薬物投与を行なわない 気管内挿管の実態 救命気道管理に関する前向き観察研究(JEAN-study)を利用して 東秀律1)3)、加藤之紀2)3)、千葉拓世2)3)、谷崎眞輔1)、又野秀行1)、前田重信1)、石田浩1)、長谷川耕平3)4) 1) 福井県立病院 救命救急センター 2) 公立小浜病院 救命救急センター 3) Japanese Emergency Medicine Research Alliance(JEMRA) 4) Massachusetts General Hospital on behalf of the JEMRA investigators 第39回日本救急医学会総会・学術集会 CO I 開示 筆頭発表者名: 東 秀律 • 演題発表に関連し、開示すべきCO I 関係にあ る 企業などはありません • 研究助成金 – St. Luke’s Life Science Institute Grant (Hasegawa K.) – Richard Wuerz Clinical Research Grant from Harvard Medical School (Hasegawa K.) 背景 • ER型救命救急センターにおいて筋弛緩 薬、鎮静薬など薬剤管理の面から安易 に使用出来ず、薬剤投与なしで気管内 挿管を行なわざるを得ない状況がある 目的 • 本研究の目的は救急外来、救命救急セ ンターにおける気管内挿管について、 薬剤投与の有無における成功率と合併 症率の実態を明らかにするものである 方法 Study Design • 各条件毎に合併症の発生率、挿管成功まで の試行回数について、χ二乗検定で統計学 的に検証 結果 6 フローチャート 登録症例 2778 解析対象 2710 CPA除く 1696 非外傷 1394 薬剤投与あり 952 薬剤投与なし 442 薬剤投与あり 1171 薬剤投与なし 525 外傷 302 薬剤投与あり 219 薬剤投与なし 83 CPA以外の症例全て(n=1696) 合併症あり 合併症なし 合併症発生率 薬剤投与あり 166 1005 14.18% 薬剤投与なし 68 457 12.95% p=0.5027 CPA以外の非外傷症例(n=1394) 合併症あり 合併症なし 合併症発生率 薬剤投与あり 140 812 14.71% 薬剤投与なし 57 385 12.90% p=0.3635 CPA以外の外傷症例(n=302) 合併症あり 合併症なし 合併症発生率 薬剤投与あり 26 193 11.87% 薬剤投与なし 11 72 13.25% p=0.7533 合併症の詳細 非外傷症例 1位 2位 3位 薬剤あり 食道挿管(4.52%) 低血圧(3.36%) 薬剤なし 食道挿管(5.42%) 主気管支挿管(2.04%) 嘔吐(2.04%) 外傷症例 1位 2位 主気管支挿管(1.58%) 3位 薬剤あり 低血圧(2.74%) 食道挿管(2.28%) 主気管支挿管(2.28%) 薬剤なし 食道挿管(3.61%) 主気管支挿管(1.20%) 嘔吐(1.20%) 11 • 合併症の発生率に関しては 薬剤投与の有無で統計学的 有意差なし CPA以外の症例全て(n=1696) 1回目で成功 1回目で不成功 1回目での成功率 薬剤投与あり 774 397 66.10% 薬剤投与なし 316 209 60.19% p=0.0190 CPA以外の非外傷症例(n=1394) 1回目で成功 1回目で不成功 1回目での成功率 薬剤投与あり 633 319 66.49% 薬剤投与なし 273 169 61.76% p=0.084 CPA以外の外傷症例(n=302) 1回目で成功 1回目で不成功 1回目での成功率 薬剤投与あり 141 78 64.38% 薬剤投与なし 43 40 51.80% p=0.0594 CPA以外の症例全て(n=1696) 3回目までで 成功 3回目までで 不成功 3回目までの 成功率 薬剤投与あり 1114 57 95.13% 薬剤投与なし 492 33 93.71% p=0.2323 CPA以外の非外傷症例(n=1394) 3回目までで 成功 3回目までで 不成功 3回目までの 成功率 薬剤投与あり 906 46 95.17% 薬剤投与なし 415 27 93.89% p=0.3133 CPA以外の外傷症例(n=302) 3回目までで 成功 3回目までで 不成功 3回目までの 成功率 薬剤投与あり 208 11 94.98% 薬剤投与なし 77 6 92.77% p=0.4680 • 挿管の成功率は薬剤投与 ありの方が有意に高い 19 限界 • 薬剤投与の選択に関しての交烙因子を加味 できていない • 施設間での交烙因子を加味していない • 長期的な合併症については不明 結論 • 合併症の発生率は薬剤の投与の有無で 有意差なし • 挿管の成功率は薬剤投与を行なった方が高い • 安全で迅速な挿管手技にはやはり薬剤投与を 行なうのが望ましい 謝辞 • The authors acknowledge the following research personnel at the study sites: • • • • • • • • • • • 福井大学病院 (森田浩史,永井秀哉) 福井県立病院 (東秀律,加藤之紀) 日本赤十字社和歌山医療センター (岡本洋史) 亀田総合病院 (田中研三) 国立国際医療研究センター (中尾俊一郎,阪本太吾) 名古屋掖済会病院 (坪井重樹 ) 新潟市民病院 (佐藤信宏) 公立小浜病院 (千葉拓世) 沖縄県立中部病院 (大久保雅史) 大阪済生会千里病院 (重光胤明) 湘南鎌倉総合病院 (大渕尚 ,今村太一) • We are grateful to our many emergency physicians and residents for their perseverance in pursuing new knowledge about this vital resuscitative procedure
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