第4回 制度について 公共政策大学院 鈴木一人 [email protected] 1 制度とは何か 制度とは 社会における人間の行動や関係を規制するために確立 されているきまり。また、国家・団体などを統治・運営する ために定められたきまり。 学習すべきことの規範的な妥当性が,社会的に認定され ているものとして認知されるような行動様式。制度は,規 範的な拘束力をもって諸個人に働きかけ,しばしばこれに 合致しない行動を取る個人には,制裁が加えられる。 体系化された社会規範 必ずしも法律や組織・機構になっていなくても制度 例)封建制度、家族制度、貨幣制度、単位制度 2 「規範」と「制度」 制度=体系化された社会規範 しかし制度は流動的 一度体系化されると規範は制度に固定化される 世代や文化によって規範は変化する 制度が固定化した規範vs.流動的な現在の規範 制度維持→現在の規範と制度を解釈でつなぐ 例)解釈改憲、裁判所の判例 制度変更→現在の規範に合わせて制度を再編する 規範を戻す→制度が制定された時期の規範に戻す 例)護憲運動、保守的な運動 3 政治学における「制度」 統治制度 憲法、権力分立、軍・警察などの実力機関の制約 権力の制御、権力者と非権力者との関係 民主的な制度と独裁的な制度では統治制度が異なる 民主制度 民主主義を支える様々な規範の体系 法の支配、基本的人権、政治参加 結社の自由(政党、利益団体等)、表現の自由、良心の自由等 民主主義制度を支える様々な機構 選挙制度(選挙管理委員会、秘密投票等) NGOや第三者委員会、オンブズマン制度など 4 政治制度/政治体制 統治制度の類型 大統領制 議院内閣制 国民の代表としての議会から選出される行政府 議会制度の類型 一院制/二院制 行政、司法、立法の三権が明確に分立している 直接選挙制と半大統領制(大統領制と議院内閣制の混合) 立法府内でのチェック・アンド・バランス 国家ごとにことなる政治体制 各国の歴史や文化を反映した規範が体系化されている 5 国際政治における「制度」 国際社会は「主権国家」によって成り立つシステム 主権:「最高権力」「至高権」とも言われ、元々は君主が 持つ権力であったが、現在は 国民および領土を統治する国家の権力 国家が他国からの干渉を受けずに独自の意思決定を行う権利 国家の政治を最終的に決定する権利 200近い国家(国連加盟国193)が「主権」を持つ 国際社会に統一的な政府は存在しない 各国は自由に最終的な決定を行う→究極的には戦争も可能 国際統治制度は存在しないが様々なルールは存在する 内政不干渉原則、領土保全の原則、主権平等の原則など 6 国際政治は「無秩序」か? 主権国家システム=「万国に対する闘争」? 主権国家は自らの利益を最大化する 共有地の悲劇(Tragedy of Commons) 全員が自分の利益を主張すると全員の利益が下がる 共有地の悲劇を避けるために規範を成立し、制度化する 一定の利益を制限→長期的な利益と予測可能性 国連は世界政府か? 国際的なルール作りとその監視 最終決定権は各国にあるが、そのルールに拘束される 各国の利益や主張を表明する場(フォーラム) 一定の自律性をもった組織体→仲介や調停 7 (参考)講義の進め方 講義は試験以外、紙を配布しない(ペーパーレス) パワーポイントのスライドはウェブで公開する http://lex.juris.hokudai.ac.jp/~kazutos/intro2016/index.html 講義前日までにはアップロード/事前に入手し予習する パワーポイントのデータを使いやすいように改変すること は可。しかし、データを無断で再利用するのは禁止 授業はパソコン・タブレット持込み可。 質問はメールで受け付ける 講義当日中の質問に対してはウェブ上で回答する コメントや希望・要望などでもよい 8 (参考)シラバスからの変更点 成績について レポートテーマ:「民主主義・政党・官僚制の三つのキーワ ードを使って、現代日本の政治について自由に論じなさい」 提出日:5月31日23:59 提出方法:メールで提出([email protected]) 2000字以上(Wordで作成) 「論文作成ガイドブック」参照 シラバス:「毎回の授業の際に課すレポート(講義のまとめと質問) が50%、期末試験(論述と穴埋め)が50%」 変更後:「中間レポートが50%、期末試験(論述と穴埋め)が50%」 教室入退室時にカードリーダーに学生証をかざすこと http://lex.juris.hokudai.ac.jp/~kazutos/guide/guide.pdf http://www.juris.hokudai.ac.jp/~kazutos/guide/guide2.doc 参考文献、注は必ずつけること 9
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