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SEIB-DGVM, A Dynamic Global Vegetation Model
Using a Spatially-Explicit Individual-Based Approach
人・自然・地球共生プロジェクト 第2課題
「地球環境変化予測のための地球システム統合モデルの開発」
陸域生態系変動モデル開発チーム
佐藤永 1、伊藤昭彦 1、甲山隆司 1,2
1
海洋研究開発機構 地球環境フロンティア研究センター
2
北海道大学大学院
目次
モデルの構造
パラメーターの調整法
シミュレーション
まとめ
目次
モデルの構造
パラメーターの調整法
シミュレーション
まとめ
モデル全体の入出力
全球におけるシミュレーション方法
各グリッドボックスを、1~10の小林分(草原)で代表させる。
目次
モデルの構造
パラメーターの調整法
シミュレーション
まとめ
プロセスレベルの研究から調整した項目
光合成速度の環境依存性 (温度・CO2濃度)
呼吸速度の環境依存性 (温度)
土壌分解速度の環境依存性 (土壌温度・土壌含水率)
森林火災の発生率
…etc
SEIB-DGVMの試行実験を繰り返して調整した項目
木本の定着率と死亡率
最大光合成速度・光合成速度の水環境依存性
…etc
以下の調整方法により、植生動態と生産に関する、最も基本
的な特徴が再現できるはずである
炭素循環に関して
木
本
密
度
1
2
3
バイオマス現存量
4
5
6
成
長
速
度
1
2
3
4
5
胸高直径クラス
胸高直径クラス
植生動態に関して
生産量
サイズ構造
競争
6
調整の結果例 (寒帯性針葉常緑樹林)
実測
知床1
(1.25ha, 6yrs)
北海道東北部
(0.09ha×20)
5
800
4
600
3
400
2
200
1
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1000
5
800
4
600
3
400
2
200
1
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1000
5
800
4
600
3
400
2
200
1
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
胸高直径クラス (5cm間隔)
成
長
速
度
(mm / year)
シミュレーション
(N / ha)
知床2
(2.25ha, 6yrs)
木
本
密
度
1000
調整の結果例 (温帯性広葉常緑樹林)
実測
屋久島
(0.44ha, 5yrs)
九州南部
(0.09ha×20)
5
800
4
600
3
400
2
200
1
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1000
5
800
4
600
3
400
2
200
1
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
1000
5
800
4
600
3
400
2
200
1
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
胸高直径クラス (5cm間隔)
成
長
速
度
(mm / year)
シミュレーション
(N / ha)
霧島
(1ha, 5yrs)
木
本
密
度
1000
目次
モデルの構造
パラメーターの調整法
シミュレーション
まとめ
シミュレーション1(気候区間のトレンド比較)
シミュレーションの方法
まず1000年間のスピンアップを行う。その後、森林火災後
を生じさせ、火災後200年間の植生構造と機能の変化をシ
ミュレーションさせた。
このシミュレーションは、熱帯(インドネシアSermbu)・温帯
(茨城県小川) ・寒帯(知床)の3気候区において行い、気候
区間でトレンドの違いを調べた。
熱帯
温帯
年最大葉面積指数の変化
(火災後200年間の軌跡)
火災後すぐに草本層が発達し、それが
徐々に木本の葉群に置きかわった。
その置きかわりの速度は、温暖な気候区
ほど速やかであった。
寒帯
実際の傾向と一致
熱帯
炭素貯蓄量の変化
(火災後200年間の軌跡)
温帯
平衡状態にて
生物量
:熱帯>温帯>寒帯
土壌炭素量:寒帯>温帯>熱帯
バイオマスの蓄積は、温暖な気候区ほど
速やかであった。
寒帯
実際の傾向と一致
水収支の季節変化
(火災後200年が経過した時点の結果)
草原
温帯
寒帯
熱帯
蒸散
遮断蒸発
地表蒸発
流出
実際の傾向と一致(ただ、流出水の量は過大推定っぽい)
シミュレーション2(全球計算)
シミュレーションの方法
裸地よりはじまる200年間のシミュレーションを
全球において実行した
植生の全球分布
森林帯の分布を、過大に評価する傾向があった
土壌有機物の分布
(interpolated)
観測値
ORCHIDEEの出力
SEIBの出力
バイオマス分布
分布パターンは、許せる範囲には収まっている?
(ただし、バイオマスは過大に出力される傾向あり)
全球の炭素貯留量
SEIB出力値
Schimel (1995)
バイオマス
約1190 Pg C
610 Pg C
土壌有機物
約1420 Pg C
1580 Pg C
考えられる要因
人間による土地利用を考慮に入れてない
木本の乾燥に対する反応が的確に扱えてない
パラメーターの調整不足(全球5ヶ所程度しか行ってない)
現在、改善の為の作業を行っている。
目次
モデルの構造
パラメーターの調整法
シミュレーション
まとめ
まとめ
全球植生モデルSEIB-DGVMを開発した。
3つの気候区間で、葉群構造の遷移、炭素プールの変化を比
較した。その結果は、それぞれの地域における観測と基本的に
一致した。
しかし、全球シミュレーションの場合には、全球バイオマスを過
大に推定するなど、必ずしも現実的な結果を出力しなかった。
現在、全球スケールでの出力を改善すべく、モデルの改良を進
めている。統合モデルへの結合は、ある程度、妥当な出力が得
られるようになってから着手する。
ご静聴、ありがとうございました