第3回 秩序について 公共政策大学院 鈴木一人 [email protected] 1 秩序とは何か 秩序とは 「正しい」はどう決まるのか 1 物事を行う場合の正しい順序・筋道。 2 その社会・集団などが、望ましい状態を保つための順 序やきまり。 法律で決まっている→誰が法律を決める? 合理的に決まる→「適切な」順序と「正しい」順序? 道徳的に決まる→誰が「道徳」を決める? 誰にとって「望ましい」? 2 社会を作る「規範」 「~であるべき」 「~である」→観察される事実 「~であるべき」→目には見えない社会的合意 社会の中で共有される理念や価値、判断基準 その場で作られる「空気」 「みんな」がやっていること 社会は複数の人間によって成り立つ 様々な利害が対立し、異なる考え方を持つ人たちが作る社会 放っておけば対立が激化し「万人の万人に対する戦争」になる 社会の摩擦を減らし、安定をもたらすための「規範」 3 「規範」のでき方 間主観性(Intersubjectivity) 間主観性の例 主観→自分の目から見たもの、自分の考え 相手の主観→相手の目が見たもの、相手の考え 間主観→「相手がこう考えるだろう」と思う自分の主観 エスカレーター 外国人のゴミ出し問題 核抑止→自分が攻撃をすれば相手が反撃するから攻撃 することを止める 人は「合理的」に行動するという前提 4 秩序は規範によって成り立つ 「正しい」は「規範的に正しい」 多くの人が共有する間主観に基づく「正しさ」 規範は時代と場所で変化する 「みんな」は時代と共に変化する 貧しい時代に生まれた人と豊かな時代に生まれた人の価値観 外国における「常識」や「当たり前」とは異なる 「みんな」が思っている「正しい」順序や「望ましい」状態 規範はある一定の社会の枠組みの中で成立する その時代、その場所において「望ましい」状態 しかし人類に普遍なものもある 5 政治における秩序 政治は秩序を形成する営み 無秩序→万人の万人に対する戦い 何が「正しい」のかを決めていく作業 憲法、法律、社会のルール、決まり事… 政治は秩序を維持する営み 警察、裁判所などの物理的強制力 補助金などの物質的誘因による不満の解消 説得を通じた社会の合意形成 合意を通じた社会の規範形成 6 変化する秩序と政治 政治は秩序を形成し、維持する しかし、秩序の基礎となる規範は時代と共に変化 規範の変化に対応した秩序を再形成する作業 世代や文化社会ごとに異なる規範の対立 対立を収束させるためのメカニズム 物事を決定するメカニズム 制度→規範と秩序を形作る仕組み 政治過程→異なる規範を調整するための仕組み 7 (参考)講義の進め方 講義は試験以外、紙を配布しない(ペーパーレス) パワーポイントのスライドはウェブで公開する http://lex.juris.hokudai.ac.jp/~kazutos/intro2016/index.html 講義前日までにはアップロード/事前に入手し予習する パワーポイントのデータを使いやすいように改変すること は可。しかし、データを無断で再利用するのは禁止 授業はパソコン・タブレット持込み可。 質問はメールで受け付ける 講義当日中の質問に対してはウェブ上で回答する コメントや希望・要望などでもよい 8 (参考)シラバスからの変更点 成績について レポートテーマ:「民主主義・政党・官僚制の三つのキーワ ードを使って、現代日本の政治について自由に論じなさい」 提出日:5月31日23:59 提出方法:メールで提出([email protected]) 2000字以上(Wordで作成) 「論文作成ガイドブック」参照 シラバス:「毎回の授業の際に課すレポート(講義のまとめと質問) が50%、期末試験(論述と穴埋め)が50%」 変更後:「中間レポートが50%、期末試験(論述と穴埋め)が50%」 教室入退室時にカードリーダーに学生証をかざすこと http://lex.juris.hokudai.ac.jp/~kazutos/guide/guide.pdf http://www.juris.hokudai.ac.jp/~kazutos/guide/guide2.doc 参考文献、注は必ずつけること 9
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