006.12.20 (株)SRA 文責:石原
© Copyright 2024 ExpyDoc